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アンタッチャブル・ツインズ ~転生したら双子の妹に魔力もってかれた~  作者: フラック
第2章 中等部模擬戦篇 第1部 きぐるみ幼女なの!
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18話 他人の褌 (魔法)で相撲を取る男

 



紫音の、お涙頂戴話も

鈴の一言で、不発に終わり

  

紫音は、母親の蘭の事で

ニニスと問答を繰り返す

調子に乗って、ニニスを、からかい続ける紫音は


逃げ場を失う、そう、隙を付いて

後ろの窓から逃げ出そうとしていたのだが 

それは、すでに遅すぎた


そう、紫音は、すでにニニスの結界内に閉じ込められていた

いや、半分解って閉じ込められたのだ

この中に居れば、四条優美でも手が出せないと


そして、ニニスは、ニニスで、シオは捕まえた!もう逃げれないだろうと

椅子の上に立っていた、紫音に両手を上げ襲いかかるのだ


「ガオーーーーーーーー・・・・ォ・・・・ォ・・ォ」


突如、ニニスの顔に何かが覆いかぶさる

ニニスは即座に、それが何かを理解する

そう、紫音の上履きの感触



フン!すでに、何百回と踏まれたなの

ニニスの顔はなの

それが、何であるかは、見なくても分かるなのよ!!

そうなの、これは、シオの右足の上履きの感触なのよ!

ならば、左足はなの、この辺にあるはずなのよ!・・・と


すでに、ニニスは、顔面 (がんめん)に

覆いかぶさる上履きの感触だけで

それが、右足の上履きなのか、左足の上履きなのか

瞬時に判断できるほどの、経験値を有していた

そして、左足を探し、両腕をバタバタと暴れさせていたのだ


もうすでに、このクズクラスでは、見慣れた光景である

普段、常に寝ている紫音に、スキあらば、ちょっかいを出す、ニニス

その度に、突き放そうとする紫音

ニニスと出会って

1日目は、ニニスの肩を、手で突き放していた

2日目は、ニニスの頭を、手で押さえていた

3日目は、ニニスの体を、足で突き放していた

4日目は、ニニスの頭を、足で押さえていた

5日目には、ニニスの顔を、足で踏みつけていたのだ


その事は、監視の目から、その映像と共に

ニニスの本国に伝わるのだが

ニニスの護衛である、カレラの助言と

ニニス本人の、「シオに手を出したら、国を潰すなのよ!」

その言葉によって、事無きを得た

でなければ、国際問題どころではない事態になっていただろう


そして、ニニスの親は、ほっとけと、ニニスに関心を表さない

兄や姉達も、厄介な妹が、さっさと王位候補から脱落しろと

帰ってくるな!と、笑うくらいなのだ


今にいたっては、当たり前の風景であり

誰1人、気にしない光景である


だが、その光景を初めて見る人物達がいた

その中の1人は叫ぶのだ



「ニース様!!!」

 

紫音は、叫んだ女性に視線を移す

そこには、自分に向けて手の平を突き出す

四条優美のすがたがあった 

そして、四条優美は、魔法を発動させた


「ホーリーレイ!!」


オイ、マジか?

ホーリーレイだと、光の中級魔法?

俺死ぬぞ?物理防御の刻印魔法は、張ってるが

物理属性の無い、光魔法とかさ

魔法防御を持ってない、俺や、一般人なら

即死レベルの攻撃じゃねえかよ!!


だけど、この状況に置いて、その魔法選択は正解だ

攻撃範囲が直線型の魔法なら、俺の足の下に居る、ニニスには被害はでない

そして、この魔法が俺に当たれば

魔法防御があっても、無くても、俺は後ろに吹き飛ぶ

物理属性の無い光魔法であるから、当たった時の衝撃波も少ないが・・・

それは、同等の実力のある人間相手にしろや!!


魔法防御の無い、今の俺は、当たり何処悪ければ、確実に死ぬ!

鈴から聞いて無いのかよ!

俺の魔力値は1に限りなく近い2だぞ!!!

死ぬぞ!確実にしんだぞ!

ニニスが居なかったらな!


