30話 それから お約束のお風呂
合宿篇これで終わりです。
あくびをしながら、リルとティアを見送った紫音は
この家にある、紫音の部屋に移動する。
この家は、ティアとミカが住んでいる家ではあるが
その2人の主人である、蓮を含む3人の隠れ家である
1年ほど前、ティアとミカがこの世界にやって来た時に
住める場所をということで
紫音の命令で、7:3分けの眼鏡の男が用意したものである。
家の外装は築数十年、100年近くなる古いものだが
内装は、ここに住む人間と蓮
そして、紫音によって、好き勝手に作り替えられていた。
そんな、自分の家でもないのだが、部屋数は多いので
紫音は勝手に自分用の部屋をつくっていた
自分の部屋と言っても、紫音のガラクタを押し込んである
ゴチャゴチャした部屋である
リルが片付けているが、それでも綺麗とは言えない部屋であった。
その事に、ティアもミカも文句は言わない
それ以上に、シオンにと言うか
リルに多大なる恩を感じていたからであった
リルの【次元転移魔法】で、ティアとミカは、この世界に来れたのだから。
この魔法が使えるようになった過程や
ティア・ミカは仮初の身体を使っているが
この仮初の肉体を使えるようになった過程には
紫音が、どれだけの苦労したかは、リルしか知らない
リルは自分の主人・シオンを自慢したいのだが
「そんな、どうでもいい事なんて知らねぇ
お前も忘れてしまえ」と
言われている以上言わない
そのため、ティア・ミカの感謝はリルに向けられていた
当初のティア・ミカの2人は、リルに様を付け、シオンは呼び捨てであったが
リルの必死の頼みで、今はシオンにさん付けで、リルは呼び捨てである
それでも、外出時や人前なら、リル・ティア・ミカは
レンとシオンに対して「さん」付けで呼ぶように言われていた。
そういった経緯から
1部屋を好き勝手に使っている紫音
ガラクタが置かれた部屋で、探し物を始める
瞬く間に、その部屋は足の踏み場の無いほどに散らかってゆく
「あぁ~~~~どこに置いたかな?」
そして、また横にあった箱を引っくり返す
そして紫音の背後から、紫音の独り言に返事をする人物
「何をお探しですが?
シオン様」
その問に振り向きもせず
紫「あぁ、昔つくった、武器の試作品をだな」
リ「それは、全部私が別空間に保管していますと、いったはずですが」
紫「そうだったか・・・・・な?」
紫音は立ち上がり、腰に手を当て、1回息を大きく吐き振り向く
紫「おかえり」
リ「ただいま帰りました」
先ほど異世界に行った、リルがメイド服・人間型で立っていた
異世界に行って時間にして、約5分ほどで帰ってきたのだ
紫「細かい話は、マンションに帰ってからでな」
リ「わかりました、もう少し所用がありますので、すこしまっててください」
かるく、「わかった」と返事をして
散らかった部屋をそのままにして、リビングにもどる
ティアも戻ってきていて、レンとティア・リルが、話していたが無視して
定位置のソファーに座る、ミカは未だ、アニメを見ていた
リルは、忙しそうに、用事をすませ
紫音が散らかした部屋を片付け、紫音の元にリルが来た
蓮達3人に挨拶をし、マンションに転移していった。
そこは、静岡にある、マンションの一室
リルが暮らしているマンションである。
そうとは言っても、リルの部屋は2LDKの1部屋だけである
あとの1部屋とリビングは、シオンの私物で埋められていた
そうと言うのも、このマンションで洋服作りや、武器作りをしているのだ
趣味な物も多いが、基本、洋服の布や、武器の素材が部屋に押し込まれている。
