116/139
第116話 少女たちの空間
「はぁ、気持ちいですね」
と、湯に浸かる唯は言った。
「そうね。なんだか、癒されている気がして、頭がぼーっとなるわ」
隣にいる穂乃果が言った。
「あちらのお風呂よりもゆっくりできますね。湯船も広いですから、足を伸ばして、こんなに気持ちいと、寝てしまいそうです」
「本当に寝ないでよね」
「寝ませんよ。例えですよ。例え」
二人は、風呂でリラックスしながら、話をする。
周りにも、自分と同じ女子がいるが、そこまで多いとまではない。
おそらく、川に行っている人が多いのだろう。
「でも、こうも二日間、合宿が続くと、疲れるわね。日焼けとかしてない?」
「そうですね。日焼けの方は、何とか対策をしているつもりでいるのですが、やはり、日焼け止めクリームを塗っただけでは、ダメなんでしょうか? ちょっと、黒くなっていますね」
「そう? 私には、焼けて見えないのだけれど……」
穂乃果は、唯の肌を見ながら、答える。
「あら? そこにいるのは、長女の唯さんじゃない!」
目の前に現れた少女は、姫路由愛だった。