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16話 倉庫格闘戦 レン vs 鷲尾 

 



 1人、倉庫内の中央の通路を進む蓮。


 背中に日本刀を背負い

首を左に傾げ、右手に持つ木刀で右肩を叩き、首筋をほぐしている

ミカを襲った人物を思い出す。


「さっきの、ミカを攻撃した奴、多分、、あいつだろうな

 向こうの世界と同じような容姿だから、召喚されたか?

 でも、あのカッコは、無いよなぁ

 千年前の遊牧民かって!

 今のミカでは、勝てんだろう

 さて、どうするか・・・

 まぁ殺される事は無いだろう

 もしもがあっても、リルが居るし

 なる様にしかなぁ・・・・」


 ぶつぶつと、念話でもなく、ただの独り言を呟く

すでに、視界には10人程の男達が待ち構えていたが

気にもせず、近づいていくが

狙撃して来ないことから、何らかの意図があるのだろうと予測し

10メートルほど手前で、足を止めた蓮。


「俺様は寛大だ!

 どこかの、ちんちくりんと違って、モブにも優しい

 だからこそ、話を聞いてやろう

 言いたい事があるなら、言ってみろ」


『私は、ちんちくりんじゃありません!』


念話で、リルの少し怒ったような声が聞こえるが、無視である。


 奥で偉そうにしている体格のいい男が数歩進み

腰に左手を添え胸を張り、上から目線で話し出した


「ザコに名告るつもりは無かったが

 その度胸に免じて、名乗ってやろう!

 俺の名前は【鷲尾、護衛チーム、ホワイトイーグルの隊長だ

 知ってるか知らないか分からんが

 お前らの仲間のロングコートの男が倒した、速見と同じ組織だ

 まぁ仇討ちという訳じゃない

 ただ単に、お前らを潰して

 速見の悔しがる顔が見たいだけだがな

 しょせん四条の所の暗部か何かだろう

 部下の実践経験がてら、相手してやろう」


 右手で、大げさにデスチャーしながら、話す鷲尾

その間に、レンは確認していた

この鷲尾と言う人物の前に6人の男が待ち構える

装備品、重心の置き方を見て前衛、魔法格闘、軍隊あがりか?

鷲尾の後ろに控えてる3人は、中・後衛、魔法士だろう・・・


だが!


 フォーがいってた魂の強さに引っかかりもしない奴らなら

相手するだけ無駄なのだろう

それでも、多少は楽しめるか?


蓮「先に言っておくが

 四条家とは何の関係もない! が

 それはどうでもいい!

 お前らに裂く時間は無い、御託はいい! さっさとかかってこい」


「関係ない?捕まえてからじっくり拷問でもするか、涼吾行け」


 前にいた短髪の男が、レンの前に立つ

右手に拳銃、左手にナイフと言うオーソドックスなスタイル


蓮「?、どういうことだ?1人?」


鷲「ザコ相手、部下の1人で十分だろ?」


 呆れる、レンに、当たり前だと、自慢家にいう鷲尾

レンは左手で頭をかきながら、ちらっと、木刀に視線をむける

その魔法刻印付き木刀はすでに数十発の弾丸を粉砕し

その衝撃は蓄積されていて

すでに木刀の刀身はボロボロである

人間を攻撃する時は殺さないように

木刀の背で殴ってはいるが、そろそろ限界であった

そして、木刀を左から右に横に振り右下に構える


蓮「はぁ・・・オイ!