リビングは作業台にミシンが置いてあったり
自作高性能PCが2台、各PCにモニター2台、計4台
あと楽器、キーボードや、エレキギターも置かれていた
そんなリビングに転移してきた2人
紫音は何時もの用に作業台の自分の椅子にすわると
戦闘で折れた木刀と、桜に壊された、グローブを並べ
うめき声と共に、頭を悩ませる。
そんな紫音に
リ「部屋に居ますので、用事があればお呼び下さい」
紫「ほい」
リルは自分の部屋に向かい部屋に入ると、ドアを閉める。
リルの部屋に有るのは
大きなダブルベット、その脇に数体のぬいぐるみ
それ以外は、大量の衣服である
もちろんそのほとんどがシオンが作ったものだ
リルは別空間にしまっていた
クマのぬいぐるみだろう物を取り出す
30cmほどのその物体は包帯でぐるぐる巻きにされており
よく観察しないと、それがクマのぬいぐるみだとは気づかないだろう。
軽くホコリを落とすように右手で、ポンポンと払うと
リルは、にっこりと何かを思い出すように微笑み
ぬいぐるみの頭を撫でた
リルと紫音が出会った頃に
紫音から貰った初めての物が
くまのぬいぐるみであった
今はボロボロになった、それはリルの宝物であり
自身で大切に保管している。
今手に持っている、くまのぬいぐるみは
昔のぬいぐるみと似たものを
紫音に頼んで作ってもらったものである
包帯を巻いているのは
出会った頃の自分の姿を模したものであった
そして、ベットの枕の横にそっと並べる
何かを納得したように、リルは首を縦に2回振ると
くるっと反転しクローゼットに向かう
メイド服から、部屋着に着替えるためである。
クローゼットと、洋服箪笥の前でしばし考えるリル
シオンと交わした約束が今日行われる
それは、多分夕方か夜であろうと
「シオン様を誘惑する為には・・・
すこし胸元の空いたセクシーな洋服にしましょうか?」
リルの想像では
胸元と背中が空いたロングドレスで
シオン様を誘惑する自分の姿がある
座っているシオンに近づき
右手の人差し指で、シオン様の顎を下から持ち上げ
その視線を胸元に持っていき、照れるシオン様をの頭を掴み
一気に豊満な胸にシオン様の顔をうずめる・・・・・・・
リルの口元が緩み、すっと自分の胸元をみる
多少の膨らみはあるものの、ティアや、ミカに比べると・・・
いや、比べるだけ無駄であるだろう
現実に戻され涙しそうになるが、がまんである
「いや!胸はしょ、しょ、将来に期待しましょう
なら自慢の美脚を見せる服装に・・・・
いや、その前に下着を、清楚な白か?
ここは思い切って、きわどい系で」
紫音は服は作るが、下着等は作らないので、リルは自分で買っているのだ
ベットの上に、いっきに、下着を並べていると、その手が止まる
ある1枚のパンティーに驚愕し目を見開く
「そうでした!
とうとうこの勝負パンツを履くときが、来たのですね」
両手で持ち上げたその、パンティーは、薄紫スケスケのヒモパン
何時か来る勝負の日の為に買っておいたパンツである
そしてまた、リルの口元が緩み、こんどはヨダレが・・
本で読んだことが有りますね
男性は女性のパンツを脱がすことでより興奮すると
「あぁ、シオン様の長い綺麗な指で少しずつ紐解かれる悠久の時
そして、紐と共に解かれる、私の心と身体、うふふふふふっふうふ」
そして、シオン様の両手の綺麗な指が布一枚羽織っていいない私の身体を
腰から上に滑るようにつたっていく
リルは身体をくねらせ、ピクピクと何かに反応するように、身体を震わせる
そして、身体を駆け上がったシオン様の掌が私の胸を鷲掴みする・・・
鷲掴み・・・
そして又現実にもどされる
「くそ!
