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23話 それからの双子

(*'ω'*)いつもの、アレです・・・ごめんなさい

 


 

3月31日午前6時

新潟県のある漁港の近くにある、お食事亭【鈴蘭 (すずらん)】


ガラガラガラ

少女は、お店のドアを開けて中に入っていく


「おはようございま~す」


「おう」

「鈴ちゃん、おはよ~」

「おはよ~今日も早いねぇ~」


「みなさん、今日もよろしくおねがいしますー

 奥で着替えてきます~」




********



それは約1月前の、とある出来事の後


3月一杯、学校を休む事となった鈴は

交換条件として紫音にある、お願いを申し出る


それは、魚料理の勉強の為、新潟県の漁港に、魚の買い出しに行く事

リルの空間転移の話を聞き、昔行った事のある、魚市に行きたいと申し出た

それくらいはと、紫音もすぐ承諾し

次の朝には、魚市を、鈴と紫音は、活気ある魚市を歩き周りこととなった


新鮮な、魚達に、鈴の瞳は輝きを増し

あれや、これやと、品定めし気に入った魚を何匹か買い込んだ

そして、地元の漁師と思われる人間に、有ることを訪ねていく


それは「この近くで、魚料理のおいしい店を教えてくっださい」と

そして、多くの漁師さんが薦めてくれた、3店舗を、2人は食べ歩くが

2人は、お店をでると毎回の用に、ため息をはく・・・・

どの店も、雑誌等で名前が載る、有名なお店であり

その、どのお店の料理も、きっと美味しいのだろうが

2人の求める味ではなかったのだ


そして、諦めかけたが、最後に、もう一件だけと、あるお店に足をむける

そこは、ある漁師さんがすすめた、古くからある店

だが、そこの大将は、漁師でもあり、いい料理を格安で提供するとの事

それより、鈴が引かれたのは、その店の名前である

【鈴蘭】そう、すずらん

その名前には、鈴の文字と、鈴の母の名前である蘭の文字が使われていたのだ


漁港からは、すこし離れた場所にあるため、たどり着いたのは

お昼時をすぎ、2時に差し掛かろうとしていた

そして、店の前に行くと、ちょうど暖簾 (のれん)を外す所であった


年の頃は50過ぎだろうか、割烹着姿の女性に声をかける


「すいません、もう終わりでしょうか?」


「お客が、途切れたんで、少し早いけど

 暖簾を下ろそうかと、思ったんだけど?お客さんかい?」


「はい!おいしい店さがして、食べ歩きしてるのですが・・・

 できれば何か、お願いしたいんですが・・ダメでしょうか?」


「ん?お父さんか、お母さんは?」


「・・・子供2人ではだめですか?」


「いや、ダメじゃないが・・・・・ちょっとまちな、旦那に聞いてみる」


そして、割烹着姿の、気さくなおばさんは、下ろした暖簾と共に店の中に入っていく

そして、十数秒立ち店の扉が開き、入ってくるように促される


「こんにちは、おじゃまします」

「こんちは~」


「はい、いらっしゃい、うちの旦那が、いいってさ、好きな所に座んな」


そこは、外見と同じで、古い食堂である

古い使い込んだ机に、椅子、そして、カウンター席を合わせても

全部で30席にも満たない、小さな食堂であった


そして、鈴は迷わず、カウンター席を選び

この店の料理人であろう大将の前に座った


「ん、嬢ちゃん、何にするんだ?」


包丁の手入れをしていた、60歳は過ぎているだろうが

現役の漁師らしく、体格のいい男は、無愛想に聞いてくる

それに、鈴は、怯むことなく、笑顔で応える


「魚料理を、できれば、おいしいお刺身を、2人前、お願いできますか?」


その言葉に、カチンとくる大将


「ん?ここは、魚料理しか置いてねえ

 ワシは、おいしい料理しか出さねえ」


そういい、大将は店の奥に、入っていった

その行動に、鈴は、驚き紫音の顔を見る


