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第122話 里菜のジェラシー
「ねぇ、今は、誰もいないよ。それに敦也は、この状況で、男を見せることができるかなぁ?」
里菜は、グイグイと敦也に迫ってくる。
「くっ……」
さすがに風呂上がりの里菜に迫られたら、敦也に手はない。
「…………」
里菜は、嫌がるも顔を赤くしている敦也を見て、何か思った。
「なんで、すぐに抱きしめてくれないの?」
「え?」
この押し倒されている状況で、そう言われると、敦也も困る。
「だって! この二日間、敦也とイチャイチャするのを我慢していたんだよ! それなのに唯とは、イチャイチャして、私も敦也とイチャイチャしたい!」
と、悔しそうに言う。
(それが本心か!)
敦也は、里菜の想いを知る。
(まぁ、イチャイチャではないけど、唯姉と……思い当たるところは……ある……)
「ねぇ、敦也、いいよね?」
里菜は、どんどん敦也に体を預ける。
「はぁ……。分かったよ。でも、少しだけだからな。二人には言うなよ」
「うん、分かった!」
そう言って、里菜は敦也をギュッと抱きしめる。
「本当に分かっているのかねぇ……」
敦也は天井を見上げた。