そう、紫音は自分の無傷を確信し

頭の中で、一人ツッコミをして、1人で笑うのだった

それを、優美が、どう感じ取ったかは、紫音が知るわけもない




優美の放った、ホーリーレイ

それは、紫音に届く事は無い

紫音は知っている

自分の周りには、上位の防御魔法が貼られている事を

ホーリーレイが、防御魔法と交錯し

教室を、光で包むが、その魔力の光すら

通さない程に優れた、防御魔法である



紫音は、ある事を思い出す


そうだった、ニニスは姫様だったな

だから、十士族である、四条さんが、焦ってるのか

そりゃ、そうだよな、一国の姫を、足蹴 (あしげ)に・・・

いや、顔を踏みつけるなんて・・・さ・・ん?

国際問題じゃ済まされないわな・・・???

ちょっとまて、踏んでるの俺だよね?

なんで、今まで無事なんだ?・・・・

まぁ、いいか!

きにしない、きにしない

・・・・・・・・・

でも、あとで、カレラに聞いてみよ・・・・


防御魔法が、完全発動した今

その全貌が、姿を現した


紫音とニニスを守るように

空中散布された魔術符によって

丸く球状に展開された、防御結界


その結界の中で、紫音はニニスの顔を踏みつけたまま

猫背の様に背中を丸め、少し上半身を前に屈め

両手はブラリと、だらけさせ首を傾け

舌を出して、優美に対し、ブキミに笑う



それを見た、優美たち

その中で、かんなだけは、それを理解する・・・


「これが、魔力力場による、魔術符の空中散布?ほ・・・本物・・・」


静けさの中、その声は教室全体つたわるのだった・・

そして、その言葉は、ニニスにも届く

顔を踏まれたまま、視線をかんなに向けて


「ひょうひゃのほ、ほへほえへ (そうなのよ、これこそ)  グハ!」


紫音の左足に、しがみつき

何かを言おうとした、ニニスの顔を

紫音は、右足でグリグリするのだった、そして


顔色の悪い、四条優美にむかって


「そんな、しょぼい魔法が、俺に効くとでも?

 そんな魔法では

 俺の混同魔術符防御結界【インビジブル】を破ることは不可能だ

 そして、ニニスを助ける事もな」


「ほへは、ひひふのはほうはほほ

 (これは、ニニスの魔法なのよ)

 ひんひふふはんへはまえほほはいほほなほ

 (インビジブルなんて、名前でもないのなのよ)

 ほへに、ひほはへふぁいひほひほめへひりはほほ

 (それに、シオは結界でとじこめているなの)