「あぁ、紫音どうしよう・・・・・怒らせたかな・・・・・・・」


「俺は何も言ってない、お前が悪いんだろ」


そこに、先ほどの、おばさんがやって来て


「ハッハッハ 気にしなさんな、店の奥の生簀に魚を取りに行っただけだから」


その言葉を聞き、ホッと胸をなで下ろす鈴


「2人は、どこから来たのかい?」


静岡からとも言えず、口ごもる鈴、そこへ紫音が


「最近この近くの祖母の家に、ご厄介になる事になりまして

 妹が料理が好きなので 

 せっかくだからと朝から魚市をまわっていたんですよ」


「そうなのかい、料理好きなのかい、えらいねぇ

 家の娘たちにも、見習わせたいくらいだねぇ

 なら、そっちが、お兄ちゃんなのかい?」


「お兄ちゃんというか、双子の兄なんです」


「そうかい、そうかい、それにしては、にてないねぇ」


性格の明るい、おばさんと、鈴が話していると


奥から一匹の、生きた真鯛の尻尾を握り締めた、大将が戻ってくる


その真鯛に、おばさんと話していた、鈴の口が止まる

そして、カウンターを挟んで、大将がまな板の上に真鯛を寝かすと

鈴が、焦ったように口にする


「すいません、失礼ですが、椅子の上に立っても良いですか?」


そして返事も待たず、靴を脱ぎすて椅子の上に立ち

カウンターの上から、まな板を覗き込む

そんな、姿の少女に、大将と、女将さんはびっくりしていた


「もうしわけないです、鈴が・・・あ、妹が大将が魚を捌く所が見たいらしくて

 こうなったら、なかなか動かないんで、気にせずに、料理してください」


あきらめてくださいと、言わないばかりに、紫音が再度断りを言う

無愛想な大将は、一度眉をしかめるが、料理を始めた

包丁の背で、真鯛の頭を軽く叩くと

先程まで動いていた真鯛は動きを止める

一撃で急所を叩き、気絶させた職人ならではの技

それに驚き「おおおおおおおおおお」と鈴は声を上げる

そして、早業で真鯛を三枚に下ろし、綺麗な切り身を取り分ける

そんな、大将の動きを、一部も見逃さないように目に焼き付ける鈴

それを不思議そうに、見守る、女将さん

そして1分も経たない間に、紫音と鈴の前に

不格好なお皿と共に、真鯛の刺身が差し出された


2人は、それを刺身醤油にもつけず、一口ぱくりと食べる


「ん~~~~~~~~~おいしい~~」


今日一番の鈴の叫び

紫音は、先程もだが、お店に他の客がいないことにホッとする

だが、鈴が叫びたくなるのも、わかるほど、その刺身は美味しかったのだ

先程まで、生きていたのだ、ぷりぷりで美味しいのは分かっている

だが、それだけではない

先程回った店でも、食べた刺身は生簀から引き上げた魚だったはずだ

それと、比べ物にならないほど、おしいかったのだ

紫音ですら認めた味、それは、現時点の鈴の腕を超えていた

そして大将は腕を組み、鈴の叫びに、ドヤ顔になっていた


そして、刺身を食べ終わる頃に、大将から差し出されたのは

真鯛の切り身をのせた、出汁茶漬けであり、それも鈴が唸るほど美味しかったのだ

絶賛する、鈴に、照れくさそうに、後ろを向き

此方に背を向けた大将は、片付けを始める


満足した2人は、席を立ち、値段を女将さんに聞くと

女将さんは、大将に視線を送る

そして・・・・


「今日の余り物で、出したような賄い飯に金など取れるか」


くすくすと、笑いながら、女将さんが


「だってさ、かわいい女の子に褒められて、かなり嬉しかったらしいね」


「それは、だめです、食材、そして、関わった人間、それを料理した人間に対して失礼になります

 多少でも構いません、払わしてください」


頭を下げる、鈴

それを見た女将さんは、すこし嬉しそうに、複雑な気持ちで


「なら、1人1000円、2人で2000円いただこうかしら?」


「はい、そして、お2人に、お願いがあります

 ここで働かしてもらえませんか?学校がありますので3月一杯に成りますが

 師匠の料理を教えてもらえませんか?」


