表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンタッチャブル・ツインズ ~転生したら双子の妹に魔力もってかれた~  作者: フラック
第2章 中等部模擬戦篇 第1部 きぐるみ幼女なの!
84/166

16話 有り得ない光景

 



「オッス!オラ、ミチカゼシオン、鈴ノ双子ノ兄ダ!ミンナヨロシクナ!」




それは、昔のアニメのキャラクターを模した自己紹介であった

紫音はこの学園に来て、1年と1ヶ月と少し、初めて自己紹介をしたのだ


この、クズクラスでは、友達のフルネームなど気にしない

そもそも「しおん」が、苗字か名前か?それとも、あだ名か愛称か?

そんな事さえも、知らずに、クラスメイト達は

紫音を「しおん」と呼んでいたのだから


紫音は今、自身のフルネームを、その苗字を口にしたのだ

そして、鈴の双子の兄だと、言ったものだから


その事実を初めて知る人間にとって

その衝撃は計り知れないほどであり

紫音の、クラスメイト達は、叫びをあげるのだった






いったい誰が信じれるだろうか


目の前に居る、青髪の天使、三千風鈴


その天使は、130cm程の身長

腰より長い綺麗な青髪の可愛らしい少女

人当たりも良く、性格は明るくで優しい

歩く姿は、そよ風になびく草花の様に綺麗であり

立ち姿は一輪の花が咲いているかのような少女


そして椅子に座るは、怠け者の変人、しおん


いつも寝ていて、まるで生きている覇気は無く

起きていれば起きていたで、やる気はなく

何を考えているのか、まったくもって理解不能

歩く姿は、左右にのらりくらり、地を這う粘着スライムかの如く

立ち姿は、枯れ木に付いた最後の1葉のように、今にも朽ちて散るかの様に


見た目も、性格も、まったく、かけ離れた2人


いったい誰が、兄妹だと、それも双子だと信じられるのか



だが、さすがクズクラス、見た目がどうであろうと

天使と変人が兄妹だと解ると、それに対応して動き出すのだった


その中でも、いち早く動く鈴に駆け寄ったのは

ボサボサの長い髪を後ろで無造作に三つ編みにし

メガネを掛けた女子生徒

鈴に近づくと、少し腰を下ろし自己紹介をはじめる


「お初にお目にかかる、鈴殿、拙者は【フランシーヌ・アカネ】

 シオン殿の1番の心の友でござる、お見知りおきを

 いやいや、それにしても、シオン殿に、こんな可愛い妹殿がおられるとは

 それにしても、双子とは信じられないでござるな

 創作意欲を駆られるシュチュエーション

 浮かぶわ、ロリ妹に、長身の兄の双子の兄妹が・・

 グフフ・・・グフフフフ・・・・・・」


フランシーヌ・アカネと名乗る女性は

3-Jの生徒の思いを代弁しながら

その脳内では、有らぬ事を描き、不気味な笑いを繰り広げる


フランシーヌ・アカネ?どう見ても日本人の顔つきだけど?

ハーフか?何か?それに、紫音の友達?

いや・・ある意味納得だけど・・


「あ・・アカネ先生!」


「おぉ!そこに居るのは、サマー・アイズ殿ではないか!

 冬コミ以来じゃのー元気しとったか?」


サマー・アイズ?ふゆこみ?私の知らない単語が、飛び交って・・

まって・・・先生?って、いわなかった? 


「アカネ先生、それは内緒だと・・・

 夏目ですよ、小早川夏目ですってば」


顔を真っ赤にさせ、左手で口元を隠した

夏目が目の前の女性に、訂正をいれる


あ、また先生っていった・・それに

夏目・・だから、サマーアイズか!・・・・でも内緒とは?

・・・照れる、なっちゃん・・・珍しい・・いったい、サマー・アイズ?って


「すまなかった、夏目殿

 それにしても、夏目殿と鈴殿が友人だったとは、知らなかったでござるよ

 いや、前々から、鈴殿とは、一度話してみたかったでござるよ」


「三千風鈴です、よろしくです、フランシーヌ・アカネさん?