 ふははっへるほほ、ひほはほほっほほ 

 (つかまってるのは、シオなのなのよ)」


そう、紫音はすでに、ニニスの結界に入っていた

そう、この結界は、内から外も、外から内にも干渉ができないのだ

それは、紫音を結界内に閉じ込めた事に変わりはない

そう、紫音の選択肢は無いのだ

すでに、ニニスに捕まっていたのだから


だが、そんな事を知る由もない優美

ニニスの言葉も理解出来ない優美

頭の固い優美は、ニニスの声を

助けを求める声と思い込み、それに応える為

その力を振るうのだった


「わかりました、ニース様、もう少しお待ちください

 今すぐに助け出しますから

 こんなっ結界すぐにでも、壊してみせます」


「ひひふほへっはいほほはふ?ふひはほほ

(ニニスの結界を壊す?無理なのね)」


去年、ある事件が起きた

その時ニニスのこの結界は

ある赤髪の男に無残にも引き裂かれたのだ

その後、子供の様に、だだをこねるニニスを見かねて

その魔法に、紫音が手を加え

以前よりより強固な結界と進化していたのだった

そう、ニニスは、思うのだ

今なら、あのレンですらこの結界を破るのは至難の技だと



額に汗を滲ませ

優美は右手を頭上に掲げ、魔法を使う


「アイスランス!」


優美の頭上に、3つの、氷の槍が出現し

そして、掲げた手を、紫音に向かって下ろすと

アイスランスは、勢いよく紫音に向かって飛んでいく


ほう、中級魔法の3つ同時発動か

さすが四条の名を持つ人間だが・・・


アイスランス

氷の物理属性・魔法属性・そして貫通属性か

だが、所詮は中級魔法

俺が手を加えた、ニニスの防御結界には意味を成さないな


そう、勢いよく飛んでくる、3つの中級魔法、アイスランス

その威力を持っても、防御結界は、びくともしない


そう、アイスランスは、結界に当たると

勢いよく粉砕し、その氷となった魔法の粒子を撒き散らしながら消えていった


まぁ、当たり前だと、笑みをこぼす紫音だったが

紫音は、誰よりも速く、桜色の少女の動きに反応する


ん?今度は桜さんが来るか


手の止まった優美を確認した桜は

たった2歩で、防御結界まで距離を詰める

そして、力任せに、左右と拳を連打する

そして、力を溜めた右拳が結界を襲った


『むだだ、やめろ桜』


一瞬躊躇する桜に

念話で話しかける声


それは、今しがた食堂から戻ってきて

2年の教室に桜が居ると聞いて

顔を覗かせた、桜の兄である、蓮であった


この結界の強固さを、その身で確かめた事のある蓮は

今の桜では、素手での破壊は無理だと分かっていた

そして、今の3擊で、桜の拳がすでに、傷ついた事も


紫音は、桜の参戦は予想外でもなかった


まぁ、ダチのニニスが、踏まれたなら、そりゃ怒るわな、と


そして、桜の参戦で、紫音の悪い癖が現れてくる

いや、すでに、現れていた

紫音は悪い顔をして


さて、四条さんと桜さん、2人をどうやって、おちょくろう・・

考えただけで、ククク・・・・笑いが・・・・・



「クククククク・・・・・・・・ハハハハハハハ」



上半身を、揺らしながら

右手で顔を覆うと、顔を横90度近くまで倒す

そして、その右足で

助けを求めようと、必死で叫ぶニニスを

グリグリと、踏みつけ、いたぶる紫音の姿があった


「しょぼいな・・・

 これが、十士族・四条さんの力か

 所詮は何も知らない小娘って所か

 桜さんも、レンから聞いてたより弱いな

 もうちょっと期待したんだがな

 レンは、去年この結界を

 まるで、紙を千切るように、片手で引き裂いたんだがな

 2人とも、いや、ニニスも所詮

 俺に指一本触ることすら出来ない、カスと言う事か」


その言葉で

優美と桜は、顔を青くするのだった


先に動いたのは、桜だった

ポケットから、ある物を取り出し

その両手に装備する


お?ナックルだ

あれなら、この結界の強度が測れるかな?

それに、あれを装備した、桜さんの攻撃力はどれほどか?


