パジャマパーティー・8話 桜 vs アリス
桜は、お気に入りのナックルを手に装着していく。
アリスは、道場に置いてある木刀を借りて
最近練習中の、二刀となる。
そのアリスの姿に
雫は「レア!! SSSレア!!」とおお喜び!
強化魔法無しの桜と
アリスは【意思加速】と
【筋力強化魔法】(全身鎧を動かす最低限の強化)で対抗するが
それでも、防御一辺倒である。
リーチの有利は有るが、絶対的な自力が違う
それでも、防御には自信があるアリス
桜の攻撃を木刀で防ぐと同時に
鎧の硬い部分でも、桜の攻撃を弾く!
フルプレートと呼ばれる全身鎧の使い方を熟知している
だが、アリスが攻められ続け、5分ほど立った所で
桜ママの「そこまでぇ~~~」で一旦止まった。
アリスは木刀を持つ両手に視線をおとし
「まだまだ・・・使いこなせていないな・・・。」と
小さくつぶやくのだったが
「サクラ! もう一度頼む!
今度は・・・私も騎士として全力を尽くす!
だから桜も、今出せる本気でお願いする!」
いつもの用に桜は、頷くだけである・・・。
アリスは武器を持ち変えた
自前の盾と騎士剣にである
そして、ニニスに歩み寄ると
「ニニス、すまないけど
私の後ろにいてもらえるか?」
「いいなのよ。」と
その意味をニニスは理解しないが
それが、アリスの頼みならと喜んで引き受けるのだった
アリスは、ニニスを背に守る形で
桜と対峙する!
これこそが、アリス本来のスタイル
擬似的ではあるが
背中に守るものが有ってこその騎士である。
アリスは気合を入れなおす!
騎士剣を両手で持ち
体の正面に持ち
祈るように剣を握る手を額に近づけると
誰にも聞こえない小さな声で
「守る存在が有るからこそ
私は強くならなければならない!
聖騎士を目指さなくなった今でも
騎士は私の心の支え!
行き着く場所は違えど
精神と信念は今でも揺るぎない!
目の前の敵を倒すのではない!
命を掛けて、背負う存在を守り通す!」
そして、騎士の家に伝わるスキルを使かっていく!
続いて身体強化魔法使うが
逆に、身体強化状態や
盾と剣を持つ状況化での意思加速は
今のアリスでは扱いきれない。
アリスが騎士剣で盾を2度打ち付け戦いは始まった
当然、桜の優勢であるが
その桜の動きに付いていくアリス
先程は不慣れな意思加速での二刀流で
防戦一方だったが
本来の戦い方ともいえる、長年培ってきた戦い方
盾の位置、剣を構える位置ですら体に刻み込まれた場所であり
踏み込む一歩ですらその意味を持つ
それは普段通りの、アリス!
踏み込む足、振るう騎士剣
その剣先の軌道は目で確認しなくても体に刻まれている!
それは本気であり、全力でもあった!
そして先ほど体験した
桜の動き、その攻撃
まるで桜の真っ直ぐな性格そのものだ
だからこそ予測もできる!
桜の動きを、きっちり記憶したアリスは、反撃に移る!
そこには
圧倒的な強さを誇る桜の存在感
それに匹敵する
騎士アリスの存在感
息もつかせぬ、ぶつかり合う、2人の姿に
息を呑み、手に汗握って観戦する少女達
優美ちゃんも、カレラすらもその戦いを食い入るように見守る。
桜ママ「すごいわね~~
桜とあそこまで戦えるなんて~~
かわいそうだけど・・・
桜の本気は、もっと上なのよね~~~
そろそろ、アリスちゃんが限界にちかいから~
桜~~使いなさいな~~」
使う? 何を?
そんな単語が私の脳裏に浮かぶ!
桜は一度距離開けると
ふぅ~~・・・息を吐き全身の力みを開放したと思ったら
アリスに突っ込んでいく!
アリスの迎撃!
剣を横に一閃、だが桜の反応はその剣先より早い!
