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手術は・・・そう・・・俺にも無理な事はある・・・。

 






「だから~~


 俺が悪いわけじゃないって


 くるみが、助けてくれって言うから・・・」




「あ?」




「いや・・・あのね


 くるみがぁぁぁぁぁぁぁああああああ」




 それは




紫音が蘭に今回の説明をするも・・・




「全てを胡桃のせいにして


 女々しい言い訳をしやがって!


 こんな卑怯な子供に育てた覚えはない!!」と




蘭が紫音の頭を鷲掴みにし


そのまま頭蓋骨を潰す勢いで握りつぶし


紫音は紫音で




「育ててもらった覚えなんて無いですが!!!」と




苦しんでいる・・・




・・・・・




親子のスキンシップを楽しんでいる状況である。






 この場所は、蘭の働く研究所である


【蘭】は好き勝手するため


所長でも、研究室長でもない


だが、あるいみ蘭の為の研究施設


蘭が施設に提供した特許だけでも莫大な利益を生み出しているからだ




だからこそ、この施設の一角には


蘭の個人の研究室もあり


ほぼ家に帰らない蘭の寝泊りする家と化した部屋もある。




 この蘭の個人的な研究室には


蘭の研究が詰まっていると言ってもいい


だからこそ、誰も入室出来ないが


蘭の研究を理解でき


蘭の知識に口が出せる紫音は別である


そして、無害とも言える、リルも別である。


そして、新しく、フォーがこの研究室に足を踏み入れた。




 フォーは紫音が目の前で泣かされているが


紫音の絶対命令とも言える


【蘭さんには逆らうな!】を守り・・・震えていた・・・。








 そして、とりあえず


紫音を泣かせた蘭は


満足しその手を離した。




「まぁ、紫音が悪さしていたとしても


 くるみの頼みなら、どうにかしてやらん事もないが・・・


 脳腫瘍末期か・・・。」




 その意味を理解している蘭は


腕を組み考えを巡らし




「紫音、何か考えがあるんだろ?」




 紫音は頭を抱え涙を流しながら




「まぁね・・・」と




 蘭の研究室と言えど


さすがに、人間を手術する手術台はないため


長テーブルの上に布を敷き


リルに、ヒサノを寝かすように指示をだす。




 苦しむ、ヒサノが姿を現すと同時に


紫音の肩から飛び出した【ギン】が


ヒサノの頭の近くに飛び降りると


ヒサノの意識を刈り取るのだった。




 徐々にだが、苦しそうな呼吸が落ち着くまではいかないが


少し早めの呼吸音が聞こえる程度で安定する。




本来なら【CTスキャン】などをするところだが


紫音にしてみれば、そんな物より


自身の持つスキルの方が正確で信頼できる!


正確性を重視し、右手をヒサノの頭に乗せ


超音波とも言える、エコー診断で


その脳内内部を観察する!




 そして、シオンは


最も信頼できる人物の力を借りるのだった。






 鉄雄がヒサノを助けれる人物を2人上げた


その1人が【蘭】であり


もう1人が【しおん】である。




 胡桃はそのまま、紫音だと受け取ったが


紫音は鉄雄の言いたい事を理解した


そう、シオンは、しおんであり、シオンは、しおんではないのだ


その魂は同じであり


いつもは、シオンと、しおんは同じ人格でもあるが


シオンも、しおんも、どうしても譲れない事がある!


シオンにとっては、洋服造りや、音楽、戦いなどであり


しおんにとっては、パソコンや、ゲーム、電子機器、機械造り、掃除洗濯など


得意分野も、趣味も違う


いつもは1人の紫音だが


時折、その混ざり合った魂を


水と油のように2つに分けて


どちらかが顔をだすことがある


それを知るのは、鉄雄だけであり


それを判別できるのも鉄雄だけでもあった。




 そして今、シオンは、しおんの知識を借り受けるために


その魂を2つに分けるのだった。






 誰も気づかないまま、しおんとなった紫音


その魂はシオンでも有る為


魂を感知できる、フォーですら


その変化に気づく事はない。




そして、その無駄知識を存分に発揮する!




