3話 シスコン3人勢ぞろい
「は?何こいつ?カスなの?魔力全くなくない?」
「いやぁてれるなぁ、あんまり褒めるなよ!」
紫音は頬を染めて顔を伏せて、右手を左右に振るのだった
少し現状を説明しよう
今、ミーティアとミカの住む家に
2人の来客が来ているのだ
当たり前のように居る、蓮と紫音ではなく
アメリカンカーボーイスタイルの女性
【マリオネットマスター・ユーリ】と
下半身は袴、上半身はアメリカンスタイルの男性
【侍・高峰】である
そして、ユーリは
「なぜ?関係のない、その男が居るのかと」
紫音を指差し、蓮を問いただす
ユーリの目的は、ユーリの仕える人物である
異世界で魔王であった【サモンマスター・ギャルコレル】と
同じく異世界の元魔王である【雷帝・レイ】の仲を取り持つ事であった
だが、この場には、ギャルコレルの姿はなかった
ユーリの話では、今後どうなるか分からない相手に
その姿を晒すことは出来ないとの事だが
それに関しては、今日の所は納得した蓮
ギャルコレルが転生して来たならば
その姿は以前の姿では無い事は、蓮自身が体験し分かっている事だ
ならば、その姿も、現在の名前すら知られて無いのなら
隠したいと言う事も分かるというものであり
蓮自身も同じ立場なら、同じ事をしただろうと
話し合いの初回である、今回と当分は
互の状況の情報交換だけで良いと考えていたのだ
そんな事よりも、蓮は高峰の強さを体験してみたかったのだ
だが、現状に納得いかない、ユーリである
ギャルコレル側の人物として、自分と高峰
そして、蓮側に、ミーティアと、ミカが居ることは理解できるが
なぜ、この意味不明な男が居るのかと、蓮に問いただしたのだった
蓮は、説明するのだった
この男、シオンと知り合ったのは1年ほど前であり
その時、蓮が異世界の魔法を、雷帝の力を使った事に、シオンが気づき
俺が、雷帝だと気が付いたと
それから、色々話した結果
このシオンも、あの世界からの転生者だが
3年ほど前に、ある事故で死にかけた時
前世の記憶が蘇ったらしい事を伝えた
そして、記憶が蘇った所で
あっちの世界では、多少意思加速が仕える、ただの人間であり
この世界でも、魔力を殆ど持たない、普通の人間だと
そして、あっちの世界の事を共有する、数少ない人間だからこそ
蓮は、シオンが気に入り、この世界の友人として、よく遊ぶのだと
今回は、高峰に稽古を付けてもらう約束があるので居るだけだと
この魔力も殆どない人間は、どうせ何も出来ないと
高峰にも、軽く負けたではないかと
蓮はユーリを納得させるのだった
ユーリも、蓮の言葉を鵜呑みにする程バカでもないが
今回は、自分の陣営も、長であるギャルコレルが居ない事や
自分達の詳しい情報は教えないつもりなので了解するのだが
ユーリは先日色々とこの男に、からかわれ
個人的に、このシオンと言う男が好きになれないでいた
そして、ユーリは、蓮の言葉を確認する為に、蓮の許可を得て
紫音の魔力を、探るのだった
もちろん、紫音に対しては許可など取りはしない
魔法【インスペクティング】対象の大まかな状態を調べる魔法である
元々は、神聖魔法の1つであり、治療の為に相手の状態を調べる魔法でもある
発動から、結果が出るまで、10秒ほどかかるのだが
条件として、相手が魔法を受け入れ動かない事や妨害しないなど幾つかある
そして、ユーリは驚くのだった
シオンの魔力の無いことに、いや多少は有るが
その魔力の大きさも量も、ユーリやレン達と比べるなら
全く無いと言ってもいいほどに、極小である
それは、あの世界では無能と呼ばれてもおかしく無く
この世界でも、普通の人間以下だと
これでは、最低ランクの魔法を10回も使えない
中級魔法など、発動すら出来ないほどに・・・
そして、この魔法により
紫音に掛かっている魔法等の効果も大まかに解るのだが
