第60話 あの鐘を鳴らすのは……
「それにしても写真撮影するのにこんなに並ぶのって、どういうことなんだ? そんなにも恋人が欲しいものなのかねぇ……」
敦也達は列に並びながら、順番が来るのを待っていた。
「そういうものなんでしょう。恋というのは、素晴らしい事だと、私は思いますよ」
「唯姉も恋人が欲しいの?」
と、訊かれると、唯はぷくー、と頬を膨らませて、敦也を睨みつける。
「あっちゃんは意地悪ですね」
「えっ⁉ 何がっ⁉」
鈍感すぎる敦也は、唯の恋心を本気で受け止めていない。
「ねぇ、里菜姉、どういう事?」
困った末に里菜に訊く。
「知らんがな」
と、返ってくる。
(ええええええええええええ⁉)
口調がどう見ても違う里菜に敦也は驚く。
「ほら、順番来ましたよ。どうやって取りますか?」
「まぁ、まぁ、待ちたまえ。とりあえず、全体写真ね」
と、夏海に言われて、七人揃って写真を撮る。
撮影者は、近くにいた生徒に夏海は頼んだ。
「はい、敦也は、ここで紐を持ってろ」
と、撮影後、鐘を鳴らす紐を持たされる。
「そして、三人も敦也君の周りに集まって紐を持ってね。はい、そうそう」
夏海に誘導されながら、唯・里菜・咲弥も敦也の周りに集まって、紐を握る。
「はーい、そのまま、そのままね。はい、いきますよー」
と、夏海はスマホのカメラで連写した。
「はい、オッケー。四人共、良かったよ!」
と、撮影写真を面白そうに眺めている康介と夏海。
(なぜだろう。周りの目が痛い)
「おい、なぜかは分からないが、周りから注目を集めているんだが……」
敦也は二人に言った。
「それはそうよ。だって、敦也君、三人の美少女をもてあそんでいるのよ。そりゃあ、おも……いえ、何でもないわ」
お腹を抑えながら、笑いをこらえる夏海。
(今、面白そうだと思ったよな。——ったく、この二人は……)
敦也達は、紐から手を放し、再び、七人揃って歩き始めた。