躱すように剣の下に潜り込み、左のボディーブローを叩き込むが
アリスは瞬時に【あはん♥(物理防御)】の魔法で、ダメージをそぎ落とす
そのまま、右膝を突き出し桜を蹴り迎撃するも
桜はアリスの右側に移動しながら回転し回し蹴りを繰り出すが
アリスも上げた右膝からケリに変化させる事で対抗し
桜の蹴り足を蹴り相打ちするも、バランスを崩す
鎧の重量が無ければ、吹き飛ばされていたのはアリスだっただろう。
アリスがバランスを取り戻すよりも早く桜は追撃を行う!
もともと動きが早い桜ではあるが
その反応速度とも言える初動が桁違い上がっていた!
**********
後日に桜ママから聞けば
アレは、イタリアの武術家であるティオーノ家の技 (スキル)らしい
【ティオーノ】とは本来、イタリア語で【tuono (トゥオーノ)】
日本語では【雷】を意味する
そして、ティオーノ家は雷を操れる一族である
長い年月で、その血はうすれ、数千年昔ほどの力はないが
まだ、多少の力は残っており
操れる技の1つとして、体内電気がある
これによってその反応速度は一変する。
目で見た光景を脳に送り
脳で処理し体を動かすといった
神経伝達によって行われる電気信号を
限りなく0に近づけれるのだ
時間にして、1/1000秒以下だとしても
そのアドバンテージは大きいのだ。
誰が気がついているのだろうか
今、脳が理解した、その目に映った映像は
光が物質に当り反射して、肉眼で捉え
その映像が脳に送られる
脳が映像として理解した物は
1/100000秒以上過去の映像であり
動かした腕は、動かそうと脳が処理を行ってから
1/1000秒以上未来の出来事だという事に
そう、たった1/1000秒とも思える時間でも
接近戦における反応速度と
桜の動きの速さも入れれば、すでに反則級の技となる!
普段は、許可なしで使うことはないが
使わなくても、桜が負けることはまず有り得ないのだ。
また、至近距離の格闘戦において
速度強化の魔法を使っても
速度強化は、動きや技の速さを上げるもので
反応速度や初動には関係しないのだ
この技で反応速度を上げる方が
より早く、対応できることから
速度強化より、上位に位置すると言える
ただ、使えるのはティオーノの血筋のみ
血族で受け継がれる技である。
達人と呼ばれる存在がいるが
10倍程度の意思加速ににた技が使える存在であっても
神経を伝達する電気信号を操作は出来ない
よってその初動は変わらない。
ちなみに、蓮もこの技を使えるが
意思加速が数万倍まで出来き
肉体加速ができる、蓮にとって
それほどまでに重要視する技でない
この世界の人間には、特別な強化だが
自分には微妙としか言いえない技 (スキル)だとと思っている。
ちなみに、教えてもらったのは
後日であり、鈴のみである
当たり前のように、この事は口止めもされた。
**********
そう、桜は、蓮の許可が無いため
意思加速は使ってはいないが
現状での本気モードの桜
その反応速度とパワーは【最速の矛】とも言える
桜の攻撃が繰り広げられる!
ただ、アリスも本気である
桜の反応速度が上がったといえど
攻撃速度じたいは、変わってはいない
だからこそ、まだアリスも対抗できる!
いや、守るものが有る時こそ騎士の能力は向上する
そして未だに立っていられるのは
アリスの全身鎧と
紫音の魔法【あはん♥うふん♥】【カチン!コチン!】の組み合わせは
【鉄壁の防御】ともいえる
いや、だからこそ、攻撃に移れる
自身に受けるダメージを無視して
攻撃に専念するが
さっきまでと違い、桜が捉えきれない!
桜も手応えはあるが
ダメージを無視し、反撃してくるアリスに
徐々に拳に力が入る!
それは、蓮に制限された、人間に向けてのパワー制限を超えて・・・。
桜は楽しすぎたのだ!
その力を開放してまで戦える相手に恵まれた事に
そう、同年代で桜と戦える人間は居なかったからだ
堤道場にも彩七なども居るが
それでも、戦い方の相性が悪かった事もあり
本気の桜の相手とはならなかった
初めて得た、ライバルとも言える相手に
桜は楽しそうに笑うのだった!
見た目には、攻撃を当てる桜が優勢でもあるが
そのダメージが見受けられない事や
当たらないまでも、徐々に反撃を繰り出すアリスも
完全な劣勢ともいえなかった。
だが、桜が本気になって
どうにか、1分も耐え抜いてきたアリスの攻防だったが
そんな微妙なバランスも
桜の正面から右蹴りで、終幕への扉を開いた!