 前にいる6人構えろ、いくぞ」


 レンは、左上半身を前かがみに倒し

一気に加速し目の前にいる、涼吾と呼ばれた男に襲いかかる

右下に構えた木刀を涼吾の身体めがけて打ち上げた。


 すでに、構えていた涼吾はその木刀を逆手に構えていた、ナイフで弾くが

その衝撃で体ごと後ろに持って行かれた

いや、構えていた所に木刀が飛んできたと言うのが正しいだろう

もし構えいなかったら、その初撃で沈んでいただのろう


それを見ていた前衛5人と

攻撃をうけた、涼吾は、やっと本気になる

各自、自分のデバイスを順次起動させる

それは、魔法格闘の基本的な行動でもある

身体強化、速度強化、強化の度合いは個人差はあるが

この男達元軍人兵士で約2倍である

それ以上は、体がもたないのである


そして前に3人、後ろに3人と別れて戦闘態勢を立て直す。


 蓮は、やはり元軍人か、判断が早い

ワザとナイフを狙ったのは、間違いではないな

これなら、少しは楽しめるか? と、更に襲いかかる。


 魔法で身体能力が2倍近く強化された

ホワイトイーグルの6人に対し

レンは魔法等を使用してはいない

唯一、使用しているのは意思加速のみである。



 意思加速による、副産物

肉体加速は出来るものの、これは速度強化ではない。



 この違いは、速度強化とは、常時スピードアップ状態であり

この軍人、又は、鍛えた人間でも、最大でも常時2倍程度が限界だとされている

限界を超えれば、筋肉の繊維がちぎれ、回復には数ヶ月かかるだろう。


 意思加速による、肉体加速とは

意思加速状態での、強靭な精神力を使い

無理やり筋肉の一部を無理やり動かす、瞬間的な筋肉操作の事である

瞬間であるがため、数倍の加速ができる

ちなみに10倍の思考加速ができても、肉体加速は3倍ていどだろう。



 蓮は、右足で地面を蹴り込み

左前方にいる相手向かって攻撃を開始した。


 正面と、左前方にいる男は、ナイフで応戦体制を取り

右前方の男は両手で拳銃を構える

それを確認すると、レンは左脚を支点にして右の男に向けて加速した。


 男は方向をかえ近寄るレンに向けて拳銃を2発打ち込むが

下から打ち上げる木刀に粉砕された

レンは男の拳銃を持つ右腕を木刀を振り下ろし躊躇なく腕の骨を折る。


 残り2人は、すかさず拳銃を構えるが

射線上に仲間が居るため発砲を躊躇う。


 腕の骨を折られた男は後ろに仰け反り、小さく悶絶し

左手に持っていたナイフを手放し、折れた腕を抑え、倒れこもうとしている。


 レンは、その手放したナイフを空中で

すかさず左手で掴み、振り向きざまに投げた。


 それに反応できなかった、左前方に居た男の右脚太腿に突き刺さり

ナイフの勢いで、右脚を後ろに持って行かれた男は前のめりに倒れこもうとしている。


 正面に居た男は、レンが何かを投げた事に反応し首を振り目で追ってしまった

それは仲間の足に刺さりナイフと確認し、レンに向き直すと、すでに姿が無い。


 すでに男の死角に潜り込んでたレンは

男のナイフを持つ左腕を背中で締め上げ

男の右手を取り後ろに控えていた涼吾を含めた3人に男の拳銃を放つ。


 一瞬にして仲間を2人ヤラレ、1人は拘束された

飛び道具は無いと、油断・動揺で反応が遅れる3人

そして、3人とも太腿を打ち抜かれ、その場に膝を付いた。


 蓮は締め上げた男の背中を蹴り横に飛ばす。


そして、6人を一瞥して


「これ以上、向かってくるなら、殺す。」


 一言である、負けた6人は何も言えず、レンから視線を外す

それが、気に入らないのは、鷲尾である


「お前ら、こんなザコに、何をやってる」


「そう言うな、お前もモブだ、その他おっさんA、扱いだからな」


鷲尾は身体を乗り出し、大きな動作で右手で、レンを指差し


「言っていろ、数分後には、土下座して、俺を様付けで呼ばしてやる」


すでに、身体強化、速度強化をしている鷲尾

そう言って、厚み1cm、刃渡り40cm以上あるサバイバルナイフを両手に握り


「おい!」

「「「はい」」」

その鷲尾の号令に

後ろに控えていた、3人が鷲尾に魔法をかける


鷲尾の握る、2本のナイフが赤色とオレンジ色に鈍く光り

薄い光の膜が全身をつつんだ、そして足元も微かに光る・・・。


 鷲尾は軽く2、3度ジャンプし、首を左右にふり、構える

さすが、チームのリーダーを名告るだけはあって、様になってはいる


鷲尾は軽く鼻で笑い


「いくぞ」


そう言い、地面を蹴り飛ばし、蓮に向かっていった!


