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18話 海上魔術戦 ミカ vs ユーリ




 紫音の指示で、間一髪で魔法を避けたミカ


その魔法を放ったのが

テンガロンハット、デニムのミニスカートという姿の女性である

その魔法使いは、海上から上空にあがり、ミカと対峙する。


 その光景を、見ていたのは

倉庫の屋根で監視をしていた男ただ1人であった

そんな事知る由もない2人ではあったが


その魔法使いは、目の前のミカに手を振り話しかけた

それは、彼女がミカに興味を持ったからだ

そう、この世界の住人に自在に空を飛ぶ人間を彼女は知らない

だからこそ、その突飛した女性を

殺すのはもったいないと

できれば仲間にとも思い・・・。


「すごいね、意識外から撃ったんだけど、よくよけれたね?

私は【ユーリ・イバニーズ】ユーリでいいよ」


 ミカは、両手で、Vサインを作り、キメポーズをして名告る

紫音の指示がなかったら、当たってたことは内緒である


「ユーリチャァーン、僕だよ、ミカだよ、ユーリちゃん、ユーリちゃんでしょ?でしょ」


何か、、、懐かしいフレーズ・・・・


「あれ?しってるの?あっち(世界)の人?」


「僕だよ僕、レイ・マーティンの部下の、ミカだよ~」


「え!見た目ちがう?けど、話し方は?あれ?同じ?」


「この体は仮初だから~元の身体は、あっちに置いてきた!」


「ええ!?、おいてきた?

 どうやって世界を渡ってきたの詳しく教えて!」


「わかりません!」


自信満々に答えるミカに 

すこし目を開き、びっくりするも


「そうだった

 ミカはそんな子だよね

 ミーティアもコッチ来てるの?」


「きてるよ~~

 でも今は、他の用事でいない

 レイ様は下の倉庫にいるよ~あ!

 今はレン様だけどね~」


「レイ様も来てたのかぁ・・・・・・・

 どれが、レイ様?」


ユーリは、倉庫に目を向け、オーラを確認するが

あっちの世界で感じた、レイのオーラが確認できないでいた


「レイ様転生してね、弱くなっちゃったの~呼んでこようか?」


「・・・・いや・・・・・いいや、そうなると、う~ん、どうしようかな」


考える素振りのユーリに、ミカは問いかけた


「なにが?」


「え?あのね

 ミカ達を捕まえろって

 無理なら殺せって、言われてたのよね」


そして、今まさに!思い出す!


「あ~~~~~さっき、僕を殺そうとしたよね!」


「あ・・・・・・・うん」


「まいっか」


こっちに来ても変わってないな、ミカは


「でもなぁー何もしなかったら、しなかったで、怒られるしねぇ~」


「いい方法あるよ」


「なに?なに?」


「手合わせしない?

 こっちきて、この体になって、1年ちょっとなのね

 まだこの体で全力戦闘したことないから、手合わせして

 でも多分戦闘能力は前の半分以下だから

 思いっきり、手を抜いてよね!!」


 可愛く頼み込むミカ

ユーリは、ミカのアホさ加減に

やっぱミカはミカだと、すこし嬉しくもあった


 元居た世界では

ユーリとミカとミーティアは、同格の扱いを受けていた

それは、ユーリの主人と、ミカ・ミーティアの主人、レイ が同格の人物であり

ユーリ、ミカはその腹心であったが為である

実力は、悪魔であった、ミカとミーティアの方が上だったが

それは、仲のいい3人にとって些細なことであった

それにしても

本当なら秘密にしないと、いけないだろう事を、さらっと言ってしまうミカに

ミーティアがいれば

ミカが何回怒られただろうと考えたら笑えてくる


「のった、適当に遊ぼう」


「ほほ~~い」


 何も考えていないミカは

言葉通り自分の体の限界を知りたいだけであったが

ユーリは、この状況での情報収集と

ミカの力が以前の半分以下という、その実力に興味があった

そして、転生してきたという

レイ・マーティンの実力も気になる所でもある。


 現状の敵対関係の構図に、レイ・ミカ・ミーティアが加わると

状況によるが、いつか本気で敵対する事があるかもしれない

自分の【主】の為、ここはミカの話に乗ることにしただった。


 ちなみに、ミカとユーリの話が噛み合うのは

あちらの世界、並行世界と時間軸が同じか?近いか?

