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異世界1・街の指導者達

ちょこっとした閑話

異世界のお話。


 

 

 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 ここからの会話は、異世界の言語を訳してお送りします 


 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




 

とある屋敷の一室に突如、菱形のクリスタルとも言える物が現れた

それは八面体の魔法陣、その中には、精霊であろう、翼を持つ小さな少女と

スーツに身を包んだ、赤い髪の女性の姿があった


その魔法陣は、8つの三角形の魔法陣に別れ、徐々に小さくなり消えてゆく

宙に浮いていたスーツの美人秘書を思わす女性は静かに床に足を付ける


その横には、小さな妖精ではなく

薄紫の長い髪を携えたメイド服の美しい少女の姿があった


「ありがとうございます、リル」


「いえ、こちらの時間では、これから朝食の時間ですが

 ティアは、どうなされますか?

 もし良ければ、飲み物だけでも

 食卓に顔を出してもらえば皆も喜びますが?」


「そうですね、マリアや子供たちにも会いたいですし

 少しおよばれ致します」


そんな話をしていると

廊下を走る足音が近づいてくる



ダダダダダダダダダ  ドン!



扉からいきなり飛び込んできた女性


ミニスカートで胸を強調させたメイド服を着込み

少しタレ目な美女が現れ

両手を左右に開くような、動きをし、自慢の銀髪を、揺らしながら


「呼ばれて飛び出て、ジャカジャカジャカジャカ」


 




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」







「お久しぶりです、マリア」


「マリア、色々間違ってますし、古いです」


マリアの意味不明な行動に、無表情でティアに挨拶をする

そして、冷静に分析し、間違いを指摘するリルであった


「まじっすか!もっかい、お笑いBDブルーレイディスク見直さないと

 あ・・・ティアおひさっす!そして、おはぁ~

 いやぁ~なんか、呼ばれたような気がして来てみたっすよ」


タタタタタタタタ

 ペタペタペタペタ


可愛らしい、足音と共に近づき遅れてやってきた子供たち

開けっ放しのドアから顔を覗かす

正確には人間の子供では無い、獣人の子供達

見た目は人間とさほど変わらないが

その頭には獣の耳のようなものがあった


その2人の子供が、跳ねるようにテイアに近づき


「あ ティアねーちゃんだ、おはーーー」


犬族系統の獣人である、男の子は、右手を上げ、シッポをバタつかせ、挨拶をする

そして、同じく犬族系の女の子は、ティアを見上げ、同じくシッポを振りながら


「ミーティアおねーちゃん、おはよーー

 ミーティアおねーちゃん、ご飯食べる?食べる?一緒に食べる?」


最後に部屋に入ってきた小さな人間の少女

小走りにリルに飛びつくと、恥ずかしそうに


「・・・・・ティアさん、おはようございます」


そして、普段その表情を崩さないミーティアであるが

今は子供たちに優しく微笑えみ、答える


「はい、皆様おはようございます

 今、朝食を、ご一緒しようかと、リルと話していた所です」


「やったー行こいこ」


獣人の男の子は、廊下に飛び出し、ティアを催促する

そして、獣人の女の子はティアの右手を取り、急かす用に引っ張った


「いこいこ、一緒に食べよ、食べよ」


「はい、アドルフィオ、ルネッタ、そう急がなくても朝食は逃げませんよ」


犬族系統の2人は姉弟であり、姉のルネッタ、弟のアドルフィオ

犬族の特徴なのだろうか、2人共、人懐っこい性格である


そうして、ティアは、急がされるように、部屋を出て行った


リルは、自分にしがみつく、小さな少女に微笑み声をかける


「クレア、私達も行きましょうか」


リルにしがみつく少女は、嬉しそうに頷いた





*******




そう、ここは、紫音しおんれんが、あっちの世界と言っている世界

大陸最大都市、プローミスヘイムがある世界

紫音、蓮が、その前世でいた世界である


現代世界と違い、科学文明の代わりに魔法文明が発達した世界である

その膨大な魔力によって、生み出される生物は魔物と呼ばれていた


そして、現代世界と違い、そこに住み着く種族は、人間以外にも

大きく分けると、エルフ・ドワーフ・ノーム・獣人・亜人と数多くいるが

とくに獣人と亜人には、その種族の系統は数百とも言われていた


そして、この時の年号は、魔導歴4276年5月5日である

魔王・レイ・マーティンが

この世界から姿を消したのが、4272年2月であり

前世のシオンと、リルが、天使に殺され?

