12話 それからの 三千風家、お肉争奪戦
無事に買い物を終えた3人
午後6時まで、遊び尽くした鈴は
夕食の買い出しや、準備があるため
少し早めに、かんなと夏目と別れたのだった
鈴は、電話でリルを、呼び出した
そして、学園の制服から、私服に着替え
リルの空間転移で、青森県まで移動するのだった
それは、以前から目を付けていたお肉
いつか食べたいと思っていた、幻のお肉の直売店
そして、その直売店ですら
100g・2000円以上する牛肉
A-4からA-5ランクの、あおもり・倉岩牛である
東京の時価でなら、その倍はするというお肉!
「うん、美味しそうなお肉
すき焼き用にロースと、サーロインステーキと・・
ついでに、少しストックしとこうかな
リルの虚数空間なら
時間を停めて鮮度そのままで、保存できるし
カルビも、美味しそうだね・・・・
あ!ハンバーグもあるね、これは、私のレシピ開発用に
(くーちゃんの分も合わせて)2個買っとこ
それに、明日、桜達がくるなら、その分も余分に買っとこうかな・・・」
リルは、他のお客の邪魔にならないように
お店の入口そばに立ち、静かに鈴を見守っていた
鈴とリルが、お店に居た時間は、10分ほどだったが
それでも、数人のお客が出入りるす
お客は入った瞬間、男女問わず
側に立つ美しい少女に見とれ
一瞬、足を止めてしまい、余計邪魔だったことは
鈴もリルも知らざる事であった
そして、店内では、初めて見る、姉妹?であろうお客様2人に
見とれる、店子や、何事かと
奥の厨房から覗きに来て、動きの止まる男の店員
または、お肉を選ぶ仕草をしながら
リルをチラチラ観察する常連客と様々であった
鈴は、ぶつぶつ言いながら5分ほど、店内をウロウロすると
レジに居た、ふくよかな、おばさんに注文をはじめた
驚いたのは、その女性、てっきり
お姉さんである少女が注文するのかと思いきや
注文をしてきたのは、小学生の女の子である
レジの棚ギリギリまで、背伸びして、顔を出した小さな少女
それも、第一声が
「切り分けてあるやつじゃ無しに、ブロックでも買えますか?」である
「あ・・・ありますけど・・?」
そして、女性は更に驚く
その注文する量が、半端無かったのだ
大量にだ、ロースに至っては、数種あわせて6キロもである
その他にも、ブロックで、幾つか買う少女
その金額は、軽く20万を越えるのだったが
知らぬ間に、レジまで来ていた綺麗な薄紫の長い髪を揺らす少女は
大人びた雰囲気を持つが、幼さが残る面影から
まだ16・7歳ほどで、この子の姉であるのだろう
そして、彼女は何も言わず、お金をはらうのだった
サービスと言って、奥にいた、男の店員は
お肉を大きめな、発泡スチロールに入れ、保冷剤まで入れてくれた
それでも、かなりの量を買ったのだ、発泡スチロールの箱は4個
それも、総重量で軽く15キロ近くになっていた
「嬢ちゃん達、持って帰れるかい?
それとも、誰か親御さんと来てるのかい?
駐車場まで、運ぼうかい?」
「お気遣い感謝します、ですが
重力系の魔法を使えますので
私共で持ち帰らさせていただきます」
リルはそう言うと、丁寧に頭を下げた
そして、鈴も、やさしそうな、ふくよかなおばさんに
「大丈夫です、コレ位、いつもより少ないし」
そういい、リルと鈴は、何かの魔法を使い
それぞれ、片手に1つづつ、軽々と箱を持つと店を出て行った
その行動に、お店に居た全員が、呆気にとられるのだった
我に帰った、ふくよかなおばさんは
20万以上も買ってくれた、お客をお見送りもしてないと
急いで、2人を追い店をでるが
すでに2人の少女の姿は、どこにも見当たらなかった
後に、お店の人間や、その場に居合わせた常連客達は
近くの別荘地にやってきた、上流階級の人間だろうと
そして、小さい女の子は、お嬢様で
もう1人の少女の佇まいから、あれはメイドだろうと
実は、あれは、お嬢様の初めてのお使い?みたいな?