ミカが、アホなのか? そのせいなのかは定かではない。


 そうして、海上20メートルでの、立ち話も終わり

2人は互いに距離を取る

そして海上での、空中魔術戦が開始された!


 先に攻撃を開始したのは、ミカであった

両腕を前に伸ばし、手のひらを開き、ユーリに向ける

とりあえず30%と制御し、魔弾を両手から連射する。


 ミカは、言うならば、前衛よりの中衛である

近距離の戦闘もするが、本領は中距離における、魔術戦闘である。


 ユーリは左手を前にかざし

前方に魔術の盾を出現させ、迫り来る魔弾を防ぐが

連射され、そして魔弾は徐々に出力が上がってくるのである

徐々に押され魔術の盾が悲鳴をあげる


ここからは、ユーリとミカの念話である


『ちょ!しょっぱなから、それ?結構強くない?』


『こんなもんじゃない?』


『これならどうよ!』


 ユーリはその場を一旦離脱し

海上を沖に向かい飛び立った

そして軽く飛んでいるものの

時速は50キロを超えるだろう速さだ

そして右手を器用に動かし

いくつもの炎の玉を出現させ

ミカに向けて打ち出していく。


 ミカは、徐々に出力をあげ

魔弾を打ち出すが、盾に防がれ爆炎をあげていた

爆炎の影から沖に向けて飛び立つ、ユーリを追う用に

ミカもその場を飛び立つ

向かってくる炎の玉を避けるも

遠隔で操作された炎の玉は爆発し

その爆風でミカは、横に吹き飛ばされた

その勢いのまま、円を書くように空を舞いあがり

ユーリを追いスピードを上げ、ミカは本領をだす


『いたいぃ~~~~~』


 ミカは両腕を左右に広げ

体の周りに、十数個の魔弾を出現させ

拡散させるように、ユーリに向けて縦横無尽に射ちだしていった

その、1つ1つに意思があるかのように

不規則な線を描きユーリに襲いかかる

ミカが得意技の1つ、中距離による乱撃誘導弾である

要は適当に撃てば誘導弾だから勝手に当たるだろう、と言う技である。


 ユーリは襲いかかる誘導弾を追撃しながら

ミカに攻撃を繰り返す

そしてミカは、ユーリの攻撃を誘導弾で迎撃していく

だんだん、手合わせも、力の調整もわすれ、白熱していくのだった。



 ユーリとミカは

海上20メートル近くで魔術戦を繰り広げていた

相殺された魔力の塊は、空中で炸裂、爆発し、星空を色とりどりに染める

それは、深夜、静寂をを迎えようとしている夜空に繰り広げられる花火のようであった。


 そして高速で移動しながらの

魔術戦闘は海上を、数百メートルに渡り照らし出す。


 深夜3時、夜空を染める豪華な彩も

観客は倉庫の上に鎮座する男1人だけ。


 左から右に繰り広げられる

ナイアガラの滝を想像させる花火そして

月にむかって空に登っていく

高くまで上がったそれは、いっそう大きく弾けた

それは、海面を這い月に向かい登る龍を彷彿させる光景でもあった

夜空を彩る花火はその激しさをましていく。


 すでに、空中戦を開始して10分近く経っていたが

久々の魔術戦で、気分が乗ってくるミカが、調子に乗ってくる

それに引き換え相手をしている、ユーリは手を抜いていると言っても

調子に乗って威力をましてくる、ミカに手を拱 (こまね)いていた


『ミカーそろそろやめないーーー?』


『なんでぇぇーーーーーたのしいさーーーー』


『えーーもうーーつかれないーーー?』


『たのしいねーーーーたのしいねーーー』


戦闘の音で、大声で念話をする二人、そして

大空を駆け巡る空中戦闘は

より激しさを迎えようとしていたが

一瞬にして、終止符をうった


それは


ミカの攻撃が精細を欠く

ミカのテンションに身体が付いて来れなくなってきたのだ


