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第132話 いつも通りの三人に
「あら、三人共、お疲れ様」
車の外で待っていた母親の美紀が言った。
「はい、ありがとうございます、お母さん。ところで、あっちゃんは?」
と、唯は敦也の姿を探す。
「敦也なら、ほら……」
美紀は、車の後部座席を指差す。
そこには、スヤスヤと気持ちよさそうに寝ている敦也の姿があった。
「寝ているわね」
「寝ている」
「そのようですね。あまり時間も経っていませんのに寝ているなんて……」
三人は、窓の外から車内を見ていた。
「それじゃあ……」
「やりますかね」
「負けない」
三人は、腕まくりして、拳を握る。
「あらあら、この三人は、敦也が疲れて寝ているのに対して、元気な事」
「それだけ、敦也が元気の源なんだろ? 三人にとっては」
三人の荷物を車に載せながら、父親の修二が言った。
「はい、私が勝ちました‼」
拳を挙げながら、唯は叫んだ。