(覚醒編 2話 古き記憶、参照)

その天使の魔法で世界から消されたのが、4273年の7月であった

そう、この世界からシオンが居なくなって約3年の時が経とうとしていた



そして、この屋敷は、シオンが住んでいた屋敷である

その頃、シオンは、その異常なる、魔力と暴力・恐怖によって

この地域一帯を支配していた




*******




リルの使っている部屋は、屋敷の2階に位置している

この屋敷で一番いい部屋は、マリアが使っているため

リルは、その隣の部屋、屋敷で2番目にいい部屋を使っていた

他にも、2階には、数部屋あり

その廊下は、1階玄関へ通じる道と

1・2階吹き抜けの大きな、ホールへと続いていた

それは、誰もがその部屋を見たならば

この屋敷を作った領主は、金持ちで、お祭り好きで

ダンスパーティー等を、幾度となく開いていたのだろうと想像できただろう


だが、今はその部屋は、多くの机が並べられ、食堂と化していた

そこには、人間・獣人・亜人、色々な種族の少年から、青年が入り乱れるように

朝食の準備をしていた


この屋敷の子供達は、以前シオンが、どこからか連れてきたのだ

奴隷であったり、どこかの戦争孤児であったり

適当に拉致ってきたりもしていたそうだ


それだけを聞くと良い話でもあるかの用だが

それを、この街で奴隷として、働かせたいたのだ


それもシオンが、この世界から居なくなるまでの事である

それ以降は、リルとマリアの手によって

この街での奴隷制度は廃止された


それは、この街に多くの事柄を起こすきっかけともなったのだが

また別の話である


シオンが居なくなってからは、たまに、リルや、マリアが

ひどい扱いを受けている奴隷や、戦争孤児を連れて帰るくらいである


クレアも、リルが連れてきた中の1人である



*******



ミーティアは、子供達に手を引かれ

朝食の準備が行われている、1階のホールへと降りていく


広いホールの中でも、一際騒がしい一角

多くの獣人・亜人の子供が集まるそこに、異質な存在がいた

それは、全身が黒く、その顔は恐ろしく、不気味な2本の黒い角を持つ悪魔が

子供たちに囲まれていた・・・・


それは、悪魔より上位の存在、魔人と呼ばれる、巨大な力を持つ悪魔であり

その、存在1人であっても、この街を破壊尽くせるほどの力を持つ


その悪魔が、今子供達の前で・・・・・

大きな声をあげていた


「よ! は! とりゃ! うりゃ! どうるりゃぁぁぁあ!」


ブンブン ヒュンヒュン カカカkk、ブィーーーーン


「おぉおぉおお」

「すげーーーーー」

「かっけーーーーーーーーーー」

「マジか! まけたぁぁぁーーー」


悪魔に集まる子供たちは、賞賛の声を上げる中

そこに静かに近づくミーティア


「アロンティク、何をなさっているのです?」


「ナニをって?

 みたらワカンダロ、コイツ等に、けん玉のカッコイイ、ヤリ方ってヤツをぉぉおおぉっぉ

 ミ・ミ・ミィーティアアァァアアァァァ、ナゼここにぃぃぃいっぃ」


アロンティックと呼ばれた悪魔は

その身を震わせ、その両手に持っていた、けん玉を床に落とし

震える足を動かし、一歩二歩と下がるが

その悪魔の後ろすでに壁があり、逃げ場をうしなうのだった


そして、それと同じように、アロンティクの側に居た子供達すら

ミィーティアの瞳の奥にある冷静なる怒りを感じとる

それは、人の本能か?、獣人・亜人としての本能か?

