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2話 デート

 



午前中授業の土曜日

学校を後にした紫音は、家に帰り

作り置きしてあった、鈴の手作りの昼食を食べ

琥珀に鈴を頼むな!と言い残し

リルと銀と共に静岡のマンションに転移していく

そして、グダグダと、ダラダラと過ごしていると

紫音の携帯がなるのだった

毎度の様に聞く、個人設定した、チャクメロ


週末で暇だからって、呼び出しか?!あいつめ!


「うぃーーす!で?なにか用か蓮?」


「おう、シオン明日朝から暇か?」


「いや、見たいアニメが有るし、忙しい」


「そうか、なら朝からこっち来い」


どんだけ自己中だよ、この脳筋!

人の話を聞けよ!とか思うが、それを言った所で

何も変わらないので、言葉を飲みむ紫音であった


「で?何があるんだ?」


蓮の話では、あのアメリカンガールと連絡が付いたの事だ

蓮も忘れていたのだが、思い出したかの様に

どうなってるんだ?と、ミカに聞いたらしいのだが

ミカが覚えているハズもなかったらしく

蓮が怒ると、ミカは普通に携帯で電話しだしたという

蓮がその番号を教えろと言ったのらしいが

断固拒否をしたミカ、こうなっては蓮も手が出せず・・・。


ミカ自体は (黙っていたが、ミーティアもであるが)

ちょくちょく、その女性と電話で話していたらしい

その内容は、彼女達の主人である人間達の愚痴だったらしい

まぁそれは、関係無い話なのだが・・


ミカが連絡を取った相手と言うのは

ゴールデンウィークに出会った【マリオネットマスター・ユーリ】である

そして、蓮の話だと明日の朝に、ユーリと【高峰】と言うあの侍が

ティア達の家に来るらしいとの事だ

そして、暇なら高峰が稽古をつけてくれるらしい


そんな面白うそうな話を断るはずもない紫音

二つ返事で答えると

その手で、鈴に電話をするのだった


「鈴わるいが、明日の昼に、そうだな10人分位の食事頼めるか?」


「10人分?そんなに?」


「あぁ、そうだな、簡単に食べれる弁当か

 おにぎり見たいな物でいんだが」


「それなら、炊き込み・・は、こないだ作ったから

 山菜おこあで、おにぎり作ろうか?