これもそれも、あのモブが・・・・」
そう、それは、モブ呼ばれるダークエルフ、フォーの事である
モデル体型でありながら、はち切れんばかりの大きな胸であった
あの胸を思い出すだけで、怒りが込み上げてくる、リルである
胸の無いリルにとって、理想の美しい胸であったがため
一目見た時から、羨ましくて堪らなかったのであった
そんな胸がシオンの側に使えることを嫌がっての、今までの態度である
「次、(あちらの世界に)帰ったときに、嫌がらせしてやる
まぁパンティーはこの勝負下着で決まりですね
後は服装ですが、どうしましょうか」
ベットの上を片付け、こんどは何着かの服をベットに並べる
「まずは、足を見せるため、ミニスカートかショートパンツでしょうね
もしミニスカートで下着がみえますと、バレますね
中身をしってしまった後のプレゼントは、悲しいものです
なら、ここはショートパンツ一択でしょう」
すでに、部屋で勝負下着一着で考え込んでいたリルは
白のショートパンツを手に取りそのまま履く
「上はどうしましょう、出かける訳ではないので
キメすぎると、バカみたいですし
まだ5月始め
春らしくすこし明るい感じで・・・」
そして、2着の服を手元にとり
全身鏡の前で身体に服を当て考え込む
そして、2サイズほど大きめの薄い緑色のシャツに決めた
最終的には、いつもと、あまり変わり無い部屋着の服装である
部屋着であるがため、この上下は市販のものである。
白色のショートパンツで、太腿まで生足をだし
丈の長い薄い緑色の厚手のシャツをきる
首元のUネックは大きくリルの片方の肩まで出ていた
そでは掌が隠れるくらいの長さで
丈の長さは、リルが立つと丁度ショートパンツがシャツで隠れる長さである
前から見るとまるで履いてないかのようでもある。
最後に全身鏡で
服装と髪型をチェックすると
紫音の待つリビングにもどる
準備万端のリルだが、何も無かったのごとく言葉をかける
「シオン様、御用はありますか?」
そんなリルの服装にすら、目も呉れず、作業台に向かったまま
「あぁ、じゃぁ、コーヒー熱いの」
リルは嬉しそうに返事をし、台所に移動して豆を挽く
何時もの風景がこの部屋にもどってきた瞬間であった
紫音は時間を忘れ、作業に没頭する
昼過ぎに、鈴からの電話で
四条優美と会話をするという、イレギュラーもあったが
魔法刻印付きの武器も修復し、新しい武器も作ったりと
蓮の妹・桜用に専用武器の開発にも取り掛かる
いやこれは、桜に武器を壊された事を根に持ってるわけではない
あれは、試作品なのだから、壊れてもおかしくはないのだ
事実、俺や蓮が使っていた木刀は壊れたのだから
木刀は銃弾を何十発も受けてボロボロになったのだけど
桜は、ほぼ桜自身のパワーで
紫音の試作品武器をほぼ1擊で破壊したのだ
その意味合いは全く違うのだけど
悔しくて自分自身をごまかす紫音!
まぁ後は、ついでに、鈴達にもだ。
リルは、紫音の後ろで、手伝いをしている
あちらの世界の魔法理論と、この世界の科学魔法理論を駆使し
摩訶不思議な物を想像し考え出す紫音であるが
魔力に乏しい紫音では、作り上げれない物もあるが
そんな時の為のリルである【チート】と言われるリルは
大概なことは可能なのだ
紫音はリルに難しい理論は言わない
出来るか? 出来ないか?
