第27話 気になってしょうがない
「有村、あそこにいるのって……」
と、康介に話しかけられた敦也が、康介が指す方を見る。
「ん? ああ、唯姉と咲弥姉だな」
敦也と康介と健斗は、三人揃って並んでいた。
「ずっと気になっていたんだけど、なんで、有村はあの三人を最後に『姉』と呼ぶの? 四人共、同じ歳だよね?」
一番右にいた健斗が、疑問に思っていたことを訊いてきた。
「俺達、四人の中だと、俺の生まれた日が一番遅いんだよ」
「へぇー。それにしても四人共、似ていないんだな。傍から見て、四人共、性格バラバラだし、なーんか、有村に対する姉弟の味方じゃないんだよな」
と、康介が言った。
(なるほど、康介は観察眼いいのか。よく見ているな……)
敦也は関心する。
「だって、俺達、姉弟であって、本当の姉弟じゃないからな」
と、敦也は言った。
「へぇ?」
「はい?」
二人は敦也の言葉に首を傾げた。
「それじゃあ、一年生の時間は、ここまで、ボールを片づけたら挨拶して帰るように!」
と、呼びかけがかかった。
「さて、片付けするか」
敦也は、ボールが転がっているコートの端の方へ歩いた。
「ちょっと待て! それ、どういう事?」
康介に呼び止められる。
「そのままの意味だよ。話は後でしてやるからボール、片づけるぞ」
「ああ! その話、結構気になって、今、それどころじゃない!」
「まぁ、落ち着いてよ、康介。後で話してくれるんだからさ。ボール、片づけようよ」
と、健斗が康介のフォローに入った。