 あれなら5合くらい一度に炊けるから」


「あぁ悪いな、あと簡単に摘めるオカズもな」


「あっ・・でも食材が足りるかな?」


「なら、リルに言って・・・・待てよ・・・

 俺も注文したのを取りに行かないとだし

 それに・・・ギャル子か・・・クク

 なら・・・ついでに、よし

 鈴、暇だったら、こっち来て一緒に買い物行くか?」


「え?行く行く絶対行く、着替えるから、10分ほどしたら迎えにきて」


「わかった、なら後でな」


台所にいた鈴は、リビングを出て階段を駆け上がる

自分の部屋に入ると、ドアを閉めるのを忘れ

クローゼットを開け、洋服を選ぶのだった

悩んだ挙句、白のワンピースをチョイスする

それは、生地が2枚で1つといなるワンピースである

下に、ノースリーブの白のワンピース

その上に合せるように

袖付きで、スカートより少し長めの刺繍入りのレースを纏う形となっていた

もちろん、紫音の手作りである

そして、お気に入りのリボンに付け替え、軽くリップを付け

オメカシをしていると、開けたままのドアをノックする音が聞こえる

そこには、すでに鈴より、ウキウキの人物がいた


綺麗な薄紫の髪を、サイドに纏め横に流し

肩をざっくり出した空色のタイトロングスカートのワンピース

綺麗なピンクのストールを肩にかけ

すでに戦闘態勢を整えたリルの姿があった


2人は、静岡のマンションに移動すると

そこに待っていたのは、出かける準備を終えた紫音であるが

さっきまで、ギンとコハクと遊んでいた紫音は

毛玉の付いたズボンに、長袖の黒の地味なシャツと言う

残念な格好であった



その姿を見た、2人


「リル」


「はい」


2人して視線を合わし頷くと

紫音を無理やり、ソファーに座らすと

鈴は、ボサボサの紫音の髪を整えだし

リルは、紫音の衣装を用意するのだった


「やめやがれ」


「イエ!シオン様、久々のお出かけなのですから

 シャキっとキメないと」


「そうだよ、静岡なら、学園の知り合いに会う事無いんだから

 シャキっとしないと許さないからね」


紫音も、鈴とリルに、睨まれると、観念するのだった

紫音の右サイドの髪を後ろに編み込み

残った髪を紫音の左目が隠れるか隠れないか位に

エア感を入れながらサイドに流し

ナチュラルヘアなるようにジェルとスプレーで整える

鈴は紫音の眉毛まで整える手の入れようであった


30分ほどで、整えられた紫音

その姿からは、学園の紫音を想像することすら

出来ない程に、別人であった


気の済んだ鈴とリルと共に、買い物に向かう紫音

だが、鈴とリルにとっては、久々のデートであった

そして、静岡でも、有名な巨大ショッピングモールに3人は立ち寄った


土曜日の夕方と言うこともあり

オシャレな中学生や高校生や、大人びた大学生達やOLが沢山いる中

その視線を集める3人の姿があった


可愛らしい青髪の女の子は、多少背伸びしているのか

少し高めの踵の靴に、大人びた服装と、幼い嬉しそうな表情は

少女の可愛らしさをより引き立てる


薄い紫の長い髪を揺らす、無表情の少女は

女神の再来と言ってもいいほどの美しさを携える

高いピンヒールで、長い足をさらに強調し

大きく首から胸に巻いたストールで、胸元を隠し

タイトなワンピースは、腰からお尻、足と美しいプロポーションを見せつける

その立ち姿すたは、すでに芸術であり見る者の心を奪うのだった


2人の立ち姿も、歩く姿も流れるように美しく

周りの男性達の目を釘付けにするほどだが


それ以上に多くの女性の瞳は

2人の間にいる男性に、集まっていく

完璧にセットされた髪型

薄い色が付いたサングラスの奥に微かに見える切れ長の瞳

細めのジーンズに、柄入りの黒シャツ

その柄は、上に羽織っている、歩くだけで、風に靡くほどの

軽い生地であつわられた、春物のロングコートの間から見え隠れする

その、細身の体は、モデル体型と言ってもイイ程であり足も長く

その見た目の、カッコ良さは当たり前であり

横の2人の女性とは、まったく違う

洗礼された、立ち振る舞いは、見る者の心を魅了していく


それは、紫音が前の世界で

多くの、王族、貴族を相手にし、その中で培い

その女王、王女、貴婦人を虜にし、磨き上げてきた立ち振る舞い

それを、この世界の紫音だった時の記憶で、現代理論で昇華された

紫音のその技は、反則級となっていた

今日の紫音は、鈴とリルの、カッコイイ紫音が見たい言い出したので

ならば、少しマジでやったるがな!と、冗談交じりに本気をだす



実は、革靴の中には100円均一で買った

靴に入れるだけで身長3cmUPとう代物

靴と合わせて7cm程身長をごまかす紫音

この7cmも踵を上げた理由は

男らしくかっこよく、そしてスマートに、歩く姿を演出する為である

歩く足の運び、そのテンポ、その姿勢、仕草

手の動かし方、肩の入れ方、指先の1つまで

そんな、一つ一つの仕草は、緻密に計算された動きであり

その絶対のリズムの中、微妙に何処かの仕草をズラシ

その違和感が見る者の意識に触れ

無意識下で視線を、自分から外せなくさせる

本来なら、ここで紫音の固有スキルで

アルファー波でも垂れ流して精神状態を操作するのだが

ハーレムを作る気など無いので、使ってはいない


それでも、これによって、誰しもが

その姿のカッコ良さから視線を奪われ

計算されたリズムによって、視線を外せなくなる

それだけでも、紫音に心を奪われる女性は山ほど居たのだ


鈴は心の中で

(どうだ!これが私の双子の兄の紫音だ

カッコイイだろう、ステキだろう、羨ましいだろう)