「小脳を圧迫する・・・神経膠腫 (グリオーマ)


 本来なら良性の腫瘍・・・だけど・・・」




「末期まで成長しているなら


 ステージは進んでいる・・・良性ではなくなっているか?」




「うん。」




「そうなると、良性であろうと


 毛様細胞性星細胞腫の末期


 視神経から脳の奥まで届いているなら


 全摘出は私でも無理だ


 最終ステージとなったグリオーマによる脳細胞の破壊もありえるぞ。」




「破壊はないよ


 異世界の木属性の回復魔法


 成長を促進する魔法で、グリオーマが爆発的に成長したけど


 同時に光属性の回復魔法


 それは、復元魔法でもあって


 脳細胞の復元を手助けして破壊を最小限でとどめてる!


 腫瘍の摘出は経験が無いから


 蘭さんにお願いします


 それ以外は、こっちでするから。」




「それはいいが、ここで手術するのか?」




「うん、出来るよ


 それに、さっさと終わらして


 バーベキューを食べに戻らないと!


 全部肉を食われる!


 もちろん、このヒサノを連れてね!」




「何をどうやるかは分からないが


 短時間で終わらせる気か?」






 紫音は蘭の問に


年相応に可愛く笑うのだった!






 蘭の意思加速の速度は約5倍


それに合わせて念話で会話をし手術を進めていく。




 リルの結界で、蘭・紫音・ヒサノ・銀・琥珀を隔離する。


フォーは今後の為、結界の外から


手術と言う異世界に無い技術を見学させる!




 手術の場所が小脳なので


ヒサノをうつ伏せに寝させ後頭部にある髪を切る。




 そして、銀の完全除菌で結界内を除菌し無菌室に近い状況を作り出す!




 琥珀を頭の上に乗せ


魔力回路を連結し琥珀に蓄積された魔力を得る!


そう、僕は魔法が使えない訳ではない


体内の蓄積魔力量が少なくて魔法が発動出来ないだけだ。




 そして、僕の頭の中には


シオンとなるまで詰め込んだ


現代の科学魔法の知識や


未だに進歩する、医学の知識もある


そして


シオンが知る異世界の魔法が詰め込まれている!


そう、僕はこの瞬間だけなら


何者にも負けない!




 まぁ、戦うわけじゃない


戦いなら、シオンが戦えばいい!


だけど、こういう精密性を要する


手先の器用さや、緻密な計算は


シオンより僕の方が上だ!




 僕の知識の中に医療の知識はあるが


ガンと呼ばれる腫瘍の切除の知識は乏しい


それだけは、再発を考えれば後の命に関わることでもある


適当にできないし、映像から得られる知識では心もとない


それだけは、蘭さんに任せる


そして、それを目の前で見ることで


僕の知識を完全にする!






 そして


これは、現代の手術ではない!


現代世界の医療技術と


異世界の魔法を使った


僕にしかできないロジックである!




 異世界の時間制御魔法とも言える魔法で


ヒサノの動きを1/100まで遅くする


そこからは、時間との勝負!


腫瘍を除去する為に後頭部を開く?


いや、そんな事はしない


僕の完全スキャンで取り入れた


ヒサノ後頭部の皮膚から頭蓋骨に掛けて


立体映像で念話でギンに送る




ギンはそれを受け取ると


切除部分でるその一角を


部分転移でヒサノから転移させる


転移された、その頭蓋骨と皮膚は、リルの完全停止空間へ送られる


部分転移は、リルでもできるが


リルは不器用で、精密な操作は出来ない為


こういう精密な魔力操作はギンに任せる




空間系の転移魔法は


スキルに近い魔法であり


以前のシオンも使えない魔法だから


当然僕にも使えない!




本来なら、開頭部分は後の縫合を考え


出来るだけ小さくメスを入れるのだが


紫音は、お構いなしで


ヒサノの小さな頭に


10cm四方の穴を開けた




後頭部を転移させると同時に


動きが遅くなったヒサノの心臓を


僕のスキルで止める


ヒサノにとって数秒だが


僕にとって有り余る時間となる




血流も止まり、血液はふきではしないが


それでも、ゆっくりではあるけど血圧で押し出される血を


僕の魔力操作で切断された血管を止め止血する




大きく開いた後頭部


髄液を保護している硬膜を


自前のミスリルのナイフでメスを入れる


完全に姿を現した脳に指をツッコミ


腫瘍を見える状態にし


蘭さんによる腫瘍切除が始まる


だが、ここまでは問題ない




問題は脳にまで達したグリオーマ


だが、紫音は気にせず


ヒサノの脳に指を突っ込んでいく


魔法で完全コーティングした手である


脳への多少の振動はあるが


それは許容範囲であり


キズなど外傷は与えない配慮がされている


もともと多少の無茶は計算済みで


無理矢理にグリオーマの除去を開始する!