と噂さするのであった
*****
ただ1つ、この世界の重力系の魔法とは
重力とは別物の魔法であり
正確には、物体に圧力を掛ける【圧力魔法】である
だからこそ物体の重量を軽くすることは無理であるのだが
鈴とリルの2人の姿に、そこまで頭が回らない店員たちである。
*****
鈴も大概、金銭感覚が壊れている事は、誰も突っ込まない
普段は、蘭から、月々にもらっている食費で賄っているが
過保護な蘭も、余るほど渡していたのだが
今回のすき焼きのお金の出処は、リルである、もとい紫音のサイフである
ならば、気兼ね無しに使えると言うもの
だからといって、お肉だけで、20万超えとか
一般家庭では有り得ない金額だが
鈴の頭の中には、紫音の奴、なにげに億越える金持ってるから
100万、200万使おうが、何も言わないしね、である
そんな事を思いながら、台所で夕飯の準備を進める鈴
何時しか、三千風家に明かりが灯った事を確認した
近くに住む宮守胡桃も、三千風家に上がり込み
鈴の手伝いを始めるのだった
7時半には、全員が食卓に着く
そこには
大きめの、すき焼き用鍋を囲むように
紫音・鈴・鉄雄・胡桃・リルの5人の姿があった
「それでは」
「「「「「いただきます」」」」」
そして、各々、箸やフォークを持ち
目の前の、絶対美味しいであろう、鈴のすき焼きに手を伸ばす
紫「てつ、それは、俺のだろ」
鉄「ハッハー 早いもの勝ちに決まってるだろ」
紫「次をさっさとやけよ鈴」
鈴「ちょっと待ってよ、食べきれない位買ったから
ゆっくり食べればいいじゃん」
紫・鉄「「それと、これとは別だ!!」」
紫「リルご飯おかわり」
リ「はい」
鉄「くそ、くるみ、俺もおかわりだ!」
胡「はーい」
鈴「2人ともバカね」
リ「バカですね」
胡「子供だね」
紫「いやぁ、そんなに褒められてもーーーー」
椅子に片足を乗せ
箸で肉を挟に、頭上に掲げ、ポーズを決める男
その隙に、鍋の肉をかっさらう男
紫「うわ、やられた」
鉄「お調子物が!」
紫「くそ、鈴、次の肉!」
鈴「はぁ・・・私まだ1枚もお肉食べてないんだけど・・リル・・・」
リ「シオン様、鉄雄さん、それ以上は許しませんよ
私も、まだ10枚しか食べれていないんですから」
紫・鉄「「・・・・・・・・・」」
リルの静かな威圧で
やっと普通に食事が始まるのだった・・・
が、リルは、紫音や鉄雄と同量食べてる事は誰も突っ込まない
その傍ら一向に食べようとしない鈴
鉄「鈴、どうした?」
鈴「・・・・・・紫音、てっちゃんごめんなさい」
いきなり頭を下げる鈴
鉄「ん?」
紫「なにが?」
鈴「今日嫌な想いしたでしょ、私変な態度とったし・・・」
鉄「あれか、あれは、紫音がクソなのが悪い」
紫「きにすんな、あれは、てつが何も考えず声掛けたのが悪い」
紫・鉄「「・・・・・・・・」」
鉄「まぁ俺も、紫音も、好きであんな格好をしてる訳だし
俺達は、どう思われようと気にしないけど
その反面、胡桃と鈴には、しわ寄せがいってるからな
どれだけ、文句を言われようがしかたないさ」
紫「鈴、お前の髪型も、ある意味同類だろ」
胡「しーくんうるさい!!
りんちゃん、ばか2人相手に、ちっちゃい事きにしちゃだめだよ」
紫「そうだ、俺達の事なんざ気にするな、くえくえ、肉おいしいぞ鈴」
鈴は、その瞳に浮かべた何かを、袖で拭いながら
鈴「しってるし!