紫音には何一つ、魔法はかかっていない
魔力を隠蔽したり、偽装する魔法も、魔力を持った装備すら伺えないのだ
ならば、この魔力は、シオン本来のものであり
レンの言うと通り、あの世界の記憶を持つ一般人?と言うのも
ユーリは納得するのだが、驚きの方が大きく、つい口にだすのだった
「は?何こいつ?カスなの?魔力全くなくない?」
「いやぁてれるなぁ、あんまり褒めるなよ!」
そんな、紫音を見て、ユーリに前回に重ねて、頭に来るのだった
そんな2人を見て、ただ笑う蓮
そんな、紫音に口を出さないことを条件に同席を許し
蓮とユーリの話し合いが始まるのだった
そうして、今回は初めての情報交換なので
簡単な情報を交換していくのだが
どちらの陣営側も、核心は言わない
先日の戦いで、明かした情報と、どうでも良い情報だけである
まず、2人の元魔王に関してだが
ユーリは魔王ギャルコレルに関して、彼の情報は提示出来ない
居場所に関しては、アメリカとしか言えないと
だが、すでにバレている、事に関しては
ギャルコレルも転生者であり、生まれた時から記憶はあると言う事だけである
その魔力も、使用できる魔法に関しても殆ど開示出来ない
でも、ユーリがこの世界に召喚されている事から
彼の固有スキルである召喚魔法が使える事は、口にする
そして、現在は、在る組織を隠れ蓑にし
この世界の情報を得る為に、傭兵まがいな事をしている
また、その組織や、ギャルコレルに組する人間の数は言えないと
蓮も、自身のスキルや、その魔力の強さは全て秘密と
仲間の数も、ミーティアとミカ以外は、秘密であり
このシオンに関しては、この世界の友人であり
この世界の人間にしては、多少戦える程度だと
とりあえずの拠点は、この場所で
蓮にいたっては、この世界を、どうのこうのとする気は無い事を告げる
倉庫での戦いも、蓮の妹を、巻込んだ為だと言うことは
すでにユーリや、ギャルコレルも納得済みでもある
そして、話は徐々に腹の探りあいと成っていく
蓮はギャルコレルが、何を目的に動いているのかと聞くも
ユーリは、目的は言えないが、今はこの世界の情報を集めていると
傭兵まがいな事も、裏世界の情報を得るには手っ取り早いと
そして、ギャルコレルは、あの世界の人物を任意で召還できるのかと
なぜ、ユーリがこの世界に居るのか?高峰の存在も召還したのかと・・
ユーリは、それも今は明かせないと
だが高峰は、この世界の平行世界の出身者で
その世界は魔法が無く、戦国時代と呼ばれる時代の日本人であると
そして、ユーリもまず、ミーティアとミカの存在について聞く
召喚魔法が使えないレンの傍に、2人が居る事
そもそも、悪魔である2人が人間の姿をしていることをだ
ユーリ側が何も明かしていないのに、言うはずもないレン
いや、元々いう気もない
それこそ、蓮にしてみれば最後の切り札である
【リル】の存在を言わなければ成らないのだから
そう、この場には、リルは居ない、いや、別の空間から覗いてはいるが
リルの馬鹿げた魔法、自由に異世界と行き来出る魔法など
ある意味、戦争の火種しかならない魔法である
そして、ミーティアとミカが、人間の姿をしているのも
十士族、四条・九重の極秘のクローン技術で出来上がった肉体に
他の魂を埋め込むなど、知られてはならない事でもある
そして、なぜ魔王であった【雷帝・レイ】が
なぜ?死んだか?どうやって転生してきたかは
同じく魔王【サモンマスター・ギャルコレル】が話すと言うならばと
次回か、その次か、ギャルコレルが来た時に話そうと、先延ばしにする
午前9時すぎから、始まった2人の話し合いは
約1時間たち、10時過ぎになった今も
何一つ核心めいた事は、両者聞き出せなかった
その間、ミーティアは、レンの傍に居るか、お茶やお菓子を振舞う
ミカは、話し合いが始まって数分経つと
リビングのテレビを付けるが、ミーティアに怒られ
