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7話 学年別模擬戦・始動開始

 


 

月曜の朝一から

国立関東天童魔法学園の中等部は騒がしかった


それと言うのも、年に数度しかない

週初め月曜の1時限目の50分を全て使った

中等部全校・特別朝礼が有るからだ

普段なら、さほど気にもしない生徒たちも

何処となく、騒がしい

それもその筈、6月7月に渡り行われる

中等部学年別模擬戦に置いて

例年と違う特別ルールで行うと言う情報が漏れていたからだ

そして、先頭を切って、ソレを行っているのが

中等部生徒会長の【柊朱莉】なのだから

期待を膨らますなと言うのが無理であるのだろう


生徒達は、予想を立てる

もしかして、新しいシステムの発表かと

柊朱莉の模擬戦の不参加?とか

トーナメント制から、ブロック別の総当り戦に変更とか?

色々と話は出るが、あの生徒会長の事

一筋縄では、終わらないだろうと、皆は口々に盛り上がるのだった


そして、1時限目のベルと同時に、中等部全校・特別朝礼が始まる

そうといっても、生徒達は自分のクラスに居る

全校生徒を一同に集め全校集会をする訳ではない

各教室にある、黒板に模した、巨大モニターに特設セットが映し出される


映像の真ん中には、威厳がある、学園章の付いた机が置いてあり

机の右側には学園の学園旗が掲げられていた


ちなみに1年から3年のJクラスが入っている

旧校舎には、巨大モニターは無く、音声のみの放送となっている


まず最初に、紹介され現れたのは

中等部校長、渋みのある50代の男性である

モニターに現れた校長は、堂々と机まで歩き

カメラに向き直ると、淡々と話しだした

そして、お馴染みの校長の長話が始まるのだった


そう、どうでも良い事をグダグダと・・・

ただ、そんな中で、校長が声を荒らげて話した内容があった


大阪にある、関西の学園の事である

その学園の大学院の生徒が、違法ドラッグによる事件を起こしたからだ

その詳細も口にした校長

それは、ある大学生が車で学園から帰る途中

違法ドラッグを使用した事に始まる

意識を混濁し、街中で帰宅途中の生徒や社会人の居る集団に車で突っ込み

2人の死者をだす事故となった事を

そして、その後、警察が生徒を車から降ろし逮捕しようとした時に

その生徒が暴れだし、魔法を乱射、暴発させ重傷者を10人以上出したことを


一時期、東京でも流行っていたと言われる、違法ドラックだが

ここ数年沈静化され、麻薬・ドラック・覚せい剤と言われる物は少なくなっていたが

最近、関西圏において、違法ドラックが出回ってる事を口にする

そして、学生でも手の届く、安値の違法ドラックが有る事を述べて

絶対に、そう、絶対に使わないように言うのだった

ドラッグに手を出す、それは即ち

これから送るだあろう輝かしい人生を捨てることを同義であると

人間を辞め、廃人になるかもしれない

または死ぬ事すら有るだろう事を、強く強く重ねて言う


そして、もし使用したなら、その時点で、退学であり、警察に報告となる事を

そこに、私情は含まない、その過程がどうであれ退学処分と

友達に勧められ、知らずに使用したとか

無理やり使用させられたなどの言い訳は聞く耳もたない事も告げる

校則が緩いと言われる、学園であろうと

ドラッグの様な、人生に終焉をもたらす様な犯罪に関して

学園は断じて許さないと伝えるのだった


それ程までに、ドラッグの怖さを

その恐ろしさを、強く強く口にしたのだった



校長は、20分近く喋り話を終え

その場所を、生徒会長に譲るのだった


そして姿を表した、生徒会長・柊朱莉

軽く一例して、話し出す


「皆様、お早う御座います

 まずは、生徒会からの、近状の活動報告と

 今後の中等部、行事予定を報告させていただきます



そして数分間、朱莉の話は続く

そして、校長と同じく、違法ドラッグの事を懸念し

絶対にしないように釘をさすのだった



 ・・・・・と言う事です


 それでは、最後に、学年別の模擬戦のルール変更に付いて

 まず、この変更は今年限りの変更となりなす