 なっちゃんと友達なんですね?」


「アカネでいいでござるよ、夏目殿とは、古い付き合いであってな

 初めて会ったのは、何時の夏コミの会場であったか・・」


アカネが、鈴と話し込もうとした傍から声がかかる


「ちょっとまった、茜、あんたばっかり、抜けがけさせないわよ!

 私達だって、三千風さんと、話したいんだからね」


そう、鈴の周りには、ちっちゃくて可愛いもの好きな女子生徒達が

8人程取り囲んでいた、そして、彼女達に可愛がられる鈴

まるで、中等部に迷い込んだ、可愛い子猫のように

可愛がられ、質問攻めにある鈴

普段なら、かんなが、そんな取り巻きを排除するのだが

かんなは、一番危険人物と感じ取った・・・

いや、本能的に、同類と感じ取った相手である叶芽希唯を警戒し

希唯の視線から、鈴を守り通していた


夏目は、目の前の、アカネが、関係ない事まで話さないかと

内心ヒヤヒヤしながら、鈴とアカネを見守る


そして、今の現状に一番驚いておるのは、四条優美であった

そう、彼女は今、数人の男子生徒に囲まれていた


鈴に駆け寄る女子生徒より、数秒遅れて男子生徒も動きだしたのだ

優美に駆け寄った、男子生徒達は

我先にと、自身の名前を叫び、適当に自己紹介を終わらすと

鈴と同じように質問攻めに合うのだった

それはまるで、転校してきた、美少女かアイドルかと思わさんばかりに

優美にしてみれば、初めての事である

きっかけは何であれ、十士族の四条優美に声を掛ける男子生徒は少ない

いても、よほどのバカか、礼儀をしった紳士的生徒であり

優美は常に、上流階級のお嬢様と対応されてきたが

このクラスの男子生徒達は、多少は気にはする者もいるものの

その、言葉使いや態度は、普通の友人に対するソレであった


その理由も優美はすぐ納得するのだ

このクラスには、自分より立場が上の人間

国賓級の人物、フランク王国の姫が居るのだ

そんな、人物を抱えるクラスの生徒達が

士族である自分に対する免疫があってもおかしくはないと


事実そうであるが

ニニスも、初めは、まるで腫れ者にさわる様に扱われていたが

一国の姫?、そんな事知った事か

自分には関係無いと、態度で示した数人のバカに感化され

元々、バカと自己中の塊の、クズクラス、1年も経てば

立場とか、位とか、個人の背景とか、関係無しに

ニニスとも、普通の友人として接するまでになっていたのだ





教室の後ろでは、それを仲良く見守る、鉄雄とカレラ

そして、自分の席で、鈴達を観察する紫音



ククク、カオスまっしぐらだな

それにしても面白い人間関係が出来上がっていくな

やっぱり、多少の情報と資料だけでは

ここまでの事は想像できなかったな

やっぱり、この世界は面白い

にしても・・

鈴の奴囲まれてる、囲まれてる、あたふたしてやがるし

それにやっぱりと言っていいほど希唯の奴、鈴に飛びつきやがった

それを守ったのは、山代さんか、なかなか感は良さそうだな

いや、あれは同類に対する直感なのかもな?

だが、どんな事があっても、机から動かない自分の制作活動最優先の

アカネの奴が動いたのは、俺的にもびっくりだ

でも、アカネの好み的には、希唯や、山代さんと、同類だからな

動くのも解る気もするが、アカネの言った

「俺の一番の心の友」ってのも気になるんだが

まぁ、俺も、エロ漫画家【フランシーヌ・アカネ】の大ファンでもあるからな

良しとするか・・

でも、アカネと、小早川さんが繋がっていた?