幻の【あおもり・倉岩牛】だもん
おいしいに決まってるでしょ、100g2000円以上よ
お詫びに奮発したんだからね、味わって食べてよね」
リ「お金を払ったのは、私ですが」
紫「そのお金は、俺のサイフから出てんだろ」
鉄「どうせ、盗んできた金だろ」
胡「誰のお金でも、どんな肉だろうと
りんちゃん以外に、この美味しさは出せないんだからね
おにぃちゃんも、しーくんも、ちゃんと味わって食べなさい」
紫・鉄「「はい・・・」」
鈴と胡桃とリルは、2人の態度に、クスクス笑うのだった
そして、鈴は、特注のガスコンロを取り出し火を点け
紫音のリクエストだった、混合ホルモンを鉄板で焼きだした
そして、その鉄板の半分を使い、サーロインステーキを焼き
サイコロ状に切り分け、全員に配っていくのだった
鉄「くいすぎたぁぁーーもうくえねぇえ」
紫「てつに同じく・・・鈴どんだけ肉かってんだよ」
鈴「ん?たった10キロ程だけど?」
リ「金額にして、26万ほどですね」
鉄「は?」
紫「マジ?」
胡「26万?・・・」
鈴「だから、言ったでしょ、幻のお肉だって
それで、これから、シメに、うどん入れて食べるつもりだけど
お腹いっぱいなら、皆いらない?」
鉄「ハッハッハッー、うどんは、別腹さ!!」
紫「ふっ・・・俺が鈴の料理を残した事があるか!!!!」
胡「う・ど・ん・う・ど・ん」
リ「鈴さん、ご飯もまだ余っていますが?」
鈴「なら、半分おじやにしようか」
紫・鉄・胡「「「おぉおおおぉ~~~~」」」
鈴は、お鍋に残った割り下を少し掬い
横のガスコンロで、割り下を使った、お肉多めの焼きうどんを作りながら
お鍋では、小さく刻んだ野菜やお肉を入れ、ご飯と卵を使い
おじやを作り出した
量としては、焼きうどんも、おじやも、2口3口で食べ切れる量ではあるが
その絶妙な量も、鈴の計算の内である
最後の最後まで堪能した5人は、ただ何もせず
その余韻を・・・至福の時をすごすのだった
片付けも終わり
リビングのソファーに転がる、紫音と鉄雄
それを、立ったまま見守るリル
鉄「おい、紫音」
紫「ん?」
鉄「一番食べたの、リルだよな」
紫「だろうな」
鉄「リルのやつ、腹さえ膨れてないぞ」
紫「いつも言ってるだろ・・・・気にするだけ無駄だと・・」
リ「フフ、鉄雄さん、それは乙女の秘密ですよ」
鉄「こえぇぇ・・・・」
そこに現れたのは、タオルと着替えを持った
鈴と胡桃である
鈴「先に、くーちゃんと風呂いってくるね」
胡「おさきに、お風呂いただきます」
胡桃は小さくお辞儀をして、鈴の後を追うのだった
鉄「てらー」
紫「ういさ」
リ「シオン様、コーヒーでも入れましょうか?」
紫「あぁ、いつもの」
鉄「俺は、砂糖ミルク入りで」
2人は転がったまま返事をする
紫「そうだ、てつ、俺、今武器作りに凝ってんだけど
てつの靴調子はどうだ?」
鉄「あぁ、変わらずだが、できれば、もう少し軽くできないか?」
紫「軽くか、考えとくよ、それで、くるみって、武器使うの?」
鉄「胡桃の武器?さぁしらね」
紫「知らねえのかよ」
鉄「知るか!そんな事は、本人に聞け!」
紫「つかえねぇ兄貴だな」
鉄「うるせぇ、紫音もそんなもんだろうが!」
紫「否定はしねえ!
まぁ、そりゃ置いといて
7月が誕生日だろ、プレゼントに武器でもと思ってな」
鉄「・・・・紫音・・・・
2年連続で、誕生日に武器って、おかしいだろ」
紫「へ?おかしいのか?
リル、誕生日に武器っておかしい?」
リ「シオン様は、元からおかしいですが
私は、シオン様に、貰えるなら何であろうと嬉しいです」
鉄「だろうな、紫音、誕生日は花でもいいから
今年は武器はやめてやれ
胡桃がかわいそうだ」
紫「そういうもんか?