 大きな変更点が何個か有りますので詳細については

 後に学園ネット掲示板に張り出しますので確認をしてください


 まずは、従来の大まかなルールは変えていません

 3年は1クラス、15人同士でのクラス対抗戦

 2年は1クラス、9人同士でのクラス対抗戦

 1年は、3人1チーム、1クラスに対しチーム数の制限は無し

 バーチャルシミュレーターでの、仮想モンスター相手のタイムアタック

 そして、3年と2年学年、そして1年の上位チームによる

 トーナメント制となっております


 では、一番大きな変更点である

 1つ目の変更点ですが

 我が柊グループのバックアップによって

 学年別模擬戦の、2年3年の、決勝進出したクラスと

 1年の模擬戦上位入賞者に対し懸賞として

 豪華客船による、一泊のナイトクルージングに招待いたします


 これは言いましたと通り、2・3年に対しましては

 優勝、準優勝のクラス全員に対して権利が発生します

 1年に対しては、上位入賞者と

 優勝した最優秀生徒のクラス全員

 また全学年おいて、先生と共に生徒会が選出した

 個人で大きな活躍をした生徒に対しても権利が発生します 


 そして、この招待券はペアの招待券であり

 その対象者は、学園の生徒・親類・そして各家庭のメイド及び執事までとなります

 客船では、一流シェフ達による豪華な料理や

 幾つかの出し物も考えております

 また、若き天才女性シンガーの【IA】を迎え

 シークレットライブも開催予定です 

 一晩の夢のクルージングを、お約束します

 

 そのためにも、選手と同じく、クラス全員一丸となって

 学年別模擬戦を盛り上げて行きましょう


 そして、2つ目ですが

 3年と2年での、模擬戦を行いたいと思います

 3年の優勝チーム15人と

 2年の優勝・準優勝した2クラス合同、18人による

 学年対抗模擬戦であります

 これは、今回の模擬戦における、目玉となり

 模擬戦最終日、2・3年の決勝戦の後に行われる最終戦となり

 今日以降、我が系列の宣伝部を通して大々的に宣伝いたします


 そして、多くの来賓を呼び、観戦してもらう事を考えております

 その中には、日本を代表する、十士族関係の皆様や

 大企業の方々にも招待状を送るつもりです

 また、報道以外の、来賓、来客に関しては

 準々決勝からの、観戦となります

 そこで、個人の成績・実力が認められたなら

 今後の進路や就職活動が決まる生徒も居るかもしれません

 また、企業の援助や融資を受けれる生徒も居るかもしれません

 その為にも、大いに持てる力の限り頑張ってください


 3つ目は、2つ目の変更点によって

 日時の変更を行います

 本来、模擬戦最終日に

 2・3年の、3位決定戦・決勝と全4戦の工程となっておりましたが

 今年に限り、2・3年の決勝、少し時間を取りまして

 学年対抗模擬戦を執り行う予定となっております

 その為、全体的に対戦予定日を変更させていただきます

 この日程も、後に掲示板に載せておきます


 最後に、恒例行事となっております

 中等部模擬戦、最終日とその前日、土曜・日曜に置いて

 高等部の文化祭と合同となっております

 そして、模擬戦の運営・進行・試合に関して

 多くの先輩方の、お力を借りることとなります


 感謝の気持ちを持ち、先輩方と手を取り合って

 中等部・学年別模擬戦、および合同で行われる

 高等部文化祭を盛り上げて行きましょう


 そして、2学期に行われる

 中等部文化祭、そして同じく合同で行われる

 高等部・種目別模擬戦に向けて、先輩の力になれるよう

 その絆を深めていきたいと思っております


 この時から、学園ネット中等部掲示板に詳細を載せます

 確認の上、もし質問・疑問があれば、中等部生徒会宛にメールをください

 それでは、生徒会からの報告を終わらせていただきます」


そして、朱莉は机のから離れ、モニターの外へと消えていった

その瞬間中等部では、校舎が揺れるほどの、大きな叫びが上がる


やってくれた、我らが生徒会長が!と

豪華客船!ナイトクルージング!

豪華食事に、イベント!ライブ!