椅子からおり、頭を下げる鈴

びっくりして、女将さんは鈴に問いかける


「お嬢ちゃん、いきなり、どうしたの?」


「魚料理を覚えたいんです、おいしい料理を作りたいんです」


頭を下げたまま答える鈴

戸惑う2人は、視線を合わせ困惑する

紫音は、気にもしない


「お嬢ちゃん、小学生を働かすわけにはいかないよ

 それに、親御さんが、承知しないと思うよ」


「それでも・・お願いします」


大将と女将さんは、こそこそと話し合い出す

それはそうだ、年端もいかない少女を雇うなんて

それ以上に、料理が好きだといっても、所詮小さい子の、おままごとだと

バカにはしないが、そんなレベルの子供を相手には出来ないと言う感じで

2人は、視線を合わせ、断ろうと意志を通じ合わす


そこに紫音が助け船をだした


「両親の事なら大丈夫ですよ、聞かなくてもOKだすのは解りきってますから

 俺からも、お願いします、こう見えても、それなりに料理できますから

 鈴、さっき買った魚を2人の前で料理して

 自分の腕で2人を納得させてみろ」


鈴は頷くと


料理場を借りる承諾を得て、先程買った、メバルをまな板に並べ

小学校の入学祝いに蘭に買ってもらった自前の包丁を取り出し

刺身と、軽い塩焼きを作り上げ

大将、女将、紫音に差し出した


それには、さすがの2人は驚く

鈴が荷物から取り出したのは、布製の巻物上の物

それを開くと、数本の包丁がそこに有り

その包丁が長年使い込まれている事は見ただけで大将は理解できた

そして、その包丁さばきと、魚を下ろしていく手際は大将の想像を超えていた

そこいらの料理人より腕がいいと、理解したのだ

だが、年端もいかない、この少女が、此処までの技術を体得するのに

どれだけの苦労をしてきたのか、想像すらできなかった

そして、出された料理を、黙々と食べる


「お嬢ちゃん、おいしいよ、料理うまいじゃないか?」

「うん・・・うまい」


2人が鈴を褒める中


「大将さんの料理と比べると、70点・・いや60点くらいか?」


その言葉に「だよね・・・・」と納得する鈴


「これだけ料理がうまいのに?60点?」


女将さんの言葉に


「あぁ・・・うん、大将の料理を食べる前なら

 何時もの台所ではない事を考慮しても90点くらいだろが

 大将の料理を食べてしまったからには60点

 素材の良いところを、その味を120%引き出せる

 大将の腕と比べると、どうしても見劣りするんだよね

 それは、なんだ?・・・包丁の違い?刃の入れ方か?、その速度か・・・

 その詳細は、俺には分からないけど

 長年培った技術に裏付けされた技なんだろうな・・・と」


そういい、紫音は大将の顔をみあげた

そして、大将が言葉少なく口を開く


「朝6時から仕込み、1度でも嫌な顔をしたら、叩き出す」


「ありがとうございます」


そして鈴は、深々と頭を下げる

それを嬉しそうにみる女将さんは、鈴に声をかけた


「よかったね、お嬢ちゃん」


「ありがとうございます、私は三千風鈴です

 こっちは、双子の兄、紫音、それで、母の名前が蘭といいます

 私が、リン、鈴 (すず)の文字です、母が蘭

 合わして鈴蘭なので、ここの名前が大好きです、それもあって、ここを訪ねました」



そして、次の日から

鈴はここで手伝いをしながら

大将に付いて修行を始める事になる




***********




そして、人懐っこくて、明るい性格の鈴は

この店にくる常連客の人気者になるのに時間は、かからなかった

だが、それも今日までである

最初に約束した通り、鈴の修行は今日で最後なのだ


そして、何時もの用に、漁師達がやって来る開店までの30分で、大将と一緒に仕込みを始める

すでに、慣れたものである、てきぱきと、大人1人分以上の働きを見せる


そして、開店、常連客は鈴が今日が最後だと聞いて

