表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンタッチャブル・ツインズ ~転生したら双子の妹に魔力もってかれた~  作者: フラック
第2章 中等部模擬戦篇 第1部 きぐるみ幼女なの!
85/166

17話 奮闘 四条優美

 


 

「ニース様!!!」


 

優美は、声をあげ、右腕を前方に突き出し、その手の平を

うすら笑う男に向けるのだった


その男は、他国の姫君を・・・

そう、かわいらしい、くまの着ぐるみを着る

9歳の少女を、その足で踏みつける


常識のある人間なら、そんな事は出来ないだろう

世の中には、人として、やってはならない事がある

常識も道徳も優しさも無い、その行為に

優美は、その男が誰かも忘れ

攻撃を仕掛けるのだった


「ホーリーレイ!!」


優美の言葉と共に

優美の手の平に、現れた光の塊が、男に向かって飛んでいく

光の尾を引く、それはまるで、レーザービーム


だが、優美は、魔法を放った瞬間、背筋を凍らすのだった

見たのだ、その光魔法の標的となった男が

優美と視線を合わせ、あざ笑うかのような顔を


優美の放った、ホーリーレイ

それは、紫音に届く事は無い

紫音に届く前に、何かにぶつかり、その光を拡散し

教室を、眩しいまでの白い光で包み込んだのだ

その光で、一瞬視力をうばわれる優美

一度まぶたを閉じ、左手で押さえ回復を待つ

回復し、目を開けた優美の前に現れたのは


未だに・・・


ニニスの顔を、踏みつけ、笑う紫音

猫背の様に背中を丸め、少し上半身を前に屈め

両手はブラリと、だらけさせ首を傾け

舌を出して、優美に対し、ブキミに笑う


そして、そんな、男とニニスを囲むような結界

それは、空中に散布された、魔法符が何十枚と浮かび

2人を守るかのように、球体を作り出していた


それを見た、優美たち

その中で、かんなだけは、それを理解する・・・


「これが、魔力力場による、魔術符の空中散布?ほ・・・本物・・・」


そして、優美の耳には、助けを求める、ニース様の声が


「ひょうひゃのほ、ほへほえへ  グハ!」


その声は、紫音の右足に、すぐに潰される・・

それも、ニニスの顔を、紫音は、右足でグリグリと、踏み潰しながら


「そんな、しょぼい魔法が、俺に効くとでも?

 そんな魔法では

 俺の混同魔術符防御結界【インビジブル】を破ることは不可能だ

 そして、ニニスを助ける事もな」


それに、対抗してか、ニース様は・・・

紫音の左足にしがみつき、力の限り、私に助けを求めて来た



「ほへは、ひひふのはほうはほほ

 ひんひふふはんへはまえほほはいほほなほ

 ほへに、ひほはへふぁいひほひほめへひりはほほ

 ふははっへるほほ、ひほはほほっほほ 」


優美は歯を噛み締める


私が・・いや、ニース様を助けれるのは、私しかいない


「わかりました、ニース様、もう少しお待ちください

 今すぐに助け出しますから

 こんなっ結界すぐにでも、壊してみせます」


その声を聴いてか、ニニスも叫ぶ


「ひひふほへっはいほほはふ?ふひはほほ」


ニース様が助けを求めている・・・

光系統の魔法は全く効いた効果がない

なら、物理効果のある魔法で、つらぬく!!


優美は右手を頭上に掲げ


「アイスランス!」


優美の頭上に、3つの、氷の槍が出現する

氷系統の中級魔法、それも、ランス形状のそれは

実物のランスと同じく、貫通能力特化の物理属性を有する魔法であり

3つの魔法同時発動の【ドライマスタ-】の優美だからこそ

3つの、アイスランスを出現させれたのだった


そして、掲げた手を、紫音に向かって下ろすと

アイスランスは、勢いよく紫音に向かって飛んでいくのだ

だが、貫通特化である、アイスランスすら、結界に当たると

勢いよく粉砕し、その氷となった魔法の粒子を撒き散らしながら消えていった


信じられないと驚く優美

光属性特化の防御魔法でない限り防ぎにくい、光魔法が止められた

物理防御魔法を貫き壊す為に開発された、アイスランスも止められた

そして、やっと、目の前の防御結界の強固さが理解できたのだ

そして、この結界を壊すには、中級魔法では無理な事も理解した時


足元から衝撃が走る、それも、1度2度・・・そして3度

それは、目の前で、桜が結界を、ぶん殴ったからだ!

