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20話 紫音 vs 高峰

 



 名前も知らぬ

プロレスラー並の体格の男を後にし通路を進む人影がある。


 その男は、身に纏うロングコートに

似合わない、ひょっとこの仮面をつけ

表情は読み取れないが

すでに通路の奥にいる人影に興味をそそいでいた。


 そして、男の後ろを数歩あけて、付いて歩く女性

倉庫内の照明であるが

照らし出される、その姿からも、いい女だとわかるだろう

全身黒ずくめの姿、黒い狐の仮面は顔の上半分を隠すが

その仮面で隠れていない素顔は褐色の肌でもあったが

そして仮面で読み取れないが、表情は曇っていた。


 その狐面の女は、前を歩く男に、声を掛けたそうだが

その一言目が浮かばず、艶のある唇を閉ざす

そして額から汗が落ちて来る

それは、前を歩く男に関係がなく

いや関係はあるのだけれど

通路奥で、柱を背に腕を組んでいる人影に対して、脅えていた。


 フォーは、心臓の鼓動が

だんだんと大きくなるのを感じていた

今のこの瞳でもわかる、あの人物の魂は鋼で出来ている

形は、蓮が持っていた

【刀】と言う物を模した形ににているとも感じていた

近づくに連れ、額に汗が流れ

背筋に寒気がはしり、歩む速度を落としていく。


 前を歩く紫音は

フォーとは違い、何も無いように進んでゆくので

2人の距離は、少しずつ離れてゆく

まるで、忠誠を誓った紫音に対する、フォーの心のように・・・。



 紫音は

袴に赤Tシャツ、デニムのジャンバー、テンガロハットの男の前に立つ

紫音は自分で服を縫うほど、ファッションには厳しい

だからこそ、紫音はつい口に出た


「「ダサ!」」


 対峙した2人の男から出た言葉は、同じであった。


 紫音の戦闘スタイルは

基本おしゃべりから入るのだが

さすがの紫音も、相手の一言目が「ダサ!」では

その後の言葉を失った

まぁ、紫音も「ダサ!」と言ってしまったので

2人して動きがとまってしまったのは、仕方のない事なのだけれど


「「・・・・・・・・・・」」


沈黙のなか・・・紫音は。


 うわぁ、つっこみどころが有り過ぎて、有りすぎる?有り?

いや、まて、有か?

日本とアメリカの融合スタイル!?

袴にテンガロ・・・シルエット、バランスは・・・アリだ!

それに俺がダサい?どこが?

俺・完璧じゃね?ロングコート俺様デザインだぞ!