これには


ある計算もあった


もしも手術を失敗しても


リルの【復元召喚】によって、手術前の状況に戻せると言う


反則的な技があるからだ




だからこそ紫音は多少の無茶も承知の上で


ヒサノの手術に踏み切った!


一度でも、蘭の腫瘍切除技術を体験できれば


次回以降は、紫音でもその技術は施工可能である


100%ではないが、練習用の使い捨て人間など


リルの空間に何人もストックしている!




そして、蘭の手腕でグリオーマは除去された


腫瘍と言う性質から、単一細胞が1つでも残っていれば


そこから再発もありえるが


残された小さな視神経グリオーマは


術後に小さくなり無害となる事もある事から


現状では術後を見守る事しかできない。




そうなると、今度は


開いた後頭部の縫合だが・・・




脳を支える髄液が漏れないよう


硬膜を閉じていく。




紫音が開発した


現代の医学と異世界の治療魔法を融合させた


オリジナルの肉体治癒促進とも言える魔法


その使い方の1つ




 綺麗に切断された断面は


表面張力とも言える力が生じる


そして、原理的には、綺麗に切断された細胞は


同じ細胞同士で引き合う性質があり


また、その同じ細胞同士だと接続は簡易であり治りも早い。




そう、魔力操作とそれを支える指先で


切り取られた硬膜をミクロン単位で


同じ場所に固定し


その都度、部分的な肉体治癒促進を使い


完全に元の状態に戻していく




それは、意思加速を1000倍にし


気の遠くなる時間で行う作業ではあるが


硬膜を繋げるのに有した時間はたったの1秒も掛からない


そして、後頭部の頭蓋骨と、その皮膚を繋げるのを合わせても


3秒にも届かない短いじかんでもあった。




全ての工程とも言える、ロジックを数分もかからず


手術とは言えないだろう、腫瘍切除手術が終を告げた。




それでも、完璧などと言う言葉は存在しない!


それでも、できる限りの事はした


病状は、良くなるだろうが


再発が無いとも言えない


今後の経過を見る必要があが




後は、ヒサノ体力しだいでもある




ただ、言えることは


ヒサノに関して、今後数年~10年


回復魔法を使用できないと言う事だ


そう、回復魔法によって、ガン細胞が復活する可能性がある




回復魔法・魔術とは


肉体に掛ける魔法であったり


ある一定の範囲に効果を発揮する魔法である


もともと、0.1ミリ単位で回復する事など想定していないのだ


そんな魔法をヒサノの後頭部の接合に使うと


切除したグリオーマの再生や、残ったグリオーマが再発する可能性がある


その為、今ある回復魔法・魔術は、ヒサノに使えないのだ




だからこそ、硬膜・頭蓋骨・皮膚の接合に


紫音のオリジナル魔法を使ったのだ


紫音の制御するこの魔法なら


0.1ミリ範囲での制御も可能でもあり


接合部分以外には魔法効果はもれない




そう、鈴でも、リルでも、ギンでも


繊細で強力で現代の化学医療知識を必要とする


この魔法は使えない。




 ガンの再発を考えると


ヒサノが今後回復魔法を受けることができないが


それはそれである、命が有ってこその話である。




 


 本来なら、数時間かかる手術を数分で終わらし


蘭と紫音は、あれこれと意見を交わす。




 蘭は、紫音の魔法も気になるが


異世界の人間に手を加えた事に


その現代人との違いを感じ


その細かな違いを、紫音と話している。




 そう、蘭は手術を行うと同時に


ヒサノを、モルモットの様な目で観察していたのだ


そのお陰で、蘭の興味は【フォー】には向かなかった


そして、浮き上がってきた疑問を、紫音と共に話し合う




 だが、ヒサノは異世界人ではあるが人族でもある


そのものは、現代人と変わりがないが


その存在は、異世界の理の中で存在した人である


それだけで、現代人と掛け離れた存在なのだ


そんな異世界の存在に興味を示す蘭に・・




「そういえば、あっちの世界で準備できたから


 蘭さんも、時間が有るとき言ってみる?」




「なんだと!