奥の部屋へと移動しアニメを見る始末
高峰は話し合いをしていたリビングの片隅でじっと動かない
紫音は、数分は起きていたが、いつの間にか寝ていた
そして、蓮も、ユーリも、今回はこれ以上は無理だと判断するのだった
そして、蓮と紫音の、お待ちかねの時間となる
中庭に出る3人、蓮、紫音、高峰である
そして、縁側で格闘バカを見守り
日本茶を片手に、団子を頬張るユーリとミカ
初めに、ユーリは、レンとシオンに説明するのだった
基本、高峰は無口だから、人に教えるのはムリに近い
なので、実践形式で戦ったほうが、実入りに成るのではないかと
そして、高峰の言うには、彼自身の修行があるから
自分に1擊も、入れれなかったら、見込み無しとして
次回からは来ないと
今回は約束があったため来たのだと
そんな事を言われて、黙っていないはレンだ
「おいおい、シオンじゃあるまいし
俺を相手に、よくそんな事が言えたもんだな」
普通の木刀の先端を高峰に突き付ける蓮だが
無表情の高峰は、右手に持った木刀を、だらりと下げたままである
「・・・・ち、無口な上にポーカーフェイスかよ
ある意味、シオンと真逆だな
だが、何を考えてるか分からないのは一緒ってトコだな
じゃぁイクゾ!!!!」
魔法強化もせず、意思加速もせず、まずは小手調べと
地面を蹴り、いっきに距離を詰める
一呼吸で3度斬りかかり、最後は自身をコマのように回転させ
横一閃でなぎ払う蓮だが
その全てを高峰に受け流されるのだった
そう、ただ受けるのではなく、蓮の攻撃の力を受け流すのだ
まるで、蓮が桜を指導しているかのごとくである
たった4度、そうたった4度、斬りかかっただけで
蓮は高峰が最低でも、蓮の両親や叔父、叔母と同じくらいの力量だと確信する
そして、シオンでは勝てるはずも無いと、笑うのだった
「高峰、お前は意思加速は使えるよな?
どれくらいの速度までだ?」
「・・・・・・・・10・・・・・・・」
「レン様、高峰は、10倍だといってます
ええっと・・・意思加速も強化魔法も最大限まで使ってもいいって言ってます」
「ユーリ!」
「はい?」
「なんでわかる?」
「え~~・・・・なんとなくですかね
ああ、あと、1万倍の加速でも、姿を見失いますから
きおつけて下さいよ」
「は?・・・なかなか面白いことを言うな
なら、同じく10倍・・・・」
蓮は高峰と同じ10倍の意思加速で、突っ込んでいく
蓮にとって、ただ勝つ事は出来る
雷帝と呼ばれた力を使い、範囲攻撃魔法を使えばいいのだ
相手が、この侍であうと
一瞬にして範囲数百メートルを焼き尽くす蓮の魔法から
逃げることは不可能である
だが、今は稽古であり
蓮は人の身で世界最強を目指す脳筋でもある
同じ条件下で、この侍に勝たないと気がすまないと言うものである
蓮は、木刀を大きく振りかぶり打ち付ける
それを軽く受け流す高峰
受け流される瞬間、約3倍近い肉体加速にて
その方向を変え高峰に切っ先を向ける
そして、また受け流された、その剣先を肉体加速にて方向を変えと
数度攻撃するが、その全てを受け流されるのだった
それは、高峰が防御に専念するから、出来ることであって
高峰が攻撃に移るなら、防御も疎かになり、スキが出来ると踏んだ蓮
そして攻撃しながら、受けに回る、高峰に激を飛ばす
「攻撃してこいよ」
その瞬間である蓮の持っていた木刀が跳ね上げられる
そして、腹部に横一閃の高峰の攻撃が入るのだった
それは、蓮にとって、その視界外からの攻撃
蓮も常に高峰の木刀からその視線を外していないが
高峰が蓮の木刀を跳ね上げる時だった
蓮の腕が、蓮の視界を通り過ぎた、刹那の瞬間
蓮の視界から、高峰の持つ木刀が消え
蓮の腹部に違和感が訪れる
その違和感に蓮はその意識を1000倍近くまで加速し
肉体加速を、いっきに6倍まで引き上げ
体を反らすが、すでに遅く、その威力を殺しきれず