と、日頃の鬱憤を晴らしていた


リルはリルで

(さすが、シオン様、惚れ直すほどのカッコ良さです

 日頃の、ダメダメなシオン様も良いですが

 やはりカッコイイ、シオン様は最高です)

無表情のまま、心で中で拳を握る


まるで、アイドルの追っかけの如く

3人の後を付いて回る、人達がいたが

男達は、鈴やリルに声を掛けたいが

そばに居る男は、自分達より数ランク上の男前であり

声を掛ける勇気すら湧いてこない

女性陣も、紫音にお近づきになりたいが

かわいい妹系と、美女を傍に置く紫音には声が掛けれ無いというものである


そんな視線に

鈴は恥ずかしかったが、その恥ずかしさは

嬉しい恥ずかしさであり我慢できると言うものである

紫音とリルにとって、これくらいの視線は気にもならない


そうして、今後の資料の為に、鈴とリルの洋服やアクセサリーを見て回る

ディスプレイに趣味の良さそうな服が飾られた、店に適当に入り

見て回るのだった

それも、何軒の店にだ、紫音にしてみれば

色々なデザインを見ることや、生地を触ることは

自身の為であり、今後の制作意欲を沸き立たせるのだった


紫音の目の前に、今年の春夏ファッションと題して

着飾られた数体の女性のマネキンが居たのだが

それを見て、首をひねるのだった


「なんだろうな、これが今年の流行か」


「どうなんでしょうか?私より、鈴さんの方が知ってると思いますが」


「流行りらしいよ、かんな達と一緒にファッション誌とか読んでるし」


「俺には、作るのは無理だな、趣味じゃない

 あせた色は、ババ臭いし

 ワイドパンツや、ガウチョパンツは嫌いじゃないんだが

 ここに在るのは、どう見てもシルエットが綺麗じゃない

 ただ、ロング丈のカーディガンは、いいなロングコートみたいで」


「本当に、ロングコート好きですね」


「あぁ、ロングコートは、男のロマンだ!」


「わかります!シオン様の裸ロングコート姿は、私のロマンです!」


「変態どもが!それ以上しゃべるな!