 そして、シオンと対峙した男、高峰も、言葉を失う。


 ダサイ?ワシが? と・・・。


最先端の、アメリカンファッションを取り入れた姿が

ダサイと言われ腹が立つも


 紫音の姿に、ダサイと感じつつ


西洋のコートに

日の本つ国、その伝統芸能のお面である

ひょっとこ面を組み合わせた事に


は!こ・・・こいつ、なかなかやるな!  と・・・。



 二人共、表情に出さないが

まぁシオンは、仮面をしてはいるのだけれど

【ダサ!】と言った二人、いや、言われた2人の間には

何とも言えぬ、空気がながれた。


 その、空気を破ったのは、高峰である

一度左手で、腰に付けた日本刀の位置を正すと

右手で日本刀を抜き

紫音を見据える、目は切れ長で、整った顔立ちであった


そして


構えも無く、太刀をもった右手を、だらっと下ろしたまま

音もなく、紫音に近づいてくる

それは、身体の上下はなく、まるで、氷の上を滑る用に移動する

まだ10メートル近くあった2人の距離が一瞬にして詰る。


 紫音にとっては違和感でしかない

初めての体験である

何かの映像を見ているように、何かのアトラクションのように

風景と関係なく、高峰だけが、滑る様に近づいてくるのだ

そして高峰は、ブリキのオモチャの用に

無造作に刀を振り上げ、振り下ろす

いたって速くはない、まだ小学生のチャンバラの方が早いだろう速度である。


 そんな、無造作な攻撃を・・・・

いや、無造作であったが為に

紫音も、無造作に、考えも無く、右手で持った木刀で受ける


そう考えもなく、魔法刻印の掛かった、木刀の刃の部分で受ける


普段なら、初対面の相手、それも

フォーが言っていた、強い魂を持つ人間相手に

そんな事はしない、紫音である

もし、これが、早い剣撃なら躱すであろう

躱しきれないであるなら、木刀の背の部分で攻撃を逸らすだろう

ただ無造作に、ゆっくりと繰り出される、攻撃に

あまりにも、陳腐な受けをしてしまった紫音。


 その事に、気がついたのは

攻撃を受けるため頭の前まで木刀を上げ

その上からくる日本刀を木刀で受ける瞬間である


紫音は意思加速の中

木刀で刀を受ける光景をスローモーションで見ながら・・・。


 ああ、やっちゃった、まぁいいか?

考えなしに受けちゃったな

魔法刻印の超振動で、あいつの刀を、粉砕してもうた・・・

半分アメリカが、入ってはいるから

「イッツ、アメリカンジョーク!!」

って言ったら許してくれるかな

それに、ありゃぁどう見ても剣士か侍の類のjobだろ?

今の無造作な太刀筋からは、判断できないけど、中の上、上の下か?

脇差もあるけん、まぁ太刀無くても戦えるかどうかだよな・・・

魂の強さと、戦闘力は別物だしな、所詮は人間・・・

しょせんわな・・・・・・しょせ・・・・・・お?

おおおおおお???


そう見ていたのだ

繰り出された攻撃を、木刀で受ける所を


紫音の脳裏には、すでに砕け散っていく、刀の破片が浮かんでいたのだが

目の前に起きている光景は、違っていた

意思加速の中、その、スローモーションで映し出される光景は


当たった物を粉砕する、魔法刻印・超振動が木刀を

きゅうりか、大根かと言うかの如く切断する、日本刀の姿である

そして、その日本刀は木刀を切断し、そこからみるみる加速し

紫音の顔めがけて、振り下ろされる


そして、おおおおおおお??? である。



 紫音は、意思加速の中、無理やり肉体を動かす、限界を超えた肉体加速である

予備動作を伴わない動き、0-100に近いであろう加速


 すこし前に出し伸ばしていた、左足を足首だけで身体を後ろにそらし

つぱった左足から腰と、左腹横筋と左内腹斜筋を使って上半身を右にそらす


 そんな中、相手の日本刀は

紫音の顔の左を通り過ぎ紙一重で、振り下ろされた

勢い余った紫音は、よろけながら、数歩後退した

そして、紫音の顔が一瞬歪む、限界を超えた動きで身体が悲鳴をあげたのだった。


 そして、頭の中のスイッチを切り替え

痛みを遮断し、いや痛いものは痛いのだけれど

やせ我慢で、顔には出さず、足を踏ん張り背を伸ばし胸を張る


その瞬間


左肩から、何かが、はじけ飛ぶ様な感覚


それは、左の肩から胸にかけて、服が切り裂かれ、一瞬ではあるが血が吹き出る


完全に躱したはずであった攻撃が、当たっていたのだ


紫音は、切られた木刀を捨て


傷を右手で抑え致命傷でないことを確認しながら・・・。


 本気 (マジ)か?

攻撃食らったのはいいとしてだ

木刀もそうだが、このロングコートにしろ、俺自体にも

超振動の物理防御魔法や、刻印がかかってんだぞ?