アリスはソレを防ぐ用に盾を突き出す
桜の蹴りは機動を変え
盾の側面を捉えるように蹴りアリスの腕ごと引き飛ばそうとするが
アリスの【カチン!コチン!】で
鎧の完全硬化で吹き飛ばれそうな腕を固定し止める!
0.01秒に満たない鎧の固定だが
何度もソレを見た桜は、その隙を付く!
0.01に反応する桜、それは、ティオーノの技が有ってこそでもある!
桜は固定された、アリスの盾に右足をかけたまま
明らかにおかしい体制で桜の左拳が、アリスの右脇腹に向かう!
桜の攻撃にアリスも【あはん♥】で物理防御を上げるが
その物理防御魔法を超えて、アリスの脇腹にめり込む桜の拳!
いや、そのナックルが、桜の高揚に引っ張られ本来の力を発揮したのだ
ナックルを作り上げた紫音すら知らない
ナックル付着スキル【魔法抜き】
攻撃特性【突き】に対し、相手の防御魔法に干渉せずにダメージを与えれるスキルである。
そう、桜の拳は、アリスの防御魔法に遮られることなく
アリスの脇腹にめり込む!
防御力特化のアリスに対し、初めて与えた大ダメージでもある!
そのダメージに怯える、後輩達、特に雫である
それもその筈、アリスの鎧が完全に凹んでしまっているのだ
だが、アリスは耐える!
背中に守るものがある!
自分が倒れれば、全てが終わる!
ニニスは、死んでも守る!
それに、たかが内蔵が潰れただけの痛み!
腐れメイドの【アレ】と比べれば
脇腹をランスで風穴を開けられた程度!
まだ!体は動く!戦える!
怖いものはない!
相手はたかが、胸がデカイだけの人間!
テツや、変態、それに堕魔王とは違う!
私でも勝てるハズの、この世界の存在!
だけど防御魔法をもろともしない攻撃・・・
これが、本気の桜の攻撃
防御が効かない、それなら、それでいい!!
私の最大の武器である防御は捨てる!
背にある存在を守るための最後の力!
それをこの一瞬にかける!
イングラム家に伝わる、魔法とスキル
騎士魔法(禁術)【オーバー・フィジカル】
肉体の限界のリミッターを外し
瞬間的な全筋力の開放
騎士スキル【ホーリー・エンジェル】
聖なる天使の力を借り受け
全魔力系ステータスの向上
騎士スキル【ガーディアン・ポジション】
背後に守るべき存在が有るときに限り
全能力の向上
そして
【意思加速】
最大加速2倍
アリスに耐えれるわけのない、禁術と、2つのスキル
禁術は当たり前だが
3つ共アリスには使用の許可が下りていない物だ
そして、まだ扱えれない、2倍の意思加速
アリスの今できる、最大強化
いうならば、人間の体に、化物を何匹も詰め込んだ状態
そのパワーは一瞬だけなら、覇気を纏う蓮に並ぶ勢いだが
化物と化した身体能力は
アリスに扱えないパワーでもある
だが、アリスはもう知っている
扱えない体を扱えないまま使う方法を・・・。
制御の効かないパワー
車で例えるなら、子供が運転するF1みたいなものだ
アクセル1つで暴走する、パワー
走り出した車は、ブレーキを踏んでも簡単には止まらない。
そう、車に例えるなら
どれだけ大きすぎるパワーでも
止まっている時には関係がないという事だ
そう、暴走するアリスのパワーだが
止まってしまえば、パワーは関係ない
そう、性能の良いブレーキを
一瞬にして、暴走するパワーを止めれる、ブレーキを手に入れればいい
本来なら、そんなものは無い!
ブレーキも、いうならば筋力を使ったパワーであるが
パワーに頼らない、ブレーキ
アリスは、それを持っていた!
紫音から貰った【カチン!コチン!】
鎧の完全硬化、巨大なゴーレムの一撃すら
その硬化で受け止めた、常識を超えた魔法
自分の限界を超えたパワーで暴走する体
なら鎧ごと体を止めてしまえばいい!