 でも市販品にそこまで期待するほうがムリでしょ

 紫音が作ってんのは、本人に合わせた一点ものなんだから」


「そうだが、ここに有るのは

 こう全体的なバランスがな・・・ちぐはぐと言うか

 生地とデザインが合ってないと言うか

 そのブラウス1つでも、タックで絞るより

 ギャザーで縫った方が可愛いと思わないか?」


「シオン様意味が分かりません」


「同じく・・・」


「鈴は分かれよ・・・それでも女子中学生かよ!」


小声で、そんな会話を各店舗で繰り広げる3人だが

見た目には、女性の服選びに同行して何軒もの店をハシゴするも

嫌な顔もせず、楽しく会話をしている男の姿に見えるのだった


そして、あんな彼氏欲しいと、あの男の人、すごく優しいと

紫音の知らない所で株が上がっていく


幾つかの店を周り、数着の洋服と小物を買い込む

そして、ある目的の為に、紫音は、ついでに有る物を買い込むのだった

その支払いは、全て紫音であり、買った荷物も全て紫音が持つ


その姿を、見続けた追っかけの女性に惚れるなと言う方が無理であろう

そして、紫音はその足で、紫音の当初の目的のお店に向かうのだった



お店に入ると

品の良さそうな20代後半、ぽっちゃり系?・・・である店員がリルに気づき

一緒に居る、2人を見て、一瞬呆けるが

ソコはプロ、気を取り直して接客に移る


「いらっしゃいませ~~りるさん

 今日は、お友達と、ご一緒ですか~~」


「?いえ、シオンさんも居られますが」


「え?もしかして」


「やぁ、加奈子さん」


「まぁ、しおんさん、今日は、オメカシして、どうされたんですか~」


「あぁ、リルと、それとこっちが、妹の【鈴】なんだけど

 2人に無理やり、着飾られてな、この始末だよ」


「初めまして、妹の鈴です」


「りんさん、はじめまして~

 私はこのお店の店長で、加奈子と申します~

 お兄様には、ご贔屓にさせてもらってますの~

 それにしても可愛いらしい妹さんですね

 そうですか~、妹様とデートの為に、そんな格好に、ふふ」


「加奈子さん、笑うなよ」


「いえいえ、私も普段から

 そのお姿や、話し方の方がお似合いだと思いますよ~

 私がもう少し若かったら、ナンパしてるとこですよ~」


「ははは、加奈子さんなら、喜んで付いていきますよ」


左右から紫音の腹部に肘打ちが入る


「あらら、デートの途中で~

 そんな事言ってはダメですよ、しおんさ~ん

 それと電話で伺っていた商品は、こちらに用意しております」


促されるまま、店内の奥に足を向ける

そこは、お店の入口からは、丁度死角になる場所でもあり

試着室と、その横に設置された作業台に連れて行かれる

加奈子は、お客様にあわせて、ここで多少のサイズ変更を行う

商品の全ては、加奈子のデザインであり、お店の手作りなのだ

その腕前は、紫音が認めるほどである

入口からは、死角となる、作業台に置かれた商品を確認しに行く紫音

出されたのは、10種類ほどの布である


【Shop・Kanaco】

デザイナーであり店長の加奈子の文字をとって付けられた名前である

この、お店は洋服屋でもあるが

この巨大ショッピングモールの中で

一番質のいい生地や、センスの良い柄の生地を置くお店でもあり

オーダーメイドで服を作ってもらう事もできる

中高生向けの可愛いデザインから、大人っぽいデザイン

または、高級ドレスまで、安く売られている事から

最近、地元の学生の間では有名になりつつある


紫音は初めてこの店のディスプレイに飾られた洋服を見て

そのデザインと彩色のセンスに惚れ込み、常連となった

買うのは基本、生地だけであるが

暇なときは加奈子とデザインの話で盛り上がっていた

加奈子も、リルの着ている服が、紫音の手作りと知って

紫音の腕前がプロ級だと見抜き

同類同士仲良くなったのだ



紫音は並べられた布を手に取って確かめていくと

4つほどの生地を、数メートルづつ買う事にして包んで貰うのだった


「おねーちゃん居るー?」


そういって、お店に入ってきたのは

可愛いピンクのベレー帽に大きめのサングラス

そして、この店の上品な洋服を着る女の子だった


「愛ちゃん、こっちに居るよ~」


その声で、店内奥に近づいてくる女の子


「何、この騒ぎ、お店の外、人が大勢いるんだけど

 もしかして・・・バレた?」


「違う違う、たぶん、この人達目当てで集まってるのよ」


「この人達って?え??」


愛ちゃんと呼ばれた女の子に振り向き

首だけ少し倒し、無言で挨拶をする紫音と

腰から礼をする様に、少し上半身を倒し美しく挨拶をする鈴とリル

「「初めまして」」


「あ、えっと初めまして・・・・」

そして、小声で加奈子に耳打ちする、愛ちゃんと呼ばれた女の子

「おねーちゃん、誰この人達、モデルか芸能人?

 なんでお店に来てるの?男の人、かっこよすぎない??」


「ごめんねー紹介するね、私の妹の【愛】ちゃん

 それで、この人達は、お店のお得意様なのよ」


「初めまして、妹の【愛】です、もしかして業界の人ですか?」


「いえ、いたって普通の一般人ですよ」


軽く一度、首を横に振り答える紫音


「あれ?おねーちゃん、お得意様っていったよね?」


「うん」


「この洋服・・・生地はお店で使ってるヤツかな?・・・

 だけど、おねーちゃんの作った服では無いよね?

