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4話 バレなければいい、そうバレなければ

 



 東名高速道路をとあるスポーツカーが快走していた


子供を2人載せている為、制限速度ぎりぎりの時速80kmほどでだが


運転席でハンドルを握る、蘭と後部座席の紫音は

小声で科学魔法談義を繰り広げていた

それは、助手席では、先ほどサービスエリアで朝食を取って

お腹いっぱいになって睡魔に襲われた鈴が寝ていたからだ。


 蘭は紫音がここまで科学魔法の知識を有しているとは今まで知らずにいた

今までは、9歳の子供のやってる事柄と

心の何処かで笑って居たのかもしれないと・・・。


 それは、小学校に入るときに行われた、魔力測定に関係する

鈴の数値は、10段階で、魔力値 10 潜在魔力量(MP)10 と出たが

紫音に至っては、魔力値 2 潜在魔力量 2 と出たのだ

ただし1は、魔法特性無しであり

魔法を全く使えない

言うならば 魔力も無く、魔力量も0となる

紫音は、2、魔法が使える最低限の評価である

また、10段階ではあるが

一定量を超える魔力量は、どれだけ多くても10評価である。



 これらは現段階の数値であり、成長によって変わってくるものである

数値1のだった子供が、大学では、科学魔法の実技で

トップクラスの成績を収めている事は良くある話である。


 それから、鈴が料理に没頭したように

紫音は自分に魔法の才能が無いと諦め

科学魔法の知識を、その仕組みを、片っ端から吸収していった

元々色々な知識に貪欲だった紫音は

その矛先を科学魔法にしぼったのだ。


 まだ稚拙ではあるが、その知識と子供の発想に蘭は

次の世代の科学魔法を背負って立つ科学者だと嬉しく思い心浮かれていた

親バカである。



 紫音は紫音で、友達と話しても理解できなくて会話にすら成らない話を

できる事が嬉しかった、そして、自分の考えが理解でき

それが正しいかどうか判断が下せる蘭(母親)との会話は何物にも代え難い時間でもあった。


 蘭は父親と違って理論派である

疑問に思ったことには理論や理屈があるから考えなさいとよく言う。


  技術は知識無くして、その先の進歩はありえない

  知識は、それを体現できる技術なくては知識として成り立たない


口癖でもあり、時折それに似た言葉を口にする


そう、紫音と鈴は、蘭の口癖を元に

得意分野に対し

知識と技術を付け

信じられないほど特化したのだ。


そんな、話をしていると、眠たそうに鈴が起きだした


「鈴、よく寝てたな、気持ちよかったか?」


「うぅ~~ん、ねむいぃ」


両手で目を周りをこすり、小さくあくびをする

まだ少し寝ぼけているようであった



そんな時、蘭はある異変に気が付く。



 高速道路を走っているが、蘭が走っている下り車線に

他の車が先程から、見当たらないのだ、それはよくある話だが

制限速度を守る蘭にとって、他の車に追い越されないと言うことが

どれだけ異常な出来事と言うことが理解できたのだ

高速道路を走る車の殆どが時速100km以上出しているのだから


蘭は妙な胸騒ぎを感じ始めていた


そんな胸騒ぎを他所に、後ろから大型のトレーラーと数台の車がが近づいてくるのが

蘭の車のバックミラーに映る

蘭は心なしか、安堵した、嫌な予感が外れたと


そしてそのまま高速道路はある山の谷間に差し掛かった時


蘭の車を追い越したトレーラーがいきなりハンドルを切り道路を塞ぐ


蘭は咄嗟にブレーキを踏む、車のタイヤが一度ロックするが

ABSアンチロック・ブレーキング・システム

蘭の慣性制御魔法が働き

トレーラーにぶつかる寸前に止まった

そのブレーキで、鈴は慣性で、シートから飛び出しそうになるが

蘭は左手で、一瞬シートから浮いた鈴の体を抑え、どうにか鈴は無事であったが

後部座席で、うめき声があがるが・・・・・・・


「男なら我慢しろ」


蘭の、一喝


先ほど蘭の脳裏走った、嫌な予感が現実の物となった。


 蘭が周りを確認すると

トレーラーの他、黒塗りのボックスカーの2台から数人が降りてきた

サブマシンガンを持った男達7人と、最後に出てきた男、蘭の見知った顔が・・・・・・・



 そう、どこからかの情報で

三千風蘭が帰郷すると聞いたのだろう

蘭も内緒にしたわけでもなく、数ヶ月前から休暇届けを出しているのだ

仕事の関係者なら全員が知っている事柄でもあるのだ、不思議ではない。


 そして、昨晩から家を見張り後をつけてきた一団は

人目に付かない、高速道路の山間の谷間を狙い襲ってきたのだ

一般の車が居ない事から後方で事故

又はトラックでも横転させ、道を塞いでいるのだろう。



蘭「2人共、車の中にいろよ」


紫音と鈴に声をかけ、心配そうに見つめる子供達を残し、車を降りる

運転席のドアを閉め、腕を組み、そのまま車に寄りかかり


「よう、緯度経度(いどけいど)

 ご苦労だな、ついでに此処の緯度教えてくれ」


「誰が緯度経度ですか、井門圭人(いどけいと)ですよ」


黒いスーツに黒メガネの7:3髪の男が答えた


「チッ、まったく冗談も通じねえ」


右手中指でメガネの中央をつつき、メガネの位置を正す井門


井「さて、三千風先生、足止めはしてますが、時間も、さほどありませんし

 私と貴方の間柄、挨拶、世間話抜きで行きましょう」


蘭「私たちの間柄?

 嬢王様と下僕か?