両手に装備したナックル、そして

全身をバネの様に使い、結界に一撃を入れるのだった


そして、また一撃


また、一撃と



そんな、束の間に・・・




『鈴、紫音の奴ノリノリだな』


『蓮さん、こんにちは、申し訳ないんだけど、あのバカ止めれますか?』


約10倍ほどの意思加速の念話で

鈴に話かけてきたのは、桜の兄である蓮であった

そして、この念話は範囲念話であるが

桜には聞こえない様に調整されていた


『なんでだ?桜がやる気になってるから、止めたくはないんだけどな』


『そうだ!そうだ!これからが面白いとこじゃねえかよ』


『紫音は黙ってて

 蓮さん桜、さっきので拳痛めてるみたいだし、止めてもらえないかな?』


『いやいや、面倒事持って来たのは鈴だろうに』


『まてまて、俺は今さっき来たとこで、事情が分からんが

 面白そうなんで、止める気はないぞ

 それに、たまには、バカの桜も、痛い目に会ったほうがいい

 だいたい、一回殴ったら、それがどういう物か、分かれと言うんだ』


『なら、てっちゃんに』


『俺もパス、ニニスの奴も楽しんでるし

 クラスの奴ら見てみ?誰1人として、止める気はないぞ、ほっとけば?』


『さすがだね、クズクラス・・・・紫音と同類の変人ばっかり・・』


『まて、紫音と同類とか、やめてくれ』


『変人って、そんなに褒められたら、右足に力が入るじゃんかぁ~』


『シオン、思いのほか硬そうだな、あの結界威力あがったか?』


『あぁ、レンに結界破られて、泣いてたからな

 ちょこっと、俺が手を加えた、だいたい+30%って所かな』


『ほう、なら・・魔法の許可でもだすかな』


『やめてくれ・・・・さすがに壊れる』



そう、ナックルを付けた、桜の力でも

結界の力は揺るがないと見えたが

結界の中にいる紫音は、驚いていた


おいおい、まてまて、魔力力場で固定された結界が

衝撃を受けてるって、どれほどの攻撃力だよ

かろうじて、結界の形を保ってるが

これ以上、食らうとヤバいぞ、頑張れニニス


ニニスもニニスで、すでに結界の状況は把握していた

そう、ニニスも驚いていたのだ

打撃だけで、この結界を揺らすほどの攻撃力

あの、レンは、まるで、邪魔な蜘蛛の巣を振り払うように

片手で結界を引きちぎったが

桜は、桜で、この結界を破壊しかねない程である

この兄妹は、常識を逸してると

そして、桜の攻撃で消耗する魔術符結界の魔力に

ニニスは、負けないように魔力を込めるのだ


だが、見た目では

桜の攻撃でも、微動だにしない防御結界


その後ろで、雰囲気が一気に変わる、四条優美

それは、何かを覚悟したような

雰囲気を持つ立ち姿の四条優美の姿があった


ナックルで、何度も、何度も、その拳を振るっていた

桜に声をかける


「桜、さがって!」


その言葉に、結界を殴っていた桜は

結界から離れるように、後ろに飛び退くのだった


そして、優美は、半身に構える

そして、両手を、紫音に向けて突き出した



その瞬間

リルの呼びかけで、1万倍近い念話が行われた

鉄雄と桜は、その速度に付いてこれない


『皆様』


『どうしたのリル?』

『なんだリル?』

『マジか!!』


『シオン様、まだ何も言っておりません』


『ちっ』


『では、説明させてもらいます

 四条優美さんが、使おうとしているのは

 あちらの世界の攻撃系スキルに近い物だと思われますが

 無理やりのデバイスで制御と、精神が興奮状態に有り

 演算処理能力の低下が見て取れます

 その為、魔法制御が不安定となり

 暴発の可能性は32%、不発の可能性は19%

 安全性を考慮して、私が陰で制御させて貰いますので

 暴発の可能性は0ですが

 そうなりますと、スキル成功率100%となります

 威力は、不安定な為、計測は出来ませんが

 最大値で、ニニスさんの結界より上だと思われます

 いまの防御形態だと、確実に破壊されます

 シオン様、覚悟を決めて死んでください』


『おう、わかった死んでみるって、オイ!』


『いやぁ、惜しい人を亡くした、お陰で、世界が平和になるわ』


『そうなの?蓮さん、紫音が死んで、平和になるなら私が殺すけど?』


『おいおい、蓮も鈴も、そんな事いってたら

 幽霊になって、お風呂のぞいちゃうよ!』


『さすがは、シオン様、死んで、レン様の裸を覗き、ホモに目覚めるとは

 死んでも害虫ごとき変態ですね』


『よし、死んでみるか!』


『紫音は、勝手に死んでて

 それで、リル、もしかしてアレって、四条家の秘密っぽい?』


『はい、そうだと思われます

 再現しようとしている物は

 この世界の理 (ことわり)では、有り得ない魔法であり

 確実に異世界のスキルだと思われます』


『なら・・・優美ちゃんを守って』


『と、言う事らしいです、シオン様、レン様どうなされますか?』


紫音達は、鈴の「守って」の言葉

その奥に隠された意味を当然の如く理解する


『そんな事は、言われなくても、わかってるわい

 リル教室を隔離、外部からの目を潰せ』


『はい』


『ティア、監視の目を全てロック』


『ロック済です』


『鈴、衝撃から教室の全員を守れよ』


『準備出来てる』


『さぁ、みな、みな様

 上級魔法を越えると思われる、異世界の攻撃スキルが発動します

 危険なので、白線までお下がりください

 ですが、俺の逃げ場はございませんって、どうせぇちゅうねん!!』


『ん?死ねば?』


『シオン様、死んでください』


『絶対、防御すんなよ、シオン』


『チョ!! 俺、マジで、泣くぞ!』


そして、リルの隔離結界によって、封鎖される教室

外から教室を除くなら、光に反射され、その教室の内部は覗けれなくなり

廊下を歩く人間からは、その意識から、この教室は存在をなくす

教室内にある、監視カメラ、盗聴機は

ミィーティアによって全てその動きを止めた


優美が前方に差し出した左手

その左手に雷 (いかずち)の長弓を具現化させる

そして、右手で長弓の雷の弦を引く

大きくしなる長弓、そして、具現化される、氷の矢


教室では、おーーーーと驚きの声が上がると同時に

その威力を感じ取った、生徒達は

自分を守るため、または、近くの人間を守るため

防御魔法を展開させる

そして優美の手から放たれる

異世界の攻撃スキルに似た魔法


迎え撃つのは・・・・


マジ?リルの奴、何か?アレの威力に変な力、上乗せさてねえ?

この、魔術符形態だと、防ぎきれねぇ

てか、リルなら制御して、威力弱める事も

魔法を消し去ること可能だろうが!!