サマー・アイズだったか、その名前と、コミケ関係か

後で、アカネに聞いてみるか、面白いのが出てきそうだな

四条さんも、囲まれて質問攻めか、心拍数上がりまくってんな

それでも、態度には一切出さないとは

さすが四条家、訓練されてるなぁぁ~・・・

鈴も、あれくらいにならないと・・

あと話には聞いていたが、桜さんと、ニニスが

あそこまで仲が良かったのは少し驚いたな

それにしても、混沌としてやがる・・・

よし、この隙に逃げるとするか



窓際の自分の席に座って教室を眺めていた紫音は

静かに窓を開けるのだった

それに気が付くカレラは、鉄雄の脇腹を肘でつつき


「ねぇ、アレ」


「おい!おまえら紫音が逃げるぞ」


「アホか!ばらすなよ、てつ!」


そう、殆どの人間が

この旧校舎に相応しくない団体が

このクラスまで来た目的を忘れていた

それは、当の本人である優美ですら・・


「すいません、紫音君に用事が有るので、少し道を開けてもらえませんか?」


優美の申し出に、優美に群がった男子生徒は、紫音を睨みながらも

素直に優美の前を開ける、男子生徒達


そして、今まさに、椅子の上に足を掛け

窓から逃げ出そうとする紫音に向かって声をかける


「紫音君、少しお話が」


だが!!


それを遮ったのは、他の人物であった


「シオ待つなの

 思い出したなのよ

 前に言っていたなの、シオの親がなの

 科学者のはしくれってなの

 ミチカゼのファーストネームそしてなの

 【ラン・ミチカゼ】博士の事をなの!」


「・・・・・・・・ナンダッテ!?

