第28話 条件付きの契約
次の日の昼休み——
いつも通り、有村四姉弟は、一緒にお昼ご飯を食べていた。
だが、ここに三人、グループに参加している者がいた。
唯達、女子の友人である橋岡夏海。
そして、昨日、敦也の友人となった弓削康介と黒木健斗だった。
「そう言えば、有村」
「何だ?」
「何でしょうか?」
「何よ?」
「?」
康介が話しかけようとすると、四人共、反応する。
「あ、わりぃ……。そう言えば、四人共、有村だったな」
困惑する康介。
「敦也、昨日の話、聞かせてくれよ」
「昨日の話?」
「ほら、部活の最後に言っていただろ?」
「ああ、その話ね」
敦也は、ご飯を口に入れながら、昨日の話を思い出した。
「姉ちゃん達、こいつらになら話してもいいだろ?」
「何の話ですか?」
敦也の話とは、何なのか、唯が訊く。
「俺達の姉弟関係」
「それですか。詳しいところまで話さないというのが条件ですよ」
「分かっている。俺だって、それくらいは考えているよ」
「本当ですか?」
唯が敦也の方を見ながら、信用しきっていない様子でいる。
「本当だって、それにこいつらが、周りに話したりしないと思うし、なっ⁉」
と、康介と健斗の方を見る。
「ああ、大丈夫だ。他人に話をするつもりはない」
「俺も話したりしませんよ」
二人は唯に睨まれるが、敦也がそう言うのなら、と仕方なく諦める。
「いいですよ。その二人は、私の目から見ても、そう簡単に話をするとは思えないですから……」
「ありがとう」
と、敦也が礼を言う。
「ただし! その代わり、私達のいう事を何でも一人、一つずついう事を聞くというのが、条件です」
「ぐっ……。分かった……」
唯の方が、一枚上手だった。
心が折れる敦也。
それを見る男子二人は、苦笑いしていた。
「それだったらさぁ、唯ちゃん。私にも教えてくれるんだよね?」
「え?」
夏海から唐突に言われて、びっくりする唯。
「だって、二人に教えるのに私にだけ、教えないのは不公平だよね?」
「…………」
確かに一人だけ、教えないのは不自然である。
「はぁ……。分かりました。他人に口外しない事が条件ですよ」
「分かってる、分かってるって! 私、口が堅い方だから!」
「そこが不安なのですが……」
唯は、夏海の自信満々な表情に呆れた。