頭の中で文句を言う紫音

その頭の中に『威力に関しては、私ではありません』と

細々と説明するリルの声が聞こえるが、無視である

それ以上に、ワザと魔法を成功させた事に対しては黙秘よか!と・・


とっさに、足の下で嬉しそうに騒ぐ、くまの着ぐるみを摘み上げ

ニニスに今の現状を見やすく、優美に向け

ニニスに、お願いする紫音


「ニニス様、ニニス様、やばいっす、防御結界の形態を変えてくれ」


「ふっ! シオもとうとうなの、ニニスのスゴさがなのなのあのあ???」


ニニスの目に写ったのは、信じられない程の増幅していく魔力の塊である

さすがのニニスも、危険を感じ

紫音の言う通り、魔術符防御結界の形態変化を行う


これは、紫音が、ニニスの魔術符の結界を強化するとき

ニニスに提案した事である、さすがのニニスの完璧だと思われる結界だが

全方位の結界であるが為に、その力は分散される

ならば、結界の力を越える相手には、その力を集中する形状を提案した

今では、数種の形状を持つ、ニニスの結界

その中で、一点集中型防御形態へと、ニニスの魔術符は、瞬時に移行する

それは、ニニスを抱える紫音達、2人の前に形成される

まるで強固なる盾の様に、ニニスの前方を守るのだった


その瞬間に放たれた、優美の魔法は

数十枚で作られた、魔術符の一点集中型防御結界を貫いていくが

半分近くの魔術符を破壊したところで、優美の魔法は完全に推進力を失い

その魔力を爆発させる、上位の魔法の爆発の威力は

この教室くらいなら、木っ端微塵にできるほどだが


その爆発を防いだのは、優美の魔法がその手を離れた瞬間に

優美の前に飛び込んできた、青い髪の少女


その小さな少女は、すでに

その身体に刻まれた封印を限定解除し魔核を起動させていた

そして瞬時に魔法を構築させていく


デバイスを使った科学魔法、その防御系マジックウォール

その変化系、【防波結界】横に長く広がる範囲限定結界であるが

そこに、鈴の持つ魔力を上乗せさせ、完全隔離の魔法を作り出す

言うならば【超防波隔離結界・改】と言う所だろう

それを瞬時に作り上げた


その魔法で隔離されたエリア、そこには紫音とニニスがいた

当然ニニスの魔術符結界も、そこにあり

その隔離された空間で、優美の魔法が爆発したのだ

その爆発の威力と、魔法によって生み出された雷 (いかずち)が

吹き荒れ膨張し始めたとき、鈴は次なる魔法を発動させる


デバイスに登録してある、初級の風魔法【エア】を2つ

隔離された紫音側の空間に出現させる


それは、小さな旋風 (つむじかぜ)の様な魔法だが

その魔法をカモフラージュに使い、その中心に

紫音がこの世界で新しく作り出した魔法を出現させる

その魔法とは【ブラックホール】

そこには、2つの、黒く渦巻くテニスボールほどの球体が現れ

膨張しハジケ飛ぶ、優美の魔法の残骸を吸収していった



******



現代科学魔法に、鈴の魔力を上乗せしたり

おなじく、現代科学魔法をカモフラージュに使い

異世界の魔法を使う方法は、鈴にとって造作も無い事である

それもそのはず

それは鈴にとって精神崩壊寸前までなってまで

紫音に叩き込まれた、魔法の使い方の一例でしかない


そして、相手の魔法に関しての対処法もである

狭い場所での、爆発、拡散、炸裂系統の魔法使用

これの、一番の危険性は、その威力による大気の膨張である

狭い空間での爆発、それの威力の二乗倍で計算されるその膨張率は