 ダレデショウカ?、ランミチカゼ、ナンテ知リマセン」


わざとらしく、ニニスから視線をはずし、答える

だが、ニニスが口にした【ラン・ミチカゼ】の名前に

いや、名前の最後付けられた【博士】に反応する人間がいた


「「ラン・ミチカゼ博士?」」


四条優美と山代かんなである

そして、優美が後ろにいた、鈴に振り向き


「鈴、ラン・ミチカゼ博士?って・・・・・」


「お母さんだけど?」


その返事に、かんなが・・・

両手で頭を抱え、左右に揺らしながら


「りんちゃん・・・・・

 知らない・・・・・・・私、ソレしらない

 本当に、ミチカゼ博士って、お母さんなの・・・なんで

 え?え?・・・・えええええええええええーーーーーー」


あまりの事に、興奮するかんな

鈴にしてみれば、皆との普通の会話の中で

母親の事を【蘭】と呼んでいたし、それが母親とも説明している

だから【三千風蘭】は、母親と言うことは、皆しってるはずであると認識していた


世界的に有名な科学魔法学者である

若き天才科学者【ラン・ミチカゼ】博士

まだ30過ぎと言う若さであり

マッドサイエンシストと呼ばれ

研究の為なら人をも殺すと言われる程の

危ない人物とも言われていた

そして世間には博士が結婚している事も

博士に子供が居ることも正式に公表されいなかった


そして鈴から聞く、母親の印象は、優しく温かく理想の母親像なのだ

そして、鈴は両親の仕事の事に関して、一切口外していなかったし

鈴自身も、科学や機械知識は、学校で習うもの程度で、詳しくはなかった

だれが、この2人の人物が、同一の人物だと想像できただろう


そう、両方の人物像をよく知っている、かんであったがこそ

その驚きは、言葉では言い表せれないほどであったのだ


優美の驚きは、かんな程ではないが

世界的に有名であることも知っていたし

優美の父の口から、数度聞いたことのある名前であった

だが、その人物が鈴の母親だったことに、驚いていた


その会話を耳にした、ニニス


「シオ、リンが答えたなのよ、どうしてなの

 今まで黙っていたなの」


くまの着ぐるみを着た、ニニスは

逃げ遅れ椅子の上に立つ紫音に滲み寄る


「ちょっと待て、蘭さんは

 俺の父親の、子供である鈴の、母親であって

 俺には関係ないっちゃ無いような・・・」


とか、遠まわしに言ってみるが、言いくるめないニニス


「それは、シオの母親なのね

 そして、ラン・ミチカゼ博士はなの

 ニニスが一番尊敬する人物の一人なのなの

 博士の論文は、一字一句記憶してるなのよ

 博士が昨年だした、幾つかの論文は

 科学魔法のこの世界の進歩を一気に数年早めたと言われるほどなのよ」


紫音にしてみれば、その論文の核と成る、発想や知識は

紫音が前の世界で積み上げてきた物だったり

蘭が今まで温めていた、絶対この現実では無理だろう事柄と諦めた

紫音すら、驚くような、突拍子も無い、研究であった

それを、この世界で蘭と共に研究し

その中の、これなら世界に発表出来ると思われた

幾つかの常識的範疇にある物であるのだが・・言えば面倒である


紫音は、そっと、背中を丸め、左手で、目頭を押さえた

そして肩を震わせながら・・・

その自身が纏う、負のオーラを全開にし

とてもとても・・・・暗い声で

ゆっくりと語りだしたのだ


「そう、俺達の母親、三千風蘭・・

 あの人は・・・あの人の知識は

 この世界の宝と言っても良いだろう

 だけど、だからこそ

 俺や鈴が、あの人のお荷物には

 なってはダメだったんだ・・・

 俺達家族は、世界の為に・・・

 身を引いたんだ・・・

 そう、この世界の為に・・・・

 ・・・・

 いや・・・

 ちがうな・・・・・

 そんな綺麗事は

 自分を納得させる為の言い訳だ

 ・・・・・・・

 そうだよ

 あの人は、そんな良い物じゃない

 自分の研究の為なら 

 人の命すら・・

 そう・・・幼かった鈴の命ですら・・・

 捨て去ろうとした

 ・・・・・・・

 お前達・・・

 未だに鈴の身長が伸びないのは何故だか知ってるか!

 それはな・・・・

 鈴が、あの女の研究材料にされたからだ・・

 未知の新薬開発とかいって・・・

 研究材料にされ・・・

 何度、鈴が死にかけたか

 殺されかけたか知っているか!!

 ・・・・・・・

 そして、最後には・・

 躊躇なくその手で終わらせようとした・・・

 どれだけ、俺達兄妹が、あの女に殺されかけたか・・・・・・・

 ・・・・・・・

 ・・・・・・・

 そうだ、あの女は自分の欲望の為なら

 家族すら平気で犠牲にする人だ

 いや、人間じゃない

 あれは、悪魔だ

 ニニス・・・・

 あの悪魔の論文を読み続けてきた、お前なら分かるだろう

 あれだけの研究を・・・

 ・・・・・・・・

 あの研究成果を見ておかしいと思わないのか

 あれを作り上げるために

 あの悪魔が、どれだけの物を犠牲をだしてきたか分かるか

 ・・・・・・・・・  

 俺達は、あの悪魔、研究バカに捨てられたんだ・・・

 あんな・・・悪魔の事なんて

 ・・・・・・

 俺のしったことじゃない・・・

 俺は、鈴を・・・家族を捨てた

 あの悪魔を絶対に・・・・

 許さない・・・」


頭を伏せ、全身を震わせ涙ながら

ニニスに・・ここに居る全員に、訴える紫音

鈴・鉄雄・桜、3人を除いた、そこにいた全員が・・

紫音の訴えを耳にし、言葉を失った

紫音の普段の全てを否定するかのような

覇気のない態度の裏には、そんな隠された過去が・・・

そして、天使の様な少女の背景にも

そんな辛い過去があったのかと・・・・・


特に、優美・かんな・夏目は

想像すら出来ない、鈴の、おぞましい過去を

その身長が何故低いままなのか

その真実をしり

その瞳に溢れる程の涙を貯め

頬を濡らしていたのだった


重苦しい空気のなか、鈴が口を開く


「あ、その話、全部嘘だから

 まぁ、研究バカって事はホントだけど

 いたって、我が子が大好きな、親バカだから」


「くそ、鈴ばらすの早すぎだ

 このネタで、1ヵ月は遊べると思ったのに」


「「「「「はぁ?」」」」」


どよめきが走る


そんな中、カレラは、隣に居る平然とした鉄雄に視線を向けた


「ん?ああ、紫音達の母親か?

 ウザイ位の親バカだけど、優しくて良い人だぞ

 妹の胡桃も、蘭さんには我が子の様に可愛がってもらってるしな」


そして、思い出す

シオンの話を真面目に聞くほうが、悪いと・・・

手八丁口八丁、その口にする言葉の9割は冗談であり適当であり

その適当な冗談を、本気で演じるものだからタチが悪い


そして、鈴も鈴である、さっさと紫音を止めれば、よいものを

とりあえず、面白そうと、最後まで聞く始末である



「うそなのなの?」


「そして、妹を守るため、兄妹は禁断の愛に目覚めたんだ

 俺は妹を守る為に、悪の組織と戦い

 その命を投げ出し、死ぬことで、妹を守り通し

 母親に家族の愛を思い出させる・・・・とか?

