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1話 家族

覚醒編はじまるよ~~~~~~~

 



「紫音、鈴はやくこんかい、もう出るぞ」


 三千風家の玄関の前で

未だ2階から降りてこない2人を呼ぶ人物がいる。


ダダダダ!!!! と

青く長い髪を振り回し、音を立てて階段を降りてくる女の子

その足音からも分かるように、男の子勝りの活発な娘


【三千風鈴】9歳である


「蘭さん、まってー 紫音はやく」


 髪を頭の後ろで纏め丈の長い白衣を着込み腕を組み

右脚のヒールの踵を、カツカツと鳴らし、イラついている人物

蘭と呼ばれた、その女性


【三千風蘭】


紫音と鈴の実の母親である


「紫音、早くこい」


靴を履く、鈴を見ながら、紫音を急かす蘭だが

それを、気にもせず

ゆっくり階段を下りてきた


【三千風紫音】は周りを見渡し、問いかける


「蘭さん、父さんは?」


「家(うち)には、そんな奴はおらん!」


 イラつき気味に、言葉を返す蘭

その少し、キーが低めの声を聞き

紫音と鈴は「またか!」と

小学生ながら頭を悩ませる。


 3ヶ月前から予定していた約束を

鈴と紫音の父は、ドタキャンしたのだ

その理由は有るのか無いのか、母は知っているの知らないのか

まだ小学生の2人には、預かり知らない所である。




 今は、真歴2572年2月29日土曜、午前6時過ぎである

来月3月4日に10歳の誕生日を迎える双子の紫音と鈴

少し早いが、母方の祖母がどうしても誕生日を祝いたいとの事で

連休を使い母の実家に、これから遊びに行く予定である

母(蘭)も祖母と逢うのも実家に帰るのも数年ぶりである。


 蘭は科学魔法研究者であり

幾つもの論文を世に出し、その筋では有名人である

日頃は研究に忙しく、家にも滅多に帰らないくらいであるのだ

その蘭が年末から仕事を調整し、紫音と鈴の10歳の誕生日に合わせ

やっと数日の休みが取れ、家族4人で母の実家に帰るはずだった。


 その約束を父が破ったのだから機嫌が悪く

ピリピリしているのも納得がいく2人である

とばっちりが来ないよう、急いで母の車に飛び乗るのだった。


 蘭が大学生時代から10年以上乗っている車

2ドアタイプのスポーツカー、バリバリの走り屋使用である

足回りは、車高調・スタビ・タワーバー等が入り

マフラーもタコ足から、交換してあり、もちろんターボもレース仕様が組み込まれていた

エンジンも、ボアアップしてあり、クロスミッションやら、毒キノコと言われるものから

訳の分からないものまで、改造されていたが

ここ数年前からは、多少やらかめの足回りにしたり

後部座席のロールゲージを外したりと

人が乗れる車となっていた。


 何時もの用に助手席の後ろに紫音が乗り込み、助手席に鈴が乗る。


 蘭は家の鍵を電子ロックする

ついでに、管理者権限で使用者の欄から父の名前を削除する

これで、父は家に入れなくなったのだ、母がよくやる、嫌がらせである

そして丈の長い白衣を翻(ひるがえ)し、車に乗りこむ。


 エンジンを駆け

シートベルトする蘭、そして紫音と鈴を確認する


「鈴、ちゃんと座れ、紫音、車で、ノートいじるな、そして、シートベルトしろ」


 鈴は久々に母の車に乗るので嬉しくて、シートから乗り出し

ダッシュボードにかじりついてたが

蘭の言葉できちんと座り、シートベルトをする。


 紫音は、すでにノートPCを起動させ

小気味良い音で、キーボードを叩いていたが


紫「アニメなら見ていい?」


蘭「ダメだ!

 それ壊されたくなかったら、すぐ仕舞え」


紫「・・・・・はい・・・・」


鈴「紫音、怒られてるーー」


紫「鈴うるさい」


ドン!


