19話 後始末
紫音の前に立ちふさがったのは、鈴である
その鈴の姿は、椅子の上でニニスを小脇に抱える紫音より
なぜか、大きく感じるほどに
頼りがいが有るかの様に感じる優美であった
「ハッ!次は、リン・ミチカゼ、お前が相手か!
誰であろうと、この防御結界は無敵なり」
そんな、紫音の自信満々な言葉に
ほんと、バカ・・・・
自分の双子の妹を、フルネームで呼ぶかな
中二病クズレが・・・
そして、大きくため息をつく
「はぁ~~・・・・・・」
そして、一度大きく振り向く
そこには、疲弊しきった、優美ちゃん
両手の拳を自身の血で赤く染める、桜
そして、何かを期待するかのような
かんなに、なっちゃん
それは、いいとしても
イカレタ変人と、私の兄妹対決を期待する
クズクラスの、視線が・・・痛い・・・とっても痛い
そして、ボソっと呟く
「期待されても・・・・戦うとか、するきないし」
そして、右手を紫音に向け、ゆっくり下げると紫音の足元に向ける
「【クライビングプラント】」
鈴が手を向けた場所に、魔法陣が現れ
そこから、何本もの植物の蔓が伸びていき
鈴の「ロック」と言う言葉と共に、右手の掌を握り締めると
蔓は紫音に絡みつくのだ
それは、紫音の前に展開された防御結界を無視し
紫音の足元から、紫音を襲ったのだった
「オイ!鈴、卑怯だぞ、クソ!
そこは、この魔術符を攻撃するところだろ!
俺を攻撃するとかダメだろ、今までの流れを読めよ!」
「あぁ、そんな事するきないから」
鈴は左手を体の前に出し
その手を、動かし、数本の蔓を操作し
紫音の右腕に抱かれた、ニニスを優しく奪い取る
まったくもって、あっけなく紫音は捕まったのだ
そして無事降ろされたニニスに近づく鈴
「ニニスちゃん、大丈夫?変な事されてない」
「ニニスは大丈夫なのね、でもサクラがなのよ」
ニニスの視線の先には、希唯 (きい)の手当を受ける桜の姿があった
状況が落ち着いたと感じた、希唯は、即座に桜に駆け寄ると
傷ついた可愛い手から、そっと、グローブを外すと
手持ちの、ティッシュで、埃と血の後を綺麗にすると
傷口に可愛い数種の動物が描かれた絆創膏を (ばんそこう)を張るが
思いの他怪我が酷いと感じたのか
桜の両手を腰袋から出した包帯で巻きだしたのだ
そして、蓮に振り向き
「蓮先輩、桜ちゃんの拳が・・・・」
そこには、教室に入ってきた、蓮のすがたがあった
「すまんな希唯、だが、これくらいの怪我は何時もの事だ
それに、怪我をしたのは無様な戦いをした結果だから、ニニスも気にするなよ」
「でもなの、血が出てるなのよ、大丈夫なのなの?」
「あぁ、明日には治ってるから、大丈夫だ
だが今日は、これから、このバカに
説教と特訓するから早退する事にするさ、鈴」
突然名前を呼ばれた鈴は
ピシッと、受け応えをする
「はい」
「先生への連絡と、このバカの荷物を頼む」
「わかりました」
「おう、じゃぁな」
そういって、子猫の様に怯える、桜をお姫様抱っこすると
早々と、教室から消えていった
その姿は、かっこいいのか、恐ろしいのか・・・
だが、数人の女子生徒は、私も蓮先輩に、お姫様抱っこされたいと
羨ましそうに、2人を見送っていた
実に、蓮は1~3年の女子に人気があるのだ
ごめん桜、私も蓮さんは怖いの
そんな、助けを求める目をしても、助けれない
ごめんね後で美味しいもの差し入れに行くから・・
そして、クズクラスの人間も
あれだけ、あの結界相手に最善を尽くした桜に説教?
そして、怪我をした桜相手に特訓?