後ろに数メートル吹き飛ばされ、その場にうずくまる
「はっはっはあははは、やられてやんの!」
「うるせえ!だが、居る所には、居るもんだな、まったく動きが見えなんだ」
大笑いの紫音に、くやしがる蓮の姿があった
「気配・・・・」
「レン様、高峰が言うには、速さだけでは無理だそうで
相手の気配、気を感じろって言ってます」
「「なぜ!わかる!」」
紫音と蓮の、つっこみが被る
いや、紫音が無駄にかぶらせた、そして、一人笑うのだった
蓮は、苦い顔をしながら口ずさむ
「気配か、それはちょっと無理だな」
「俺にも無理だな、気配って・・・なにそれって感じだし」
「?どうしてです」
2人の言葉に疑問に思うユーリ
ユーリは魔法特化であり、元々気配など意味不明の代物であるが
蓮の様に前衛職なら、出来て当たり前だと思っていたのだが
その疑問に答える蓮
「あぁ、俺もシオンも、元はあっちの世界の人間だ
向こうでは、気配なんぞ読まなくても
魔力感知さえあれば、相手の動きは見なくても感知できる
だが、この世界では、全体的に魔力が乏しいせいか
人の動きを魔力感知で察知できないんだ
それに、この世界の今の俺の体では魔力感知そのものが精度に欠けてる
それは、ユーリも一緒だろう?
この世界では、魔力感知が働きにくいだろう?」
ユーリも言われて見れば、そうだったと、大きく頷く
「そして数百年、魔力感知に慣れ親しんだ俺では気配の察知は出来ない
今までも、ジジィや、オヤジに言われて、練習してみたが無理だった」
「自慢するところか!」
「シオンもできないだろうが」
「まかせろ、無理だ、ついでに魔力感知すら出来ねえ」
「は?出来ねえの?」
「あれ?言ってなかった?もともと魔力が無いから、感知も出来ねえよ
蓮ちょっと休んでろ。次は俺だ、こないだの借りを返さしてもらう」
そういって、両手に木刀を携え、高峰に向かっていく紫音
そして、当たり前の様に、ボコボコにされるのだった
笑いながら、交互に高峰に向かっていく、蓮と紫音
それを見て、ユーリは不思議だった、あっちの世界では
悪魔より悪魔だと恐怖された魔王【雷帝・レイ】
魔王【サモンマスター・ギャルコレル】の側近である、ユーリでさえ
レンの前ではその恐ろしさに、緊張し
常に、粗相の無いように、してきたのだが
今の、レンは、以前の魔王としての、イメージとは、かけ離れたものである
そして、【雷帝・レイ】の側近であった、ミーティアだ
レイの右腕であり、悪魔軍総司令官でり
全軍から、恐れられる存在であり寡黙な悪魔であった
その彼女が、今では、優しいお姉さんと言ってもいいほどだ
あの世界では、悪魔であるミーティアが笑う所など見たことがない
今、まさに、ドッキリでした、全部嘘ですと言われても信じられるかもしれないが
唯一、ミカは姿が変わってもミカのまんまである
以前は、レイの前では、多少大人しかったミカだが
レイの居ない所では、ぐだぐだダラダラと自由気ままな
今と変わらない楽しき友人であった、だからこそ、信じれたのだ
そして、そんな魔王と、気兼ねなく、バカを言いあう、一般人に
以前のレイ様なら、お前の命はすでに無いぞと思うが
ユーリ自身も、以前の恐怖の対象でしかなかった魔王のレイより
今の気さくな、レンの方が、何倍も何百倍も良いと思うのだった
そして、目の前で繰り広げられる光景
この世界に自分と同じように召喚された高峰
無口であるが、常に【武】の事しか頭にない彼だが
心優しい事は、その行動からわかる
そして、そんな高峰と笑いながら剣術の訓練をする
元魔王、蓮、そして、異物である紫音
2人が叩きのめされている姿を笑って見ているミカ
その光景を見守る、優しい顔のミーティア
ユーリは、この世界に来て初めて、心から安らいでいる自分に気が付く
いったい何が、ここまでレンとミーティアを変えたのだろうかと