中等部3年生の殆どの生徒は、さほど模擬戦に興味は無かった

それもその筈、誰もが3年の優勝は3-Aだと確信していた

その為、3-A以外のクラスでは、本気で取り組む人間は少ない

そう、この瞬間まではである

それは、準優勝のクラスでも、クラス全員が、その懸賞を獲得できる事に

もし負けても、個人でも選出されれば、懸賞を獲得できる事に

その熱気は上がっていった


1年・2年の教室でも、その懸賞に対し大いに沸いた

これによって、中等部各クラスは

学園始まって以来だと思わせるほどに

模擬戦に向けて熱を帯びていく


そして、懸賞以上に、十士族・または大企業の来賓、そして融資・支援

それは、今まで力を隠してきた生徒達に希望の光を見出していく


女生徒の叫びも上がった

今大人気の、女性シンガー【IA】のシークレットライブ

その響きは、模擬戦に参加できない生徒達にも

やる気をださせる事になる、それは後方支援!

模擬戦に参加する生徒達のサポート・支援を

自発的に参加させる事となった


そして、豪華な料理、この言葉に反応した人間も少なくないのだが

ただの豪華な料理だけなら、この少女は、そこまで反応しなかっただろう

ただ・・・一言余計であった「一流シェフ達の豪華な料理」

その言葉に反応し、ある少女の瞳は輝く


物心着く前から、人一倍料理に没頭し

その頭の中は常に料理の事がばかり

果てしなき料理の道を究めようとする少女

その名は【三千風鈴 (みちかぜりん)】


彼女は、模擬戦には興味が無かった

模擬戦には参加せず、友人達の応援をすると決めていたのだが

この時、彼女の決意した、自身も模擬戦に参加すると

そして、準優勝をもぎ取り

「一流シェフ達の豪華な食事」の権利を手に入れると

人知れず自身の料理に対する欲を燃やすのだった


そして、鈴の模擬戦参加は、柊朱莉が一番頭を悩ませていた事柄であり

もし、模擬戦参加リストに、三千風鈴の名前が無かったら

どう難癖つけて参加させるか考えていた事柄でもあった

 

そう、今回大幅なルール変更

3年対2年の模擬戦!

学園創設以来、それが行われた記録は無い

もしかしたら、歴代の生徒会長の誰かが思いついたかも知れないが

それは、現実には成らなかったのだろう

だが彼女は、自身の目的のためにそれを、現実のものにした


そう、それを実現させた最大の目的の1つは

柊朱莉が、その手で三千風鈴を、完膚無きまでに叩きのめす為である

そして、それを中等部全校生徒の前で見せつける事でもあり

士族関係者や、大企業の、多くの来賓の前で

自分自身の強さを気高さを見せつける為である

その為の、客寄せパンダと、自身の強さを示すために

十士族である、四条優美を利用する


十士族や、大企業の権力者なら知っているはず

中等部の3年に、私、柊財閥令嬢【柊朱莉】と

2年に十士族、四条の娘【四条優美】が居ることを

そして、大々的に、今回のルール変更を発表することで

3年の優勝は、柊朱莉のクラスであり

2年の優勝は、四条優美のクラスと成る事を思い描かせる

さすがの、優美も、多くの権力者の前で

1年の時のように、手を抜き無様な姿を晒すことは出来ないだろうと

そして、柊朱莉vs四条優美の、夢の対決を餌に

過去最高の来客数と、興奮度の学年別模擬戦を開き

柊朱莉の名を、その実力、実績、聡明、気品、美しさ、上げれば限がないが

その全てを国内外に響き渡らせる計画であった


その為なら、朱莉のポケットマネーで

豪華客船を貸し切る事など、取るに足らない事であった




そんな事を知らず

生徒会長、柊朱莉を尊敬し、神格化し

盛り上がっていく中等部の生徒達


そして、2年3年は、この時から情報戦を繰り広げることとなる


上位ランク、または、ランクトップ10と言われる存在が

どこのクラスに居るのかと

そして、上位ランクの生徒達の個々の情報を洗い出す

戦闘は得意か?魔法が得意か?何系統の魔法か?