 異世界か!そりゃ行くぞ!決まってるだろ!


 ん?私も?」




「うん、さっき説明したよね?


 【テツ】と【くるみ】が、あっちの世界に行って


 死にそうな【ヒサノ】を連れて帰ってきたって!」




「そんな事を言ったか?!」




 相変わらずの蘭さん・・・


鈴の話は聞くけど、俺の話を聞く気はない!! と




 異世界の話をしていると




「コン!」




「ん? ヒサノが意識を取り戻したか」




 俺は寝かされているヒサノに近づくと


ヒサノは意識を取り戻したのか静かに目を開ける




そして、ヒサノの瞳に映し出したのは・・・




 大きく目を開かせて


舌をだして気味悪く笑う男の姿


そして・・・その男は


気持ち悪いポーズを幾つも行いながら発した言葉は・・・




《お前の事はよく知っているぞ【ヒサノ】!!


 くくく、動けないだろう!!


 お前はすでに、魔法で拘束されている!


 そう! お前はもう動けない!!


 このオレの思うがまま!!


 そう、このオレの思うがままヒャッハーーーーーーーァァァッハッハッハ!!


 お前を食べてやる!


 その可愛いらしい指を一本一本引き千切り


 この舌で舐めまわし


 その汗と血と湧き出る分泌物を味わいながらなぁぁぁ!!!


 あぁ、神よ我らが神【ロ・リハカ・ミヲモコ・エル】様!


 感謝します、我に供物を


 あの憎っくき魔王【雷帝・レイ】に仕えし巫女を与えしことを!!


 世界は【ロ・リハカ・ミヲモコ・エル】様に!


 全ての、ロリは我が手にぃぃぃぃぃ!!!!


 うひゃっはっはっはっはっはっはっははは!!!!!》




 動けないヒサノを襲った恐怖しかない現状!




 ヒサノは、巫女の一族


それも未来の巫女の長となる存在


箱入りの姫とも言える存在だ


周りに怖い存在などアリはしなかった・・・


だからこそ、目にした存在が


見たこともない変態であり


ヒサノを恐怖におとしいれる!








 「アッ    フゥ~~~ン ♡ 」








 そんな憂いを帯びた声を上げ、紫音は蹴り飛ばされた


蘭は、蹴り飛ばした紫音を睨みながら




「知らない言語だが・・・


 何を言っているのか、私でも分かるぞ!!


 あれほど、女性には優しくしろと教えたのに!!


 この変態は・・・いったい誰に似たのか・・・


 リル!通訳しろ」




「はい」




リルは、蘭の言葉を・・・柔らかく・・リルの言葉で通訳していく




《この方の言葉をお伝えします


 「頭の痛みは無いでしょうが


  まだ、脳機能は完全に戻ってないかもしれません


  今は、会話も体を動かすことなく


  失った体力の回復に専念してください」と


 今は無理しないように魔法で身体機能を奪っていますが


 貴方に危害を加えるつもりは有りません


 ただ、理解してください


 貴方の病気を治したのは


 こちらの女性であり


 それを願ったのが


 先ほどの少女【くるみ】さんだと言う事を


 ですが、今は全てを忘れて


 ゆっくり体をやすめてください。》




 だが、ヒサノにしてみれば


目の前に恐怖の存在がいた・・・


そして自身に起こった事など理解不能


ただ・・・記憶にあるのは


女の子に、尋ねられ「生きたい!」と願った・・・だけであった




 今は、地獄の様な苦しみや死にたいほどの痛みは無い


ただ・・・数日ぶりに、恐怖はあるが苦しみから解放され


ヒサノは意識を失うかのように静かに眠りにつくのだった。




 蘭に蹴られた紫音と言えば




 床に転がりながら


大活躍の【琥珀】と【銀】を


褒めるように、こんかぎりモフル!


あぁ、こんかぎり可愛がる!


蘭とヒサノの会話が終わると


転がったまま、蘭を見上げ


 


「それじゃぁ、俺は戻るよ


 肉が待ってるからね!


 そう、肉がまってるからね!!


 ・・・・


 うわ! 蘭さん反応悪!