これが出来るなら、こっちも出来るだろ?とか
今までの応用の仕方や、考え方の転換や、発想の仕方を教えてくれたり
あるときは、紫音の開発した魔法陣を起動させるだけであったりと
紫音は、基本難しいことは言わない
リルが絶対の力を持っていても
紫音が居なければ
リルはその力の使い方も知らないままだっただろう
そして、覚えれば忘れることのないリル
たまに忘れたフリはするが
何でも出来るようになったリルは
【チート】と言われても仕方がないことでる。
そして、言われるがまま
シオンと共に色々な物を作り上げたり
新しい魔法を生み出していく
そんな2人での作業も
リルにとっては至福の時間でもあった。
時間を忘れ作業に没頭している2人には
外が暗くなっている事すら気づかずにいた
何度目かの、コーヒーを入れるため台所に立ったリルが
ふと時計を見ると、やっとその時間に気が付く
「え?10時?」
そう夜の10時である
普段ならシオンは家に帰えってる時間である
リルは自分の目を疑うが、事実は事実である
紫音が帰ると言えば、引き止める事は出来ないだろう
それでも、約束の事を考えると、引き止めたい思いで胸がいっぱいになるリル
そんな事を露知らず、リルの言葉に反応し返事をする紫音
「もう10時か?」
作業の手を止め、肩のコリをほぐすかのように首を左右にふり
リルに言葉をかけながら振り向いた。
「そろそろ良い時間だな、かえ・・・・・」
言葉が止まった、それはリルの顔が目に入ったからだ
その顔は、シオン以外なら気づかないだろう寂しそうな目をしていた
そして、思い出す、約束の事を・・・・・
「そうだな・・・・・リル」
「はい、お帰りになりますか?」
「風呂でも入るか?」
「ハイ!それでは、お風呂の準備してまいります」
紫音の言葉に、食い気味に返事を返すリル
パタパタと嬉しそうに
風呂場に急いで歩いてゆく後姿をみながら
自分の言葉に「言っちゃった・・・」と観念する紫音であった。
自分の作業をキリのいい所でやめ、作業台を片付ける
そして準備ができた、お風呂に向かい、先に風呂に入り
そして、リルが脱衣場に入ってくる
そこで、リルは最大の計算間違いに気が付くのだ
そう・・・・・それは・・・・・・
勝負下着をすでに付けていることである
紫音に脱がしてもらうための、ヒモパンであるにも関わらず
見せることなく、自分で脱ぐことに成るとは・・・・・・
これは風呂上がりに履けばよかったと
先走った自分に文句の1つも言いたくもなるが
紫音と一緒に入る風呂の事を考えると
それも吹っ飛ぶというものだ。
一糸纏わぬ姿でお風呂場に入るリル
すでに紫音は、先に身体を洗いながら待っていた
紫音は手を止め
「リル洗うから、こっち座れ」
まるで、それが当たり前のように、リルは用意されていた椅子に
紫音に背を向けるように座るのだった
そう昔、あの世界では
シオンがリルをずっと風呂に入れていたのだから
いまさら、一緒に風呂に入ることに、2人共恥じらいはなかった
それでも、仮初の身体になったリルは
多少の恥じらいはあったのかもしれないが・・・
たぶん皆無と言っていいだろう。
紫音は目の前に座ったリルの髪を洗いだした。
「こうやって、リルの髪を洗うのも久しぶりだな」
「そうですね、3年ほど前のあの事件以来になりますでしょうか?」
「あれか・・・あれは、100%リルが悪いんだからな」
「分かっております、今考えても私が悪いことは明白ですが
今日であの罰は取り消して貰えないでしょうか?」
あの忌まわしき事件以降
紫音の入浴中に、リルが風呂に入る事を禁止されていたのだ
姿を消しての、ノゾキも禁止されていた。
「まぁ、たまには、一緒に入ってやるからそれでいいな?」
「はい!」
嬉しそうに答えるリルの頭に、シャワーでお湯を掛ける
フォーの時とは違い、スキルの使用は一切していないが
リルが、とても嬉しそうにしている事が後ろ姿からでも伝わってくる
まるで、シッポを振り回して喜んでいる犬だなと笑う
「フフッ」