助手席の後ろから、そのシートを右足で軽く蹴る


蘭「紫音!てめえ    」

   紫「ごめんなさい、もうしません」


蘭の言葉を遮る様に、食い気味に謝る紫音


「・・・まぁいい2人共シートベルトしたな?」


「「はい」」


「よし、行くか!」


 走り屋使用のその車のマフラーは重低音を吐き出し、進み出す

東京から、母の実家、静岡まで、蘭1人なら1時間ちょっとで着くだろう

だが今は子供2人を載せているのだ、安全運転は必需である。


 車の中では、2人の笑い声が絶えなかった。


 月に大半は研究所で過ごす蘭、家に帰るのも、月に5日も無い

帰っても、紫音・鈴は寝ていたり、学校に行っていたりと、触れ合う時間はすくないのだ


 言葉は乱暴であるが

昔と違い、今では、心から子供を愛してる蘭は

2人とゆっくり話せる、今この時が幸せであった

ある意味、旦那が此処に居ないと言う事も良い結果だったのかもしれない


そして、紫音も鈴も、久々に時間を気にせず、母と話せると

我先にと、話し出す2人

鈴は、学校の事や、親友の事や、色々の事をマシンガンの用に話していた

紫音は、近所に住む幼馴染の悪口を垂れ流す

そんな話の合間に

蘭が思い出したかのように問う


蘭「そうだ、2人共誕生日プレゼントは、何がいい?欲しいものはあるか?」


紫「僕は・・・・」

鈴「あのね・・・・」


紫音と鈴が同時に反応し

2人して自分の邪魔をするなと、言わんばかりに睨み合う


蘭「紫音、レディーファーストだ

 いつも言ってるだろ、男は常に女性に優しくあれだ

 それで鈴は何が欲しいんだ?」


鈴「あのね、こないだ桜のじんじぃちゃんが、お土産でくれた

 イタリアのお菓子が美味しかったの

 だから、イタリアの調味料と香辛料がほしいの」


蘭「鈴、私は料理が?」


鈴「できない」


蘭の問いに、即答で嬉しそうに答える鈴


蘭「そうだ自慢じゃ無いが、料理なんぞした事ないぞ

 カップラーメン位しか作れん人間に

 外国の香辛料が分かるわけないだろ

 自分で調べて書面にしてくれ買ってやるから

 というか、それはプレゼントにならんだろ?」


鈴「なら、えーーと・・・えーっと・・・・月田醤油店の赤味噌?」


蘭・紫「「味噌かい!」」


 蘭と紫音のツッコミが重なる

鈴もびっくりだ、考えた末に出てきたのが味噌なのだから

つっこまれた鈴は焦り


鈴「なら筍?」


蘭「あぁ筍ご飯か

 美味しそうだね~今晩は・・・無理か

 明日か明後日に鈴に頼もうか」


 どうして、この娘は、欲しいものが食べ物関係なのだろうかと

笑いを堪え、鈴の作る絶品の筍ご飯を想像する。


 蘭は普段、研究に追われ

時間の掛からない、カップ麺等、適当に食べるが

その立場と美貌から、接待を受ける事が多いい、本当は行きたくもないが

スポンサーは大切であり、渋々行くのだが

接待で高級料理店に行く事の多いい蘭のその舌は肥えていた


その肥えた舌ですら

鈴の作る和食は、高級料理店の味を超えていると感じていたのだ

その鈴の作る筍ご飯なら、絶品であると確信し期待を膨らます

そして、その期待以上のご飯が出来ることは確実であった。




**********************



 鈴の料理の原点は母・蘭にある

すでに蘭はその出来事を忘れているが、言えば思い出すだろう

そして、また笑い話の1つとして、笑いながら語るでだろう・・・。


 それは鈴が、まだ小学生にも成っていない時の話だ

紫音は父と出かけ、鈴は家の近くの公園に母・蘭と遊びに来ていた。


 砂場でママゴトをしていた2人、母親役は鈴、子供役は蘭であった

遊びで作った泥団子を、母親役の子供は、子供役の女性に手渡した


「ごはんでちゅよ、どうじょ、おたべくだちゃい」


その泥団子を、女性はニコリを微笑み、パクリパクリと食べたのだ

数分後、その女性は倒れ、動かなくなる

