5話 西神虎亜(にしがみこあ)
やつが!! やつがぁっぁあ来る!!
俺様の名前は、西神虎亜(にしがみこあ)20歳だ
自分で言うのはなんだが、男前だ
とある、企業の息子おぼっちゃまで
甘やかされて育った、お陰で金はある
はっはっはっは
そして文武両道、成績は高校の時だが
まぁ学年で常に10位以内だったな
独自で開発した魔法で、ケンカも負け知らずだ・・・
いや数度位は負けた事はあるが・・
天は俺様に2物も3物も与えた
言うなれば、完璧な人間であるだろう
だが、不思議なことに、友達が居ない、女にモテない
まぁいい、俺様の価値が分からない人間なんぞ
相手するだけ時間の無駄である。
おっと、少し話がそれた。
そうそう俺様は高校を卒業して
大学に入ったが
入った瞬間、ムダだと本能が悟り
今は行っていない
単位?そんな物は金で買える
金で買えないものは無いからな!
またそれた、まぁいい。
そうやって、夜な夜な親の金で遊びまわっていた時だ
ある、強面の集団に、絡まれたんだ、それもよくある事だ
俺様が、かっこよすぎで妬まれる事が多くて困る
まぁ、俺様は喧嘩も強いからな、返り討ちにするだけだが
その時は、少しちがった。
雑魚っぽい男を数人倒すと
後ろに控えていた独特の雰囲気を持った男が出てきたんだ
俺様は、あれだ・・・・負けたんだ、こてんぱにな
魔法の相性が悪かった
そうでなければ俺様が負けるわけがない。
それからと言うもの
その男、【やまさん】に、事あるごとに呼び出されるのだ
無視すると、またリンチを食らう
だから、やまさんに、付いて行動する事が多くなった訳だが
あぁ、本名は知らないが
皆が、やまさんと呼んでいたから、俺様も同じように呼ぶようにった
別に、一緒に居るのは、やまさんに惚れたとかじゃない
いつかリベンジをするためだ
その為に、今新しい魔法を開発中だ。
おっと、あの魔法の事は秘密だったが、まぁいい、本題だ。
俺様は昨日の深夜、やまさんに呼び出された
その時は、何時もとは違っていたんだ
呼び出されて行った場所には見知らぬ集団が居た
やまさんが、言うには、ある仕事を手伝えと
予定人数が集まらなかったので、頭合わせに呼ばれたらしい
それはそれで、面白そうだからまぁ良かった。
よくよく話を聞けば、とある親子を拉致することらしい
30歳ほどの夫婦とその9歳の双子の子供2人、計4人らしい
さすがの俺様も、拉致は初めてだ
あやしい薬や、犯罪まがいな事は、いくつもやってきた
今更、拉致くらいで、怖気付く俺様ではない
いい訳ではないが
ただ、親子4人の拉致に
この人数は、いささか大げさであるとは思うが・・・
対象の足止め用兼監禁用、大型のトレーラー1台
道路封鎖用、11tトラック
そして、車が2台
集まった人数、俺様を入れて、11人である。
その中でリーダーらしき男が電話で指示を受けて移動しだす
そして深夜、東名高速に新しく出来た、サービスエリアに付く
翌日の朝まで、ここで待機らしい
俺様と、やまさんと、他数人で、レストランで飯を食べる事に
とりあえず、ビールで乾杯し
おっと、これを言っておかないとダメだな
そこで、食べた、マウント富士カレーこれは絶品だ
カレー食べ歩きをするくらい
カレーが大好きな俺様が言うのだから間違いない
それは、大皿のカレーに、色とりどりの、揚げ物があり、オムレツまで乗っているのだ
俺様の、肥えた舌も喜ぶ美味しさであった
お前たちも、このサービスエリアに来たなら食べてみるといい
ほっぺたが落ちるほど美味しい事間違いなしの俺様のイチオシメニューだ。
あと、やまさんは、最初から最後まで、アルコールだったが
一緒にいた奴らが食べてた、ご当地海鮮丼も、かなり美味しかったらしい