空中浮遊散布型であるため、魔力力場で、完全固定されている結界である

力任せに殴ろうと、その衝撃は、殴った本人に帰っていく

そう、その衝撃は、桜の拳と足元に集約され

床を伝わり、優美に伝わったのだ

そう、それほどの衝撃、桜のその拳に込められた力が

どれほどであったかは、丁度このクラスに顔を覗かせた

桜の兄しか、分からなかった


桜も、ダチとなった、ニニスが踏まれた事に怒っていた

ただ、踏まれたなら、そこまで怒らないだろう桜だが

踏まれた場所が、ニニスの顔であり

完全に悪意をもって、踏んでいる、紫音に怒っていたのだ

そして、優美の魔法攻撃が効かないと見るや

その拳で、結界を殴りつけたのだったが

左、右・・・・・そして、力を溜めた、大ぶりの右拳

だが、結界に変化はない

変化が有ったのは、紫音だけである


「クククククク・・・・・・・・ハハハハハハハ」


上半身を、揺らしながら

右手で顔を覆うと、顔を横90度近くまで倒す

そして、その右足で

助けを求めようと、必死で叫ぶニニスを

グリグリと、踏みつけ、いたぶる紫音の姿があった


「しょぼいな・・・

 これが、十士族・四条さんの力か

 所詮は何も知らない小娘って所か

 桜さんも、レンから聞いてたより弱いな

 もうちょっと期待したんだがな

 レンは、去年この結界を

 まるで、紙を千切るように、片手で引き裂いたんだがな

 2人とも、いや、ニニスも所詮

 俺に指一本触ることすら出来ない、カスと言う事か」


その言葉で、優美と桜の脳裏に、先日の事が浮かんでくる


鈴の召喚されて現れたと言った、裸コートの紫音の事である

すぐに、姿を消したが、その強さの断片は見た

そして、あの事件は紫音が終わらせた事も知っていた

もしかしたら、あの時の鈴や、小さな【リル】と名乗った生き物と同じく

想像を絶する力を隠し持ってると

そして、この結界もその断片だと


そして桜は、戦闘モードに切り替わる

目の前の男、紫音は、兄の蓮と同等の力を持っている

本気の兄と組手が出来る人間とか

心の底で信じてなかったかもしれないと

そう、素手で結界を殴ったことが

信じてなかった証なんだろうなと

そんな事を、感覚的に理解し


そして、スカートのポケットから、2つの武器を取り出し

その手に装着する

そして、兄から、許された最大値の力である50%の力で

全身をバネの様に使い、結界に一撃を入れるのだった


そして・・・もう一撃


また、一撃と


だが、ナックルを付けた、桜の力でも、結界の力は揺るがない

それでも、桜は殴ることを止めない


それを見た優美は、ある覚悟を決める


私が、バカにされるのは、構わない、だけど

これ以上、ニース様を、そんな屈辱的な姿で・・・

こんな事が知れ渡ったら、本当に国際問題に

いや、監視の目は、どこにでもある

すでに、この事実は報告されているだろう

だからこそ、一刻も速く、この状況を終わらせないと・・・・

ごめんなさい、お父様、四条の力、その一部だけ、使うことをお許し下さい・・



「桜、さがって!」


その言葉に、結界を殴っていた桜は

結界から離れるように、後ろに飛び退いた


そして、優美は、半身に構え両手を紫音に向けて突き出す

そして、心を落ち着ける様に、息をはく

そして、優美は頭の中で、自身のデバイスに向けて、念じる


(リミッター解除、第3・第4チャンネル開放、SS4起動)

 

優美の左手に、雷 (いかずち)で出来た、長弓が具現化されていく

そして、その弦をゆっくりと右手で引く


(第9チャンネル開放・・・・)


教室の気温が一気に、数度近く落ちていく

そして優美の手の中に、氷の矢が具現化されていくのだ

そして、優美は小さく呟く


「シューティング・アロー」


魔法を使った事で、優美は、学園を去る事を覚悟し

右手を開き、その具現化された矢を放つ


雷 (いかずち)を纏った、氷の矢は、今放たれた

それは、、いつしか優美の頬に、流れた涙が頬をつたい

落ちていく、一粒の雫を弾き


今、その標的となる、紫音を目指して・・・・


だが、紫音が両手に抱え

優美に向けて突き出した【ソレ】に優美は、心の蔵が止まる


紫音が優美に向けて突き出した、ソレとは・・・

くまの着ぐるみを着た少女である


ニ・・・・ニース様を・・・盾に!?