あの男は、鬼か!鬼畜か!桜がかわいそうと思うが
蓮の恐ろしさを知っている、クズクラス
誰も、蓮の行動を止められないのであった
その間に、鉄雄とカレラは、ニニス達に近づき
カレラは、降ろされた、ニニスの着ぐるみを軽く叩きホコリを落としていた
ニニスの、「面白かったなの」とか、カレラの「それは良かったね」と
そんな会話で、済まされる事なのだろうかと、悩む鈴
鉄雄は鉄雄で、クラスメイト数名と
魔法で、縛られた紫音をつつき、嫌がらせをしていた
「ちょ、おまえら、やめろ、くすぐったい!」
「お前も、人様の魔法で、よくやるよな」
「いやいや、だけど、なかなかの見世物だった」
「でも、オチがこれではな、金はとれんな」
「くそ、鈴が全部悪いんだ!って、だから、くすぐるな」
「こんな機会めったに無いからな、今のうちに嫌がらせを!」
優美にとっては、一国の姫様が、足蹴にされ
学園を去る事も覚悟を決め、使った魔法すら
関係ないかの様に、騒ぎ出す、このクラスの現状について行けれなかった
ただ疲弊して、立っていた優美の姿を見た鉄雄は
「鈴、おまえの友達は、どういう事か理解出来て無い観たいだぞ」
「優美ちゃんに・・・・・かんなに、なっちゃんもか」
優美はその言葉に、言葉で返す気力もなく、視線を鈴にむける
かんなと夏目も、何度も首を縦に振るのだった
「前にも言ったけど、紫音は魔力値2なの
こんな凄い結界が使えるわけないのよ」
何を言ってるの?実際あの結界は紫音君が使ったものでは?
そんな顔をする優美と夏目
「たぶんコレは」
鈴はニニスの方向に振り向き
「ニニスちゃんの結界だよね?」
「そうなのね、さっきの魔術符防御結界はなの
ニニスの魔法なのね、誰も真似できないなの
ニニスだけのなの、固有魔法なのね!」
その姿は、くまの着ぐるみで
カレラに先ほど被った埃を払われていて
なんとも、カッコつかない姿であったが
ニニスは自身満々に言い放った
「やっぱり、ニース博士の、魔力力場による空中固定」
「そうなのね、かんなはなの、ニニスの事知ってたなのね?」
「あたりまえですよ、科学者を目指す人間で
【ラン・ミチカゼ】博士と
【ニース・ニケ・クロヴィス・メロヴィング】博士の名前を知らないなんて、モグリですよ」
「シオ見るなの、ニニスも有名人なのよ!」
自慢満々に、シオンに振り向くニニスだった
「でもなんで、紫音君を守ったんですか?」
かんなの問いかけに
楽しそうに答える、ニニス
「守ってないなのよ
初めからなの、シオはニニスの結界に閉じ込めてたなのよ
それに攻撃してきたのはなの、四条優美とサクラなのよ
でも、面白かったなのよ、だからどっちでもいいなの」
優美は、思考が固まらない
助けるはずの、ニース様が張った結界を攻撃した?
私は、何の為に攻撃を?踏まれたニース様を助ける?
だけど?その紫音君を守るために結界を?
そんな優美を見上げて、鈴は
理解できないよね~
結局、全部、紫音の悪乗りなんて・・・・
さて今度は、紫音に御仕置きしとかないと
紫音に振り向く鈴
そこには、クラスの男子生徒にオモチャにされる、紫音
その男子生徒に声を掛ける
「あ、ごめんなさい、チョットいいかな?
紫音から、少し離れてもらえる?」
言われるまま、紫音から離れる男子生徒
鈴は軽く右手を軽く上下に振り、蔦を操作すると
紫音は蔦に縛れらたまま、床に倒された
「ニニスちゃん、紫音の顔踏んでいいよ」
瞳を輝かせるニニス
「いいのなの?」
「いいよ、好きなだけ踏んで」
それは、うれしそうに、よろこび
むにゅ!
むにゅにゅ
むにゅむにゅにゅにゅ
紫音の顔を踏む、ニニス
「お!・・・・
おお!!
これは!!
この感覚は!
イイゾ!ニニス!
もっとだ!!」
あぁ、コレはダメなやつだ
嬉しそうに踏むニニス
紫音は、魔法で縛られた体をくねらせ、喜びを表現する
最後には、ニニスの足の指に、かぶりつき舐めだす始末
さすがの、鈴も、紫音の腹を蹴り、辞めさせたほどだ
その行動は、クズクラスの笑いを誘うのだった
そして、同時に、このクズクラスに鈴が受け入れられた瞬間でもあった
さすが、変態の妹、変態の扱い方を知ってると!
それは鈴にとって、穴があったら入って
頭を抱えてうずくまりたいほどであった
なぜか、足を舐められ
頬を染めるニニスちゃんと・・・・
それを嬉しそうに?羨ましそうに?