腐れメイドが言うように
0から何かを生み出す事は、私には出来ないかもしれない
でも、今ある物を、ブロックの用に組んで
何かを作り上げる事くらいはできる!
盾を【シールド・インパクト】と
桜に向けて盾を振るうが
その腕を振るう瞬間には
桜はそれを感知し、すでにアリスの攻撃の届かない、アリスの右前方に移動飛ぶ!
だが、それはアリスに動かされた移動とも言えた
【シールド・インパクト】を囮に、桜を動かした
だがそこは、アリスの攻撃も届かない位置
だからこそ、桜は不用意に飛んだのだ!
そう、両足を地面から離し飛んだ
さすがの桜でも、空中では体の制御はできない!
桜はアリスに遠距離攻撃が無いと思い込んでいた!
そう、アリスには遠距離攻撃はない!
だが、範囲5メートル程度なら、持つ魔法を発動できる!
意思加速2倍と言う、アドバンテージの中
シールド・インパクトで、左腕を振った
動き出した体は、そのパワーで、アリスの制御から離れる
瞬時に【カチン!コチン!】で鎧を完全固定!
だが、暴走する体は鎧の中で鎧内部に叩きつけられるが
痛みなど感じている暇などない
桜の動きは予想どうり
止まった体、それを目標に向けてハンドルを切り
再びアクセルを踏み暴走させるように
瞬間的に宙に浮く桜に、右手を伸ばす!
剣を持ったままだが、暴走する右手で
すでに準備していた魔法を発動する!
【Restrain Seal (リストレイン・シール)】
束縛刻印とも呼ばれる、騎士剣技用の科学魔法
相手を束縛し動きを止める魔法である。
さすがの桜も、初めて見る魔法と、空中に飛んだことで
左腕で防御するように受けるが
それが、攻撃ではなく、効果を発動する魔法であったがため
為す術もなくその魔法を受けてしまい
着地と同時にその動きを束縛された!
だが、アリスは既に理解している
【ホーリー・エンジェル】で魔力全般を底上げしているが
格上の桜を拘束できても、1秒も動きを止めれない事を
魔法を使うために、前方に投げ出した右手と体
【カチン!コチン!】で鎧を止める
0.01秒ほど止まったアリスは
再び、ハンドルを切り、アクセルを踏み込む
ただ一点、桜の右腕に向けて
その体を投げ出し
左手をめいいっぱい伸ばし
全身全霊で、桜の右手首を掴み取った!
桜の右手首を掴んだ瞬間に
桜を拘束していた効果は切れた
動き出す桜
右手首を返して、アリスの手をほどこうとするも
【カチン!コチン!】で完全固定されたアリスの手は
1ミリも動かない!
桜の判断は早い
動かないなら、掴まれた事など気にせず、左の蹴りをアリスに叩き込む!
すでにアリスは防御は捨てている
桜の手首を掴むと同時に
【カチン!コチン!】で自分の動きを止め
魔法の開放と共に、暴れる右手に力を込める
【コークライド・ブレード】
突き・切り上げ・打ち下ろしの3連撃
アリスの持つ最速の初動を持つ剣技である
左手で、桜の右手首を固定したまま
一撃めの突きを出す!
桜は、蹴りを出しながらも
フリーの左手のナックルで的確に、アリスの突きを止めた!
アリスは気にせず、手首を返し、騎士剣を切り上げる
暴走するパワーを、パワーでねじ伏せるが為
アリスの右腕の筋肉繊維が、ブチブチと音を立てて、ちぎれていく
桜は上半身を仰け反らせ、その剣のを躱す
だが、同時に桜の蹴りが、剣を振り上げたアリスの右の脇に突き刺さる!
鎧の上からの衝撃は、確実にアリスのアバラを破壊した!
たかが、アバラの2本や3本と
アリスの切り上げた騎士剣
その勢いで、肩関節の骨がハジケた!
暴走した筋肉は、お構いなしに
覚えさせられた手首を返し騎士剣を振り下ろすと言う工程を行い
体の伸びきった、桜を追撃する!
桜は、右手首を固定されすでに逃げ場はない!
ダメージを最小に防ぐため左腕をたたみ、剣擊を受けたのだった!
そう、これが決定打となった!