この世界に生まれ、今日まで何がったのかと・・・
ギャルコレルも・・・・・・・・・
変わって欲しかった、あの雷帝の様に
叩きのめされ、負けようと、心から笑い楽しむ、彼の様に
ギャルコレルは、変わってしまった
そう以前の彼ではなくなった・・・・・
今のギャルコレルは・・・・
ドサ・・・
地面に転がる、紫音と蓮
「ちょっと待てよ、2人掛りで手も足もでんとは、どんだけだよ」
「オイ待て、連携もクソも無しで、2人で行っても無駄だろ
だいたい、お前の動きは邪魔だ」
「うるせえ、だいたい、俺様の華麗なる剣技を理解できない、お前が悪いんだろうが!」
「・・・・後の先・・・」
「えっと、お2人さんの動きは、後の先が基本戦術であって
早いだけの動きでは、高峰の動きにはついてこれないだ、そうです
先の先を読み、動きを変えないと無理だそうだすよ」
「はぁ?、俺はシオンと違って、先読みをしてるぞ!」
「・・・それは・・・・・・・速さ・・・」
「おい、ユーリなんて言ってる?」
「私は、通訳ではないんですが・・・
えっとですね、2人のは相手の動きに合わした、速さに頼った後の線らしいです
速さは達人級ですが、その全ては、相手の動き出しの後の攻撃であって
それを読まれると、今の様に何も出来なくなると
レン様の言う先読みは、高峰の動きに誘導された、先読みであって
高峰には、全て読まれているわけですよ
それを回避するために、動きの流れや気配を読まないとダメらしいですよ」
「それが、出来たら苦労はしないんだよ」
「・・・・・無駄・・・・」
「あぁ・・・あのですね、良いにくいんですが、これ以上は無駄らしいです」
「はぁ?ちょっとまて・・・・・」
「そうだ、ちょっとまて、どうせなら昼飯食ってけ」
「ちがうだろうが!一撃でも入れる方法を考えろ」
「イヤ、ムリ!俺じゃぁ笑わせない
さっきから、どうボケても、ツッコミはしない、笑いもしない
奥の手だった、キヨシ師匠の、メガネ芸でも笑わなんだんだぞ
あと脇をくすぐろうにも、触れもしないし
どうやって、笑わせればいいんだ、教えてくれ!」
「さっきから、何やってんのかと思えば
何を目指しんだよ、お前は・・
まぁいいや、これから妹を呼ぶから
高峰、もう少し付き合ってもらうぞ」
そう言って、携帯を取り出すと
「おう、桜か今どこにいる?」
「は?鈴の所?また昼飯食いにいってるのか?」
「まぁいい、修行だ、こっちこい、ミカに迎えに行かせる」
言う事だけ言って、電話を切り
ミカに鈴の家まで迎えに行くように伝える
そして、ミカとミーティアの事は先日桜の事と同じく鈴に伝えたので
ミカに、転移魔法の許可をだす蓮
「おっと、ちょっと待ってくれ」
転移しようとしたミカを、呼び止める紫音
「ティア」
「はい、なんでしょう、シオンさん」
「わるいが、鈴が皆の昼飯を準備してると思うから
そっちの手伝いと出来あがったご飯を運んでもらえるか
それと、俺の友達も呼ぶから、送ってやってくれ」
「わかりました、レン様、私は鈴さんの手伝いに行ってまいります」
「あぁ、行ってこい、シオン友達って宮守か?」
紫音は軽く返事をすると、鉄雄に電話をかけるのだった
その間に、ミーティアとミカは、鈴と桜が待つ、三千風家に転移していく
「よ、暇か?」
「また作業場に篭ってるのかよ」
「それでよー、こないだ話した侍さんが居るんだが
お前も戦ってみないか?」
「そうそう、俺がボロボロにされた、あの侍でさ
今もボコボコにされた所だ、はっはっはっはっは」
「って! うるせえ!それで、くるのか?」
「なら、用意して、俺の家に来い
そこに眼鏡の美人秘書風のねーちゃん居るから、転移して・・・・切られた」
紫音が言い終わる前に、鉄雄に通話を切られるのだった
「てつ来るってよ」
「それは、いいが、高峰の相手は無理でないか?」
「それを言うなら、桜さんもだろ?