単騎での戦闘が得意か?集団戦が得意か?と

そして、勝つ為の人選も忘れない




それは、この2-Bのクラスでも同じであった

教壇に立つ、クラス委員長の男子生徒


イケメンと言うほどカッコヨクはない

それなりに整った顔立ちであり、サラサラの髪

成績も学年で、中の上

身長も160cm程だが

人当たりも良く、物腰柔らかく

男女共に友達も多いい

だが、他人に対して、強く出れない性格でもあるような

いたって普通であるのだが

中等部では有名人であり

女子に人気でもある

それもその筈、この男こそ

中等部2年、4月度、ランキング1位

そして、昨年度、1年間 (夏休みの8月と、年度末3月はランキング戦は無い)

を通して、常に1位を守り通した強者

【岡山桃太郎】である

2年の模擬戦で、最も注目される人物の1人でもある


この場を仕切り、桃太郎は話を進めていた

2-Bでの模擬戦参加者を立候補を募る

まずは、参加したい人間を挙手で募る

そして、その結果に、クラス全体が揺れた

そう、それは揺れるほどの響めきだったのだ


中等部2年のマスコット的存在

そう、その彼女、三千風鈴の右手が挙がっていた


その行動には、鈴の仲良しグループである

四条優美や、山代かんなや、小早川夏目をも驚かせるのだった

それもその筈、3人は数日前

鈴が模擬戦に参加しないと、その口から聞いていたのだ

そして、3人は・・いやクラスの全員が

鈴が戦った所を見たことがない

授業で行われる、シミュレーション戦闘はするが

可もなく、不可もなく・・・・

いや、どちらかと言えば魔法の戦いは普通だが

武器を持っての接近戦は、目も当てられない程なのだ


その彼女が、模擬戦の参加を希望するなど

誰一人として想像していなかったのだ


だが、その驚きとは別に

桜色の髪の少女だけは

その青髪の少女の模擬戦参加を喜び

共に戦える事を嬉しく思うのであった




それと同じくして

ランキングに興味が無かった、ランキング外の実力者達も

ナイトクルージングや、豪華料理

または、IAのライブと言う餌に誘い出される事となる

それは、柊朱莉にとって、予想外の事であり

誰もが優勝確実と思もっていた、柊朱莉が率いる3-Aに

暗い影を落とすのだった



そして、中等部の旧校舎では

【IA】のライブに思いを爆発させ

模擬戦に向けて盛り上がる人間がいた


2-Jのクラス、クズクラスと呼ばれるソコは

他人など、どうでもいい自己中の塊のような生徒を集めた

協調性の欠片もないクラスである


紫音や鉄雄は、自己中であるが

言うなれば、ちょっかいさえ出さなければ

他人を巻き込まない、自己完結型自己中である


だが、世の中には、自分の為に他人を巻き込んでいく

自己中の人間も居るのだ

そして、その最たる人間が此処に居た

灰色の掛かったセミロング、整った目鼻立ち、その上男前な性格

まるで宝塚の男役の様な人物であり

普段は数人の女子グループの率いるリーダー的存在でもある

その名前は【呂 愁 (りょ しゅう)】中国系の血筋を持つ女性である


そして、もう一人、我が趣味、目的の為なら

他人に迷惑をかけても気にしない人物が居た

彼は言うのだった

「誰しも生きてるダケで、誰かに迷惑かけてる物である

 ならば、今更迷惑を掛けても、俺のせいじゃない!」と、言い切る

常に、エレキギターを持ち、腰には小型スピーカー

その姿は、自分はパンクだと言わないばかりの服装であり

その髪の毛は、赤青黄とメッシュが入っていた

クラスでは、時間があれば、ギターを弾いている

【キラ】と呼ばれている、変わり者である


普段であるなら、性格も趣味も合わない、呂愁とキラだが

とある1点に関しては、共通点が有ったのだ


その数少ない共通点の1つ、それは

2人とも【IA】の大ファンで有ると言う事であった

そして、今【IA】のシークレットライブと言う餌に釣られ

2-Jの中でも、メンドくさい2人が手を組んだのだった

だが、だからと言って、もともと自己中の塊である、クズクラス

纏まる訳がない・・・・・はずであったが

今回だけは違う

クラスの大半が、柊朱莉が提示した【エサ】に釣られる

そして、そんな、低俗な、エサに興味が無い人物も居た

【ニニス】【カレラ】【茜】【紫音】達、数人・・・

だが、お祭り好きであった、ニニスは、自身の参加を希望し率先して