その身に危険を感じ、身体を震わせ徐々に後ずさる


「私は、レイ様の命 (めい)を受けて、戻ってきたのですが

 貴方は自身の役目も忘れ、遊んでいるのですか?」


「イヤ、あの、ちょこっと、コイツラが、教えてクレっていうもんですから・・」


それを聞いた子供達は、それを否定するように、ブンブンと首を振る


「子供達は、否定していますが?」


「オマエら、裏切るツモリか!」


子供達は一斉に、アロンティクから、視線を外した


「それで?他に、言うことはありませんか?」


凄みをます、ミィーティア


「ティア、子供達が怖がっています、そこまでにしてください

 アロンティクも、今朝の仕事を終えて

 貴方と同じように、朝食を一緒にと、子供たちにせがまれたのでしょう

 その合間に、子供達を楽しませてくれてくれたのですから

 どうか許してあげてください」


「・・・リルがそう言うなら、今日の所はいいでしょう

 ですが、それなら、すぐさま朝食の準備を手伝ってきなさい」


「はィィィぃーーーーーーーーー」

「はい」

「あい」

「ううう」

「わかりましたぁーーー」

「あいあいさ」


ミィーティアの言葉に、アロンティクと、子供たちは大きく返事をして

朝食の手伝いをしに、走っていく


アロンティクの仕事とは、【雷帝・レイ】の城での出来事等を

封書にして、この世界と、現代世界を行き来する、リルに渡し

戻ってくる、レイの指示が書いてある、封書を受け取る事である


ミィーティアは、ため息まじりに、肩を落とし


「はぁ、少し城をはなれたらこれですか・・・先が思いやられます」


「いいではないですか、彼のおかげで、いつも子供達は笑顔をもらってますから」


「なぜでしょうか・・・つい数年前まで考えられなかった事ばかりです

 この世界の【雷帝・レイ】様に使えていた頃は

 彼や他の悪魔達が笑うことなど、有りはしなかった

 私達は、恐怖の対象でしかなかったはずなのですが」


「ふふ、ティア、彼もそうですが

 初めて会った時から見れば、あなたも変わったと思いますよ

 その子供達が証拠ですよ」


ティアの周りには、アドルフィオ、ルネッタ意外にも

獣人・亜人・人間の子供達が集まっていた

その子達に視線を送ると


「そうなのかもしれませんね、さぁ皆さん朝食の準備を致しましょう」


いつもは、自由気ままに、準備もせず遊んでいる、小さな子供まで

今日は、ミィーティアの指示の元、朝食の準備を行う

さすがは、数百とも言われる、悪魔の軍団を指揮していた、ミィーティア

その指示は、個々の能力をすぐさま理解し

出来ること出来ないことを瞬時に把握

そして、的確に判断し、指示していく

それも、視界に入ったからと、意味もなくなく怒られる、アロンティク

そんな、いつも遊んでくれる、アロンティクが、可哀想なのだろうか

自分が怒られるのが、イヤなのか分からないが

子供達はホールを、セカセカと動き回る


そして、いつもより早めな朝食が始まると

久々のお客様である、ミィーティアの机の周りには

子供達が集まり、楽しく食事を行っていた


人見知りをしない、少女達は、ミィーティアの周りに集まり

活気溢れる少年達は、アロンティクの周りに集まり

内気な子供達は、リルの側で静かに朝食をむかえた




*****




この屋敷は、ある大きな街の外れに位置している

外れといっても、街の入口でもある南から北に掛けての大きな中央道りの先

行き当たりに位置する、街で一番いい場所にあたる


元は小さな街であったが、数年かけて、シオンが開拓し数倍の大きさまでなったのだ

それに、大きく貢献したのが、シオンが連れてきた、奴隷の子供達であった

今では、奴隷制度も廃止されたが

それによって、行き場のない子供達の面倒は、リル、マリアが行っている


獣人、亜人の成人の願念は、各自別だが

独り立ちできる者は、独り立ちし、街を出る者、残る者

同じ種族の子供を引き取って暮らすも者と様々だが

それでも、行くあて無い、多くの子供達はこの街にいるのだ


そして、屋敷の周りに作られた、平屋の長屋みたいな所で寝泊りをし

料理や家事の出来ない子供達の為

食事や、風呂などは、この屋敷を使い行っていた



*********




朝食も終わり、片付けも一段落すると

ある一定以上の子供たちは、仕事やバイトをする為

早々と屋敷を後にする