いや、まて、この超振動

ある程度以上の衝撃に対して発動する様に調整してるから

それ以下だと発動しない・・・

そうか、日本刀・・・・

刀特有の切れ味、切り裂かれたのか

達人クラスの侍か。



 武器にも刻印してある、超振動だが

 防御にも使っている、コートもそうだが、身体にも刻印していた

 この防御用に改良された魔法、生活基準であるため

 普通に殴られたり、蹴られたりでは、発動はしないが

 剣で切られたり、拳銃の弾丸等、一定以上の衝撃が皮膚上に貼られた魔法膜にかかると

 超振動が発動し、粉砕するというものであるが

 達人級の刀術の前では意味を成さなかったと言うことである。 



 そう考えを、まとめながら

スキだらけの自分を攻撃してこない、アメリカかぶれの侍に目をやる


高峰は、対峙した、ひょっとこ面の男を、殺す気はなかった

すでに、ユーリから念話にて


『知り合いの、知り合いだから、殺さないで』


と話はできていた


 立場上、高峰サイドにも死人が出た

だからこそ、殺した張本人には

死なない程普度の怪我を与え戦闘不能にして

あとはユーリが、どうにかするだろうと踏んで攻撃に移ったが


切れたのは、薄皮一枚であった

肉体加速で、頭は躱しきる事を想定しての攻撃であったのだが

予想以上の速さに、内心びっくりしているのである

そして、今こちらを見すえる、ひょっとこ男を見て


 今の刀撃を躱した速さは、すごいが

でも、気が付くまでの、反応は遅い状況判断、先読みの力が弱い

あの木刀の魔法は、今ので理解できた、対応はできる

しかし、意思加速と、スピードに頼り切った戦い方

これでは・・・・

やはり、この時代では・・と


好敵手を望む高峰は、目の前の存在はソレではなかった


そう、まるで、大人と赤子ほどの実力差がそこに存在した。



高峰は、おもむろに、自分と、ひょっとこ男を分断するように

足で地面に線を引き、そして


えるな」


言葉を残し、鞘に刀を収め、元いた位置にもどりながら


 自分より、遥かに格下の男と戦う事に興味は失せ

ユーリ来るまで気長に待つ事にするのだった。


 そう高峰は何事も無かったのごとく

初めから戦闘など無かったの用に

柱を背にし、沈黙をきめ、ひょっとこ男を見つめるのだった。


 紫音は、呼吸を整え

捨てた木刀を、一度見確認し

左手を背に回し、念話で


『リル、そこから、武器転送できるよな?』


『はい、可能です、ですが・・・すでに躰が』


『今はいい、背に木刀出してくれ』


『出します』


『受け取った、ナンバー使うぞ、タイミングみするなよ』


『わかりました、どうか、、、、いえ、楽しんで下さい』


『ああ、やられっぱなしは、性に合わないし、奴の驚く顔もみたいしな』


 軽く身体全体を動かして、筋肉を動かす

すでに限界を超えた筋肉は悲鳴を上げ

動くたび激痛が流れていた

激痛の感覚を頭に叩き込む

現状の筋肉の壊れ具合をだ

仮面の下では、眉一つ動かさない

仮面の隙間からでも、表情を読まれないためでもある

そんな物、見えるはず無い・・・・

だが、紫音は知っている

微かな隙間だろうと

そこから瞳が晒されてる以上

その瞳から行動を予測し動く

アノ化物から教えを受ける、幼馴染のリーゼントの男を・・・

だからこそ、念には念をいれ

精神を統一していく

まるでその姿は、準備運動しているようでも

死地に向かう戦人のようでもあった。


 その姿を、寡黙に見守っている女性・フォーである

接近戦は専門外であるがため、加勢もできないし

動きに付いて行けれないもの事実でもあったし

