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パジャマパーティー・5話 ベビーモス肉のシャブシャブ

 






 鉄雄は手をぷらぷらと力なく振りながら




「気楽も何も、さっさと手術でもなんでもして


 ガンを取り除けばいいだろ?


 俺はさっさと、取ってきた木を使って色々と遊びたいんだ!


 お前はその子を、チャチャっと治してこいよ


 もどったら、ベビーモスの肉でバーベキューしようぜ!」




 紫音は、リルにヒサノを仕舞うように指示をだし


(スマホ、スマホ・・・)


鉄雄の言葉に反応する




「え?


 ベビーモスに負けたんじゃないのかよ


 もしかして【レベッカ】でも居たのか?」


 (自撮りするには、イマイチ距離が悪いけど・・・)




「レベッカ?それは知らないけど


 【ティアンガ】っておっさんは居たぞ?」




「あぁ、あの泣き虫か


 昔はよくシッポを燃やしてイジメたもんだけど


 ティアンガがベビーモス倒したのか?」


 (よし、この位置なら画面にテツも入るな。)




「いや、結局リルが、秒(一瞬)で倒した。」




「・・・・・・クソだな。」


 (あとは、テレビ電話で・・・。)




「あぁ、クソだ。」




 ほんとに・・・リルの、クソチートが!!


ベビーモスを一瞬だと?


レンに聞いて多少は知ってるが


子供とは言っても神獣ベヒモスの子供だぞ


それに、ビル並のデカさと聞いたし


それを秒だと?


まぁ、リルに神獣とかいっても分からないだろうし


関係ないんだろうけど・・・


(ポチット通話!)




 ピースした手を顎に添え、小顔効果を生み出しながら


「貴方の愛する、紫(ブチ!)音ちゃんで~~~す。」




 うん、全部言い終わる前に、罵倒も無しに切られた


思いのほか機嫌がいいみたいだ。


よし、再チャレンジ!!




「(ブチ!)」




 うん・・・何も言わずに切られた、ここまではネタだし


さすがに3回目は・・・。




「シオンちゃんで~~~す!」




 「要件はなんだ!」




「いや、話すの一週間ぶりなんだから


 少しは相手してくれてもイイと思います!」




 「そうか、それなら、鉄が一瞬見えたな鉄をだせ!」




紫音が振り返った時にはすでに鉄雄の姿はなかった。




「あ、もう逃げた。」




 「映像に映るなんぞ、気が抜けている証拠


  鍛え直さないとダメだな!


  それで用事はなんだ?」




「あ、うん、俺と会話をする気はないのね・・・


 えっと・・・・要訳すると


 脳腫瘍末期を治して。」




 「無理だな。」




「だよね~~~。って


 詳しくは後で話すけど


 くるみ」




 「くるみ?」




 くるみは紫音のスマホに映ると


「蘭さんお願いします。」と頭をさげる




 「わかった!


  それで紫音、勝算はあるのか?」




「うん、まぁ


 そのへんは大丈夫って事で、これから行くよ!」




 そう、紫音は脳に関して蘭以上の存在を知らない


研究の為なら、動物の頭蓋骨を開き端子を突き刺すなど日常茶飯事


その気になれば簡単な手術くらいは出来る蘭である




 また、紫音には治せる勝算があった


紫音1人では無理だったが


紫音の周りには、それを成せる存在がいる


リル1人でも無理、蘭1人りでも無理である


リルに蘭、琥珀に銀がそれえば・・・・。




 今後の事も考えれば、ちょうど良くフォーにも大事な役割がある


そして、間接的に【奴】らの技術や知識も今となれば


この子を助けるために必要な事でもあるのだと・・・


ただ、マリアは使えない・・・


そして、なんでこうも【蓮】は


あの世界に帰るたびに厄介事を持ってくるんだと


元魔王【雷帝・レイ】に呆れるのだった。




 そして、今から行って手術してと


スマホのカメラに、変顔を写し楽しむ紫音の常識ハズレの言葉にも


蘭は躊躇なく頷くのだったが


紫音との電話はさっさと切ったのだった。




「了解を得たし


 俺はちょっくら行って治してくるわ


 蓮、ティアが桜さん見てるんだろ?」




「あぁ、周囲は警戒させている。」




「なら・・・・・」(琥珀の警戒もいらないな・・・)




 紫音は周りを見渡し




「アカネと、アリスは家に戻るだろうし


 そっちのシスターはテツに任せるか・・・


 マリアはメガネを


 リルは、俺とフォーを転移だ


 くるみ、俺達に任せれば、ガンなんざすぐ治るさ


 心配せずに待ってろよ。」




 くるみは、無言で頷く


それは、紫音に寄せる絶対の信頼感でもあった。




 紫音は、そんなくるみの頭に手を乗せ


やさしく撫で回すと




「さっさと終わらせてバーベキューしようぜ


 ベビーモスの肉か!