もしかして!お色気で」
「それこそ無理だろ、アレの何処にお色気要素がある
まぁ見とけ、俺と違って桜は気配が読めるし、空気が読めない
それに、あのパワーなら、高峰に一泡吹かせれるはずだ」
「あぁ、そのとうりだ破壊力があるな、あのオッパ」
バコ!!!!
「いてぇ・・・・このシスコンが!」
桜のオッパイの事を、口にしようとした紫音は、気持ちよく蓮に殴られるのだった
「てめえに言われたくねぇ!」
そして、シスコン2人による
みるも無様な、喧嘩が始まるのだが
いつもなら、止めにはいる、ミーティアもリルもこの場には居ない
そして、どんどん加速していく喧嘩
素手の喧嘩であるが、雷撃を纏う蓮の拳を受けても怯まない紫音
そして蓮は、その紫音の攻撃を受けたところから服が弾け飛んでいく
その無様な喧嘩すら、観察分析し、自身の糧とする高峰
そして先程まで、ほのぼのと、5月の涼しい風を感じていたユーリは
一変して、巻き込まれたら、自分は死んでしまうかと
止めようにも、どうしていいか分からず
顔を青く染め、額に汗を浮かべる姿がそこにあった
*******
一方、三千風家
玄関に転移してきた、ミーティアとミカの姿があった
元々、桜と鈴は、ミカと面識はある
移動手段が公共の乗り物だけという蓮や桜
車と言う自家用車で、移動を助けてくれていたのが、ミカである
そして、それに便乗する、紫音や鈴
ミカの陽気な性格は、桜や鈴と、仲良くなるのに時間はかからなかったが
ミーティアと、桜は初対面であったが、そんな事をきにしない桜
鈴は紫音や蓮との念話で、ミーティアの声を聞いた事もあり、その存在は知っていたが
本人の姿を見たのは、この日の朝、紫音を迎えに来た時が初めてである
そのとき鈴とミーティアは軽い挨拶は済ましていた
そして、4人は軽い挨拶を済ませ、話していると
いきなり、玄関を開けて、飛び込んでくる、黒いリーゼント
「うお!マジだ!綺麗な、ねーさんがいる、それも2人も!」
「てっちゃん・・・・」
「おおう!いやぁ、紫音から電話があってな
綺麗な美人秘書がいるって聞いて、飛んで来た」
秘書と言う言葉を知らない、ミーティアとミカの反応は薄いが
綺麗な美人という言葉に、満足そうに笑みをこぼすミカ
「そう、ミーティアさん、ミカさんごめんなさいね
この、礼儀知らずが、宮守鉄雄と言います
そして、その後ろに居るのが、宮守胡桃ちゃんです」
鉄雄の背中から、顔をぴょこっと覗かせ、軽く頭を下げる胡桃
「ミカさんに、ミーティアさんか!よろしく!