そして、ミィーティアもアロンティクと共に城に帰っていった

帰る際の、アロンティクの悲しい眼差しは

今日一日子供達の心に何かを残すのだった


そして、残ったのは、小さな子供達と

それを世話をする、年長組が数人と、そして2人の、まとめ役

この現場だけを見たなら、この屋敷は保育所である


街に仕事に行く者に、言付けを頼む

それは、シオンが居なくなって、街の長となった人物達に伝える用にと


そして、街の周辺警備をしていた

2匹の紫音の使い魔である獣達を念話で呼び戻す


最後に、子供達の纏め役の2人に声を掛ける



そして、午前10時少し前

屋敷を訪れたのは、街の長の1人、【長老】と呼ばれる人物

ワービースト・豹族の老人・ツァンガと

綺麗な毛並みの、そろそろ50歳を迎える息子、ティアンガが訪ねてくる


遅れること数分

もう一人の、街の長、街の大半を占める人間の代表

ビストリア・ポートレフ、30代の【若き女性指導者】と呼ばれる

落ち着き払った態度をとる女性 (実は小心者、未婚)と

彼女の相談役である、シオンが街を支配していた頃の、人間の纏め役

ヨン・バクリ・カポール、50歳を過ぎた女性である



4人は、屋敷の入口からすぐ右の応接室に通される

そして、最後にその部屋に入ってくるのは


「こんちゃぁーーーー

 アレ?みんな揃ってるじゃないっすか?

 オロ?ツン爺まだ生きてたっすか?」


「フン、まだまだ、お嬢達より、若いんでの

 お嬢達を看取るまで死ねんのう」


「あたしは、永遠の20歳っすよ、ジジィと一緒にして欲しくないっすよ」


「何が、永遠の20歳だ、10年も前から同じこと言ってるくせに」


「あの時は、10歳だったすよ、だから今20歳であってんすよ

 それ以上言うなら、ジジィの年齢を止めてやるっすよ」


「ふん、それなら、先にワシが、お嬢を看取ってやろうか?」


「ねぇ、ビストリア、夫婦喧嘩は他所でやればいいと思わない?」


「え?」


「あぁ?人間如きババァが、ワシに文句があるなら、こっちを向いて言えばよかろう」


「ヨン婆、こんな毛むくじゃらの、爺と夫婦扱いすんなっすよ

 あたいの想い人は、【シオン】さんだけっすよ」



その名前に、屋敷を訪れた4人に緊張が走る

そして、その緊張を破ったのは、リルである


「静かに成った所で、話を初めてよろしいですか?」


そういい、応接室に集まった、人物の顔を確認する


テーブルを挟むように置かれているソファーに座るのは

ツァンガと、ティアンガ、そして対面に座るのが

ビストリアと、ヨンである


そして、間に置かれた、一人がけのソファーに座るのが、リル

入口近くに控えるのが、メイド服の、マリア


そして、マリアの側に立つのは

子供達の纏め役の、希少種である鬼族の男性、ティート

今23歳を迎える、ティートは

シオンが、最も信頼する人物の1人、シオンにとって一番古き友人でもある


そして、トリアードの植物精霊である、綺麗な緑髪の女性、プランタ

彼女達トリアードに時間の概念はなく、永遠を生きると言われていた

彼女、プランタもそう言う概念がないため、年齢は無いのだ

ただ、彼女の見た目は、人間の20歳前後だろう


そして、部屋の片隅で、寝ている、子猫のコハクと

部屋にある、アンティーク調の本棚の上に座る

狐のヌイグルミのような、ギン


全員で10人である

そして、この10人は、蒼き勇者によって殺されたと思われている

この街の前の支配者であった、シオンが生きていることを知る

数少ない人物達でもあるのだ


「それでは、シオン様からの伝言を伝えます

 「コハクとギンこっちに連れて来い

  向こうは向こうで、自分達でどうにかしろっていっとけ

  それと、ツァンガと、ティートを中心とした戦闘部隊つくりあげれ

  とりあえず、魔王の

  【精霊王・レディー】【冥王・マーフィー】

  あたりとの戦いを視野に入れてな」」


「はぁ?今なんといったんだ?魔王と戦うだと?」

「はぁ?なんやとぉぉ?」

「おいおいおいおいおい」

「あのアホは何をやっているんだ、いっぺん死ねよ」

「??」

「おお、とうとうやる気っすか、楽しみっすね

 あたい的には、マーフィーとやりたいっすね」


(・・・シオン様70点です・・

 大体、シオン様の予想どうりの反応ですが・・・

 流石に、あまりシオン様と接点のなかった

 ビストリアの反応は読みきれませんでしたね)