蹴り飛ばした場所には空気の渦ができ、近くのホコリをまきあげた

それほどの、瞬発力と速さであった


両手に持つ、サバイバルナイフで、縦横無尽に、蓮に切りつける

強化魔法により、通常の2倍以上の速さで繰り広げられる、剣撃


それでも、意思加速している、蓮にとって、多少の速度強化では意味を成さない

それでも魔法が付着し、一撃一撃が重く、受ける衝撃が、思いのほか大きいが

全てを、半身に構え右手に持つ、ボロボロの木刀で受けきっている。


 眉間にシワを寄せる、鷲尾

さらに速度をあげ、左右又は斜め上方向からの攻撃を仕掛ける

それでも、蓮は難無く受けきる


軍隊で鍛え挙げられた肉体は、先ほどの部下より速く

3倍程度まで加速されていた


再度言うが、蓮は意思加速以外、魔法等を使ってはいない

そして、肉体加速も使用してはいない

いや、使用するほどの相手ではないかった。


 業を煮やした鷲尾による

両手、最上段からの攻撃

それは、体重を乗せた、魔法付着、2本のサバイバルナイフでの攻撃

蓮は右手の木刀を頭上にかざしそれを受け止めるが

その衝撃で、木刀が真っ二つに折れたのだ

すでにボロボロであった木刀、よく今まで、もったものである


それに勘違いをした、鷲尾

自分の技で木刀を、二つに折ったと思い込み

ここが、決め所と判断した


そして、鷲尾は、蓮に向かって踏み込み

両手のナイフにて、左右からの、同時攻撃を仕掛ける

それは、先程までと違い折れた木刀では防ぎきれない攻撃である


 ここに来ての左右同時攻撃

折れて短くなった木刀では、到底対処できないであろう

そんな事気にもしない蓮

木刀を手元で背の部分と刃の部分をひっくり返し

半身に構えたまま、木刀を左に振る

微かに発動している魔法刻印にて、左から襲う、ナイフを粉砕し

即座に右から襲う、ナイフに向けて、反応する

身体を正面に向きなおし右足を少し後ろに引く

右手に持つ木刀を右に振り、同じくナイフを粉砕したが

同時に、限界を超えた木刀が

魔法刻印のフィードバックにより粉砕し

蓮の右手からはじけ飛ぶ


両手のナイフが粉砕された事など、些細なことのように

鷲尾は心で、「もらった!」と呟く

戦闘開始からの、左右、上からの攻撃

そして最上段からの攻撃で、木刀は折れ

左右からの同時攻撃、これで、この男は焦っただろう

背中の剣を抜く時間など与えはしない

最初から全ての攻撃、そしてこの左右同時攻撃すら、布石であった


左右同時攻撃いや!、左右と下からの3方向同時攻撃であり

意識外、死角を着いた、初めてとなる右脚による下からの攻撃

足に仕込まれたデバイスによる物理攻撃魔法、必勝の一撃

当たりさえすれば、5トンのコンクリートの塊すら、壊せる一撃である


もし相手が蓮でなければ

その一撃で死を迎えていただろう

魔法で加速した右脚による蹴り

反応することさえ、いや気付く事さえ困難な一撃であるはず


蓮は、それすらも読み切っていた

右手でナイフを破壊すると同時に

左手で、鷲尾の蹴りを、加速仕切る前に衝撃を吸収するように止めたのだ

それにより、右脚に仕込まれていた物理魔法攻撃は発動しなかった


鷲尾は、前に差し出した両腕、2つの手には、刃の無いナイフを握り

右足は、レンに止められ地上1メートルも上がっていない

胴は、完全に無防備な状態である

一瞬にして、鷲尾の血の気が引く、勝利を確信した必殺の一撃を止められ

あたかも自分は、コンマ数秒ではあるが、動きを止められ

完全に無防備状態である


本能で危険を感知したのだろう、走馬灯の用に、蓮の動きが、遅く見える


それは、身体を正面にすえ、軽く右脚を引き、少し腰を落としている

右脚を止めた手は体左前方下に添えている

右手の木刀が粉砕しそのまま、腕をたたみ、脇にそえ、軽く拳を握る

そこには、空手で言う、中段逆突の構えができていた


蓮は鷲尾の攻撃を読み切り

左右の同時攻撃の始動時点から

最小限の動きで、攻撃を無力化し、この構えに移行した


脱力した全身に、少し後ろに引いた右脚から力を溜、その力は、体全身を伝い

無防備な鷲尾の腹筋に拳を放つ


鷲尾に掛かっていた、物理防御を抜き

さらに鷲尾の鍛えられた腹筋を打ち抜く

鷲尾は、身体を一瞬[くの字]に曲げ、反動で数歩後ずさる

左手で腹筋を抑え、右手を蓮の仮面に向け

その場にくずれおちた


それを見て、蓮は構えを解いて、両手で服に着いたホコリを払い

崩れ落ちた、鷲尾をみながら、数度頷き


「鷲尾だったか? 最後の攻撃はよかったぞ

 俺以外なら、倒せないまでも、くらっていただろうな

 さっきの言葉は取り消そう

 いやいや、中々楽しかった、じゃぁな」


すでに意識がない鷲尾にむけて言い

これなら、奥に居る、魔物?も楽しめそうだ

そんな事を思いながら、奥に向けて、機嫌よく歩きだした。



 このった、ホワイトイーグルの9人は

その男を見送る事しかできなかった

自分たちより、数段強い鷲尾が負けたのだ

自分達では勝てない、歯向かえば殺されると。



 その状況を、2階から見ていた、高津

遠目で見ていたので、詳細は分からないが、鷲尾が負けたのは確認できていた

所詮、雇われの護衛チーム、威張ってはいたが、速見と同じで、カスだな

あそこの手前には、アレが居る、まずあの男は死ぬだろう

そう思い、ロングコートの男がいる通路に目を移す

小宮が待ち受けている通路でもあるが


すでに戦い終わった後であり


一人の男が地べたに座り込み、涙を流し泣いていた。



 

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