第114話 浴場で
男子大浴場——
そこには、合宿で汗をかいた体を洗いに来ている人で多かった。
「意外と、多いな……」
「そのようですね」
敦也と拓は、服を脱ぎながら裸になる。
タオルを持って、浴場へと入っていく。
浴場には、広々とした空間で、体を洗う場所がある一方で、湯船は、長方形の形をしたものが一つあった。
「さすが、合宿所。こういう風呂だと分かっている」
「そうですね。とりあえず、空いている場所で体を洗うとしましょうか」
「ああ……」
二人は頭を洗い、そして、体を洗う。
「拓、ボディーソープを取ってくれない?」
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
敦也は拓からボディーソープを受け取り、濡れたタオルで泡立てて、体を洗う。
「先に入ってるな」
敦也は体を洗い終えると、湯船に浸かりに行く。
「はぁ……」
と、大きなため息が漏れる。
ここには、他の学校の部員もお風呂に入りに来ている。
(さすがに、人がこうも多いと、疲れるな……。後で、川にでも行って、足だけ浸かりに行こう……)
敦也は、湯に浸かっていると、体を洗い終えた拓が、隣に浸かる。
「さすがに二日目になると、体も疲れますね。一日目の体力が嘘みたいに、皆さん、元気が無くなってきているように見えます」
「そうだな。お前は、どうなのか、表情を見ても分からないけど……」
「あはは……。僕の場合は、常にポーカーフェイスをしていますからね。分からなくて当然ですよ」
「憎たらしい言い方だな」
敦也は、拓の答えに苦笑いをする。
「それで、昨日の夜は、唯さんと何をしていたのですか?」
「どういう事だ?」
「とぼけても無駄ですよ。僕の勘は、結構当たりますので」
「お前には誤魔化せないようだな……」
敦也は観念して、昨日の夜の事を拓に話した。