第139話 結局のところ
再び目を覚ましたのは、夜の九時頃だった。
(んー、まだ、いる……)
敦也は、三人が自分のベットでスヤスヤと寝ている事に対して、そろそろ我慢の限界に達していた。
疲れの他に、お腹もすいてきた頃である。
夜遅くに食べ物を食べるのは、あまりよろしい事ではないが、朝食を食べてから今まで何も口にしていない。
「ちょっとすみません、姉さん方……。さすがにどいてもらえないでしょうか?」
敦也は、三人に話しかける。
だが、三人共何一つ反応しない。
(……狸寝入りしているな。三人共、すでに起きている)
敦也は、三人がピクリとも反応しない事に対して、すでに見抜いており、作戦を練る。
何年、同じ屋根の下で姉弟もしてきたのだから、どう、対応すればいいか、分かる。
(さて、少し動いてみるか)
敦也は、左に寝ている唯の方を見て、口を開き、独り言を言う。
「ああ、そうだ。このままじゃあ、何もできないし、イタズラしようかな? 何がいいかな? 腕も背中も押さえつけられているし、唯姉からキスしてもらえると嬉しいかな? もしくは、里菜姉、咲弥姉でもいいかな?」
と、三人の反応を窺う。
すると、少しずつではあるが、三人に何かしらの動きが読み取れる。
両腕を縛られた感覚は緩み、唯と里菜が、敦也の顔の近くまで押し寄せてくる。
そして、背中に乗って寝ていた咲弥もまた、敦也の後頭部まで近づいていた。
「やはり、全員、起きているんじゃねぇーか! 三人共、直ちに俺から離れろ!」
敦也の声が、部屋中に響き渡った。