みている、桜の手当をしてくれた
【叶芽希唯】と言う女の子も、ほっといて・・・・
いや、この子とは、かかわり合いになりたくない・・・
ほんと、このクラス変わった人おおいいね・・
まぁいいや
後は、優美ちゃんに伝える事だけ伝えとかないと
鈴は優美に近づき、優美の服の袖を引っ張る
それに気づいた優美は、鈴に促されるまま
体勢を低くすると
鈴は、優美の耳元で
「優美ちゃん、とりあえず、優美ちゃんの魔法は
この教室の外には、漏れてないし
映像も音声も電子的情報は、残って無いから安心して
でも、私は口止めされてるから
詳しいことは、紫音から聞いてね」
そう告げると
鈴は優美から少し離れると
「優美ちゃん、どうぞ
紫音に聞きたい事あるなら、すきなだけ聞いて」
優美の視線の先には
クラスメイトから、踏まれ続けられ
ボロボロになっていく紫音の姿があった
「てめぇ、ニニスの足舐めやがって!!」
「紫音なんで、あの三千風さんと兄弟やねん」
「なんで、今まで教えなかったんだよ」
「私なんか、二人のお母さんの話で、涙したのに、返してよ!」
「そうよ、つい信じたっちゃじゃない!!」
「てか、妹ちゃんと紹介しろよ」
「お兄さんと呼んでいいか!」
「だいたい、四条様がお前みたいな、変人に何の用だ!」
「くそ!彼女欲しい」
「私は彼氏が欲しい」
「さっきの蓮さんカッ良くなかった?」
「うん、私もお姫様抱っこしてもらいたい」
「いいよねー蓮さんの筋肉・・・・触りたい」
「俺の腹筋さわってみるけ?ぽよんぽよん、だけどな」
「「「「キモ!!!」」」」
それは、代わる代わる紫音に文句をいいながら?
いや、すでに、まったく関係ない事を話しながら
紫音を踏みつけるクラスメイト達
いつしか、昼休みも終わりに近づき
さっきまで、居なかった、生徒もクラスに戻ってきており
飛び入りで、紫音を蹴ってるのだが
四条優美の姿を視界に入れると、動きが止まり
何が起こっているのかと、騒ぎ出していた
それでも、鈴が見る中で、初めからズット、ただ笑いながら
紫音を蹴り飛ばしているのは、間違いなく
黒いリーゼントを携えた、幼馴染である男の子であったのは確かだ
それも、絶妙に紫音が、キレない強さでだ
だって、念話で、てっちゃんに、怒鳴る紫音の声が聞こえるのだから
そして、昼休みの終わりが近づいた事を知らせる
予鈴のベルが鳴り響く
そして、静かだった優美は口を開いた
「ニース様、数々のご無礼お許しください」
「きにするななの、おもしろかったなのよ」
かるく一礼する優美
「誠に申し訳ありません、少し混乱してまして
もしよろしければ明日の昼休みに
またお邪魔してよろしいでしょうか?」
「いいなのよ、リン達もサクラも一緒に来るなのよ
ん?良い事思いついたなの!
皆でなの、お弁当食べるなのよ」
「あ・・え?はい、わかりました
えっと、鈴達も大丈夫?」
「大丈夫です」
これは、コネクション作りの一歩と喜んで返事をする夏目
「・・・・・・はい・・・・」
これは、来たくなくても、来なければ成らなくなったと
ため息混じりに、返事をする鈴
「きます!ニース様とご飯を食べれるなんて」
「カンナ、ニニスはニニスなのよ!」
「はい、ニニス様」
「ニニスは!ニニスなの!!」
「わかった、じゃあニニス!」
「うんなの、それでいいなのよ」
「では、明日の昼に、お邪魔させていただきます」
「わかったなのよ、楽しみが増えたなのよ」
そして、踏まれ続けている、紫音にむかって
「紫音君、明日もお邪魔しますので、話はその時に」
そんなやり取りを終え、鈴達4人は中等部本校舎にある教室に戻っていった
そして教室に戻る道中
鈴は紫音からの念話で、グチグチと文句言われていが無視である
そして、優美、かんな、夏目に、鈴は説明するのだった
全ては紫音が、ニニスの魔法を使って悪乗りしていた事を
そして、巻き込まれた、優美に鈴が謝るのだったが
鈴のせいではないと、私も修行不足ですと
紫音の事も許してくれたのだった
優美の心中は言い表せない何かに葛藤していた
かんなは、淡々と説明する鈴を、ずっと眺めていた
そして、鈴の話が一段落すると
気になっていた事を聞くのだった
「りんちゃん、なんか良い事あった?何か嬉しそうに感じるんだけど?」
何?この子、オソロシイ子!!