恐ろしい威力となるのだ、ならばどうする

その膨張した大気を吸収すればいい

そのための【ブラックホール】である


異世界での魔法【ブラックホール】

闇系統の最上位魔法の1つであり、その威力から

どれだけ制御し、最小の威力に抑えたとしても

直径100メートルの全ての物を全てを消滅させるほどの威力であるが


鈴が使った【ブラックホール】これは、雷系統の魔法である

現代の科学魔法でも、電力で【ブラックホール】を作り出す計算式は存在する

ただ、それを現実化する、電力と魔力を作り出せないだけであるが

そんな計算式を普通に知っていた

幼き紫音の記憶と、異世界の知識を持つシオンにしてみれば

それを、可能にする魔力を持った鈴に教え込む事は容易であった

そして、限定解除した、今の鈴の魔力でも制御次第で、その大きさは

直径1センチ~~数百メートルまで、作り出せる


そして、これを見た、蓮

さすが雷帝と呼ばれただけあり

瞬時に、この魔法が雷属性だと理解する

そして、この日の夜には、紫音を脅迫し教えてもらい

次の日には、蓮も使えるようになっていた



******



そして、隔離された、紫音とニニス

紫音はとっさに、くまの着ぐるみのフードをニニスに深く被せる

紫音お手製【くまの着ぐるみ】それには、魔法防御と物理防御の刻印が施してあり

フードを深く被せることで、中の人間を完全に守れる使用となっているが

この爆発に耐えれるほどの力は無いが

それでも、鈴が魔法で爆風を吸収してくれたお陰で

被害は最小限となり、ニニスには怪我の1つも無かった

紫音というと、ただ・・・・耐えた

爆風で吹き荒れる中、多少の破片は、紫音の物理防御魔法刻印が発動するが

魔力な、雷 (いかずち)や、魔力を帯びた爆発に対しては

なす術がない紫音は、ただ耐えた


そう、何度も死を体験した紫音が体験してきた苦痛

それは、死ぬほどの苦痛ではない

死んでしまったほどの苦痛である

それでも、苦痛に慣れる事は無い

痛いものは痛いのだ


そして、教室を吹き飛ばす程の、荒れ狂う爆発は

鈴の魔法によって、被害を最小限に抑えられ

鈴の魔法も、消えていく

その瞬間、リルの隔離結界も解除された


それは、今、四条優美が使った、魔法や

鈴が使った魔法は、外部に一切漏れていないと言う事あるが

この、クズクラスに居合わせた、人間はその目で見たという証拠はあるが

2人が使った魔法が、異世界に準ずる魔法・スキルだとは

当事者以外は誰も気づかないのであった


腕の中で暴れる、ニニスを抑え

全身が痛い中、バレ無いように、やせ我慢で、無理やり笑顔を作る紫音

そして、表情の抜け落ちた、目の前の美人に


「これが、四条の隠しスキルか?

 さほど威力は無いな、俺の防御魔法、形態変化【イージス】の方が格段に上だ」


それを聞いた、ニニスは

それを否定するように、ふがふがと、フードの中で叫ぶのだが

紫音は、そんな事、無視で、切羽詰まった声で、ニニスに、お願いする


「ニニス様、強化!強化して!さ・・桜さんが来る」


ニニスを助けるために飛び込んできた、身体強化された桜

紫音も聞いていたのだ

蓮が念話で、桜に魔法の使用許可を出したことを


そして、ニニスも自身の魔術符に魔力を注ぎ込む


だが、身体強化をした桜は

紫音の作り出した、オリハルコンのナックルを使い

その力の50%の力で、ニニスの防御結界に

渾身の一撃を食らわす!