 まっ・・・いっか


 とりあえず、蘭さんの準備があるだろうし


 この子の事も考えると


 今すぐ異世界は無理だし


 あっちの段取りも・・・


 (まぁ・・・蘭さんが暴れるのは目に見えていから


  バレれても、押さえつけれる用に


  ティート達を集めておかないとな・・・。)


 あるだろうから


 2・3日まってねん


 後は勝手にリル呼んで、あっちに遊びに行ってね」




 蘭も頷き




紫音達は、転移していく・・・。






そして、最後まで蘭に無視され続けた【フォー】ではあるが


人体を切り、その内部に手を加えると言う


常識を逸した、紫音とその母親の行動に


言葉も出ないほど驚いていた・・・。






 紫音達は宮守建設に転移する


場所は工場の奥にある、鉄雄の作業場である


そこには、異世界の天然木を手にする鉄雄の姿




「よ!」




「ッチ・・・ 紫音かよ」




「機嫌が悪そうだな」




リーゼントが、ピク・・・っと反応するも




「あぁ、切り出したこの木・・・


 このままじゃ使えない事がわかった・・。」




「なんで?」




 紫音の率直な疑問である。




「木材は基本切り出してすぐは


 水分量が多くて使えない事は紫音も知ってるだろ?(いや知らね!)


 だから内の工場・・・いや、別の施設になるけど


 そこに木材の乾燥機があるからな(だから知らねぇって!)


 まぁ、この異世界の木も


 水分量が有るのかと、色々調べてみたんだけど


 たぶんコレは、蓄積された魔力だな(興味ないんだけど・・・。)


 木刀にしたような若木ならいざ知らず


 数千年の神木とも言える木材


 魔力・・・紫音達が言う魔素の塊か?


 これの乾燥?というか、加工の前段階までの仕方がわからん


 もう一回、あっちにいって、ドンガに聞くしか方法が無いかなってな・・・」




「じゃぁ聞けば?」




そう、なに難しい事を考えてんだ? このリーゼント?




「あん!!」




余計に機嫌が悪くなる、リーゼント


ここまで不機嫌な鉄雄も珍しい・・・・と思っていたら




「紫音!


 お前だって、目の前にオモチャ並べられて


 おあずけ食らってみろ!


 俺の気持ちがわかるだろ!」




 あぁ・・・そりゃそうだ


俺だって目の前に、極上の生地を並べられた日には


すぐにでも服を作りたくなる!


それを・・・おあずけ食らったら・・・


絶対にキレるね!!


だが・・・知ったこっちゃねぇ!




「カワイソーーダネーーーー


 で! 肉は?」




「・・・・・


 そうだよな!


 お前はそう言う奴だ!!


 はぁ~~~・・・もういいや


 胡桃が事務所前で、バーベキューの用意してるはずだ。」




「オッケーーーー!!


 肉だぁぁーーーー!!!


 ベヒモの肉なんて、俺も始めて食べる!!!」






 俺はある物を腕に抱え、肉を求めて移動する


事務所前には、すでにバーベキューセットを用意し


炭に火をつけて準備をする、胡桃のすがたがあった。




 胡桃は俺達を確認すると


一目散に俺に駆け寄ってきた!


それもその筈


俺の腕の中には




毛布にくるまれ、お姫様抱っこされ




力なくその体を俺に預けるヒサノが居るからだ




くるみは「しーくん!!」と俺に駆け寄り


ヒサノの顔を覗く・・・


胡桃は・・・


口を開け・・・


顔を青くして・・・


ありえないと驚く


うん・・・


仕方が無かったんだ・・・


最善を尽くした


蘭さんも手伝ってくれた・・・


でも、脳腫瘍の末期だ・・


手術は成功したと思ったんだ・・・


でも・・・


完璧なんて有り得ない


くるみが、どれだけ俺を信じてくれても


無理な物は・・・・


無理だった・・・。




俺は・・・驚く、くるみに顔向けもできず


その視線をはずす。






「しーくん・・・・」と声を震わすくるみ・・・。




 言うのは辛い・・・でも・・・


こればっかりは・・・


くるみの前で、おちゃらける訳にはいかない・・・


真面目に伝えよう・・・。




普段見せない、シリアスな表情で・・・




「わかってる・・・


 でも、俺でも無理な事は・・・・あるんだ・・・。」




 だが・・・


胡桃は納得しない・・・




「ムリって・・・・。


 なんで、ヒサノちゃんが、モヒカンになってるの!!


