第112話 合宿二日目スタート
「さて、二日目は一時間の練習後、それぞれのレベルにあった人と試合を行ってもらいます。それを今日は、午後二時まで行います。では、それぞれ準備を行ってください」
開始の合図と共に、選手たちは、荷物を持って、練習を開始する。
今日は一時間短い日程なっているが、これも三日間通しての顧問の先生からの配慮したことなのだろう。
「ふわぁ……」
と、康介は大きな欠伸をする。
「おや、眠たそうですね。昨日は、遅くまで起きていたのですか?」
拓は、康介に話しかける。
「はぁっ⁉ 別に眠いってわけじゃねぇーよ! 夜遅くまで、宿題をしていたとかじゃないからな!」
「康介、自分から言ってどうするの……」
呆れた健斗は、隣で動揺している康介に言った。
「しょうがねぇーだろ? 宿題、終わったねぇーんだから」
「それは、日頃、コツコツとしてない方がおかしいんだよ」
「うるせぇ!」
康介は、眠そうな体で、自分の荷物を持ちながらコートへと向かう。
「朝食の時の話なんだが、敦也、外に出かけたのは本当なのか?」
と、話の方向が敦也に飛んでくる。
「まぁーな。眠れなかった。だから、気分転換に歩いただけだよ」
「女子があんなに楽しそうに話していたから気になったんだよな」
「あ、そう……」
少し心臓の鼓動が早くなる。
その隣で歩いていた拓が、小声で敦也に言う。
「どうやら、昨日の真相を知っていそうなのは、僕と後一人、二人のようですね」
「お前、何が言いたい」
「さて、何が言いたいのでしょうか?」
と、微笑む。
二日目がスタートする。