刃を落としていると言っても、アリスの渾身の一撃
確実に桜の腕の骨はヒビが入っただろう
だが、アリスは攻撃を止めない
桜の手首を掴んだまま
倒れていく桜に自身の自重を上乗せさせながら
桜の左腕に右膝を落とし
確実に追い打ちをする
桜の体の上に乗る状態で、桜の首に騎士剣を当てた!
意思加速のまま、剣技を放てないので
すでに意思加速は無い。
【オーバー・フィジカル】は、瞬間的な魔法な為
すでに止まっている。
肉体強化系の魔法も
メインデバイスの安全装置が効き、魔法が解除されている
それ以外にも、魔法は解除され
使った騎士スキルも効果が切れるか解除された。
残ったのは
【ブレイブ・ハート(勇敢なる心)】ただ1つ
ほぼ勝利は確定した状況でも、アリスは気を抜かない!
一瞬の気の緩みが、最悪の結果を生むことを知るアリスだからこそだ!
そして、今のアリスは、剣を振るう事すら出来ない
桜が、まだやる気なら
アリスの負けは確実であった
そこで、やっと
桜の「まけたぁぁ~~~」と・・・
悔しそうでもあり、嬉しそうでもある声が道場を包むのだった。
2人の戦いに見入っていた観客は
桜が負けたと言う事実に、頭が追いついて来ない
彼女達にとって、中等部最強少女は【桜】なのだ!
それが・・・負けた!
ありえない現実である!
そんな中
「すごい! すごい! アリス様スゴイ!」と
アリスの勝利を信じていたのは【雫】だけであった。
アリスは、転がるように、桜から離れる
すでに、ボロボロである
死んでも守る! その言葉を体現するかのように
動くことすら出来ない、アリス
桜から受けたダメージも有るが
【オーバー・フィジカル】による
限界を超えた肉体的ダメージがアリスを襲っていた
ただ、アバラの骨折や
肩骨の崩壊による激痛による醜態を晒さなかったのは
唯一残った魔法【ブレイブ・ハート】のおかげでもあった。
反面、桜は、腕の骨に負ったヒビなど気にせず立ち上がる。
どう見ても、勝ったのが桜で
負けたのが、アリスと言う光景ではあったが
勝ったのは、信念を貫いたアリスである。
2人に近づいていくのは桜ママ
「すごいわね~~
桜に勝つなんて~~~
でも、その姿だと勝ったとはいえないわよ~~?」
アリスは転がったまま
「勝ち負けは・・・初めから関係ないんです
私は最後まで、ニニスを守り抜いた!
それだけの事です。」
多くは語らない
今のアリスには、それだけで十分だった。
そう【桜】は本来なら確実に格上の相手
テツ達のあの戦いに巻き込まれていなければ
騎士のスキルを使おうとも確実に勝てなかった相手である
ボロボロでも、無様でも、それと対等以上に戦えた
今は、それだけで十分であった・・・。
その言葉に、桜ママは
アリスの精神をその信念を褒め称えるように、しずかに微笑んだ
【騎士】とは・・・こう在るべき・・・と・・・
【騎士】とは【英雄】でも【勇者】でもない
敵を倒すものでもなく、世界を救うものでもない
弱きものを守る存在!
そして、教会に認められた存在・・・。
そう騎士とは、正式な職業である
教会に認められた、成人君主ともいえる存在が成れるもので
厳しい修行や試験などがある。
そして、今では1%ほど女性の【聖騎士】も居るが
完全に男性社会でもある
ちなみに王族・貴族に使える、女性騎士もいるが
その全ての女性騎士は、教会に認められた正式な騎士ではない。
自身で確立し、騎士を目指す!