一気に、1万倍近く意識を加速させる紫音

紫音の計算では、残った、半分ほどのニニスの魔術符でも

ニニスの追加の魔力で、ギリギリ桜の攻撃を受け切れると判断したのだが

桜の渾身の一撃は、まるでニニスの魔術符を

ただの紙切れの様に、破り捨てていくのだ

これには、紫音も驚いたのだ

そして、このまま、桜の攻撃が通れば

その先に居るのは、自分であると

そして、リルに命令する


『リル、バレないように、ニニスの魔術符の間に

 次元固定の壁を作れ』


『シオン様、今しがた、桜さんのナックルに

 何かしらの、スキルの発動を感知しました』


『おそいわ!リル!この状況見たら俺でも分かるわ!』


『・・・・・・』


『あ・・・ごめんなさい、助けてください、お願いします、リルさん・・』


『しかたないですね

 【空間固定 (フィクス・キューブ)】を使います』


ニニスの魔術符は、魔力力場の空間固定であるが

リルの使ったのは【空間固定 (フィクス・キューブ)】

任意の形、大きさの空間を、次元の狭間に固定するものである

それは、リルと同様に、次元の狭間に干渉できないかぎり

破壊することも、傷つける事も、不可能である

そんな、ニニスの魔術符1枚ほどの、空間を

ニニスの魔術符結界に紛れ込ます


まるで、ニニスの魔術符を紙切れの様に突き破る桜の拳が

リルの作り出した、フィクス・キューブにより、止められた

その衝撃は、この空間に重苦しくズシリと、響き渡るのだった

そして、桜の右拳は、その衝撃に耐え切れず骨が折れた

それを、見ていた蓮から

念話で桜に、攻撃中止が言い渡されたのだった


そして、紫音の前に残った魔術符から

数名を除いて、あの桜でも、この防御結界は破れないと

感心するのだった


紫音は、ナックルに、スキルなんか付けた覚えはない!と

驚き、詳細をリルに聞くが

スキルの発動は感知できても

その詳しい情報は、分からないと、リルは口にした


一瞬の静寂の中


自力で、着ぐるみのフードを脱ぎ

かわいらしい顔をのぞかせる、ニニス


だらりと下げた、両手の拳から血を流し

その床を、赤く染め上げる、桜


魔力を使い果たし、顔を青く染め

それでも、その目だけは、紫音に敵意を向ける、優美


内心では、ニニスの魔術符の残りも僅かであり

これ以上、攻撃を受けることは避けたいと願う紫音


だが、目の前に居るのは

魔力切れの四条と、攻撃中止を言い渡された桜

これは、どう見ても、俺の勝利と、うすら笑い

最後に2人を、からかおうとする、紫音が見たものは


優美と、桜の前に進み出た、背の低い青髪の少女の姿であった




****************



四条優美が、異世界のスキルを使った時

リルの念話を、紫音は無視をしたいたのだが

それを、聞いていた蓮は


『え?俺のせい?』と、思ったらしい


リルの隔離空間で、魔法を使った優美だが

その、隔離空間の中に、蓮が【雷帝・レイ】居た事によって

この空間は、雷精霊の発生率が、尋常でない程上がるのだ

そして、優美の魔法で具現化した【雷の長弓】と

【氷の矢】に纏わせた、雷の威力は格段にあがる

そして、優美の使った、異世界の攻撃スキルは

初級の上位のスキルに、近いものだが

その威力は中級並であったと

その為、普段より威力が上がった、魔法の為

暴発が予想されたが、それは、リルの補助で

その危険性は取り除かれたが

成功してしまった、その優美の魔法の威力は

蓮の制であって、リルが面白半分で威力を上乗せした訳ではないと


紫音に無視されても、きにせず淡々と話す、リルの念話であった




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