いやいや、さすが、かんな・・・
「そんな事ないよ」
あたかも、何もないように答える鈴
だが本当は、かんなの言う通りであった
鈴は、調子に乗ってバカをやる紫音の姿を見て
嬉しかったのだ
鈴は、小学校の時の事を思い出していた
双子と言う事もあって、私と紫音は同じクラスになった事がない
そして、小学生1年にして、紫音は変わり者として
孤立していった事を覚えてる
でも、4年になる頃には
同じ趣味を持つ友達も数人出来たみたいだったけど
私は、紫音が学校で、友達と一緒に居る姿を・・
いや、紫音が誰かと普通に話している姿を見たことがなかった
それは、小学校に通っていた6年間一度もである
10歳の誕生日を迎える時の
あの出来事以降、紫音の学校での態度は
変わり者を超えて、異質、異物・・・となっていく
そして、この学園の中等部に入る頃には
紫音の雰囲気や、異様なまでのその独特の歩く姿は
見る人間を精神的に嫌悪させるほどにまで昇華されていた
私は心配だった、紫音の学校での暮らしが
同じクラスに、幼馴染のてっちゃんが居るから
小学校の時よりは、少しは楽しい学園生活が出来るだろうと思うが
紫音の醸し出す雰囲気は、他人を寄せ付けないし
口を開けば、私では到底理解出来ない、話をするし
調子に乗ると、何を仕出かすか分からない・・・・
きっと、てっちゃん以外には友達なんて居ないと
それでも、どうにか出来たらと紫音に
友達と一緒に分け合って食べれる程の
お弁当を持たせたことも何度かあるけど
紫音も、てっちゃんも、学校の事を家では話さないから
きっと、友達が居ないと思ってたけど
さっきの紫音の姿みるからに・・・
踏まれてたけど・・・・
クラスの人間と仲良くしてる事はわかった
昔みたいに、外見や、雰囲気だけで
嫌われて誰からも相手にされなかった小学生時代とは違んだね
調子に乗って、大馬鹿やらかしたけど
人様の前で、あんなに、楽しそうに
はしゃぐ姿は初めて見たかもしれない
本当に・・・・初めてかも
沢山の友達に囲まれてる紫音の姿なんて・・・
それに、強いな、クズクラスの皆は
あの紫音を受け入れてるなんて・・・
私には無理だった、私は弱いから・・・
アレと兄妹と思われるのは未だに怖い
アレと同じ様な視線を受けることが
それは、友達からであっても、クズクラスからであっても
アレと兄妹だと思われる事が、それも双子であるがため
同じ様な視線を受ける事は、未だに耐えられない
本当は声を挙げて言いたい、紫音は本当はすごいんだと
この世の誰よりも、優しんだ強いんだと・・・
紫音の本質を知ってるからこそ・・・言えないけど
でも、クズクラスの人達は・・強い
【普通】と言うレールから、はみ出した人間・・・
いや自身の考えや信念があって、その電車から降りた
1つの個として出来あがった人間は強いね
まぁ、どこかで、紫音と同類なんだと思うけど・・
ありがとう・・・
本当に、ありがとう・・・
後数年しか、この世界に生きて居られない・・・紫音
千年近く生きてる紫音にとっては、たかが数年だけど
やっぱり、楽しい思い出は沢山あったほうがいいもんね
うん、優美ちゃんのお陰で、私の一番の悩み事が・・・・
いや・・・・そんな事気にして無かったんだけど・・・
ちょびっと・・・・・
もしかして、ほんのちょびっとだけ、気にしてたかも・・だけど
・・・・・
私は、いったい誰に言い訳してんだか・・・
まぁ、いいや
帰ったら、蘭さんに報告だ
紫音に友達が沢山いたって!