模擬戦への参加を希望する、そして、ニニスが参加するなら

ニニスの友人兼護衛であるカレラが参加するのは決まりきっていた


そう、今、紫音と茜達以外は

なぜか模擬戦に向けて一丸となっていくのだった


茜にとってみれば、つねに月刊誌の連載漫画の締切はギリギリ

そして、夏コミで売る、エロ漫画もまだ書き終わっていない

模擬戦など、どうでもいい事に時間を費やしている場合ではなかったのだ


紫音も、紫音で、学園の行事になど興味は無い

多少、一流の料理と言うものに興味は有るが

紫音に言わせれば、上流階級に雇われ使われている、シェフやコックに

本当に美味しいものは作れないと思っているのだ

同じ、いい素材、高級素材、希少価値の素材

そんな素材、材料を使えば、同等のレベルの料理など

ある程度の腕があれば誰でも作れると思っていた


紫音の知る限り、料理人としての腕前なら

鈴が最高クラスであると思っているが

何事にも、世の中上には上が居る事を知っているし

料理の種類によっては、鈴以上の人間が居る事を知っている

そう、和食の魚料理に関して鈴より

腕前が上の人間を、1人知っていた


新潟にある、今にも潰れそうな、ボロボロの店

そこの、頑固ジジィの作る魚料理、とくに刺身に関して

それ以上の料理を、紫音は食べたことがない

鈴も未だ、そこに通い修行している

紫音もたまに、そのジジィの料理を思い出し食べに行く程美味しいのだった


だが、豪華客船で出される料理に

それほど美味しい料理は出ないと確信するし

鈴のクラスなら、桜さんも、四条さんも居るだろうから

最低でも準優勝して、鈴が豪華客船に行って

料理を覚え、そのうち作ってくれれば良いと考えていた


そんな中、教室の前に出て、クラスを仕切り

模擬戦に向けて、話を進めていく、愁とキラ

そして、2-Jの最大戦力である、鉄雄に声が掛かるが

冷静に答える、男の姿がそこにあった


「ちょっとまてよ

 お前ら本気で上位クラスに勝てると思ってるのか?

 俺も【IA】のライブは見てみたいが

 どう考えても無理だろ?2-Aと2-Bに勝つとか?」


「ブーブー」

「臆病かよ!」

「おいおい、そのリーゼントは飾りかよ!」


「あぁ!?」


クラスから、ブーイングを受けるのは気にもしなかったが

リーゼントをバカにされ半ギレの鉄雄であった


「フッ、それは殺ってみないと分かんないダロ!」


と男勝りに答える愁


鉄雄は先日教室で紫音が暴れた時の事と

昨日、ミカさんの家で、暴れた桜を思い出し


「はぁ・・・シュウ、お前もこの間みたろ

 あの鈴と桜さんと四条さんを、あれに勝てるのかよ

 それに、ランカートップ10の7人が居る、Aクラスに

 本当に勝てると思ってるのか?

 もしかして運よく、強敵と当たら無くて

 決勝まで進めると思ってるのか? 

 だいたい、模擬戦を仕切ってるのは、あの生徒会長だぞ

 俺達なんぞ、上位クラスの当て馬か

 手の内を隠す為とか、消耗を防ぐ為にしか使われないぞ」


その言葉に、クラスは静まり返る


そう、誰もが浮かれていた、運良ければ、もしかして勝てるかもと

だが、先日暴れまわった、3人の女子生徒達を思い出し

その考えが絶望的に思えてくるのだった

数人を除いては・・・・・


「だから?どうしたなの?

 このクラスには、ニニスがいるなのよ?

 負けるわけがないのよ!」


「そうは言うがな、ニニス、考えても見ろ

 あの桜や、四条さんクラスが9人もいるんだぞ

 俺達、Jクラスが勝てるわけないだろ?」


「?なんでなの?勝利条件はなの

 敵シンボル破壊なのよ?

 全滅させなくてもいいなのよ

 ならなの、一点突破なのよ!!

 テツが一人で突っ込めばいいなのよ!!」


おおぉぉ~~~~~~!!!

と、ニニスの言葉に納得するクラスメイト達


「オイ!殺す気か!作戦も何も無しで、突っ込めってか!!」


「作戦なんかなの!頭の良い奴が考えればいいなのよ!」


その時クラス全員が・・・・・・

このクラスで、一番頭がいいのは、ニニスだろうと!

そう自分達より3才は年下の

シャチの着ぐるみを着る子供に

心の中でツッコミを入れたのだった


そのニニスの言葉に、小さく笑う愁、そして


「そうよ!我ラは、Jクラス

 真面目に戦ってどうする!どうせ、何をやっても

 クズクラスだと言われるだけだ!