それに、主人と決めた

シオンの戦いを邪魔しないため動けないでもいた。


 そして、ダークエルフ族は性質が闇に傾いているため

回復魔法が苦手てでもある

使え無いわけではない

光精霊の加護が無いため効果範囲は狭く効果も薄い

だから、ダークエルフにとって

回復魔法とは、気休め程度しかでない

回復する位なら、攻撃しろと言うことである

そしてフォーも、スキあらばと

いつでも魔法が撃てる用に魔力を貯めてはいる

長距離からの範囲魔法なら勝てる自信はあるが

この20メートル程度からの単体魔法で

接近戦に長けた相手に出来ることは少ない

それも、魔法耐性のわからない相手に

どんな魔法が利くのか頭の中で模索する。


 それに、数百年生きているフォーではあるが

未だに、人間(人・エルフ・ドワーフ等)を殺したことが無いのだ

魔力を込める手は、微妙に震えていた


激痛の中、体の動きを確認した紫音は

左手に新しく持った木刀で、エセアメリカ侍をさす


「いくぞ、エセ侍モドキ」


挑発するも、沈黙を決める高峰、刀を抜こうともしない

紫音は、気にしないで、高峰の引いた線を超え襲いかかった。


 線を超えた、ひょっとこ男を見た高峰は

刀を抜きながら2メートル程前に出て応戦する

紫音の攻撃を、正面から受けず、躱せる攻撃は躱し・・・

いや、紫音の攻撃など当たる事など皆無

肉体加速で人ならざるスピードで動く紫音に対して

流れるように躱していく高峰、対照的な2人である

息が乱れ、動きが散漫になる紫音

高峰は、それを感じるやいなや

紫音の右脇腹を皮一枚切り裂き

紫音を線の外まで蹴り飛ばす

そして、また何事も無かったのごとく元の位置に戻っていった。


 線から押し出され無様に転がる紫音

膝を付き右脇腹を抑え傷を確認する


 ワザと致命傷にしてないのがわかるが

そんな事はどうでもいい

蓮に、笑われる・・・くそ!


 同じ広間に、レンが入ってきて

こっちを視認したことは解っている

それも、こっち向かってきてるし


そんな中


「おい、そこの男、お前の相手は、こいつらだ、あれを出せ」


倉庫のスピーカーから声が流れ

蓮の意識が他に向く


 紫音も呼吸を整えながら、蓮の方を確認する

コンテナから、出てきたのは3匹の魔物であったが

紫音の敵は、エセアメ侍である。


 紫音は、倉庫全体をチラチラと確認し見渡しながら

ボロボロになった、ロングコートを脱ぐ

ついでに黒いシャツも脱ぐ

先ほどからの高峰の攻撃で

ロングコートはボロボロに切り裂かれていた


ひょっとこ仮面、上半身裸にGパン、変質者の出来上がりであった


そんな中、レンから念話がくる


『シオン、そっちは勝てそうか?』

『すでにやばいな、相性悪い上に、格上すぎる、剣だけなら、レンより強いな』

『うわ、そっちが当たりか、まぁこっちも、やばそうだ』

『ハハ、意気込んできて、二人して死んだら、シャレにならんな』

『最悪、リルがいるから、ミカとフォーと、上で捕まっている子は大丈夫だろう』

『だな、さてそろそろ本気 (マジ)で死にそうなんで、またな』

『ああ』



念話も終わり、3度目の戦いに挑む

今度は右肩から左脇腹に向けて皮一枚切られ

線の外側に蹴り出されるのだった。



 そろそろ、色んな意味で限界であった

未だ、右手しか使っいない、エセアメ侍を見据え

負けても、一撃は食らわす

そう決めて、4度目の戦いに挑む


少し前かがみになり、右手の木刀を後ろに構える


『リル、いくぞ』

『はい、いつでも』


大きく息を吸う、すこし吐いて


「エセ侍、覚悟しとけ!

 泣いて謝っても許さねぇ!