『エヘヘ、もうだめぇぇ~~~~』


一気に力を失うミカ


『え?逃げて!あたるーーーー』


 ユーリは、すでに幾つかの炎の弾を打ち出していたのだ

それを止めることが出来なかった

どうにか幾つかは、ミカが最後に振り絞った気力で迎撃したものの

数個の炎の塊は、ミカを直撃したのだった

手加減した炎の弾ではあるが

物理・魔法防御スキルを展開していたミカに

多大なダメージを負わすのに、十分であった。


 ダメージと、限界を超えた魔力放出で

仮初の身体は疲労しきっており

ミカは、気を失わないだけで精一杯で

身体を動かす事すらできず

海に向けて、落ちていく

そして、ユーリは、今までに無い速さで移動し

空中でミカを、両腕に抱き

安全な場所に転移した。


 そこは、倉庫から少し離れた場所

月が綺麗にみえる誰もいない海岸の砂浜

ユーリは、無造作に置かれた、ベンチにミカを寝かせると

心配そうに声をかけた


「ミカ?大丈夫?」


「ひひひ、負けたァァ!

 でも、たのしかったぁぁ、後でティアに自慢しよーー」


負けたことさえ楽しそうなミカに、ホッとするユーリであった


「怪しまれるから、戻らないとだから、ここで休んでて、後で迎えにくるから」


「大丈夫だよ、レイ様に迎えに来てもらうから」


「そう? 何かあったら呼ぶんだよ! すぐくるから」


「わかったーー」


そう言い残し、ユーリは姿を消した


『レン様、負けたーー』


『はは、やはり負けたか!

 でも派手に遊んでたようだな?』


『楽しかったよー、ユーリにも会えたしー』


『コッチ片付いたら、迎えに行くから、ゆっくりしとけ』


『わかったー』


そこに、リルが念話に参加する


『ミカ? 怪我はない?

 治療に行きましょうか?』


『大丈夫ー、手加減してもらったからね~~

 怪我より、力出しすぎて身体中が痛い!』


『調子にのって暴れるから

 自業自得ですね、少しは反省してください』


『えーー』


蓮『はは、そう言うな

 どうせ帰ったら、ティアに説教くらうんだから』


リ『ですね』


 すこし笑いながらの会話であるが

ミカにとって、ティアの説教と言われ、気をおとす


蓮『ミカには悪いが

 リルはそのまま待機しててくれ

 誘拐されてる子も、きにはなるからな』


リ『わかりました

 ミカ、何かあったら、すぐ呼んでください、では』


ミ『はーい』


 多少動けるようになったミカは

ベンチに座り直し、月を見上げる

又、ユーリちゃんと遊べるかな

今度はみんなで、お茶したいな・・・・

そんな事を考えながら

瞳を閉じ疲れた身体を休ませるのだった。



 ユーリは報告にもどる

倉庫2階にある、部屋に転移し、姿を現す


 そこには、高津・島崎、そして数名の高津の部下達がいたが

反応した高津は、腰の銃に手を伸ばす


 突如部屋に現れた

露出の多いい、アメリカスタイルの服を着た人物

そして大きなテンガロハットを被った女性は

テンガロハットを脱ぎ、話し出す


「まぁ待ちなさい、私は高峰と同じ組織の1人ですよ」


 高津達は、警戒を解かないでいたが

構わず話を進めるユーリ


「さっき海上で戦闘してたのは私

 隠れていた侵入者の1人を、倒してきた所です

 たかが数名の侵入者如きに

 私が出る幕は無いと思ってたのだけれど・・・・

 いいように、やられているのを見ててね

 立場上貴方たちが、全滅すると、こちらも困るからね

 多少は手助けをしてやろうと思って

 貴方達ではまず勝てないでしょう

 外に居た魔術師を殺した所です。」


 その言葉に、驚く一同

そして高津が恐る恐る問いかける


「なに?

