第61話 遠足の弁当
ようやく、歩き終え、芝生のある大きな広場に着くと、丁度、正午になっていた。
今から約一時間半、自由時間となる。
敦也達は、大きなシートを敷き、七人で輪になって座る。
「敦也、お前、そんなに食べるのか?」
と、驚いた顔をしている康介が、敦也の持っている運動会用の三段箱を指した。
「あー、違う、違う。これ、四人分の弁当」
「へぇ?」
「だから、俺と唯姉と里菜姉と咲弥姉の弁当」
「あ、そういう事……」
説明されて納得する。
「——って、じゃあ、歩くたびに重いと思っていたお前のリュックって、弁当だったのか⁉」
「康介、声が大きい! そうだけど……」
「マジかぁああ。これで謎が解けた……」
謎が解けた康介は、力が抜けた。
「それにしても、四人の弁当をそれぞれにしなかったのはどうしてなの?」
夏海が訊いた。
「それはですね。お母さんが、張り切りすぎたんですよ」
「そうそう、母さんは、こういう時に限って、いつもより張り切るんだよね」
と、唯と里菜は言う。
「凄いお母さんね……。想像がつかないわ」
夏海は苦笑いする。
「それじゃあ、食べるとするか……」
敦也は、三段弁当を開け、それぞれ、シートの上に置く。
「ほぉ、これが、四人の弁当、凄い……」
健斗も興味津々で弁当を見る。
「もしよかったら、少し食べても大丈夫ですよ」
「え、いいの⁉」
夏海は、目を輝かせて、一つ、卵焼きを食べる。
「うまっ! なにこれ!」
頬がとろけそうな感想を言う。
「別に普通の弁当ですよ。昔、料理長をしていたらしいですけど……」
唯も食べながら話す。
「——と、いう事は……。毎日の弁当って!」
「そうだよ。母さんが、作っているの」
里菜はおにぎりを食べる。
「そして、たまに、私は料理の手伝いをするけどね」
先程まで、瀕死状態だった咲弥もお茶を飲みながら、おにぎりを食べる。
「それにしても、何だかねぇー、疲れしか、覚えてねぇ……」
康介は、空を見上げた。