 それも、額に【肉】とか書いてあるし!!」




「いや、手術するのに髪の毛剃ったんだけど


 さすがに、髪の毛伸ばす方法なんて知らないし


 さすがの俺も、こればっかりは無理だった


 それに中途半端に剃っても・・・アレかな~~と思って


 モヒカンにしてみた!!


 どうだ! ファンキーだろ?


 かっこいいだろ?


 【肉】は・・・アレだ


 寝ている子にいたずらするなら


 これが定番って・・・・ネットに書いてあったし!」




 く・・・くるみが、睨んでくる・・・




今にも怒りそうな雰囲気だったが




その瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた




「よかった・・・


 ホントに良かった


 治ったんだね


 もう大丈夫なんだね・・・」と




 俺と俺が抱えるヒサノを両腕で、ガッシリと抱きしめ


泣き出したのだった。




 く・・・身動きができない!




そしてヒサノを犠牲にした一発ギャグも不発!




踏んだり蹴ったりだ!!




リーゼントと言えば


くるみの代わりに、バーベキューの準備しだして俺を無視!


リルも俺とくるみを見守るだけ!


いや、ヒサノを俺が抱っこした時点で機嫌が悪い!




だいたい、リルにヒサノの移動を頼んだら


作業場にある台車に乗せて、適当に引っ張って行こうとするんだから


俺が抱き抱えるしかなかったんだろ!!




そんな事をしていると


事務所の奥から食材が登場!


ちがった食材を抱える【幸】さん登場!




 俺の姿を見るなり


「モテモテねぇ~~~」と


そして、追加で・・・


「鈴ちゃんが、10数人の友達とパジャマパーティーしてるって聞いたけど


 紫音ちゃんも、かわった友達が増えたわね~~」






まぁね・・・


いつの間にか俺の後ろに居るの、その他大勢


それに気づいた、くるみは俺からはなれた。




メイド姿の【リル】は・・・まだいい


幸さんとも長い付き合いだ!


まあ、エロい姿の【マリア】も


すでに宮守家の人間と交流はある・・・。




だがだ!


エセ花魁で、エセ黒人の【フォー】


トチ狂った、元魔王【レン】


パンツスーツでバリバリメガネ秘書風【ミーティア】


つっかけに短パンにダボダボシャツと言う、ラフすぎる【ミカ】




俺が返した言葉は




「友達じゃ無いです!


 赤の他人です!」




「そう?


 でも一番の変わり者は、紫音ちゃんだと思うわよ?」




「やっぱり~~~!!


 さすが幸さん、見る目ある!


 こんな中途半端な変人と一緒にされると困るって言うもんだ!」




ワッハッハ!と笑う




 まぁ、幸さんは、俺が5歳の頃から知ってるから


俺の変人度合いも知ってると言うものだ!




 そして、髭おやじ登場!


最近では、マリアと意気投合し


俺の変態話で、ちょくちょく酒を酌み交わしているらしい!




 そして、肉と聞いて会社に戻ってきた、宮守建設の社員達!


宮守家の家族同様、俺とも長い付き合いでもある!


さすがに・・・マリアと、フォーの姿に、一瞬動きを止めるが


俺の姿を確認すると、勝手に納得して


宴会の準備を初めて行く!




 まぁ・・・俺と数年来の付き合いだ


多少の事では動じないと言う事だ!




 肉の提供は、リル


もちろん【ベビーモス】の肉だ!


半端ない旨さに、酒も進むらしく


髭おやじが出してきた地酒【娘のためなら!】が一瞬にして空になると


いや、一升瓶5本が一瞬だぞ! オカシイだろ!


そうしたら、マリアが何処から出したのか


異世界で密かに作ったらしい酒【シオン】と書かれたラベルの酒樽を披露


いや・・聞いてない、それに俺の名前を勝手に使うな!!


それにしても酒樽って、どれだけ飲む気だ!


まぁ、髭おやじも飲むが


ここの社員も豪快に呑む!