 さっき外であった魔法戦闘は、おま、、、君のしわざか?」


「そういったはずですが?」


 高津は、先程見た夜空に放たれた魔法、そして

たまに、倉庫入口から遠目に見えていた海上での戦闘

それを、思い出し血の気が引き、顔が青くなるが・・・。


 この女は、桁違いに強い、機嫌そこなえば・・・

いや、それより自分たちの組織にとりこめば

俺達の組織は頭一つ抜け出れる

いや、、もう一人の客分も同じ様な強さなのか

そんな2人がいる組織とは

考えを巡らすが、今は侵入者の排除が先だと、頭にいれる


「すまない私は今回の指揮をとってる」


「いやいい、姿を隠してただけで

 最初から、ここに居たんで知ってるから」


 高津の言葉を遮る、ユーリ

ユーリの言葉に、動揺が走るが、顔に出さない高津だが、言葉が出てこない


ユーリはそんな高津を無視し、島崎に目線を送り問いかける


ユーリは先程言った通り、姿を隠してずっと居たのだ

その間、多少なり、ここにいる人間を観察をしていた

この高津と言う男

なんで指揮を取っているのか解らない程に頼りなく感じていた

それに引き換え、島崎と言う男

この中では立場は高津の次と言った所だろう

口数は少ないが、常に状況を冷静に分析していた

話をするなら、島崎と思い話しかける


「中の様子は、どうなったのですか?」


目線のあった、島崎は組んでいた腕をほどき

右手の中指でメガネの真ん中を抑えメガネを整える

それは考えを巡らす時間の為である。


 ずっと居たと言うことは

こちらの人物等は理解できているだろう

今更隠し事をして、機嫌を損なうより

ありのままを伝える方が良いだろう、と。


2階の窓辺に居た島崎は一度1階の倉庫に目をやり



「倉庫への侵入者は男2人女1人

 二手に別れて、ここに向かっている

 中央から来た体格の良い男は

 チーム・ホワイト・イーグル、鷲尾達を倒し

 今ここの下で、そちらの組織から送られた【魔物】と交戦中

 俺の見た感じ多少押され気味だ

 そして横の通路から、例のロングコートの男と、女の2人

 こちらも、小宮達を倒し

 左手下あたりで【高峰】さんと交戦中

 こちらは、そろそろ決着がつきそうだ」


 ユーリは、島崎の話を聞きながら窓辺に近づき

1階で行われている戦闘を確認する。


 ここ2階から見える、真下の広い空間の真ん中で

魔物と戦っている男がいる

その相手は3メートルを超える魔物2匹である

これは、言うならば【異世界の魔物】である

普通なら勝てるはずもないが

その男は信じられぬことだが、魔物相手に押していた。


 そして、広い空間の片隅で

動きの止まった2人の男と、それを見つめる1人の女がいた

高峰とロングコートの男その戦いは、すでに終わったのか?


ボロボロのロングコートを纏った男は、高峰の前で


今まさに、上半身から血を流し、崩れ落ち、両膝を地面に付けたのだった。


「高峰の方は、ほっといても良さそうですね

 接近戦で高峰に勝てる人間なんて

 元より想像できませんし

 私は、もう1人の方に参戦します」


「もどって、すぐですが、お願いします」


 その言葉に、ユーリは島崎にうなずくが、高津の方を向き


「死人が出ているようですね

 私も高峰も、旗色が悪くなれば、手を引きます

 そもそも、仕事の内容が

 【子供の拉致】と知っていれば、来てませんし

 どちらかと言うと

 私達はあなた方をよく思っていませんから」


そう告げると、返答を聞く前に姿をけした。


 ユーリが消えた部屋では

死人と言う言葉に、一気に雰囲気が重くなる

高津は眉間にシワを寄せ

何かを言いたそうだが、すでに相手はいなかった。


 島崎も、ユーリの言葉に、歯を噛み締める

今回の作戦については、皆多少の内容は知ってはいたが

最初から襲い、拉致する対象が、子供達だと知っていたのは、高津のみであり

作戦に参加した何人かは、イヤイヤであった事もたしかである。


 速見の連絡を受け

島崎は真っ先に、この場を去りたかったが

今となっては後の祭りであった。


 そして、高津と、島崎は、窓辺から1階の様子を伺うのだった。



 

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