胡桃は少し人見知りで、こんなんだが、よろしくやってくれ」
「よろしく~~」
「よろしくお願いします、テツオさん、クルミさん」
「それで、紫音と侍は、どこにいるんだ?」
「それは、私達の家に居られるので、ここから転移させてもらいます」
「ゲ・・・リル並の能力者か?」
「あ、てっちゃん、くーちゃん
とりあえず、向こうに行ったら、リルの事は内緒らしいから」
「そうなのか?まぁいいか、変態の何考えてるかなんぞ、わからんし」
「それでは、私は鈴さんの手伝いをいたしますので
桜様達3人はミカの転移で」
「まって、ミーティアさん、私もご飯炊き上がるまで少し時間があるから
そっちに一回行って台所見てみたいんですが?」
「はい、構いません、それでは準備が出来ましたら、転移致しますが
只今、庭で稽古をされてますので
桜様と、テツオさんは、靴をお持ちになってください」
そして、桜、鉄雄、胡桃は靴をその手に持ち
鈴とミカは、鈴手作りの、お菓子を持ち
ミーティアの転移で、紫音達の待つ屋敷に転移していくのだった
ミーティア達の住む屋敷のリビングに転移した5人
その目に初めに入ってきたのは
ボロボロになって動けなくなった、蓮と紫音の姿だった
ミカは、何時もの事だと、縁側に座り直し、お菓子を頬張る
ミーティアは、気にもせず鈴を台所に案内する
鈴は、2人の事など、気にする様子もなく促されるまま台所を見に行く
鉄雄は、無様な2人の姿に、大笑いし
胡桃は、鉄雄の後ろで、目を丸くする
桜は、親類以外の相手に、ボロボロにされた蓮の姿を見て驚いていた
ボロボロの原因は、シスコン2人の喧嘩であるが
桜、鉄雄、胡桃は知る由もない
5人が来たことを確認すと
「桜きたか、ん?そっちの女の子は?」
「く~ちゃんだよ~~宮守くんの~妹さん~」
「ここにも、シスコンがいたか・・・・」
「それは、断じて肯定する!胡桃は世界一かわいい!
それはいいが、なんでティオーノ先輩がここに?」
「バカを言うな、世界一は桜にきまっている!」
そして、蓮と鉄雄は、紫音に視線を移すのだが
「期待するな、鈴はかわいくねえ・・・・・・・・ことはない!可愛いです」
その場の雰囲気が一気に凍りつき
体感で数度下がったように感じた紫音
その視線の先には、台所から髪に隠れていない片目で
紫音を睨みつける鈴の姿があった
「あー・・・簡単に説明するとだな」
蓮は、初めてこの場に来た、鈴、桜、鉄雄、胡桃に簡単に説明する
この屋敷は、ミーティアとミカの家であり
今日は、この高峰という侍に稽古をつけて貰っていたが
すでに蓮も紫音も、ボロ負けしたから
お前らも、ボロ負けしろと
そして、適当に一通り紹介すると
桜を、高峰にけしかけるのだった
鈴は蓮の話を聞きながら、台所を確認すると
ブツブツと口ずさみ、蓮の話が終わると、ミーティアと転移していった
紫音は、蓮の話を聞くつもりもなく、屋敷にある自分の部屋へある物を取りに行く
そして戻ってきた紫音は
「桜さん、ナックル持って来ているか?」
「うん~しおんくん~これぇ~ありがとうねぇ~~~」
「おう、後だな、女の子が怪我したら悪いからな
これもとりあえず付けとけ」
そう言って、セラミック合金で作られた
手の甲から肘を守る手甲と
足の甲からスネを守る具足
そして、紫音のお手製、衝撃吸収の刻印が付いたベストを
を渡すのだった
「とりあえず、そんなに重くないし、体の動きを阻害しない様に作ってるから
邪魔にはならんだろ、これなら、高峰さんも攻撃できるだろうしな」
全てを装備した桜は、その場でぴょんぴょん跳ねながら
装着感を確かめながら
「ありがとぉ~~」
「でも返せよ!」
その言葉に、桜は無言で
ぴょんぴょん跳ねながら紫音に背を向けるのだった
「まぁいいや、てつ!桜の次お前ね」
「俺には何くれるんだ!!」
両手で、さあ何かくれをデスチャーしながら、紫音に迫る鉄雄
「え?あるわけ無いだろ、お前も、俺と同じ様にボロボロにされろ」
その瞬間、鉄雄の蹴りが紫音に飛ぶのだった