今度来たら、食べてみようと思う一品でもあったと
そして、飯もおわり、俺様は車に戻って朝まで仮眠した。
そして、朝6時位だろうか
偉そうにした男がやってきて、起こされた
髪を7:3にしメガネをかけたスーツ姿の男だ
作戦が、どうのこうのと言っていたが、眠たくて聞く気はない
そんな中、時間は過ぎ
対象の親子が、サービスエリアに入ったと連絡を受け
俺様は、車のスモークガラス越しに、その親子を確認したんだ。
父親は居ない事を確認し、3人の親子を目視した
丈の長い白衣を着た女性、母親だろう
そして、元気の良さそうな小学生くらいの女の子と
眠たそうな同じく小学生だろう男の子の3人でだった
あれなら、俺一人で拉致できるだろうと、思うが・・・・
やまさんに、言ってもたが、頭を殴られただけである
そして、時間はたち、その親子は、朝食も終わったのだろう
車に戻り、また高速道路に戻っていった。
俺様の頭に幾つかの疑問を残したまま、時間は動き出した
まず
先行に車一台が立ち
その後を、大型トレーラーに車が2台
最後に、11tトラックだ
数分走ると、最後尾の11tトラックが事故と見せかけ
東名高速下り車線を塞いだと連絡が来てた
そして俺達は、目標の車に近づき
その車の先を塞ぐように、大型トレーラーは、その車体で道を塞いだ
そして・・・・チッ
色々あって・・・・だ
あぁ?めんどくさいんだよ
7:3メガネが、グダグダ喋りやがって
女1人、子供2匹拉致るのに、どれだけ時間かけんだよ
そうだ、横に居た、おっさんが、マシンガンぶっぱなしたんだ
さすがの俺様も、本物を見たのは初めてだ
一度ぶっぱなしてみたいと想ったな。
おっと、それたな。
え?俺様が今何してるかって?
見てるんだよ、その拉致るはずだった女の戦ってる所を
7:3メガネの合図で始まった戦闘
まず、やまさん入れて3人が女に襲いかかったが、女はトンファーらしき武器で
3人の攻撃を裁き、スキあらば3人に打撃を与えていた
天才の俺様が言うのもなんだが
3人の格闘センスは、俺様から言わせれば、なかなかの物だが
なんにせよ、やまさん達3人は、大ぶりで隙が大きすぎる
あれでは、攻撃をしてくれと言わんばかりではないか
全力であれでは、負けるもの時間の問題だろう
だいたい戦い方の基本が成ってないんだよな
あ!また、そんな所で大ぶりするから
攻撃食らってるじゃないか
しかし、この女のセンスは、3人の上を行く、3人相手に攻撃を凌ぐとは
まぁ・・・・・俺様の方が上だがな
やっぱり、あの時やまさんに負けたのは、何かの間違いだな
こんな女、天才の俺様に掛かれば、ざっと30秒あれば・・・ククク
虎亜は、4人の戦いぶりを観察しながら、ニヤニヤと眺めていた。
蘭は、戦闘に入ると確認する
一番気を付けないといけないのは、サブマシンガンだ
これは計3丁ある、戦闘開始直後に、井門が1丁持ち
後1人が2丁下げている
井門に撃つ度胸は無いだろうと
なら、もう1人の行動に注意を払おうと
そして、間抜けそうな顔をした男達2人が、ガキを捕まえに動いた
紫音と鈴なら、対処できるだろう、本気で逃げる紫音を捕まえるのは
私ですら、手を焼くのだから
私に向かってきた3人の男達
連携の不具合から、即席のチームだと分かる
私を殺しては成らない、出来るだけ怪我をさせないと言う
条件の中で彼らは本領を発揮でいないのだろう
本気を出される前に、潰しておきたい所だ
気がかりなのは、こちらを観察するかのごとく
動かない、ブタの用に太ってるチビ男の事だ
その体格から、前衛?いや、まだ決め付けるのは、早い
だが、強化魔法すら、していない、何かの意図があるのか?
