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第126話 どこがいいのか
「そう言えば、あっくんさぁ……」
「ん? なんだ?」
「昨日の夜、唯と何をしていたの?」
「ぶっ———‼」
いきなり訊かれて、敦也は肉を喉に詰まらせる。
「がはっ、ごほっ、ごほっ!」
「大丈夫? あっくん」
苦しそうにしている敦也の背中を擦る咲弥。
「あ、うん……。大丈夫、大丈夫……」
「そう……。で、どうなの?」
「ああ、それ、里菜姉にも聞かれたよ。別に偶然会っただけど、普通に話をしていただけだ。それ以外に何もなかったよ」
「本当?」
「本当だ? 姉妹揃って、疑い深いなぁ……。俺のどこがそんなにいいのやら……」
敦也は、フッと笑みを浮かべるが、少し困った表情を見せた。
「さぁーね。どこが良かったのかな?」
咲弥は、少し思い出し笑いをしながら、肉を嚙み千切った。