 

 「皆様、静かに、シオン様の言葉はまだ続きますが

 そのまえに、プランタ、ビストリアを起こしてあげてください」


視線が、ビストリアに集まる

彼女は、ソファーに背筋を伸ばし座った状態で気絶していた

それを、プランタは後ろから近寄り、魔法で優しく起こす

それを確認したリルは、再び話し出す


「では、続きを

 「まぁ、お前ら次第だが、どこかの魔王に完全降伏ってのもありだがな

  その時は、昔に逆戻りだけどな

  そうなれば、俺はお前らや、子供達にも関与しない

  いや、どっちにしろ、俺は関与する気はなけどな

  俺は、自由気ままに、好き勝手生きていきたいだけだからな

  俺は安全な所から、笑って・・いや、傍観させてもらう

  まぁお前達の街だ、好きにしろや」

  だそうです 

  そして、ここで意味不明のキメポーズをしてらっしゃいました」


一番に口を開いたのは、ツァンガである

テーブルに、身を乗り出し、リルに食ってかかる


「おい、リル嬢、どういうことだ?

 戦争でも、おっぱじめようっていうのかい?

 大体、この街の戦力なんぞ

 魔王以前に、魔人クラス1人にも勝てるかどうかだぞ」


「いやいやいや、ツン爺

 魔人1人なら、ツン爺1人でいけるっしょ

 なんせ、街を守るため、あのシオン様相手に

 最後まで立ちふさがったんっすから」


「あの時は、あのアホが、まだ小僧だったからな

 それでも、あのアホが、魔人クラス程の力を持っているとは思えんし

 ワシは、あの時の傷と、歳でもう戦えん

 ワシの役目も、そろそろ息子に譲ろうと思っとる」


「オヤジ、こんな、魔王と戦争するやどうかの瀬戸際に、そんな事をいうなや」


「おぉ?こんな時だから、言ってんだろ、これからは若いもんの時代だろが」


「オヤジは、そうやって、メンドくさいや事を、すぐにワシに回すやで」


「あんた達は、親子ゲンカしに来たのかい

 今の話の重要性は、魔王と喧嘩するか、降伏するかだろう

 戦闘を好む肉食系獣人の、あんた達でも、考えれば分かるだろうさ

 魔王と戦うと言うことが、どういう事かが

 それに、降伏するにしても

 どこかの魔王の傘下に入るにも、話合わなきゃならないだろ」

 

反論さえ、させてもらえない2人は、口を閉じる

そして、入口近くにいる、マリアとティートは、2人で話していた


「今すぐとなれば、武器持ち50、魔法持ち30か?」


「いやぁ、戦闘慣れしてる事を考えれば、30・10ってとこっすね」


「それくらいか、でも時間あるんだろ?