すでに、遅かった、優美の・・

四条家の極秘の魔法の1つは、すでに放たれた


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


優美は、紫音の極悪非道の行動に憎悪すら覚えた

いや、そんな感情すら

目の前の出来事に、優美の感情は追いつかず

ニニスの名前を叫ぼうにも、その叫びは言葉にならなかった


優美の全魔力を注ぎ込んだ【シューティング・アロー】

その威力は、まさに上級魔法をはるかに越える

今、まさに紫音とニニスを囲む、防御魔法と交差する


その爆発、衝撃は、軽くこの校舎を吹き飛ばすだけの威力


優美は反射的に、両腕でその顔を守る

すでに、魔力を使い果たした優美にとって、それしか

この衝撃を防ぐ術がなかったのだ


だが、優美が感じた衝撃は無い、軽く体が揺れたくらいである

そんなハズは無いと、再び視線を前に向ける

そこには、微かに揺れる、大きなリボンと青い髪が存在した


そして、優美

いや、数人を除いた、この空間にいた全員が

何が起こったか理解すら出来なかった


そう、この空間に居た数人を除いた全員が

優美の魔法を視認するや、防御魔法を張る

または防御魔法が得意な人間の後ろに身を潜めた

そして、上位攻撃魔法と上位防御魔法の衝突

だが、その衝撃は・・・無い


そう、目に入ってきたのは

紫音とニニス、2人と、優美達全員を

分け隔てる様に展開された、魔法の壁である【防波結界】

そして、紫音とニニス側に、浮かぶ2つの黒い球体

その2つの球体は、魔法の爆発、衝撃を全て渦を巻くように吸収し消えていく

そして、目の前に展開された防波結界も消えるのだった


そして、優美の前に飛び出てきた、人間がそれを行った事と

優美の攻撃魔法を受けてすら無傷である、紫音とニニスの姿に驚くのだった


紫音は、ニニスを左腕で抱え

右手でニニスが着ている、くまの着ぐるみのフードを

ニニスの顔が隠れる位深々と被らせていた

そして、「ふがふが」と、暴れ叫ぶニニス


そして、紫音を囲むように展開していた防御魔法は形を変えていた

まるで、紫音の前面を守るかのように

魔術符は複雑に重なり合い、盾の様に紫音を守っていた

そして首を倒し、笑うように口を開く


「これが、四条の隠しスキルか?

 さほど威力は無いな、俺の防御魔法、形態変化【イージス】の方が格段に上だ」


愕然とする優美

四条家の極秘である魔法を使ってすら、防御魔法を打ち破れない

ニース様を助けれないと・・


そんな優美の前に現れる桜色のくせっ毛を揺らす少女


その少女は、つい今!少女の兄から、魔法を使う事を許可された


そう、桜は今、紫音から、ニニスを救うため

肉体強化魔法と、速度強化魔法を、その身にまとい

右手にナックルを付けたまま、その力の50%を開放し

紫音を守る、魔術符防御結界・形態【イージス】を

渾身の一撃を食らわす


だが、衝撃が広がるだけで、その防御魔法は打ち破れない

そして、その衝撃は、そのまま桜に返ってくるのだ

一番最初に、この結界を攻撃した時に、すでに桜はその拳を痛めていた

そして今、紫音の作り出した、ナックルの衝撃吸収でも、殺しきれない衝撃は

桜の拳を、さらに痛めつけ、拳の骨が折れていたのだ

そして、兄から念話で、攻撃中止を言い渡される


だらりと下げた、桜の両手から、こぼれ落ちる、赤い液体

優美は、ちらっとそれを視界に入れると、唇を噛み締める


どうして、こんな事になった・・・・・・

なんで、こんな事態に、ニース様を巻き込んだ

鈴の兄、紫音君は、何をしたいのか・・・

それ以上に、魔力値2の彼が

どうして、これほどの防御魔法を・・・


いや、それでも・・・・・

私は、日本を代表する十士族、四条の名を持つもの

どんな事があろうと、ニース様を守らなければならない


魔力が切れた今


この身1つで、出来る事は少ないが

日本を守るために

命を掛けてでも、この体を投げ出してでも・・


そんな、覚悟を決める優美と


その両の拳から、血を流す桜


そんな2人の前に進み出たのは

大きなリボンを付けた、長い青髪の、小さな少女であった




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