「なにか面白いことでも?」
犬の用だと言えず、1呼吸置いて
「そうだ、その身体も魂と、かなり馴染んできたんじゃないのか?」
そう、思った以上に、リルの仮初の身体は良くできていた。
ある組織が合同で極秘研究開発している
人造人間・ホムンクルスである
その研究の一部では細胞からのクローンや
クローンからの内蔵販売等も闇で行っている
もちろん禁忌であり、国際法で禁止されている事柄である。
現時点では、ある不具合が生じ成功はしてはいない、その研究ではあるが
それでも、すでに数年前には
人型・人間の身体を再現出来いるところまできていた
そう、後は人格の形成、魂の定着であるが、それは未だにできずにいた
よって、研究所にあるのは
千体にも及ぶ培養液に浸かった、生きた死体とも言えるだろう。
3年前に、その中の1体を、リルの身体として
そして約1年前にティアとミカの身体として
その研究所から奪ったのだ。
もともと、15cm程の妖精状態のリルに近い仮初の身体を選んだのだが
その身体を仮初の体として使うようになって
少したった頃に気がついた事がある。
それは仮初の身体に入った魂に
体のほうが魂本来のの形に似てくるのだ
1年程で、髪の色や瞳の色・体型までも、似てきたのだ
リルの妖精状態と仮初の身体が似ているのは、その為である
ティアとミカの時は、同じクローンと思われる2体の身体を選んだのだが
悪魔として、その身体に憑依し仮初の身体を手に入れた2人であるが
半年もしない間に、ティアとミカの魂に引かれたのだろう
2人の仮初の身体に個体差が出てきたのであった。
だが、その組織では魂の定着が出来てない為
そんな、研究の副産物には気付くはずもなかった。
そして「かなり馴染んだ」の問いに、リルは少し不機嫌に答える
「いえ、まだ馴染んではいません
馴染んでいたのなら、胸が後3サイズは大きくなるはずです」
スポンジを泡立て、リルの背中を洗っていた紫音は、その言葉に呆れるが
フォーの存在(あの巨大な胸)が、リルに、何かを感じさせたのは確かだろう
リルの背中を洗う手を止め、無言でリルの両腕を頭の上まで持っていき
シオンは、リルの背後から左右の腕を伸ばし、リルの胸に手の平を当てる
リルは、少し[ピクッ]と反応するが何も言わない
「俺は、リルのこの手のひらサイズの胸が一番スキだ」
リルは、胸にある紫音の両手に、自分の両手を重ね
すこし、俯(うつむ)き、その両手を見つめ、少し照れた声で
「ありがとうございます・・・・」
紫音は、そっと自分の頭を、リルの後ろ頭に添え、リルの言葉に答える
どれだけの時間が経ったのだろう、リルにとって至福の時であったが
「リルさん、手離してもらえますか?」
その言葉で紫音の手に重ねていた自分の手を離し
勢いよくその場に立つ、その勢いで、今まで座っていた風呂椅子は、ひっくり返った
そして、リルは振り向きざまに
「シオン様、大好きでぇ~~~~す!!」
そう言いながら、シオンに抱きつこうと、両手を広げ飛びつこうとする
「ぐわ!」
エコーの掛かった、リルの変な声が、風呂場に響き渡る
それは顔を鷲掴みされたリルの、うめき声であった
紫音は椅子に座ったまま、襲ってきた、リルの顔を鷲掴みする
たまに暴走する、リルの扱いは慣れたものである
「くそくそ、離せ!抱きつけない、見えない、シオン様のハダカ!」
両手両足をバタバタと振り回し、シオンに抵抗するリルである
久々、数年ぶりの、シオン様とのお風呂なのに、お風呂なのに!!あああ・・・
前回は、欲望のあまり我を忘れて、シオン様に、かぶりついてしまいましたが
今回は同じ鉄を踏まない為にと思いながら、我を忘れて・・・
いや、ここはもうなし崩しに、押して押して押して!!!です!!
「シオン様どうか、私を手篭めに!!抱いてください!」
「ハァ・・・」
リル、お前は、バカか?そんな事を思いながらため息をはく
そして、リルの顔を掴んでいる右手に力を入れる
「い・・・・・いたい!痛いですぅぅぅぅぅ!!シオン様!!