母親役の子供は何もできず、パニックで泣きじゃくっていた


同じく公園に遊びに来ていた、親子に助けられ

その女性は救急車で病院に担ぎ込まれるが

命に別状はなく、緊急入院となった

しかし、その女性はその晩には、とある研究所にて

青い顔で仕事をしていたのだからびっくりでもある

所員が


「なぜ食べた?泥団子を?」と聞くと


こう答えたそうだ


「娘が私の為に作ってくれたんだ

 そりゃ食べるしかないだろ

 まぁ死にそうに成るとはおもわなんだが

 死んだら、その時は、その時だ!!」


そして大笑いしたそうだ


蘭は、笑い話び1つとして終わらしたが

その出来事は、鈴の幼心に大きなトラウマを残す

普通であるならば

今後料理が出来なくなるであろう

母が死にかけたトラウマである。


 だが次の日からである、鈴は料理の勉強を始めたのは

まるで何かにとり憑かれたように

その、のめり込み用は狂気の沙汰であったが

頭の良い鈴は、それを外には出すことはなかった。


 まずは、知識である

母の好きな和食を中心に頭に叩き込む

インターネット時代、調べれば知識は転がっていた


母の口癖に


「技術も大切だが、知識がなければ、その先はないぞ」


 そう、魚の名前や、キャベツと白菜の区別すら出来なかった鈴、まず知識が無いのだ

小学校に入るまで、まず日本食における、食材を、その名前、その料理法を

出来るだけ覚え込んだ


 そして、鈴は、小学校の入学祝いに、マイ包丁をお願いする

そんな子供なんて聞いたこともない

子供にカッターですら持たせない、このご時世

5歳の子供に包丁を持たせる親はいなかったが、蘭は素直に受け入れた。


 姉御肌の蘭、やるならトコトンやれと、料理道具を一式プレゼントする

そして、資金面でも補助をした、小遣い以外に、食費としてや

いつか美味しい食べ物を食わしてくれと、これは、その投資だと

それは、鈴の真剣な瞳を見たからだろう。


 それから鈴は料理に明け暮れる

すでに、ある程度の知識を手に入れた

次は実践して技術を付けるためにと

それでも人間の食べ物として

成立できた物が作れる用になったのは半年も過ぎた頃からだ。


 それも、その筈、野菜の皮を剥くのすら

魔法や、自動調理器、ピーラーを使わず

包丁で皮むきをしているのだ

科学魔法時代、楽をしようと思えば、ある程度の事は、魔法や、自動調理器を使えば

料理の作業工程は大幅に短縮されるだろうが、鈴は一切それらに頼らなかった。


 全ては独学である

幼い鈴の狭い交友範囲に料理のできる人物はいない

もし居たとしても、その人物が5歳の子供に包丁を使うことを良しとするかは別物だからだ

その事も、幼い鈴は理解していたからこそ、祖母にすら相談してはいないし

幼馴染の母親にすら内緒であった。


 そして、どれだけの、食材をダメにしてきただろう

毒見役の紫音は、毎回言う


「これ食べる位なら、インスタント食品の方が、まだ美味いわ」


文句は言うが、毎回全部食べきる紫音


 時間が経ち、蘭が初めて、鈴の手料理を食べたのは

鈴が小学3年生になった頃である。


 それは、古くからある、普通の食事であった

リビングのテーブルを囲って座る4人の前に

ご飯に味噌汁、お吸い物に焼き魚、テーブルの中央に、大皿に盛られた肉ジャガ

これといった、特別な料理でもないが

鈴は、泥団子の件以来、蘭に食事を出すのは初めてである

鈴はそのトラウマから、緊張と心臓の鼓動は限界を超えていた。


 蘭は数日前に、鈴から招待状を貰っていた

それは鈴が事前に蘭が家に帰る日を聞いて

今日の食事会の招待状の手紙を作って送ってきてくれたのだ

こんな嬉しい招待状を貰ったのは初めてと

仕事を投げ出し帰ってきたのだ。


 ただ、蘭はテーブルの上に並ぶ料理を見るまで

期待はしてなかったが・・・


 このテーブルに、ちゃんとした手料理が並ぶなんて

引っ越してきてから、初めての事でもあるが