 色の組み合わせもだけど、全体的にシンプル?な作りになってる?」


「へぇ~愛ちゃんも、少しは分かる様になったのかな」


嬉しそうに答える、加奈子


「だって、小さい時から、お母さんや、おねーちゃんの服きてんだよ分かるって」


「この2人が着ているワンピースと、彼のシャツと、薄手のコートは

 この彼が作った物なのよ」


「え?・・・・本当に?」


「趣味で作ってる程度なんで、至らない所だらけですから

 あまり見ないで下さいね

 いつも加奈子さんには、色々とご指導承ってる限りですよ

 自己紹介が遅れてしまって、すいません

 俺は【紫音】こっちが、家族の」


「【リル】と申します」


「妹の【鈴】です」


「あ、【愛】です、よろしくね」


愛から見ても、姉の加奈子の洋服と遜色無い洋服を

このカッコイイ男性が作ったと聞き、そのギャップに動揺をかくせず

2度目の自己紹介をする

その姿に、加奈子は、くすくすと笑う


そんな2人の姿を見て、紫音は、軽く一礼すると


「それじゃぁ加奈子さん、用事も終わりましたし

 妹さんも来られたようなので、俺達はこれで失礼します」


「そう?この子の事は気にしなくていいのよ?」


「まだ、買い物の・・・・・

 いえ、デートの途中なので、他の女性と話していると

 2人の視線が怖くてですね・・・」


紫音は軽く笑いながら答える


「そうですか~?

 では、他の女性に引っかからないように

 妹さん達もデートを楽しんでね~

 あと、しおんさん、できれば次回もその姿でご来店おねがいしますね」


「嫌だ!断る!これは、今回限りだ!」


それだけは、御免だとばかりに

右手を加奈子に突き出し掌を広げる紫音

それは、そうだ、紫音はこの、状態を維持するのに

かなりの神経を必要とする

数倍ではあるが意思加速を断続的に使い

その中で、緻密に計算して、1つ1つの動きを芸術の域まで昇華させる

たった1時間であろうと、紫音にとっみれば

その2倍以上の時間となっているのだ

それ程までに、神経をすり減らして行動しているのだ

紫音であっても、疲れないわけがないのであるが・・・・

まぁ、それは、どうでもいいとしても、もともと怠け者の紫音である

一番の理由は、ただ・・・めんどくさいでけである


今日は、先日鈴の友人を、からかい過ぎて、鈴に散々怒られたので

そのお詫びも兼ねているから、今日は本気でカッコイイ紫音を演じているのだ


「そうですか~ざんねんですね~

 今のしおんさん見てると

 男性物の服も作ってみようかと制作意欲がわくんですよね~」


「加奈子さんまで、俺を着せ替え人形にするきかよ」


そして、二人は、ははは、ふふふと、笑うが

マジな瞳は、目線で火花を散らす


そして、軽く別れの挨拶を済ますと

加奈子と、愛に見送られ

3人は、お店を後にするのだった


3人を見送る、加奈子と、愛


「おねーちゃん・・・・しおんさんて、どんな人?」


「愛ちゃんでも、それは教えられないなぁ~」


今日の、しおんさんは、レアもんだしね

目の保養になりました!

