流れ星に感謝
「ありがとう」
星が綺麗な夜、おばあさんが流れた星を見て呟いた。
「おばあちゃん。どうしてお礼を言うの?」
それを聞いた女の子は首を傾げながら不思議そうにおばあさんに問いかける。
そんな女の子におばあさんは微笑みながら、優しい声で女の子に話しかける。
「死んだ人はどこに行くと思う?」
「?お空?」
優しく問いかけられた女の子は首を傾げながらも誰かに聞いたであろう答えを言う。
答えを聞いたおばあさんは頷いてから話を続ける。
「そうだよ。死んだ人はお空に行くんだよ。
そして、お星さまになるのさ」
「お星さまに?」
「あぁ。そして、お星さまになった人たちは、生きている人たちのことをお空から見守ってくれているのさ。
だから、お星さまが流れるときお礼を言うんだよ。
これまで見守ってくれてありがとうって」
話し終わったおばあさんは女の子の頭を優しくなでる。
そして最後に付け加えた。
「だからあなたも感謝するのよ」
「うん!」
女の子は笑顔で元気よくおばあさんに答えた。
それから数か月後。
おばあさんは力なくベッドに横たわってる。
そんなおばあさんの手を心配そうに握る女の子。
「心配しないで。おばあちゃんはこれからお星さまになるんだよ。
そしてあなたが立派になるまでずっと見守っているわ」
最後の力を振り絞り女の子に話しかける。
女の子はその言葉を涙をこらえながら聞き、そして涙に声を震わしながらおばあさんに答えた。
「うん。おばあちゃんのお星さまが安心できるように、私、立派になる!
それで、おばあちゃんにありがとうって言う!」
「頑張るんだよ……」
そうしておばあさんは夜の空へと昇って行った。
女の子はおばあちゃんに教えてもらったことを胸に秘めながら、星が流れるたびにありがとうと感謝を告げる。
いつか、おばあさんの星が流れた時も。
そして、このことを伝えていき、女の子がお星さまになったときも誰かにありがとうと言ってもらえるように。