鈴なんて、毎年、調味料やら、調理器具やら、食器やらだぞ」
鉄「去年の紫音からの、胡桃への誕生日プレゼントは
護身用の・・・短刀だったか・・・
まぁ喜んで、今でも大切に持ってるけどな
もうちょっと、女の子が喜ぶ物を考えてやれ」
紫「女の子が喜ぶもの・・・・・
やべぇ、俺、女の子との接点がねえ・・・・わかんねぇ」
鉄「ニニスが居るじゃねぇか」
紫「・・・あれを女の子扱いするのか?
あれは、花より論文って感じだろ」
鉄「それもそうか、あぁ・・カレラも、花より拳銃だしな」
紫「クズクラスに、まともな女の子は居ないのかよ・・・・」
紫音と鉄雄は、頭の中に
クラスの女子達を思い浮かべるのだったが
誰一人として、女子らしい女子は居なかった
一癖も二癖もあるような、変わり者だらけであった
そんな、話を繰り広げていると
紫音の携帯がなる
聴き慣れた音楽、個人用のメロディーに登録してある其れは
紛れもなく、ある人物からの電話である
「うぃっーーーーす」
「よう、すき焼きは、美味 (うま)いか?」
そう、電話の相手は、蓮である
「あぁ、うまかったよ、もう、汁さえないぞ、気付くのが遅かったな!」
「くそ!遅かったか」
「で、なんの用?」
「あぁ、色々桜にバラしたんだが・・・・・・・
蓮の話では
桜に、紫音たちが、意思加速や念話が使えることを話したと言うことらしい
そして、言わなくてもいい事も
紫音が蓮と同じ位強いとか
鈴の魔力は、蓮の上を行くとか
バラすのも大概にしろと・・・・
まぁ、紫音も、今回の四条・九重の拉致事件で
あの世界で魔王であった【ギャルコレル】が、この世界に居る事
そして、彼が十士族と対立する立場?である事を知ったのだ
それは、今後、紫音と敵対する可能性を秘めている事でもあった
この世界で、紫音が、もっとも敵対したくない相手でもあった
もしも、あの世界に居た、8人の全ての魔王が転生?してくるのなら
まず有り得ないだろうが、序列1位【精霊女王・レディー】と
すでに転生した、序列7位【サモンマスター・ギャルコレル】
この2人だけとは、敵対したくないと思っていた
ギャルコレル、彼は、サモンマスター、召喚士である
先日戦った、ユーリがこの世界に居ることから
異世界の人物を召喚出来ることは間違いがない
だが、問題はそこではない
彼は、契約を結んだ魔物を、何らかの対価を払い呼び出すことができる
たぶん其れは、異世界であっても出来ると思って間違いないだろう
そして、その中には最上位の魔物も含まれていると言う事を忘れてはならない
それらは、個であるがため、倒せば傷つき死ぬ事になるのだが・・・
彼の能力の1つに、死んですぐの魔物を取り込んで
自身の眷属にできるというものがある
それは、自身の眷属であるがため、対価なしに召喚できる
そう、彼は、その身に、数え切れない魔物をストックしていた
伝説では、魔王同士の戦いで、十数万の軍勢を召喚したと言われている
そして、眷属となった魔物は
死んでもギャルコレルの魔力によって復活するのだ
魔物が強ければ強いほど、復活までの期間は長くなるらしいが
それが、どれくらいかは、ギャルコレルしか知らないらしい
その召喚の力を使って、魔王まで成り上がったのが
【サモンマスター・ギャルコレル】その人である
そしてギャルコレルの友人にして、部下
【マリオネットマスター・ユーリ】
彼女の能力は、人形使い
彼女の力だけでは、一度に多くの最上位の魔物の支配は出来ないのだが
ギャルコレルの、眷属の最上位魔物であるなら
ユーリは苦労なく操ることができるのだ
そして、戦に置いて、ユーリの指揮する
上位・最上位の軍団は、全魔王中、最強を誇っていたのだ
そう、数万規模の戦いに置いて、魔王・ギャルコレルの力は飛び抜けていた
しかしながら、それを個の力で、勝るのが
【精霊女王・レディー】なのであるから、たまったものではない
そう、彼女が、負ける事も、死ぬ事も有り得ない
だからこそ、彼女は、この世界に居るはずがないのだ
だが、これからの事を考えるなら
四条優美は、何らかの争いに巻き込まれるだろう
それは、十士族と対立する組織だったり
士族同士かも知れないだろうが
蓮はそれを見込んで、桜を鍛えてるのだろう
そして、俺を巻き込んで楽しむ為に
桜に、俺たちが異世界のスキルを使えることを教えたのだろう
そうなれば、鈴に蓮と桜の事を教えないと・・・
あぁ、なんか蓮の思惑通りになっていく気がする・・・・
そして、紫音の頭のなかには
【とりあえず、めんどくせぇぇーー
俺の自由気ままな、適当ライフがぁぁぁぁーーーー】
そんな叫びが響いていたのだった・・・
「ほんとにぃぃーーーーー??」
突如リビンングに響き渡る叫びがあった
その声の主は鈴である
風呂から上がった鈴と胡桃は寝巻きに着替え
リビングに来て、寛いでいたのだが
鈴も、初めて聞く事柄に、大いに驚くのだった
そう、彼女も又、友人である桜が
異世界のスキルである、意思加速と念話が使える事を知ったのだ
鈴「な・・・なんで・・・桜が?」
紫「レンが教えたんだろ
あれ?言ってなかったっけ?