 だが、そんなメガネを飼った覚えはないがな」


井「時間稼ぎですか?」


 そう言い井門は左手を挙げた

そしてそれを合図に、7人の男はマシンガンを構える

それを見た蘭は、左足に履いているヒールで一度、アスファルトを突くと

紫音と鈴を乗せた車を囲むように、円柱の魔法陣が展開された


井「ほう、複合の防御系魔法陣ですか

 さすがですね、ですが、わかってると思いますが

 それでは、たいして時間稼ぎになりませんよ」


蘭「私を誰だと思ってるんだ?」


井「フフフ、さすがは三千風先生、肝が据わっていますか

 しかし・・・・まぁ、完結に言いましょう、子供の命が惜しかったら

 私どもと、一緒に来てもらいましょう」


 三千風蘭、大学時代19歳で書き上げた論文は

全世界の魔法科学者に

いや、それは医学会にも、全世界の人間に、衝撃を与えた論文でもあった

それは簡素な題名【記憶の移植】であった。


 人体実験は、許可がおりるはずもなく

動物実権、おもに犬であるが、数十体の試験体のうち、3体が

その記憶の移植に成功したと言うものである

たったの成功率2%に満たない程であるが

分かるだろうか、それは0%では無いという事なのだ。


 また、動物実験という事もあり、真実は分からないが

犬から犬への、記憶が移植できるのであるなら

人間から人間への移植も可能なのかもしれない

それは、肉体は変わるが、記憶は生き続ける、あるいみ不老不死である。



 蘭の書いた論文は、そのほかにもあるが

この【記憶の移植】は、未だ世界を揺るがすものである

また、この論文を書いた後

世界各国からの勧誘引き抜きが、あったのは言うまでもない。


 そして現在、人体実験を禁止している国際条約で基づき

日本最大権力の十士族の元、この【記憶の移植】に使われた

魔法及び研究は禁忌とされ、固く禁じられた

これにより、その全内容を把握しているのは、蘭だけとなる

そして、蘭の身柄は、十士族協定により、不可侵条約で守られるようになる。



そして、その才能から、未だ引き抜きの勧誘が、たまにはあるが

最近、しつこく誘ってきたのが、この男の組織であった


蘭「脅しか?十士族協定に逆らう事になるぞ?」


井「バレなければいいんですよ、バレなければ」


そう言い放ち、鼻で笑うその男は左手を前に倒す


3人のマシンガンはその威力を見せつけた

蘭に怪我をさせない様に、その矛先は、防御系魔法陣の左右の端である

その撃ち出された百発に近いの魔法弾は

3秒も掛からず、蘭の張った魔法陣を破壊する


井「私達も、バカではありませんので

 とくに重火器の進歩は日々進化しております

 一世代前の防御魔法など、ほら、この通り」


 自分の事でもないのに、上目線で自慢げに、告げるが

未だ、その態度を崩さない蘭に、渋い顔の井戸。


 それでも、蘭は頭を巡らせていた

圧倒的不利な立場で、子供達を逃がす細断を