まぁ8歳の子供の料理

2年そこら勉強したところで、あまり期待は・・

それでも、きちんと、美味しそうな匂いがしてくる・・・と


 蘭は

泥団子の時と同じで、心から嬉しくもあった

そして

今日は病院に担ぎ込まれる事はないだろうと・・


「「「「いただきます」」」」


そして、まず味噌汁を飲んだ、蘭と、父はその味にびっくりする

美味しいのだ、鰹節から丁寧に出汁を取った味噌汁は、文句のつけようが無いくらいに


「「美味しい!」」


蘭と父の発した言葉に、ようやくホッとする鈴・・・・

そうして、鈴の頬に大粒の涙が流れ出す


「え? あれ・・・・えっと・・・うんと・・・・」


突然流れ出した涙を両手で何度もぬぐう


だが、とめどなく流れる涙は止まることがない


そして椅子に座ったまま、大声で泣きだした

そう、やっと数年にわたる、トラウマから解放されたのだ

そうして、今まで、溜まりに溜まっていた、心の内をさらけ出す


「蘭さんごめんなさい、泥団子が、泥団子がぁーーーーーーーーー」


蘭は鈴に駆け寄り、膝をついて、椅子に座って泣き叫ぶ我が子を抱きしめる

鈴も抱きしめてくれた蘭に泣きながら抱きつく


「もう大丈夫、鈴のご飯美味しいよ、本当に美味しいよ」


きつく抱きしめた我が子は、泣き叫びながら震えていた、よほど恐ろしかったのだろうと


蘭は今ようやく気がついたのだ、鈴の料理の勉強も、5歳にして包丁をねだった事も

全てがあの泥団子から始まったと、あの事が、どれだけ鈴を苦しめてきた事かを

この幼い子を、苦しめたのは、あの後キチンとケアしてあげれなかった自分だと

そして、それに気づいてあげれなかった、自分は母親失格だと、自分の愚かさを


「ごめんね、きずいてあげれなくて・・・ほんとにごめんね・・・」


そして蘭も鈴と同じく涙する、鈴達、3人の前で涙を流したのは初めてであった


そんな光景を父も涙を堪え見守っていた




*********************




 車の中で紫音は叫ぶ


「なんで、食べ物ばっかりなんだよ、筍って、どうせなら肉がいい肉・肉・肉」


蘭が飲んだ言葉を、紫音が代弁するが

鈴にしてみれば何時もの事


鈴「紫音には、ハンバーグ作るからいいでしょ」


紫「オッケー」


蘭「鈴には、私が何か考えるよ、で、紫音は何が欲しいんだ?」


待ってましたと


紫「マンガ、アニメ、ゲーム、オモチャに」


蘭「まて、全部却下だ」


紫「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」


鈴「きゃっか きゃっか 」


蘭「マンガや、アニメを見るなとは言わんが、それは小遣いで買え」


 ため息がでそうな、蘭

我が子供ながら、オタク真っしぐらである

いや、ある意味9歳の男の子なのだ、これが普通なのだろう・・・

いや、オタクくらいなら良かったと思い

気になっていた事を聞く


蘭「そうだ紫音さっきノート(PC)で何してたんだ?」


紫「ん?蘭さん、トイレの花子さんって知ってる?」


蘭「あぁ、未だにその手の怪談はあるんだな」


紫「でね、なんで男子トイレには居ないのだろうかと思って」


蘭「なんでだろうね」


紫「もし居たら、トイレの太郎くん?、それって幽霊でしょ

 その太郎くんを見つけるために

 4次元から6次元にかけての、魂の質量と重さ記憶との関係

 それにおける3次元への、又は3次元からの干渉、存在を確定できる

 方法について、魔法式を構築しているところ」


蘭「・・・・・・・・・」


蘭は口を開けたまま言葉がでなかったが

話の意味が理解できなかった鈴が問う


鈴「なにそれ?」


紫「簡単に言うと、幽霊を見つけようって話かな」


蘭「紫音それは、実証できるのか?」


紫「どうだろう?多分無理、幽霊居ないもん」


蘭「アホか、お前は・・・」


 あきれてしまう蘭