でも、何時もの、しおんさんは・・・・

まぁ、、、アレもんだし・・・・・言えないよね~


「そうなの・・でも、かっこよかったな

 雰囲気というか仕草というか、何かカリスマ性がにじみ出てるような」


「愛ちゃん、1つだけ教えてあげる」


「何?おねーちゃん」


「しおんさん、愛ちゃんより、年下、学生さんだからね!」


実は加奈子は、しおんの年齢もしっている

だが、あえて中学生といわない

どう見ても、愛と同年代にしか見えない紫音

それが年下と聞き、信じられないと

あれは学生がだせるオーラでは無い

モデルでも、あれほどの雰囲気を醸し出せる人間は居ないと


「え?あれが、年下?・・・・・・・・・」


この後、あの3人と顔見知りであろう加奈子に

3人の素性を聞きに、数人来た事や

3人の着ていた服が、お店の物かとか

根掘り葉掘り詮索した人物達が居たのだが

加奈子は、笑顔で笑うだけで撃退したことは紫音達はしらない



お店を後にした3人

普段は、加奈子の所に買い物に来るのは、紫音とリル、2人だけなので

いつもはラーメンを食べて帰る所だが

今日は3人である、そして、3人とも、着飾っているので

どうせならと、夕食は、久々に3人で外食しようと

鈴の申し出を受けて、ショッピングモールに入っている飲食店の中でも

少し高そうな中華料理店に足を向ける

目的は、相変わらず、鈴の新しいレシピの追加の為である


注文するのは、餃子から点心、焼売、春巻き、エビチリ

酢豚から、チャーハン、天津飯、そして、フカヒレと・・・


そして、紫音達3人は

飲食店に入ることで

追ってくる、ストーカーまがいの視線から逃れ落ち着いた所で


決して人様には聞かれてはいけない


念話での極秘会議が開催されるのだった!



『おもったより、餃子うまくないな』


『うん具のこね方と、寝かせ時間が少ないね、ネタが馴染んでない気がする

 あと羽付けたいがために、カタクリ入れてるから

 味が少しボケてる感じがするね

 でも、春巻きの具材は、けっこう冒険してて美味しいよ』


『リンさん、私には、このフカヒレの美味しさが分からないのですが?』


『フカヒレはね、それ自体に味は殆ど無いの、味はスープ次第だけど

 そのスープ美味しくないから、フカヒレが死んでるのよね』


『酢豚もアンが美味しくないな、美味しい肉だけあって残念だな』


『なんだろうね、色々入れてるのが、悪い方向に出てるね

 もっとシンプルにすれば、美味しいのに

 素材は、いい物使ってるから、残念度が高すぎるよね・・・』


『点心が、肉汁ですぎて、中がパサパサだ・・』


『それは、しょうがないね、点心とか、包系は

 皮を破ったとき、肉汁が出れば出るほど美味しいって風潮があるから

 流行りに乗って作ると、中の具がパサパサになるの

 本当は、肉汁って旨みだから

 具材の中に閉じ込めて、口の中で噛んだ時に

 初めて滲み出る様に温度調整しないと、美味しくならないの』


『アラ!チャーハン美味しいですよ』


『ほんとうか?一番期待してなかったんだが』


『本当だ、味の決め手は、このチャーシューかな

 黒胡椒がよく聞いてて、全体の味を引き締めてる』


そう、口に出して会話などできない・・・

色々言い合う中で、鈴はその味を細かく分析していくのだった

出された料理は、鈴の料理と比べると、どう考えても1ランクは下がる

だが、こうやって色々なお店を回ることで

新しい発想や、新しいレシピが鈴の頭の中に浮かんでくるのだ

そしてそれは、新しい料理となって、三千風家の食卓に並ぶのだから

こうやって、試食程度と考えて、たまに外食をするのだが

そうといっても、普段は、こんな高級なお店ではない


語弊が有るかもしれないが

このお店も、ある有名店の静岡支店であり

普通に美味しく、日曜の昼時となると、行列が並ぶほどである

ただ、比べる相手と、食べる人間達の舌がオカシイだけである


その後も、ショッピングモールを歩き回る3人

たっぷりと、デートを堪能した、鈴とリルであった

その後一度ショッピングモールを後にし、隠れて荷物をリルの異空間にしまうと

今度は、食材の買い物に、俗に言う下町に買いに出るのだった



 

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