 今からでも、力のある子供らを鍛えれば、全部で100はいくだろう?」


「そうっすね、まぁ魔王の相手は、ツン爺と、ティアンガがするとして

 魔人クラスなら、ティートや、ヒスドア、レベッカが相手っすね」


「無理だろ?オレが魔人相手だと?や・・無理だろ」


「そうっすか、これから鍛えれば魔人なんて屁っすよ屁」


「そうか、なら、鍛えたマリアは単身で、突っ込んでいくんだな」


「ふふふ、あたいが、魔王軍全部倒したら

 みなさんの活躍を奪う事になるっすから

 やってみたいですけど、武勲はゆずりますっすよ

 それにしても、シオン様は、魔王に喧嘩吹っかけるとか

 面白いことを思いつくっすね」


「嘘言え、俺だって、悔しいけど、全てマリアに譲ってやってもいいぞ

 だけど、シオンの奴は、救いようの無い、ほんまもんのアホだな」


「いやぁ、そんなに、シオン様を褒めたら、あたしも照れるっすよ」


顔を赤らめて本気で照れるマリアに、プランタが話しかけた


「マリア、マリア」


「なんすか?」


「誰かと、喧嘩するの?仲が悪いのですか?」


「プランタは気にしなくていいっすよ

 兄弟喧嘩や、親子喧嘩みたいなものっす

 仲良しも喧嘩するっすよ

 そして喧嘩したあとは皆仲良しっすよ」


「そうですか、みんな仲良しですか

 子供達もよく喧嘩しますが仲良しです」


それを、聞いていた豹族、ツァンガと、ティアンガは

顔を青くする

後ろで立っている2人は、すでに戦う気でいる事に

それも、自分達が、魔王の相手?だと

そして、魔王と戦争することを

まるで、子供の喧嘩の用に話す、マリアの精神を疑いもする


そして、一言も喋らず、考え込む、ビストリアにリルが話しかける


「ビストリア、何か質問はありますか?」


「あぁ・・ええ、ハイ

 何個か聞きたいことが」


「何でしょう、私でわかる事なら

 もし難しい事なら、シオン様に聞いて後日となりますが?」


「まず、何故、その2人の魔王との戦闘なのでしょうか?

 他の魔王は、無関係なのでしょうか?」


「今、この世界には、魔王が8人居ると言われていることは知ってますか?」


「はい」


ビストリアは、返事をするが

その言葉に、頷く者と、首を傾げるものがいた


「ですが、本当は、今現時点で、この世界の魔王は6人以下となっています

 この事は、極秘ですが

 【雷帝・レイ】と【サモンマスター・ギャルコレル】

 この2人は、確実にこの世界では死んでいます」


「なんだと」

「まさか・・・・・」


「みなさんも、覚えておいででしょう

 シオン様を殺した、【蒼き勇者】の事を

 その、勇者が【雷帝・レイ】を殺したことは、分かっております

 そして、その勇者かどうかは、分かりませんが

 【サモンマスター・ギャルコレル】も、殺された事は確実です

 今の所は、2人ですが、それ以外の魔王も、殺されている可能性はあります

 又、シオン様のような、この世界が悪と判断した、人物が

 何人か殺されている事も、事実です

 皆隠しているでしょうが

 現存する魔王がその事を知るのも時間の問題だとおもわれます」


「そう言う事ですか

 のこった、魔王同士の争いが起こると

 それに対抗する・・・これは、自己防衛の戦いを考えておられるのですね

 魔王との戦いと言いましたが、実際は魔王ではなく

 兵力強化の為に、各村や街を襲う、魔王軍の尖兵相手の戦いなのですね」


その説明に、それなら、どうにかと内心ホットする3人と

残念そうな2人


「シオン様が、用意している、その考えに対する、シオン様の答えは

 「さぁどうだろう?過信して負けて泣くなよ、カッコ、笑、カッコ閉」だそうです」


「どういうことですか?」


「シオン様いわく、ビストリアなら、考えつくであろう事を先読みし

 それに対する答えを、すでに用意押しておりました」


「それは・・私の考えが、正解では無いと言うことでしょうか?」


「それに対する答えは「もっと、考えを巡らせろ」だ、そうです」


「・・・・・・・」


「お嬢、あたしは?あたしの事は?言ってなかったっすか?」


「うるさい、だそうです」


「まじっすか!まじっすか?まじぃぃぃっすかぁぁあああ」


「私からも、マリアうるさいです」


「・・・・・・・・・そうゆう事ですか・・・

 リルにネタを仕込んでも、無駄だから、お前は、おとなしくしとけと」


「・・・・・・・・あたりです・・・・」


「え?」


「あたりなんです、私にマリアの相方は無理だから

 マリアには、おとなしくしとけと・・

 まったく、シオン様は、何処まで先読みするんでしょか

 たぶん、この光景すらシオン様の想像の域の中なのでしょう・・」


その言葉に、部屋は静まり返り

各々が、自身の考えを巡らし、気づいた事を話し合うが

一向にまとまるようすはなかった


「さて、シオン様の伝言は伝えました、あとは皆さんで、お考え下さい」


考えのまとまらない4人を、各自帰って思案するように伝え

2日後に、また集まる事にし

ツァンガ、ティアンガ、ビクトリア、ヨンの4人は屋敷を後にした





そして、部屋に残ったのは

リル、マリア、ティート、プランタ、コハク、ギンである


「さて、マリアとティートは、魔王と戦う気はありますか?」


「やる気マンマンっすよ、ティートが!」

「ぬおい、オレだけかい」


「ふふ、いい返事です、それでは、そんな2人にお土産があります」


そう言って、部屋の中心に、一人のダークエルフを、出現させるのだった




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