ぞろぞろと、会いに来て店は大繁盛となった

それは閉店時間の午後2時を過ぎても

人が減らないことを見てもわかっただろう

それでも、大将のひと睨みで、2時半には、お客は全員退散していった


「鈴ちゃんも、今日が最後かい、寂しくなるねえ

 ほら、あんたも何かいいなさい」


「・・・たまには、顔出せ・・・・・」


「ふふ、この人ったら」


「師匠、最後のお願いが」


「ん?」


「最後に腕比べをしてほしんです、私がどれだけ腕を上げたかお願いしたいんです」


「そういうと、今日は紫音君くるのかい?」


「はい、もうすぐ迎えにくるはずです」


「あなた、そうらしいですよ、弟子に負けることはできませんねぇ

 腕の見せどころですよ、それとも、負けて花道を送りますか?」


「ふん」


師匠として、負けれないが

かわいい弟子の成長を楽しみな大将でもあった・・・



*********************




紫音の一日は午後2時過ぎから始まる


それは鈴が、ある料理人に弟子入りし、帰ってくる時間である

そして今日も、リルの転移で、鈴が戻ってきて

リルは、寝ている紫音を起こすのだ


そして、紫音は軽い昼食を食べる

そこからは、勉強の時間である


鈴は、異世界の魔法理論、正確には

異世界での紫音の師匠であるウルドに教わった、いわばウルド式魔法理論

そして、前の世界で、紫音が独自で研究を進めていた、呪術、呪法

それを紫音に教わり、習得していく


そして、紫音は、少し寝転んで、思い立ったかの用にPCをいじり

また寝転んで、何かを思い付いたかのように、PCをつつく

そんな、ぐだぐだと、意味不明な動きをしている


リルは、日本語の読み書きを勉強する

今まで、この世界と関わる事がなかった為

リルは、読み書きができずにいたが

今のリルのスペックは、とんでもなく

覚えようとして、本を見ただけで物凄い勢いで記憶していくのだ

ただ、後に分かることだが、記憶するだけである

元々そういう性格だったのか

それとも、前の世界で数百年ただ存在する事に重きを置いた来たリルは

物事を覚え、それを活かし、日々の生活をして行くと言うことをした事がない

そのため覚えた事を、どう活かすと言う、応用的なことが苦手である

それでも、紫音の役に立とうと、読み書きを覚えていく


夕方5時には夕食を食べ、勉強の合間に、風呂も入り

次の日の料理修行もあり、夜9時には、鈴は寝床に着く

そして、使い魔の、コハクとギンを護衛に残し

紫音とリルは、鳥取県の砂丘に転移する

鳥取砂丘の片隅、それは入組んだ場所にある砂浜

ここ数日ここを使っているが、全くの人気は無い

もしあっても、リルの感知ですぐに分かるだろう


そして、ここから、紫音のお遊びの時間がはじまる

砂丘の上で転がり、のたうちまわる紫音

その度に、かん高い笑い声を上げる

ここ数日、この場所で同じような事を続けている紫音

そして、日付も変わった頃

しばしの休憩を入れ、紫音はリルに飲み物を出すように頼む

リルは何もない空間から、冷えたお茶を取り出し紫音に差し出す


「シオン様、お聞きしてもいいですか?」


「え~3サイズ?だけど、そ・れ・は・ナイショ!」


変な手振りを加えながら、ふざけながら答えるシオン

リルは、それを、全くの無視をして話を進める


「ずっと、気になっていたんですが、ここ数日何をされているんですか?」


首を傾げるリルに対して動きが止まる紫音


「リル、お前今までそれを知らずに、ずっと見ていたのか?」


「はい、転げまわって、何を遊んでいるのかと?

 シオン様の事ですから、無意味に遊んでいるのかと思っていましたが

 さすがに、こう数日続くと?とうとう、頭が壊れたのかと

 いえ失言でした、すでに壊れていましたね」


「バレタ!リル・・・

 今まで内緒にしていたんだが、俺の夢はな・・・・・

 フンコロガシの転がす、うんこ玉になりたいんだ!