楽しそうに学園生活を送ってるって・・・
******
その日、学校が終わり家に帰った鈴は
ココア入りのスポンジを焼き
甘さ控えめの生クリームを作り
ココアのロールケーキを作ったのだった
そして、ロールケーキと、桜の荷物を持って
ティオーノ家に、桜お見舞いと、差し入れに行くのだった
桜の家に着くと、迎えてくれたのは
桜の母親で、とても優しく、おっとりとした人間
その雰囲気は、ただ挨拶しただけでも、彼女引き込まれ
まるで、その周りだけ時間の流れがゆっくりとなり
まるで、揺り篭に揺られ、その気持ちよさに眠りにつきそうな程である
この母親あっての桜だと、あの性格なのだと理解できるほどの女性であった
そして、挨拶をすませると
「皆様でどうぞ」と、ロールケーキを渡し
何時もの様に、家の裏手にある、小さな武道場に行くのだった
そこには、すでに、リルによって骨の折れた拳を治してもらい
兄である蓮に、こてんぱんに叩きのめされ
床に倒れ込んだ桜の姿があった
「おう、鈴、悪かったな!ついでに、お前も少しやっていくか?」
「いえ!私は格闘は出来ませんので!!!」
「そうだったな、だが意思加速が出来るなら
それなりに戦えそうだがな・・・」
「・・・それでも、普通より多少だけですよ
蓮さんや、うちの紫音や、てっちゃんと比べると、赤子同然ですから」
緊張しながら答える鈴
蓮さんと組手なんて、体が保たない・・・・
それより、倒れてる桜をどうにかしないと・・
助けを求める桜に、手を伸ばそうとすると
「鈴、悪いが回復魔法は使うなよ」
「はい、それは紫音にも言われてますから
だけど少しだけ自然治癒の魔法かけていいですか?」
「あぁ、それなら、俺からお願いする」
蓮は、桜に鈴が意思加速や念話が出来る事を言ったせいか
隠す素振りもせず、回復魔法や、意思加速の話をするだった
そこへ、桜達の母親が
切り分けた、ロールケーキと、紅茶を持ってきてくれ
「少し休憩したら?
丁度、鈴ちゃんから、ロールケーキもらったから
持ってきたわよ~」
その言葉で、3人はお茶をするのだった
蓮のシゴキで、ボロボロになって倒れ込んだ桜を気にせず
優しく、微笑んでくれる母親に
さすが蓮さんの母親と、肝っ玉が座ってると、息をのむ鈴
休憩ついでに、鈴は気になっていた事を、蓮に聞くのだった
蓮は楽しそうに話しだした
前にも話した、蓮と紫音の出会った時の話の後の事
紫音は、その見た目から、孤立しそうになっていたと
そして、ニニスもその一国の姫と言う事から
誰れも近づこうとしなかったらしい
だが、宮守とカレラと希唯だけは、違ったらしいと
普段は、常に寝ている、紫音とニニスらしいが
たまに、ニニスが紫音にちょっかいを出して、騒ぎ出す時があったらしい
まぁ、当時8歳の、おこちゃまだったしな、と
見た目とか地位とか、関係なしに、騒ぎ出す
紫音、宮守、ニニス、カレラ達に、徐々に感化されていったと
クズクラスの生徒たちは
紫音やニニスが見た目より、面白いと感じたんだろうと
今では、紫音もクラスで普通に騒いでいると
そして、たまに持ってくる、紫音の巨大な弁当は
クラスでも奪い合いになるくらい人気らしい事も
蓮は話すのだった
そして、今や紫音は今完全にクラスに溶け込んでいて
仲良くやっていると鈴つげた
それは、鈴の一番聞きたかった事でもあった
だが、話は今日の出来事となる
それは、桜の怪我の事である
存在の不確かな結界を、何も考えず殴った事をだ
そして、自身の拳を炒める程の怪我をしたことに
蓮は、腹を立てていた
話しながら、徐々に熱を帯びる蓮に
これ以上は、巻き込まれると
鈴は、瞳を潤ませる桜を捨てて
ティオーノ家を早々に後にするのだった
*******
次の日の昼休み
鈴達5人は、約束通り、お弁当を持って、クズクラスに行くのだったが
そこには、ニニスとカレラだけであった
紫音は危機を察し、逃げ出していた
鉄雄は友達と食堂である
それは仕方ないと、7人は席の空いた
紫音や鉄雄の机を使いお弁当を食べるのだが
鈴は目を丸くする
ニニスの取り出した、お弁当、それはお弁当と言える物ではなかった
机の上に出されたのは、3個の真っ赤な林檎であった
「そ・・・・それは?」
「ん?ニニスのご飯なのよ?」
「林檎だけなの?」
「林檎はおいしいなのよ、後はサプリメントだけなのよ
それで十分なのよ」
「ダメ!絶対ダメ!もっと栄養のある物をいっぱい食べないと
大きくなれないよ!
