第56話 遠足当日の朝
遠足当日の朝——
「それで、また、こうなっているわけ?」
朝、目が覚めると、隣には唯が敦也に添い寝していた。
つい最近までは、治まっていたのにまた、敦也の隣には、朝になると、誰かが寝ている。
(別にこれから先がないからいいものの。もし、間違いが起きたら洒落にならないよな)
敦也は、ゆっくりと体を起こして、唯の頬を人差し指で突く。
唯の柔らかい頬は、敦也の指の感触を刺激する。
(柔らかい。唯姉って、こうしていると、可愛いんだよな。本当に。ずっと寝ていれば、だけど……。まぁ、起きている唯姉も嫌いって訳ではないけど)
敦也は、丁寧に唯の頬を触りながら、起こすことにした。
「唯姉、起きてくれ。朝だ。今日は遠足だけど、集合時間は九時なんだから、起きないと遅刻するぞ」
「ん、んん……」
ゆっくりと、目を覚ます唯。
「あ、はい。おはようございます……」
「ああ、おはよう」
すると、唯は両手を挙げる。
「お願いします」
「え?」
戸惑う敦也。
「起こしてください」
と、おねだりされる。
「はぁ……。しょうがないなぁ……」
敦也は唯の体を支え、起こそうとすると、いきなり唯は敦也を自分の胸に引き寄せる。
「捕まえました。時間は、もう少しありますので、こうして、あっちゃんの成分をください」
唯は、敦也を抱きしめたまま、堪能している。
(朝からあっちゃんに抱きつけるなんて、幸せ。このまま、ずっとこうしていたい)
唯のお花畑状態は、朝からフル回転である。
「唯姉、く、苦しい……。それに、顔を胸に当てるのだけはやめてくれ!」
敦也は、朝から疲れた。