 だから、こうやって、ころがりやすい身体になろうと日々訓練しているんだ!!」


「やはり、そうでしたか、さすがシオン様、脳味噌はすでに、うんこですね」


「おいおい、リル今日はどうした、そんなに褒めても、何も出ないぞ」


「そんなバカな話は置いといて、何をなさっているのですか?」


「ククク、これは、すり合わせだ

 それとある実験も兼ねて、砂遊びをしているんだ」


「すりあわせ?ですか?」


「そうだな、簡単に言うなら、意思加速での、瞬間的肉体加速の練習だ

 これは魔力を必要としない、スキルに近い技なんだ

 魔力量の少ない俺では速度強化の維持に消費する魔力は命取りに成りかねないからな

 事実、こないだは、意思加速で拳銃の弾を避けようとしたが

 その意思に、体が付いてこれず、弾を食らっちまったしな

 今後何があるか分からないからな、今のうちに、やれることはしとかないとな」


「なぜ?砂丘 (ここ)で?それに、私には、転げまわって遊んでいるにしか見えませんが」


お茶を飲み干し、コップをその場に置くと

立って軽く身体をほぐしながら、身体を動かしながら、リルに説明する


「まぁ、ここまでの実験結果だが

 10歳の成長途中のこの子供の肉体では

 肉体疲労限界までの加速は3倍程度だろう

 無理をすれば、その倍、6倍くらいか?

 そして、その動きも体も、全てを支えるのは足元だ

 最大6倍の速さでダッシュすれば

 足元の摩擦値は限界を超え滑る、または靴がその力に耐えられないだろう

 ならどうするか、その速度で、動ける方法を考えないとダメなんだ

 まぁ魔力を使えば簡単に解決するんだがな

 ダッシュ、走る、移動する事においてはだ

 靴に物質強化掛けて

 足か靴に、重力系の魔法をつけて、摩擦係数を上げてやれば、すべらない

 まぁそれも、ここみたいに地面が砂なら無理だけどな

 あとは、足の下に固定空間か位置固定の魔法かな

 ああ空間固定はこの世界にはないのか?

 なら位置固定、これだと一歩一歩、魔法のON OFFを繰り返す事になる

 他にも方法はあるが、魔力量が少ない俺にはできねぇ

 なら、人体のみで3倍加速で普通に砂の上が走れるように、するしかないのさ

 ハハ、できてねえけどな!!!!」


紫音は両手を腹に当て、ケラケラと、笑い飛ばす


「そこが、よくわからないのです

 あの世界では、シオン様は、空を飛び

 その速度はあの拳銃の弾をも超えていたはずですが?

 それこそ、今の私の用に飛び回っていたと?」


紫音は、手振り身振りで説明していく


「この間、蘭さんにも説明したが

 この世界の、この体では、この世界の物理法則、慣性の法則

 その他の色々な法則に逆らえないんだ

 だからこそ、それこそが、世界の理、法則なんだろうよ

 リル、お前の、その存在は・・

 いや、全ての世界の理から、次元の法則からも、外れた存在なんだろう

 だからこそ、何の代償もなく、そのバカげた力が使えるだろうな」


「シオン様、勉強不足ですいません

 物理法則・世界の理?とか何の事だか?」


「お前、今まで、紫音 (こいつ)のそばにいて、そんなことも理解できてないのか?