すいません、ごめんなさい、許してくださいぃぃぃぃぃぃ」
両手をシオンに向け左右にふり、降参の意を示す
「リルさん、それは何かな?」
「降参です、反省はしません、でも許してください」
紫音にとって、リルは我が子であり、家族でもあるが
それはそれ、これはこれである。
目の前にいるのは、裸の少女
それは胸が少々残念ではあるが、それを除けば
色白の美少女なのだ
さすがの紫音も、股間が反応してもおかしくはい
いや、ここで反応しないのであったら
それは、不能なのか、ホモであるのだろう・が・だ!
「リル、おとなしくしないなら
今すぐ出ていけや!」
小さく、「ッチ!!」と舌打ちしたリルは
転がった椅子をもどし、それに座る
先程まで、背中を向けて座っていたリルは、こんどは紫音と向き合う用に座った
紫音は1回ため息を吐き
「リル右手」と言うと、リルは右手を紫音に差し出したのだった。
十分にお風呂で温めあった2人は、風呂から上がり
リビングでソファーに座ったリルの薄紫色の長い髪を丁寧に乾かす紫音の姿があった。
リルは、よほど嬉しいかったのだろう
その肌艶が風呂に入る前と比べると格段に良くなっている
それでなくても誰もが羨むリルの美貌だが
それにいっそう磨きがかかったようである
それと真逆に紫音は・・・・やつれた?気のせいであろう
その後は、リルが紫音の髪を乾かしたり
思う存分紫音の世話を焼き、リルにとって至福の時となったのだった。
そして
5月の連休、ゴールデンウィークも終わり
今日から学校という日の、午前6時すぎ
紫音は自分の家の前に着く
ただ、ここ3日間で一番、生気が無く、やつれていただろう
いつもなら自分の家の自分の部屋に転移するのだが
今日は、朝の空気を吸いたかった。。。。
そう、新鮮な空気を!!
ってな訳で
家の近くに転移し、歩いて帰る事にした。
そして、化物の妹に見つからないように
気配を消して、玄関を開けると
仁王立ちの、ちっちゃい化物の子がいる
「・・・・ただいま・・・・・」
「おかえり、何死にそうな顔してるの、何か元気出るもの作るから顔洗って、リビング来て」
「あぁ」
「あ、蘭さんには、内緒にしてくから、説教なしね」
鈴は、紫音の返事も聞かず、台所に向かって歩いてゆく
「・・・あぁ・・・」
蘭さんとは、化物の事だ
そして鈴の母親である、言い換えるなら紫音の母親でもあるが
鈴の口ぶりから、いつもの事ではあるが
昨晩も仕事で帰ってきてないのだろう
そして父親も帰ってないみたいだった。
紫音の好き勝手暴れた事がバレれば、説教を食らうのは紫音である
鈴は、それと引き換えに、先日の事をチャラにしてくれと脅してきたのだ
これは、受け入れるしかない
と言うか、すでに鈴に対しての説教なんて忘れていたのだから
どうでもいい事でもある
リビングの机に着くと
鈴の用意した朝食を食べながら、眠たそうに、おおきなアクビをする
そして思う
今日から又、連休前と同じ用に
平凡な日々が始まる
・・・・・
そんな予感が全くしない。
俺は、20歳くらいで死ぬ、あと6年程だろう
それまで、適当にダラダラ
気ままに生きれればいいのに
あぁ、全てがメンドくさい・・・・
学校やすみてぇ・・・・・
俺の自堕落な平穏を返せ!!!
次話から、覚醒編
数年溯って、紫音が前世である異世界の記憶を取り戻すお話。
少しだけ、前世の話や、前世で紫音が死んだお話も。。。。
だから、ブクマしてね
感想でもいいよ!