こいつも、注意を払おう・・・
だが、今戦っている3人もかなりの強さだ
ワザと作られた、隙を付いて攻撃をしているが
隙を作った本人も、それはわかってるから、当てても致命傷になる事はない
このままだと、あと数分で私の方が体力的に不利になる事は計算できる
この状況を打破するには・・・・・・・
3人の男の猛攻を受けながらも、常に数歩先の事を模索する蘭
そう、やまさんを初めとする3人は、初めからそれが目的である
別に、打ち合わせしたわけでもなく、蘭との戦闘を始め数度打ち合って思ったのだ
この女は強い、連携、コンビネーションの取れない3人、だからと言って
一人で戦うには、手加減をしないといけない分、本気が出せず不利であると
なら、相手は女性、持久戦に持ち込もうと、そういう打ち合いを始めた、やまさん
そして、その、やまさんの戦い方を見て、考えをさっする2人
さすが、この手の仕事を何度もこなしている2人も同じ考えだったらしく、やまさんに続いた
3人は、ワザと隙を見せ、蘭に攻撃させる、その隙を付いて、手の空いた男が攻撃する
それは、蘭を運動量を増やし体力を消費させるためである
そして、蘭も承知のうちで、攻撃を仕掛けている、いや仕掛けないと
防御一辺倒では、確実に負けることは分かっているのだ
それなら、多少の危険を冒してでも、攻撃を仕掛けないと先はないのが分かっているのだから
4人は、ただ闇雲に戦っているのではない
その一打一打に、頭脳戦を用(もち)い、戦っていた
見た目には、蘭が押している戦いであったが
その実、3人の男達の方が、かなり有利に事を運んでいる
それは、後10分も立たず、明らかになる事だろう。
だが、チビで不細工なブタ・・・は
チッ
やまさん達、地味に押され気味だな
そろそろ真打の俺様の出番か?
そのとき横の方で
「お前らどけ!」
その合図で、やまさん達3人は左右に飛びのき
そして炎の塊が3つ、女に向けて飛んでいった
それは、マシンガンを2丁肩に下げた男が放った魔法である
その、ファイヤーボールだと思われる魔法は全弾女性にあたり
3つの炎の塊は大きな炎をあげた。
おいおい拉致するのでは、なかったのか?殺してどう・・・・・・・
いや・・・俺様の動体視力は捉えてたよ
当たる寸前、3人が避ける同時に
あの女は、防御魔法陣を貼ったんだ、多分そうだ
そう、炎が一緒高く上がると、それは消え
無傷の女性が、そこには立っていたのだから。
やまさんと、呼ばれていた男は、思う
あと数分も待てないのか!そして、状況も読めんのか
あの、おっさん、しょぼい魔法撃ちやがって
最初見た、魔法陣を覚えてないのか、お前のしょぼい魔法では
彼女の防御魔法を貫けないのも、判断出来んほどクズか、お前は
それに、今は魔法勝負じゃねえ、体力勝負だろうが・・・
虎亜も、サボってやがるし、あのデブ、今度丸焼きにしてやる
「虎亜(こあ)!お前も戦え」
やまさんが、業を煮やし、サボっていた俺様に怒りだした
仕方がないと、俺様は強化魔法を数個かけ
古い映画、ロッピー3のテーマソングを頭の中で流しながら
女性に向けて歩き出したんだ
「じゃまだ、どいてくれ、俺様一人で、勝ってやるよ」
そして最後に、やまさんには、負けたが、俺様独自の固有魔法を発動させた
それは上位硬化魔法である
元は皮膚を鉄の用に硬化させる、防護魔法だが
これは硬化された場所は固り動かなくなる欠点があったが
俺様は、それを改良し、動きはそのままで、皮膚の強度だけ上げる魔法を開発した
まぁ俺様は【天才】だからな!