 そしてこれで最後

 泣きながら

 アメリカへ逃げ帰りやがれ!」


 右足で地面を蹴り

最大加速で、高峰に向かい右下から木刀を打ち上げる

高峰は、鞘に左手をあて、居合抜きで打ち上げられてくる木刀を切断する

『7木』

下方向に下げた、紫音の左手に木刀の柄が現れる、それを掴み

居合で木刀を切断し切り上げた高峰の脇を狙い振り上げていった。


 説明しておこう

 紫音とリルが言う、ナンバー

 詩音の接近戦高速戦闘における、武器の出し入れである

 リルの空間転送を使い任意の場所に、別次元に格納している、武器等を出現させる物である

 『7木』とは肩口を中心とした両手の届く範囲側面時計回りで、番号がうたれ

 『7』シオンの左下7時の腕を伸ばした場所ということである

 そして『木』これは木刀を意味する

 この他にも、位置指定場所ナンバー、武器記号がある 


高峰は、半歩下がり上半身を捻 (ひね)る事で躱し

振り上げた日本刀の返しで、再び木刀を切断する

『S2木・S8木』交差させた腕の先に木刀を出させる

そして目にも止まらないシオンの攻撃がはじまる

高速2刀流での攻撃を繰り出す紫音

小刻みにステップし足を動かし身体を振り、木刀を振り回す


相反して高峰は動いても半歩ていど

上半身が揺らぐ程度で全ての攻撃に対応する


高峰に木刀を切断されるたび、リルに木刀をださせ、攻撃をつずける

すでに、10本以上の木刀を切断されるも、新しく出現させている

まるで手品の用に、両手に花を出すように

切られても切られても木刀をだすのである

しかし、どれひとつ、ただのひとつも、高峰に届かないのである


紫音は、息も肉体も限界に

そして、最後の大技に向けて精神をさらに集中させる!


 蓮なら気がつかないだろうが

ほんの僅かに紫音の雰囲気が変わったことを高峰は感じ取る


常にあらゆる事に対処できる体制で戦いに望む高峰は

改めて身構えはしないが

それでも、雰囲気が明らかに変わった目の前の男に

集中力を高めていく。



 そして紫音は

目の前の、遥か高みに居る侍に

一矢報いる為に、もてる全力をだす!


 最大全力でのダッシュで

体制を低くし高峰の懐に飛び込む!


逆手にもった両手の木刀2本で交差させながら打ち上げる!


だが、真上から落とされる高峰の太刀で

2本の木刀は真っ二つにされ

紫音の体も上から下へと切り裂かれた!


ただ、それは神業と言えた

紫音の皮膚の上数ミリだけを切り裂いた、致命傷にもならない傷。


 だが、紫音の両手は、そんなことも気にせず

大きく振り上げられた!


そう、両手を真上に持って行く為に

わざと木刀を犠牲にしたのだ


 

 ひょっとこ面の奥で

その目が笑った

そう

紫音は多少切られはしたが

その両手は真上

そして、高峰の太刀は真下

どれだけ早く持ち上げようと

この世界に【重力】がある以上

コンマ0000数秒、紫音の行動の方が早い!


 紫音はこの状況を作るため

死に物狂いで切られ続け

高峰の動きを計算してきた。


そして、紫音は

数万倍と言える意思加速の中で、リルに命令する


『●●を出せ!』と!


紫音の右手に転移してきたのは・・・


【カエル】・・・


紫音は、その真上まで持ち上げた右手で


高峰に向けて【カエル】を投げた!


今度は左手で【ナマコ】を投げた!


再度【ムカデ】を投げた!


【クモ】を投げた!


【ヘビ】を投げた!


そして・・・


芋虫のような、昆虫の幼体から


蜘蛛の様な多足昆虫から


見た目が気持ち悪い


普通なら男でも直に手で触れないような昆虫や


気持ち悪い生き物を


投げ続けた!


・・・が。



 まぁ、なんて事でしょう・・・


高峰は顔色一つ変えず避けました・・・。



だが、これはある意味前座!


紫音は続けざまに【G】を投げる!


【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】


【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】


【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】


【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】


【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】


【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】


【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】


【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】


【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】


【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】


【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】


【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】【G】


まるで【G】ボタンを1秒間16連打する勢いで


一匹見つけたら、100匹はいると思え!のGを投げた!


「ゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキ!!!」と


高笑いをしながら


【G】を投げ続ける!!!!!


そして当然、生きている【G】


まっすぐ飛んでいく事などなく


紫音の皆無とも言える、投擲技術を駆使し


動かない高峰に1匹も当たることなく


十数匹の気持ち悪い、昆虫、生き物と・・・


100匹を超える【G】が巻き散らかされた!



ただ、Gを100匹も出せば・・・・


出した方の、リルが呆れかえり


『まだ、続けるきですか?』と


リルによって強制終了した。


だが!


そんな事で紫音は止まらない!


リルが【G】を出さなかろうと!


その手を緩めない!


そして、紫音の「ゴキ」笑い声は続く!


