124/139
第124話 バーベキュー
午後五時になり、人々は河原に集まってくる。
敦也もその中にいた。
バーベキューセットを顧問の先生達と、各学校のマネージャー達が、準備していた。
「それじゃあ、皆さん。お肉や野菜はたくさんありますので、思う存分食べてください」
手には、皿と箸を持った生徒達が、肉の前に立ちはだかる。
「おお、これが飢えた野獣達の晩餐の前か……」
敦也は、その光景を目にして、苦笑いしていた。
「飢えた野獣って、その例えは……」
隣にいた拓は、薄ら笑いをする。
「さて、僕達も食べるとしますか。無くなる前に、取っておかないと、いけませんからね」
拓は、がっちりと固められた集団の中をスルスルとすり抜け、前へと進む。
(お前、ある意味、凄い能力持っているんだな……)
敦也は、拓が集団の中に姿を消すのを見て、そう思った。
(俺も取りに行くとするか……)
と、敦也は、肉を取りに行こうとすると、集団の後ろで、一人、見覚えのある人物が、嫌な顔をしながら皿と箸を持ち、立っていた。