その魔法によって、俺様の両腕は、鉄の強度持つことになる
ナイフ・金属バットなどで、殴られても痛くもないのである
多少の衝撃はあるが、魔法を解いても、怪我一つないのだ
計算上では、鉄砲の弾も弾き返せるはずである
そう両腕は鉄の強度を持った凶器となったのだ
この状態の俺様と殴り会える人間は居ない
ここに、俺様と言う天才がいた事に感謝しろ
やまさん、そして7:3メガネ、
そして、勢いよくダッシュして、蘭に向けて、力いっぱい右手で殴る
だが蘭はトンファーをクロスして、その右拳を受ける
それと同時に威力を殺すため、大きく後ろに飛んだ
「ハッハッハ、どうだ、俺様の力は、受け切れまい
さっきの3人と比べ物にならんだろう」
そして、ちらっと横目で、やまさんを見る
その顔は、とてもビックリしているように思えた
フフ、やまさん、俺様の本当の実力がわかったようだな
そして、カッコ付けるようと
ボクシングのシャドーの用に
軽く左ジャブを2度打ち、右ストレートを撃つ真似する
キマッタ! 頭の中で、ロッピー3のテーマソングが流れていた
やまさんは驚愕する
ブタは・・・どこまで行っても、ブタか
今までの流れも読めんのか、このアホ
そして、今の攻撃も、完全に威力殺されたのも分からんのか
「おい、虎亜!」
「大丈夫ですよ、まぁ見てて下さい」
やまさんめ、手柄を取られるのが怖いのか
こんな弱い女に、どれだけ時間をかけているのか、わからんな
いっきに決めるか
虎亜は、にやりと笑い、蘭に向け、再び襲いかかる
虎亜は、両手の肘から先を、鉄の用に硬化させたまま
蘭に向け最速の連撃を叩き込んでいく
はっはっは
やまさん達3人相手に、押していた、この女も
俺様に掛かれば、ほら、防戦一方ではないか
やはり俺様は強い
ククク ハッハッハ
それを見た、やまさんは、眉を寄せ、舌打ちをした
初撃以来、全ての攻撃を躱されるか、トンファーで完全にいなされている
そして、息もだんだん落ち着いてきてるではないか
あのデブ、本気で焼いてやる
蘭は、このブタの相手をする事は
先程までの緊張感はなかった
一人で、突っ込んで来たときは、何か有ると思い
攻撃を受け、思いっきり後ろに飛んだが
実際の威力は、今まで戦ってきた3人に比べれば、カスみたいなものだった
自信満々に攻撃してくる男に合わせ防戦に徹する蘭
その間に、先程まで緊張感で、すり減らした精神力を回復する
そして息を整える、このブタ男に気づかれないように
そして、その考えも数分も持たなかった
蘭の視界の端に見えたのは、先ほど戦っていた男の魔法である
すでに放たれた、その魔法は、蘭の対処を一瞬送らせた
それは、その男に放出系魔法はないと、思っていた蘭の失態でもあるし
ブタ男が目隠しになり、その初動を見れなかった
また、ブタ男の背後から放たれた炎の塊は
味方であるブタ男の死角になり、その事に気がつかない
そして蘭は、その魔法の威力を見ただけで理解できた
自分に張っている、魔法防御魔法では受けきれないと・・・・・・・
やまさんと呼ばれた男は魔法を使った
先ほど飛んできた、しょぼいファイアーボールでは無い
高密度に圧縮した炎の固りを両手に出現させた
昔、虎亜を焼いた魔法でもあった
そして、それを虎亜に向けて。。。
いや、蘭に向けて放ったのだ
だが、蘭の反応も早かった
自分が、その魔法を避けると、自分の後ろにある、愛車に当たる可能性もある
それに、逃げろと言ったのに、車の周りで、鬼ごっこをしている紫音に当たるかもしれない
あれ(魔法)に対抗できる、防御魔法を貼るのは、間に合わない
なら・・・・やることは一つ
蘭は、駄々っ子パンチを繰り出す、ブタの両手をトンファー弾く
虎亜は、両手を弾かれて、大きく両腕を開いた
そして、蘭は、隙だらけになった、ブタの腹を、思いっきり蹴ったのだ
これは、ダメージを与える攻撃ではない
ブタ男を後ろに飛ばす蹴りであるが
さすが、ブタ重かった、それでもバランスを崩し、後ろに後ずさる
だが、それでいい、そして蘭は後ろに飛び退く
虎亜は攻撃を弾かれ、腹を蹴られる
そんな物で、俺様にダメージは無いと、ニヤリと笑うが
流石に、バランスを崩し、数歩後ろによろめいた
その時
「グガッ!」
意識が飛ぶ程の衝撃が、背中に走り身体が逆くの字にまがる
その後、背中が爆発し耐え難い熱量に全身が支配された
「うがぁぁぁーーーーーーーーーーーーー」
大きな、悲鳴らしき物を上げ
全身に走る痛みと熱さ、そして背中に着いた炎を消すため
地面をのたうち回る
昔、これと同じ痛みを感じた事がある・・・
あの時は・・・・・・・・
痛みと熱さを、紛らわすように、未だ地面を転げまわっていたが
魔法が飛んできただろう方向に視線を送ると
やはり、奴がいた、やまさんである
クソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソ
殺す、奴だけはこの手で殺す
その時、虎亜の中にあった、やまさんに対する敵対心が
憎悪と言うスパイスで、殺意に変わったのだ
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
そして、虎亜は、生まれて初めてだろう、強い意思が芽生える
そう憎悪に染まった、殺意と言う意思が・・・・
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