 なラバ、やってやろうではないか!

 卑怯と言ワれても、反則だと言ワれても

 勝てばいいんだ!

 相手の裏をカケ

 そしてルールの裏をカケ

 誰も想像してない事を考エロ

 宮守の特攻?いいじゃないか!

 どうせなら9人全員で特攻すればいいじゃないか!

 今までの、模擬戦で行わレタ、バカげた戦いを探し出せ

 たった3回勝テバ、決勝にいけるんだ

 そう、たった3回、相手の意表を突くダケで

 【IA】のライブだ!

 ナイトクルージングだ!

 美味い食事だ!

 考エロ!

 搾り出せ!

 頭の中をフル回転させて

 全くバカバカしいと思わせる事を考エロ

 そう、そのバカバカしい事を

 行動に起こし実行できるから

 我ラはJクラスなんだ!

 勝つぞ!

 勝って【IA】のライブを見るゾ!

 サインを貰うゾ!

 握手してもらうゾ!

 一緒に写真とってもらうゾォォォォォーー!!!」


「「「「「「「「「おおおおおおぉぉぉーーーーーー」」」」」」」」


愁はクラスメイトを鼓舞していく

そして徐々に盛り上がるJクラス

そう、Jクラスに置いて、最大の統率力を有する人間が愁である

自分の目的の為なら、クラス全員を巻き込む

それも、自己中の集まりであるJクラスの面々を

纏め上げれるほどの、愁の自己中力でもあった


ただ、それは、柊朱莉のエサに釣られた面々である


紫音は「よくやるよコイツら」と、呆れながら見守り

茜は、「ネームが!!ネームが!!」と頭を抱えるのだった


そう、2人はこの後、自身に降りかかる厄介事をまだ知らない





そして学園中等部は、1日模擬戦の話しで盛り上がっていた

そして、月曜の授業は全て終わり、放課後となる


柊朱莉は、生徒会室の自分の席に座り笑みをこぼす

予想以上に、盛り上がる生徒達に、笑いが止まらないのだ



柊グループで、運営している、観光会社の1つで行っている

豪華客船での、一泊のナイトクルージング

豪華食事とは言ったものの、客船では、何時も出してる食事であるし

その他の出し物も、何時もと変わらずである

ただ【IA】のシークレットライブだけは

朱莉の希望で、柊グループの力で

IAの所属するレーベルに圧力をかけ

無理やり、ねじ込んだ物である


そう、朱莉にしてみれば、【IA】のライブ以外は

楽しくも嬉しくも無い事であるが

庶民には、ちょうどいい娯楽だろうと、思いついたのだが


中等部の生徒達は違った

生徒会長は、自分達の為に

模擬戦を盛り上がるために

そこまでしてくれるのかと!


