第53話 初めての席替えをしよう
四月の終わりも近づいてきた頃——
「今日は、以前から予告していた席替えを行います。くじは、作ってきましたので、四つ角の席に座っている四人の人は立ち上がって、じゃんけんをしてください。勝った人の列から順にくじを引いて言ってもらいます!」
ホームルームで、担任の松山先生は、箱の中に入れたくじを教卓の上に置き、生徒達にじゃんけんをさせる。
じゃんけんは公平に行われ、敦也の列の一番後ろの席に座っている男子生徒が勝った。
「それじゃあ、勝った人から順にくじを取りに来てください。今から黒板に席の場所と久慈の番号を書きますので、全員が確認出来たら机と椅子を移動しましょう」
そう言った後、松山先生は、黒板にチョークで書き始めた。
順番にくじが引かれていき、敦也も引く。
引いた番号は㉑番だった。
(二十一か……。結構、微妙な番号だな。前の席にならなければいいけど)
敦也は、後ろの席になることを願った。
くじが全生徒にいきわたり、番号が発表される。
はい、席はこのようになりました。皆さん、席を移動してください。
生徒達は、机の上に椅子と荷物を載せ、自分の番号がある場所へと移動する。
敦也の席は、惜しくも窓側の後ろから三番目の席だった。
後ろの席になったのはいいが、微妙と言えば、微妙である。
「隣の席、よろしくお願いします。あっちゃん!」
と、聞き覚えのある声が右側から聞こえた。
敦也が隣を振り向くと、唯が隣の席を獲得していた。
「唯姉が隣なんだ。よろしく」
「はい、よろしくお願いします!」
唯は、嬉しそうに返事をする。
一方で、他の二人は、バラバラであり、悔しそうにこちらを見る。
「敦也、よろしくな」
と、後ろを振り返ると、康介がいた。
「康介が後ろだったんだ」
「おう! いや、後ろの席が取れて、ラッキーだったよ。俺、前の席より後ろの席の方がいいんだよ。よく居眠りできるから」
「あはは……。ごもっとも……」
敦也は、愛想笑いをする。
(ギャアアア! よりによって、敦也の隣が唯なんて! これだからくじ引きは嫌なのよ! 授業中も、敦也とイチャイチャし放題じゃない!)
里菜は、くじ運の無さに後悔した。
(あれは、悪魔。昔から席替えになると、高確率で唯があっくんの隣をとる。羨ましい)
咲弥も咲弥で、唯を羨ましがっていた。
くじ運で勝ち取った唯は、勝ち誇ったかのように小さくガッツポーズをした。




