第50話 嫌な奴
「なんだよ、有村。彼女とデートか?」
敦也に絡んでくる少年は、グイグイと、慣れ親しんでくる。
敦也と違って、社交的な少年であり、クラスのカーストで言うと上位にいる感じの少年だ。
「女の子さんにも……なんだ、そういう事か……」
少年は、三人の素性を知った途端、素に戻る。
「あら? そこにいるのは、有村三姉妹じゃない。もしかして、溺愛している彼氏とデートだったかしら? キモイんだけど」
と、少年の隣にいた少女が言う。
「相変わらず、吠えるだけしか脳がないですね、姫路さん」
唯が、悪口を言ってきた少女・姫路由愛に言った。
姫路は、派手な服を着て、唯とは正反対の性格である。
「あなたのその一々、イラつくことを言ってくるところとか、昔からマジうざい!」
「はい? 聞こえませんでした。もう一度言ってもらえますか? ブス!」
「ブスって言った方が、ブスなんです!」
「あら、それしか言い返すことがないのですか? 高校生になったら、もうちょっと、国語の成績とか、上がっているのかと思ったのですが、それだと、昔通りの成績でしょうね?」
「あんたに言われたくないわよ、鉄仮面!」
唯と姫路の言い合いを見た敦也は、また、面倒なことになるな、と思った。
「で、何しに来たの? 冷やかし? それだったら、どこか行ってもらえる? 今、買い物中だから……」
里菜が、いつにも増して、機嫌悪そうにしていた。
「別にいいだろ? 俺達は、同級生なんだし、別に話くらいしても、なぁ、有村」
少年は、敦也に対して、なぜか、絡んでくる。
「ねぇ、木崎君、この人達とは、どういう関係なの?」
と、別の少女が、敦也に絡む少年、木崎優成に訊いた。
「ん? ああ、こいつとは、同じ中学の同級生で、こいつら、四人揃って、同じ歳の姉弟なんだよ。それがまた、ある意味、有名で、恋人以上にいつも、イチャイチャしていたから姉弟なのにキモイんだよ。それに、四人共、血も繋がってない姉弟っていうのが、ミステリーだろ? 話すと、長くなるんだけどな……」
パンッ!
と、木崎の頬を椅子から立ち上がった敦也は平手打ちする。
「てめぇ!」
頬を手で抑える木崎はイラつく。
敦也は、静かに怒っていた。
いつもは穏便に済ませるつもりだったが、我慢できなかった。
「木崎、いい加減にしろよ。それ以上言ったら、ただじゃ、すまないぞ!」
敦也は木崎を睨みつける。
「面白れぇ! 中学の時は、いつも負けてたお前が、俺に勝てるとでも?」
「ああ? やらないと、分からないんじゃないのか?」
敦也と木崎は、互いに睨みつけ合いながら、やる気満々である。
「そこまでだ!」
二人の間に割って入った少年が言った。
「木崎、言いすぎだ。その辺にしておけ!」
「安田! でも、こいつが!」
「それが?」
少年は、木崎を睨みつける。
「有村、手を出したら負けなのは知っているよな?」
「…………」
敦也は何も言い返さない。
「有村、お前、高校では何部に入っているんだ?」
「テニス部だけど……」
敦也は、答える。
「そうか。なら、お互いに潰したいならコートの上にしろ! いいな⁉」
「安田、何を言って!」
「いいな?」
「……ちっ、分かったよ!」
木崎は舌打ちをして、その場は大人しくする。
「有村も悪かったな。だが、俺から一応、忠告しておく。今のままでは、昔と変わらない。同じ事の繰り返しだからな」
少年は敦也に言った。
「ほら、お前ら、行くぞ」
と、少年の声と共に男女の集団は消えていった。