その精神は、その信念に基づく行動は
他人に作り上げられる
英雄・勇者とは別物である。
桜は、桜ママに抱きつき
「まけたぁぁ~~~」と・・・甘えるが
桜ママは、無言で桜の頭に、コツンと拳を落とす
この子の弱さは・・・精神的な物なのよね・・・
初めから強かったから、勝てないのは家族や、堤の人達だけだったから
負ける事に慣れてる・・・
いや、半分勝つことを諦めてる節があるのよね
アリスちゃんみたいに、絶対勝つ、守り通す!みたいな
確固たる意思がない・・・。
命を掛けてとまで、自分を追い込める事なんて
平和な日本ではありえないわよね
私も、そんな覚悟は無いから教えれないけど・・・。
アリスちゃん・・・
本当に、すごいわね
桜に勝った事ではなくて
死の淵まで自身を追い込める精神
そして、全てを捨ててまで貫ける信念
桜のライバルに・・・違うわね
強いだけなら、桜だけど
それ以外は、全てにおいて、アリスちゃんが上でしょうね
桜の良いお手本に、目指す目標になって欲しいものね~~。
そして、怒涛ともいえる
ある意味、中等部最強少女決定戦である
桜vsアリスの組手は終を告げた。
終わってみれば
最速の矛 (桜)は、鉄壁の防御 (アリス)に負けた形となるのだった。
雫達にしてみれば、次元の違う対戦ではあったが
年齢的には、1歳年上の先輩である
自分達も鍛えれば、強くなれると
やる気が沸いてくる!
アリスが、ダウンした事と
桜の負傷もあり、ここからは茜が戦術訓練を行っていく
それは・・・今までの考えと全く違ったモノだった
今までの訓練は、ある程度常識内での戦闘を想定して
チームプレイと言う動きを考えて行っていたが
茜の示す戦いとは、まるで
異世界の荒野に置き去りにされた状況化のようだった。
3人、または、ひろみを入れた4人での戦闘
索敵から始まり
多人数や多数の魔物相手の
陣形の取り方、武器の違いによる、個々の距離から
誰かがいない時の為の、陣形や動き
有利に戦いを進める方法や
魔力管理まで、早口で進めていく。
もちろん後に復習出来るように動画を取りながらだ
茜いわく
「拙者は、時間がなく次に参加できるか分からないでござるので
時間の限り、今詰め込んでいくでござるよ!」と
先ほどの練習中に
雫達3人の性格と動きは把握し
ひろみの事も、鈴から聞き
茜の頭脳では、すでに4人の完成形は見えているだ
それを、模擬戦までに完成させる事は無理でも
その基礎を口早に教えていくのだった。
後輩達4人にしてみれば
茜の話す半分以上が模擬戦のルール上、関係ないことである
それでも、茜の話は4人にとって有意義だった
時たま的確に4人の心理をつくからだ!
雫には
アリスの防御重視の戦い方は、性分にあわないだろうと
雫の性格を見抜いた茜は
状況下によって雫の特攻も勧めてくる
雫こそが、このチームの勝利の鍵でもあると!
千秋には
教科書の様な優美の戦い方ではなく
どうすれば、戦況を有利に運べるか
相手のスキを突く方法や、搦め手を教えていく。
涼子には
珍しい魔法や、今までの魔法のかわった使用方法など
また、カレラの様な、魔力を消費しない、魔力蓄積型の魔道具などを進める。
ひろみには
鈴からの的確な指導があるので
あまり言う事はないが
友達を守るためなら、前に出る事を言う
前に出て戦えではなく、自己の主張をしろと
茜も4人の最終的な頭脳は、ひろみと理解していた
その、ひろみが恥ずかしがり屋で、前にでない性格と言うことも理解する
だが、一瞬の判断で、たった一言を言わなかった為に
全滅、負けると言うことも有るのだと
鈴が強く言わない分、茜は強くひろみに言うのだった。
そう・・・
この無駄とも言える説明の嵐を
鈴は知っていた。
意思加速で、数万倍まで上げた思考の中で
永遠と続く説明と理解不能な話・・・。
茜の姿が、あの時の紫音とかぶっていく・・・。
やっぱり・・・さすが茜
【あの変態を、心の友と言うだけはある!】
茜の長々とした説明も、きっかり12時で終を告げた
まるで、計ったように終わらせた茜は
「最後に、言っておくでござるが
今の4人では、話の半分も理解できないと思うでござる
じゃが、模擬戦の決勝・・・
いや、模擬戦に最終日の本選に行けるくらい
チームとしての実力が上がれば
少しづつ理解できるようになるでござるよ。
それと・・・
今年の模擬戦でござるが
あの生徒会長が仕切ってるでござる
ルール無視で、何があってもおかしくないでござるから
気を抜かないことでござる。」
と、締めくくった。
そうだった・・・と鈴も頷く
あの、いけ好かない、生徒会長(柊朱莉)が仕切っている!