 ・・・・・・まぁいい

 そうだな、先程の続きで、移動に関して話して行こうか

 そして、リル、明日は、物理系の補習勉強だな」


そういい紫音は、落ちていた野球ボールの位のゴミを拾い

両手を左右に広げ、ゴミを左右の手で、お手玉しながら

説明しだした


「リル、このゴミが、右手から、左手に移るとしよう

 それは、質量の有る物体が移動すると言う事だ

 そこには、ある障害が生まれる

 大きくは、2つ、重力と空気抵抗

 この世界の物である、このゴミと、俺はそれに逆らえない

 移動速度が上がれば、重力による干渉は少なくなるが・だ

 その分、空気抵抗は上がる、それが、この世界の法則だ

 そして、その法則の中、空を飛ぼうとするなら」


手に持ったゴミを、空に投げる


「一定以上の力で飛ぶしかない、だが常にその力を維持できないなら

 あの通り、空気抵抗で、その速度は落ちていき

 重力に捕まり、地面に落ちる、それが法則であり、理なんだ

 だが、リルお前の存在は、実体もあり、質量もあるが

 この両方の力の干渉を受けないでいる

 だからこそ、空も飛べるし、どれだけ速く飛ぼうが空気抵抗を受けることはない

 ああ、実際この、物理法則や、重力、空気抵抗は、あの世界にも在ったんだが

 なんせ、そこまで科学は発展していない世界だからな

 俺も知らなんだよ

 あと・・・・・・う~ん・・・

 ここからは、俺の知識と言うか

 この世界の紫音の無駄知識からの導き出した

 ある仮定の話となるんだが

 あの世界は、物理法則より、魔力法則に支配された世界

 あの世界の全ての存在、砂一粒から、人間、ドラゴンに至るまで

 その全ての存在に魔力が存在する、だからと言ってもいい

 その魔力を使って大気に干渉し空を飛ぶことができる

 大気に干渉といっても、身体の薄皮1枚程度

 身にまとった衣服にすら魔力が存在する為に

 その衣服すら薄皮1枚程度の大気と干渉をする

 だからこそ、どれだけのスピードで空を飛ぼうが

 空気抵抗を受ける事もなかったし、その事で速度が落ちることは無いし

 空気抵抗で、熱を持ち服が焼け落ちることも無い

 その、スピード内で、目に口に大気中のゴミが入ることもないし

 何の抵抗もなく、呼吸ができるんだ

 ハハハ、この世界からみたら、それこそファンタジーだよな

 まぁ、それが、それこそが、あの世界法則であり、理なんだろうがな」


「そういう物なんですか、全ての物に魔力が・・・」


「まぁ、全ては、まだ仮説の段階だがな

 次の転生であの世界にいけたなら、確かめてみるさ

 今は、まぁ、目の前の問題だ!

 そうなのだ!うんこ玉になりたいのだ~~~」


最後に、変なポーズをキメ、大声で叫び

再び、砂浜の上を転げまわる


少し時間も立ち、そこへ、紫音の携帯のアラームがなり

紫音の砂遊びも終了し、リルの転移で静岡のマンションに戻る

リルは、鈴と共に新潟のある、お店近くに転移し、そのまま鈴の護衛に付き

紫音は、砂まみれになった身体を綺麗にする為、お風呂場に向かう


鈴とリルは、新潟のお店に

使い魔のコハクは、周囲警戒の為に、外へ出ている

部屋には、残った、紫音と使い魔のギンだけである

そして、紫音はギンと遊びながら

新しい魔法の開発へと勤しむ




****************





気温も高くなり、桜も咲きだした頃

三千風家の面々は、東京の家に戻ることとなる


紫音と、鈴は、学年も1つ上がり小学5年生となり

1ヵ月ぶりに学校に登校する事となった

鈴は相変わらずで

クラス替えが有ったにも関わらず

すでに、クラスの仲の良い女子を集め、騒ぎ出していた


違うクラスでは、1人で過す紫音

以前の紫音は、クラスで、いや、学年でも有名な変わり者として有名でもあった

それでも、友人もいたし、それなりには、クラスの人間と交流していた

だが、クラス替えもあり、現在このクラスに、紫音と仲の良かった友人は1人も居なかった

それが、悪かったのか良かったのか・・・

紫音は次第に、1人を好むようになり、クラスの人間とは一線を引くようになっていく

それでも、クラスメイトは気にもしない、変わり者が、根暗になっただけだと・・


シオンにとって、この学校という物は、ある意味苦痛でしかなかった

数え切れない時間の中、好き勝手生きてきたのだ

学校という、牢獄は紫音にとって、窮屈以外何者でもなかったが


新しく蘭とした約束の中に

高校までは、きちんと卒業すると言うものがある

それで、仕方なしに、登校してきたのは、言うまでもないが

この時から紫音にとって、学校とは、睡眠を取る場所となっていく



 

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