元々、柊朱莉を崇めていた生徒達は

さらに、崇め、柊朱莉を神格化していく


そうでない生徒達も

徐々に柊朱莉と言う規格外の人間に興味を持ち

その人間性 (外面)を知り心惹かれていくのだった




授業は終わると

紫音は、何時もの様に机でボケーーーーとする

急いで帰り支度をしてもいいが

どうせ帰りのバスの時間まで、まだまだだし

今の時間帯は、校門辺は人が多いいし

部活で動く人間も多いい

人ごみを嫌う紫音は、10分ほど教室で時間を潰してから帰る

そして宮守鉄雄も、用事が無い時は

紫音と同じく時間を潰して一緒に帰るのだが


「紫音、先帰るぞ!」


「あいよ!仕事か?」


この仕事とは、鉄雄の大工の修行の事である

硬派な俺に修行なんて言葉は、合わないからと、仕事と言えと言われている


鉄雄は、動きを止め

黒光りするリーゼントが、いきり勃つと

小さな声で


「これから、ミカさんとデート!」


「はや!昨日の今日かよ」


「鉄は熱いうちに打てってな、じゃぁ行ってくる」


「あいよ~~後で報告よろしく!」


ニヤリと笑う、紫音に

親指を立てると

黒光りするリーゼントを振り回しながら

走りながら教室から出て行ったのだった


紫音は心の中で

「さすが、オッパイ星人!」と、突っ込む


そこへ、帰り支度を済ませた、上から下まで真っ赤な色の人間が近づいてきた


「・・・・・アレは、急いで出て行ったけど?何か有ったの?」


「・・・・・・・・・」


質問をしてきたのは、カレラである、返答に困る紫音

ここで、年上のオッパイのでかい女性とデートだと言おう物なら

俺の命も・・・鉄雄の命も無いな・・

そして、迫真の演技で


「あぁ、先週末から、テツの親父が出張でな

 家の仕事や用事があるらしいわ」


一瞬、カレラの紫音を見る目が鋭くなった気がし

紫音は背筋に、嫌な汗をかく


「ふぅ~~ん・・・・まぁいいとしましょう

 それでは、私達も帰ります、また明日」


そう言って、軽く挨拶をすると

カレラは燃えるような赤い大きな魔導帽を被る

そして、紫音の席の後ろから、もぞもぞと動き出すシャチモドキは

その手のヒレで、紫音をペチペチと叩き


「シャチは海に帰るなのよ!

 また明日なのよ!」


「ほいよ、ニニス海で溺れるなよ!」


シャチモドキ、いや、シャチの着ぐるみを着るニニスは

両手のヒレを動かしながら


「シャチは海の王者なのよ!溺れる訳が無いなのよ!」


「ハッハ、ニニス様は最強だもんな!!」


「当たり前なのなの!」


自身満々の顔をするニニスに、紫音は手を振りながら


「あぁ、2人共また明日な、バイバイ」


「バイバイなのよ」


「それではお先に」


2人は他のクラスメイトにも挨拶をしながら

教室から出ていった


未だに教室に残るのは6人ほど

紫音は、弁当しか入っていないカバンを持ち

その中の1人に声をかける


「アカネさん、またネームか?」


「シオン殿か・・・

 ネームが・・・浮かばんのだ

 締切が・・・・締切がぁぁぁぁぁぁ

 ロリパワーが・・・足りんのだ・・・・

 そうだ!我が心の友、シオン殿、妹殿を・・・もらえんだろうか?」


「・・・・俺も大概だが、アカネさんも大概だよな」


「貰えんのなら・・・・キスだけでも!!

 イヤ・・・ハグだけでも・・

 ニニス殿の、金髪ロリツインテパワーは・・・

 慣れてしもうて、ここは新しい、ロリパワーを!!」


「無理だな、鈴に、そんな事言ったら

 俺が、また殺されるが

 まぁそうだな、先日の、タペストリーのお礼も兼ねて

 鈴の弁当で手を打たないか?」


「キタァーーーーーーーー

 ロリっ子の手作りベントーーーキタァァーーー

 拙者、おにぎりが好きでござるが

 できれば、唐揚げと、卵焼きを、お願いしても良かろうか?」


「あぁ、伝えとくよって、ちょい待ち」


その時、紫音の携帯が鳴ったのだ


「どうした?」


「あぁ、わかった・・・」


電話の相手は鈴である

鈴が言うには、模擬戦の事で、残って話し合いをするから

帰りが何時になるか分からないと言う事だ


「そうだ、鈴、昨日俺がユーリに渡したお土産の事なんだが

 あれ作るのに、アカネさんに世話になってな

 お礼に明日の弁当を鈴にお願いしたいんだけど?」


「分かった、ちょっと変わるわ」


携帯をアカネに差し出す


「いいってよ、おかずの注文あるなら、自分で言ってくれ」


「ほほほほほほんとに!!」


震えるように喜ぶアカネ


「拙者アカネでござる!

 鈴殿、本当に弁当作ってもらえるのだろうか?」


「ありがたや!

 では拙者の好みは・・・・・」


アカネは、鈴に、弁当のおかずに対して2・3お願いして

その後は、5分ほどだったが、楽しそうに鈴と何か話していた

そして電話を切り、携帯を紫音に返すと


「ロリパワー充填!!!!!

 ネームが・・・ネームが下りてくるでゴワスなり、ドスコーーイィ!」


嬉しさのあまり、キャラ設定が困惑し語尾がおかしくなりながら

大きく叫ぶと、アカネは、すごい勢いで、ペンを走らせる

紫音は、集中しだした、アカネを邪魔する気もなく、小さな声で


「バイバイ」と、伝えると教室を後にしたのだった



 

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