第24話 ちょっとばかりの小さな出会い
敦也と里菜は、とある部室を訪れた。
運動部の部室棟は、別にあり、一階が男子の運動部、二階が女子の運動部に分かれてある。
そこまで、大きくない部室棟であり、敦也と里菜は、そこで互いに別れることにした。
コンコン。
と、敦也はドアをノックした。
すると、見知らぬ男子が顔を出す。
「あの、部活の見学に来たのですが……」
と、敦也が言うと、その男子生徒は、パッと明るくなり、敦也を優しく出迎える。
「おお! 新入生が見学に来たぞ!」
と、他の部員たちも部室から出てきた。
「君、何組? 名前は?」
と、質問される。
「三組の有村敦也です」
「有村君だね。丁度、君と同じクラスの子も来ているから……。着替えとか持ってきている?」
「あ、はい。一応、持ってきています!」
敦也は、そのまま部室へと招かれた。
部室内は、左右に木材の棚があり、そこに自分たちの荷物を置いているらしい。
部室の奥には、見覚えのある人物が二人いた。
敦也と同じクラスの男子生徒だ。
「あ、どうも……」
「こ、こちらこそ……」
「こんにちは」
三人はぎこちない挨拶をする。
敦也はリュックの中から運動ができる服を取り出して、制服から着替える。
「俺達は、先に言っているから一年生は、こいつがここに残るから、後から一緒においで」
と、先輩たちは、先に部室を出ていき、先輩の一人だけ、部室の外で待ってくれることになった。
三人は、無言で着替える。
「ねぇ、君。同じクラスの有村君だよね」
と、顔がハーフっぽい男子に声を掛けられた。
「あ、うん。有村敦也。ええと……」
名前が出てこない。
「ああ、俺は弓削康介。そして、同じ中学の——」
と、隣にいるちょっと控えめな男子生徒を紹介しようとする。
「俺は、黒木健斗。よろしく」
「こちらこそよろしく」
三人は、互いに自己紹介をした。
「そう言えば、有村って、同じクラスの三姉妹と、どういう関係? 姉弟とか?」
と、康介が訊いてきた。
「ええと、俺の姉ちゃん」
「へぇー。俺達、双子は見たことあるけど、四つ子は、見たことなくてさ。初めて見た時は、驚いたんだよ」
「ああ、そうなんだ」
「俺も、姉ちゃんと妹はいるけど、同じ歳の姉はいないから、ちょっと、凄いと思う」
この何気ない話で、三人は少し、話をする仲になった。