何があってもおかしくはない
それを考えれば、皆は(優美ちゃんたちも)理解できてないだろうけど
アカネの説明は理に叶っているとも言える
12時を迎え
後輩ちゃん達の訓練も終えて
何時ものようにシャワーを借りて軽く汗を流しにいく
この後は、お楽しみの皆でお出かけだ!
アリスは既に立って動いている
茜の説明中(優美ちゃんや、かんな、なっちゃん、カレラもアカネの講義を受けていた)
アリスを気遣う振りをして、致命傷だけは直しておいいた!
だって、この後で一緒に遊びに行きたいもん!!
というか・・・桜のボディーブローで完全に内蔵が潰れてた
アバラは、ヒビだけだったんで、無茶した戒めに回復してない!
でも、肩の骨が砕け散ってたのとか
筋肉繊維が引きちぎれて、小手の中でパンパンに膨れ上がってたのは驚いた!
そしてあの状況で動けるって、それも、桜に勝つだなんて
アリスもだんだん、てっちゃんみたいに、化物に近づいてくるね。
ちなみに、アリスの無茶は
ここに私が居て、死ななければ、どうにかなるだろうと言う
他人任せの無茶!
良い子は真似しないでね!!
それにしても、やりすぎ!
本来なら、その右肩と腕は、1年はリハビリいるよ!
なぜ?そんな事が分かるか?
私は料理で培った技 (スキル)で温度を感知できる
言うなれば高性能の赤外線サーモグラフィー
それを表面だけでなく内蔵、内部まで
立体的に0.1度の精度でサーチできる
だから、アリスの鎧の中で、熱を持つ腕を確認もできるし
壊れた内蔵を把握し、ピンポイントで回復できる。
デバイス魔法ではないから
誰も回復しているなんて、解らないだろうし・・・と思ってたら
ニニスが、アカネの講義を聞きながら
不思議そうな顔でこちらを見ている・・・。
そういえば、魔力力場が見えるなら?
魔力の流れが見えている???
いや、使っているのは体に蓄積された魔素だし・・・
私は魔力の感知も、見る事が出来ないから
ニニスに何が見えているのかは分からないけど
結局何も言わなかったし
後で聞かれても誤魔化ことにする!!
そして!
皆で遊びに行くのだぁぁ~~~~~!!
大手のショッピングモールに到着すると
JTらしく、可愛いものを置いているお店をハシゴし
小腹がすけば、皆でジャンクフードを食べる!
味は・・・・言わないけど
皆でワイワイと食べる食事は、それだけで美味しいし楽しい!
ゲームセンターで遊んだり
オシャレな洋服店で
アカネ改造計画!
(ジャージに丸メガネにおさげをオシャレに)を行ってみたり
アリス改造計画!
(全身鎧を脱がして普通の洋服を!素顔が見たい!)を行ってみたり!
まぁ・・・2人には断固拒否されたんだけど・・・。
遊んだ!遊んだ!
笑った!笑った!
ただ・・・ただだ!!
こう・・・場所から場所への移動中や
他の人が多い居場所では、大人数の私達は
どうしても2グループに分かれてしまう。
優美ちゃんを始めとする
かんな・なっちゃん・後輩ちゃん達4にんのグループと
私・桜・ニニス・カレラ・アリス・アカネのグループ・・・。
うん・・気持ちはわかる
女子らしい姿の優美ちゃん達と違って
ニニスは、着ぐるみ (コアラ)
カレラは、真っ赤っかだし
アリスは、全身鎧(珍しくはないが・・)
アカネは、オタク丸出し
そんな4人が一緒に歩いているのだ
注目も的でしかない!
私はいつものことで慣れてるし
桜は気にもしない
でもやっぱり、優美ちゃん達が普通の感覚?なのだろうか?
・・・・
普通って何!!!???
そうして、私達は楽しい日曜を過ごしていく。
追伸
夕食は、フランク王国の姫主催(カレラの段取り)で
とても高級そうな一流レストランで、食事をいただきました。
姫が、アレ・・・なので、ドレスコードなんて完全無視!
場違いで怯える、かんなに、後輩ちゃん4人も
VIP専用の個室に通されると落ち着き
皆で高級な星つきの、料理を楽しむのだった!
美味しかったです!
ごちそうさまでした!