とても・・・とても・・・・1人ハイな変態がそこに存在した。



 高峰の前に

何も考えず、笑いながら両手を振る変態が1人・・・


 高峰は

全くもって無造作に

紫音の太ももを貫いた・・・。


その痛みで


自分が置かれている現状を忘れ


まるで【G投げ、世界大会の決勝】を、1人で戦っているかのような紫音は


現実に戻された・・・。


「な・・・なんじゃコリャぁぁぁl!!!!!」


足に刺さる刀に


驚き戰く紫音!


それは、足に刺さる刀に驚いた訳ではない


紫音の想像していた


楽園と言うパラダイスの結末でなかった事に驚いたのだった。




 紫音が繰り出した

この技は、深く深く封印していた

【世界最大の禁忌】とも言える技だった

なにせ【G】は、紫音の妹がもっとも嫌う【存在】

ただ1匹でも、紫音が鈴に対してGを投げた日には

紫音と言う存在は、この世界から消滅するほど・・・

そんな禁忌を開放した

さらに、それ以外の、紫音の大切なコレクションまで投じたのに

その相手は、まゆ1つ動かすこと無く立っていたのだ!


もう、笑うしかなかった・・・・


そして、ならば・・・


リルがストックしている


1万匹を超えるGを全て投下してやる! と・・


その狂気にも似た変態は


誰も想像もしたくない


1万匹のGとゴミ溜めで戯れる自分を想像し


楽園と呼ばれる、パラダイスの光景に


歓喜し、喜びに満ちた表情でトリップしていた・・・。



 それは、現実になる前に


無造作に止められ


ある意味世界の崩壊は免れたとも言えよう。



 だが、そんな事

誰1人知る由はないが

高峰は、もう真面目に戦う気が失せたのか

訳の分からないことを叫ぶ、目の前の男を蹴り飛ばし


高峰は軽く日本刀を振って鞘に収めると

元の定位置にもどるのだった。



紫音は、そのまま仰向けに大の字に倒れ

倉庫の天井を仰ぎ、アメリカンスタイルの侍を見


「てめぇに・・・嫌いな物はねぇのかよ!!

 ある意味、その強さより

 そっちのほうが驚きだ! バカやろう!!

 おう!

 俺は、シオン、三千風紫音

 てめぇの名前教えてください

 おねがいします。」


 耳のいいシオンは

すでに2階の会話から、この人物の名前は把握はしていたが

それでも、戦った相手に敬意を示し

自分の名を告げ、対峙した男の名前を聞いたのだ


「高峰・・・・・」


「高峰さんか、俺の負けだ!

 もう、なんも出ねぇよ!

 俺のコレクション大奮発だよ、このやろう!

 あ~~~~~まけたぁぁ~~~~~~うごけねぇぇ~~~~」


シオンは嬉しそうに笑い、負けを認める、完膚なきまでに負けたのだ笑うしかない


その言葉を聞いて、今まで手を出さないで我慢していた

フォーが涙を浮かべながら走り寄ってきた

そして地べたに転がったシオンに抱きつく


「いってぇええ~~~」


「だ、大丈夫でありんすか?シオン」


「ああ、今とどめ刺されたがな」


「あ・・あ・・・・い、今、回復を」


「下手くそな回復なんぞ、やめてくれ!

 だが、まぁ・・・よく我慢したな」


そういい、狐の仮面から涙が溢れてくる、フォーの頭を右手で抱き寄せ

高峰の方を見て


「高峰さん、悪いが、こいつは関係ない、ただ付いてきただけだ、逃がしてくれ」


高峰は沈黙を保ったまま、軽く頷く


リルから念話で


『シオン様、私はどうしましょう?』


『ああ、レンの結果しだいかな、そのまま待機』


『はい、後、あちらの人間と思われる人物がそちらに行きます』


『ああ、わかっている』



そして、蓮と、マントヒヒに似た魔物2匹の間に転移する人物がいた


その人影は、大きめのテンガロハット、デニムのミニスカート、胸当て

カーボーイスタイルの髪の長い女性であった



 

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