でも蘭のしている幾つかの研究の中にも

紫音と同じく雲を掴むような課題はあるのだから

蛙の子は蛙か、と、あきらめはするが

9歳の子供がする事柄ではないと頭を悩ませた


紫「うんとね、医学会では有名な話なんだけど、人間の魂って重さがあって

 その重さが『21グラム』と言われているの、これは平均値ではなく

 その実験をした最初の人間の魂の重さなんだけどね

 だけど重さがあるってことは、そこに何らかの質量が存在するってことでしょ

 そして、古くから魂の行き着く場所は、霊界、幽界

 これは、この3次元の上の次元、4から6次元と言われているの

 今まではそこに干渉する方法が無かったんだけど

 よく考えれば召喚魔法は、次元や世界に干渉できるんだから

 その魔法を解析分析して、理論が把握できれば、幽霊関係なしに

 4次元以上の世界に干渉できるはずなんだよね」


さらっと話す紫音

おどろく蘭はつい


蘭「召喚魔法の分析だと?」


紫音は目をつぶり、右手の人差し指で宙をかき回しながら、考え込むように話す


紫「うん、大体の仕組みは分かったから

 後は、その力を、どうやって4次元に向けるかと

 魔法の維持方法を考えてるとこ

 瞬間仕様魔力が、大きすぎて維持固定が出来ないんだよね」


蘭「な・・・・・・」

鈴「ん?」


蘭の詰まった言葉に、話の内容が一切理解できていない鈴が、首を傾げ反応する


数千年前から存在する、召喚魔法

その多くの仕様目的は悪魔の召喚に仕様されていたものであったが

その魔法陣は、数千年の間に幾重にも別れ上書きされ原型を知る者はすでに存在しない

原型が分からない魔法陣を理解できるものは居ない

今現代で使われている、科学魔法での召喚魔法は

その最終形態、国から使用許可が下りた数種の魔法陣である


そんな召喚魔法の仕組みを理解したなど前代未聞の事である

紫音の言っている事は事実では無いのだろう

そもそも魔法理論など9歳の頭で理解できる事柄でもない

だが、その理論が本当に合っていたとしたら

世界を揺るがす大事件でもある

その重大さを科学魔法学者の蘭は認識している

そして、その目的が、トイレの太郎君などとわ・・・・・


蘭「紫音、他でその話したらダメだからね」


そして、紫音に釘を打つ


紫「うん、どうせ前の音波視覚化サイドモニターの時と一緒で

 誰も信じないし理解できないから」


蘭「あぁ、あれか、、結局できたのか?」


紫「あれはダメ、失敗した」


 笑いながら蘭の問に答える紫音

その言葉に、少し安堵する蘭


 やっぱり、所詮9歳の考えること、マンガやアニメの読みすぎだ

たかが、オタクや、中二病の考える事、ファンタジーだな

魔法理論など理解できるはずが無い・・・と納得する蘭であった


 紫音は頭を掻きながら

前のシートに座っている2人に聞こえない様な小さな声で


紫「視覚共有の為、眼鏡式のモニターにしたのが間違いだったんだよな

 聴覚を視覚化したら、あれほど気持ち悪いもんだったとは

 そもそも眼球に三半規管が無いんだよ、20秒あの映像で見ただけで

 船酔いみたいになって気持ち悪くて吐いたんだよな

 あれは、使い道ないよなぁ・・・・・」


そう蘭の思いとは裏腹に

音波視覚化サイドモニターと呼ばれるその眼鏡式モニターは完成していた

だからこそ紫音の言った失敗とは

使い道のない、ソレは失敗以外の他にはならないと言う意味であった


鈴「やっぱり、紫音は抜けてるねー

 漫画やアニメばっかり見てるから

 オタクになるんだよ」


鈴の言葉で、3人は大笑いする


鈴「蘭さん聞いてよ、この前だって、紫音がさー・・・・・・・・・・」




 静岡に向かう車の中では、尽きる事のない会話が続いてゆく・・・。






それは、いたって普通の家族の光景であった



 

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