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第123話 甘えん坊
「ん~♪ これ、これ。これが一番安心できる」
里菜は、敦也の胸の中に顔を埋めながら、体を密着させていた。
「そうかい。それは、それは……」
腕を里菜の背中まで回して、包み込む敦也は言った。
「うん。やっぱり、これがないと不安」
「本当に里菜姉は甘えん坊だな。いつになったら、弟離れしてくれるのやら……」
「いいの、いいの。甘えれる時だけ、甘えておかないと」
「そうだな。こうして、いないと、里菜姉は不安定だしな……」
二人だけの空間が、時間をゆっくりと止めるかのように、長く感じる。
敦也は、里菜の頭を撫でながら、長い髪を優しく触る。
「ああ、そこ。気持ちいい……」
感じる感触が気持ちよくて、つい、声が漏れてしまう。
そろそろ、時間も近づいてくる。
「はい、終わり。里菜姉、そろそろどいてくれないと、遅れるぞ」
「ええ、もうちょっと、このままが良かったのに!」
「わがまま言わない。どいた、どいた」
「はーい……」
里菜は、渋々と、敦也から離れた。