ニニスちゃん、私の、お弁当あげるから、食べて」
そして、鈴は自分のお弁当を差し出したのだ
「それなら、みんなで、弁当をシュアして食べましょうか?」と
カレラの申し出で、楽しく食べだす7人だったが
カレラの目的は、鈴の弁当にあった
紫音と同じ家族なら、鈴も同じ、あの美味しい弁当のはず
ならば、シュアすると見せかけて、また食べたいと
「シオの弁当となの、同じ味なの、シオの母親は料理がうまいなのよ
とてもおいしいなのよ!」
「そうですね、一流シェフ並みの、おいしさですよね」
「ん?何言ってんの?これ、鈴ちゃんの手作りだよ?」
「「??」」
かんなの言葉で、言葉をなくす、ニニスとカレラ
そして、自分で言った言葉の疑問に気づくニニス
「シオのなの?お弁当はなの?母親の手作りだった??なの?
ラン・ミチカゼ博士のなの?手作り???なの??」
「だから、鈴ちゃんの手作りだって」
「リンの手作りなの?本当なのなの?」
「うん、えっと、たまに紫音が、おっきな弁当持ってきてたはず
クラスの皆で食べてるって、蓮さんが言ってたけど?」
その鈴の言葉に、教室がどよめくのだった
あの、美味しい弁当は、この天使の手作りだったのかと
それは、鈴達の会話を、静かに聞き耳を立てていた、生徒達だった
そう、知らずに食べていたといえ
天使の手作り弁当を食べていた事を知るのだった
その味を思い出し、妄想にふける生徒たちも居れば
鈴に胃袋を掴まれ、鈴に惚れてしまうしまう男子生徒達
そして、思うのだ、今度はもっと味わって食べるぞと
何事かと、周りを見渡す鈴たちだが
騒ぎが収まると、再び楽しく昼食をたべだした
そして、先日の鈴の家での女子会の話となり
お泊まりの話まで出る始末
興味津津のニニス
そして、自分もお泊まり会に参加すると
ダダをこねる始末、まだ9歳の子供であるのだ
大いにダダをこねた
優美は、一国の王族の姫様が
一般の家庭に泊まるなど、してはならないと
ニニスの護衛役でもある、カレラに助けを求めたが
カレラは楽しそうに笑うだけであった
そして、最後には何か有ったら、自分が守ると心に刻み
ニニスの申し出を承諾したのだった
まったくもって、鈴の許可なく、首を縦に振る優美
そして、当然の如くカレラも「当然私も、同伴しますね」と
鈴の手作り料理に、思いを膨らますカレラであった
そして、仲良くなっていく7人であった
鈴の頭に浮かぶのは
ニニスは子供で、みたまんまだけど
好き勝手する子供を見守る、落ち着いた母親が
カレラなのだと理解したのだ
形は違うけど、かんなと、なっちゃんの関係性に近いのかな?と
それにしても、合計して7人分のご飯か・・・
お泊まりだから、晩ご飯に、次の日の朝食がいるね
あと、夜食用のお菓子と、デザートも考えないと・・・
そんな考えを巡らしながら、会話を楽しむのだった
************
おまけ・蚊帳の外
************
鈴達の昼食を静かに見守る女の子がいた
ただ、ひたすらに、ニニスの姿と、鈴の姿を
その視界にいれ、ただ嬉しそうに、ご飯を口に運ぶ
「あぁ~・・・かわいい子が2人も、この光景だけで、ご飯が進む」
そして、同じ机で、お弁当を食べる
女の子の幼馴染の男の子は、何時もの事ながらと、ため息をつくが
中等部の有名グループである、四条達がクラスに入ってきたとき
驚きもしたが、ちょっと挨拶をしようと席を立ち歩き出す前に
首根っこを、女の子に捕まえられ、機会を逃し今に至るのだ
そして、お泊まり会の話になったとき
彼女は、私も参加したいと、申し出るが
ニニスに断られる、その判断に、鈴も良く断ってくれたと
内心ほっとしていたのは、言うまでもない
それでも、彼女は嬉しそうであり
今晩は今のやり取りだけで、ご飯が3杯はいけると
微笑み、ニニスと鈴を、優しい目で見守るのだった