蓮の奴も前世が、あっちの世界の人間だと
前世で友達だったと言った事なかったっけ?」
鈴「そんな中二病みたいな話
信じるわけないでしょ!
だいたい、紫音みたいな、前世の記憶を持ってる人間なんて
普通居る訳ないんだからね、それも、異世界って
信じれる訳ないでしょ」
紫「そんなもんか?」
鉄「そんなもんだろ?
だいたい、紫音の言うことなんざ、信じるほうがおかしいだろ?
俺は、紫音なんざ断じて信じてない
だが、たまぁぁ~~~にホントの事いうから、たちが悪いからな
真面目に相手するだけ、無駄だぞ」
鈴「知ってるけどさぁ・・・・・
まぁ、桜が意思加速を使えるなら
あの強さも納得できるね」
紫「ん?それは違うぞ、たぶん鈴の前で
桜が意思加速を使った事はないらしいぞ
レンと約束で、人前で使うことを禁止されてたらしい
まぁ、それも、ここにいる俺達の相手なら解禁らしいから
今度聞いてみたら?」
鈴「うん・・・
そうだ、てっちゃん」
鉄「あ?」
鈴「かんなと、なっちゃんが
奢ってくれてありがとうって伝えてって」
鉄「おう、迷惑かけたからな、それに、紫音の金だしな」
鈴「やっぱりね」
紫「ううう・・そうやって、皆で俺の金をカツアゲしていくんだ・・」
泣き真似をしだす紫音だが
誰1人相手をしない
鈴「そうだ紫音、明日の夕方
かんな達に、ご飯をご馳走することになったんで
どっかいってて」
紫「ほいほいさ、もしかして、26万って、その肉もか?」
鈴「・・・・・・そんな事もあるの・・・・かな・・・」
視線を泳がす鈴であった
そして、4人は、何時ものように、騒ぐのだった
小学生に入った頃からの付き合いの4人
学校は違った物の、家が近く、歳の近い4人は、すぐ仲良くなった
そして、今日まで幾度となく、行われたこの騒ぎには
新参者のリルの入る余地はないし
リルは、その騒ぎに入る気もない
そこに自分が入る事によって
4人の、バランスが崩れる事を嫌う
リルにとって、シオンの幸福こそがリルの幸せなのだ
だからこそ・・・・
「食べる物は食べましたので、これにて失礼します」
そう言って、姿を消したのだ
そし午後11時も過ぎると
騒ぎ疲れ、ウトウトしだす、11歳の胡桃
鈴は、そんな胡桃と手をつなぎ
リビングに居る2人に声を掛ける
「それじゃぁ、私達は寝るね、おやすみー」
胡桃も、鈴と繋いだ反対の手で
眠たそうにその目を擦りながら
2人に挨拶をするのだった
「おやすみなさいぃぃ・・・」
そういって、2人は鈴の部屋で眠りにつく
だが、シオンと鉄雄の夜はまだまだ続くのだった・・・