肉を焼きながらマイペースで飲む幸さんと真希さん・・・実は結構飲んでるし


縁側で涼んでいる風の、テツの爺ちゃん婆ちゃんも飲んでる


まぁ、いつもの宮守建設の宴会風景でもあるけど




 ただ、いつもと違うのが


俺の命令で、オドオドしながら、みんなにお酌して回る【フォー】


ふん!花魁姿のお前が悪い!




 そして、マリアもそうだが


宴会に溶け込んでいる【ミカ】コミュ能力が高すぎる!




 【ティア】? アレはせっせと赤頭の世話を焼いている・・・


まぁ、あの脳筋赤頭は、宮守建設の社員達酔っぱらいと


上半身裸で筋肉自慢してるんだけどな!




 そこに投入されたのは、鈴の焼きそばと


パジャマパーティーの夕食の残りである。




 そして、宴会の横でアルコール無しで騒ぐ俺達!


こっちのメンバーは


俺と、てつ


先程まで仮眠を取っていて


宴会の騒ぎで起きだしたらしい、シスター・・・こいつ名前忘れた


そして、てつが即席で作った揺り篭のベットで寝る、ヒサノ


それを見守る様に付きそう、くるみと、リル


そして、パジャマパーティーから抜け出してきた、アカネ




 そんなアカネから、模擬戦の映像の話を聞き映像を流す!


もう笑いしかでてこねぇ!!


全員で爆笑である!


特に俺が自爆とも言える爆発で吹き飛んだところは大爆笑をもらった!


さっきの一発芸はスベッタが、こっちはウケまくりだ!!






  さすが俺!!!






それを聞きつけた、酔っ払いども!




いい酒の肴を得たと!




動画再生数を、アホほど増やし


爆笑しながら酒をのむのだった!




そこで、幸さんの最高の褒め言葉が!!




「やっぱり、紫音ちゃんが一番壊れてるわよね!」




爆笑しながら「そりゃそうだ!」と


何度も乾杯しながら


より酒が進む、酔っ払いどもだった・・・




この後・・・




いや、すでに近所に住む、酒飲みのオッサンや、おばちゃん共も参加して




大宴会とかしていた!




宮守建設の宴会は、毎回こうである!






むちゃくちゃである!!






もともと、近所間は仲が良かったらしい


そもそも近所の家は、宮守建設が手がけた家が多いいし


リホームも当然、宮守建設でもある


最近では、リホームなんかは、爺ちゃんの老後の趣味で格安でやってる。




 「じっちゃん」と呼んではいるけど


まだ還暦を迎えてないし現役を引退してもいない


その腕は、髭オヤジより上でもある


木造建築において、日本は世界最高の技術を持っている!


その日本において、頂点とも言える宮大工が・・・この爺ちゃんである!




みえねぇぇぇ~~~~~~~!!!




しんじられねぇぇえ~~~~~~~!!




たまにTVなんかで紹介されてるらしいが


TV見ないから、しらねぇぇえええ~~~!!




まぁとうぜん、俺の家も爺ちゃんが建てたらしいが


中古物件で買ったから、関係ないが


よく自慢される!


俺にしてみれば、近所の世話好きの爺さんである。






 それにご近所さん関係では


鈴が・・・料理の勉強をしだし


食べれる程度に料理の腕が上がった




蘭さんに初めて料理を食べてもらった8歳の頃から




勉強と言いはり、大量に料理を作りだした


だが、家には、俺と鈴2人しかいない


俺達が食べきれる量を遥かに超える!


あまった料理は、鈴がせっせと近所の家に差し入れを行う


まぁ、それが、メチャクチャ美味い


そして、鈴は人前では猫を被るし


今では鈴はご近所さんでは、天使の様な存在だ!




その両親や、双子の兄が、どれだけ変人でも許されるほどにね!!




 今日は居ないが


そんな天使が、宮守建設の宴会で腕を振るうなら


ご近所さんも、酒を持って参加するというもの!


そんな感じで、ご近所さんとは仲がいい!




 近所のガキも集まる事もあるけど


マリアの姿と、フォーの姿を見た大人達は


子供を追い返した・・・とか?




 いや!




 この現代!!




 花魁は貴重なり!!!




 大人達には勿体無い!!!!




 ガキ達にも、このエロの象徴をぉぉぉ!!!!!




 とか・・言おうと思ったけど・・・




 (テツの)婆ちゃんの・・視線が怖くて言えなかった。






 

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