 なんて、シュチュエーションはどうだ?アカネ?」


「・・・シオン殿、無駄に長いでござるし、そして有りふれてるなり」


そして、鈴が、バッサリ切り捨てる


「紫音キモイ」


「マジかぁぁーーーー」


「シオ、ごまかさないなのよ

 いつもいつも、ニニスをからかって面白いのか!なのよ!!!」


「面白いに決まってるだろ!!」


「くやしいなのよ

 いつか仕返ししてやるなのよ!

 でも今は、ラン・ミチカゼ博士の事なのよ

 シオは、博士の論文も、ニニスの論文も、全て読んでるなのよ

 ニニスに匹敵するほどの知識を持ってるなのよ

 それに、色々教えてくれたなのよ

 だけどなの、なんで博士とファミリーだった事を隠してたなの?!」


かんなは、あまりの驚きに思考回路が止まりそうになっていたが

ニニスの論文?・・・?

ニース・ニケ・クロヴィス・メロヴィング・・・・・博士?

あの、メロヴィング博士?、この子が???

そうか、、当時に6歳で、博士号を取った、天才少女が・・この子・・

もしかして、私は凄い知り合いに囲まれているの??

そんな想像をしただけで、震えが止まらなくなってくる、かんなであった


「そんな、どうでも良い事、きにすんな!」


「うそなのよ

 何度も、ラン・ミチカゼ博士の名前を出してたなのよ

 絶対、言わない方が面白いと思っていたなのよ!」


「聞かれなかっただけだろ?

 大体、俺の苗字が三千風って事も、今まで知らなかっただろ」


じりじりと詰め寄るニニス

紫音は椅子の上に立ったまま

2つの選択を迫られたのだった


1つは窓から逃げる、だが、かなりの確率で

四条さんか、桜さんが追っかけてくるだろう

いや、学園バージョンの、俺の逃げ足では

誰かに確実に捕まるだろうが

昼休みの時間も、残りわずかだ

どうにか、すれば多少は時間を稼げると考えるが

後で同じクラスの、ニニスに説教を受けるだろう


2つめは、覚悟して、ニニスに捕まってしまうことだ

これは、同時に四条に捕まることを覚悟しなければ成らないのだが

これは、メンドくさい、5月の連休の事を問われるだろう

そうなれば、ニニスにも話が漏れると、めんどくささは倍増である


そんな事を考えながら、椅子の上で足に力を入れる紫音


にじみ寄る、ニニスそして


ニニスは笑うのだった

すでに、シオンは逃げれない、捕まえたと

そして、ニニスは両手を広げ、椅子の上の紫音に

声高らかに叫び、襲いかかるのだ


「ガオーーーーーーーー・・・・ォ・・・・ォ・・ォ」


紫音の第3の選択・・

いや、すでに選択肢は、無くなっていた


叫ぶ、ニニスの顔に、フタがされた・・・・


それを見た、優美は唖然とするのだった

いや、鈴、桜、かんな、夏目すら

その有り得ない出来事に、一瞬、動きが止まり唖然となる

そう、多少の事では、動じない桜さえ

その有り得ない出来事に、その感情を高ぶらせる


ニニスの顔に蓋をした、それは

紫音の右足である

そう紫音は上履きを履いたまま

ニニスが、これ以上襲ってこないように

ニニスの顔を、マジ踏みしたのだった


そう、そこには

歯を見せて嬉しそうに笑う

中等部2年生の男子生徒が

9歳の、いたいけな少女の顔を椅子の上から踏みつける

信じられない光景があったのだ





全身から血の気の引く優美・・・

国賓である、他国の姫を

その顔を足で踏みつけるなど国際問題である

そして、その場に十士族の名を持つ自分が居て

それを、阻止出来なかったとあれば、国際問題どころではない

戦争に発展するかも知れない、重大問題でもある


そして、フランク王国、小さい国ではあるが

ある、鉱石と、レアメタルの最大産出国でもあるのだ

資金でも、国際的立場でも、日本より上であった

そんな国の姫の顔を踏みつけるなど

ありえない・・・正気の沙汰ではない



優美は、声を上げる


魔法を起動させる


元凶である男に


殺意を持って



攻撃を仕掛けるのだった



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