そして、つい、誰にも聞こえない小声で


「クソ、こんな時なんであの男はいないんだよ」


この場に居ない紫音と鈴の父親を思い出し、愚痴をつぶやいた


そして、未だ独り言の用に話している、緯度経度を無視し

車に向き直り、ドアを少し開け


蘭「2人とも、デバイスと携帯あるな」


その言葉に頷く2人、すでに鈴は泣きそうである


蘭「よし、これから、アイツ等を、ぶっとばす、お前達は逃げろ

 そして助けを呼べ、鈴心配するな、お前の母は世界最強だ

 紫音、鈴を頼んだぞ」


 数日後に10歳の誕生日を迎える子供に、何をと蘭も思うが

紫音と鈴の思考と行動力は、すでに子供の域を超えていた

いや、そういうふうに、育てて来た

常に自分で考えさせ、行動させた

それが危険であろうと、蘭は反対することはなかった

それは、自分が、小さい時、やりたいことを親に反対され

色々な事が、出来なかった反動であったのだろう

その為、蘭は未だに包丁が使えず

愛する子供に手料理を作れないでもいるのだから。


 心配そうに見つめる2人に

ニコリと微笑み、再びドアを閉める。


すでに、独り言をやめていた、井門圭人に向き直り


蘭「待たせたな」


井「決心はつきましたか、では御同行おねがいします、先生」


蘭「あぁ、ついたよ、お前達をぶっ飛ばし

 親子3人で、クソババァに会いにいくってな」


井「それはそれは、では実力行使と行きますか

 お前たち、銃は無しだ、武力で押さえつけろ

 そっちの2人、子供を取り押さえろ」


その言葉を聞き、蘭の口元が微かに緩む


 そう流石に重火器、それもマシンガン相手

もし1対1、もしくは1対2程度なら勝てる

だが、相手が3人ともなれば話は別となる

だが、力勝負なら、相手が3人だろうと勝算はある

それに、あのチビ達なら

大人2人にそう簡単には捕まりはしないと


蘭「緯度経度、私の昔のアダ名を知ってるか?」


井「マッドサイエンシスト?でしょうか?」


蘭は、鼻で笑い、ゴミを見下すような目で


蘭「それは、研究者になってからだ、10年以上前は

 捕食者【プレデター】と言う通り名だ」


 そう言うと、一歩一歩ゆっくりと足をすすめる

一歩、歩くごとに魔法を起動させ

肉体強化に始まり、速度強化、防御魔法と、数種の強化魔法がかかっていく

そして、両手を腰に廻し白衣の中に突っ込むと

そこから小型のトンファーに似た武器を取り出した。


 井門圭人は、蘭の迫力に押され、蘭の歩みと共に、後ろにさがるが

そんな姿を見た、井門圭人の部下達は、順次魔法を起動させていた


「やれ、捕まえろ」


緊張感に耐えれなくなった井門圭人の声で

戦いの舞台は切って落とされるのだった。




土曜なんで、もう一話、午後11時に

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