 初めて食うけど、めちゃくちゃうまいらしいからな!!」






 そして紫音は「いってくるわ!」と言葉を残し


リルも胡桃に「絶対に大丈夫です。」と伝え


紫音・リル・フォーの3人で転移していくのだった。




 また、紫音は念話で琥珀と銀に付いてくるように伝えていた。




 メガネは、紫音の電話中の間に


茜に先ほどの事を秘密にして欲しいと約束を交わし


茜もソレを約束する


その後は、マリアの転移で自室に帰っていくのだった。




 茜とアリスは


5人が居なくなった事で


顔を見合わせて、少し笑うのだった。




 そう、分かってはいたが


常識を越えた異世界という場所から無事帰ってきた事と


そんな世界を、まるで公園に散歩に行くかのように


行き来する、存在を目の当たりにしたことに


していなかったと思っていた緊張も解け


笑いしか出てこないのだった。




「そろそろ、リンの夕飯も出来上がるだろうし


 戻ろうか、アカネ」




「そうでござるな、アリス殿」




 この世界では、たった5分ほどの事ではあったが


異世界で数時間を共に過ごし、同じ体験をしたことで


2人の距離は近くなっていた。




 宮守建設から三千風家までは数分の距離である


その道中アリスは、ある疑問を茜に問いかけた。




「アカネ・・・聞いてもいいか?」




「なんでござる?」




「アカネは、シオン達の事を・・・


 あの世界や、あの(転移)スキルの事を知っていたのか?


 それに、学園でのシオンの姿ではない事に驚いていなかったきもするけど」




「あっち(世界)の事は知らなかったでござるが


 あの姿のシオン殿の事は知っていたでござる


 知っていたと言うよりも・・・」




「? いうよりも?」




「シオン殿が中等部で学園に編入する以前


 小学生の時のシオン殿を拙者は知ってるでござる


 いや・・・あの時も驚いたでござるが


 それは別の意味ででござるよ・・・


 その時一緒してた、リルという存在も良く覚えているでござる


 どちらかと言えば


 学園の中等部クズクラスで雰囲気の違うシオン殿と会った時の方が驚いたでござるな。」




「小学生のシオンか・・・


 今度教えて欲しいな」




「時間があれば教えるでござるよ。」




 共通の人物の話なので、茜もネタに困らず口が回るのだったが


2人の後ろから、声が掛けられた




「そうだな、小学生のシオンの話なら、俺も聞いてみたいぞ」と




アリスと茜が振り向けば、そこには、蓮の姿があった!




「堕魔王先輩・・・なんでコッチに?」




「まぁ・・・


 ベビーモスの肉も手に入ったし


 そっちに桜も居る


 肉を分けるのもやぶさかではない・・・


 鎧女、これを持っていけ。」




 蓮が差し出したのは


丁寧に包まれた、ベビーモスの肉だろう品物だった。






 もし、この2人が、かんな、夏目、優美、ニニスだったなら


何の疑いもなく肉を受け取って戻っていくだろうが・・・




蓮は理解していなかった


目の前の2人が、異常者だと言う事を


そして何かと秘密主義の紫音が


躊躇なく異世界の事を教えるほど気に入った存在と言う事を。




 人前でなら、恐ろしく察しがよく頭の回転が早い


聖騎士を目指す騎士見習い、アリスと




 人間観察において、相手の思考さえ覗き見るほど


人の感情を読むのが得意な人気漫画家、茜である




 それは冷静で在ろうとする蓮の心の動きすら読む。




「持っていけとは


 何を企んでいるでござる・・・?


 あの家に行きたくない事情が?


 誰かを恐れているでござるな


 それでいて、自分の非を認めたくない?


 ネタ(情報)が少ないでござるが・・・」




「あぁ、アカネそれはね


 前回堕魔王先輩は、リンを怒らしてね


 謝りたいけど、プライドが邪魔して出来ないんだ


 その肉で仲直りをしたいけど


 結局恥ずかしいから、私達に肉を持って行けって言ってるのよ」




「プライドがデカすぎるあまり


 人に謝ることを知らない


 典型的なガキ大将でござるな」




「まったく、ういうことよね」




 レンは・・・


それこそ文句を言いたいが、全てを見透かされたように


抱える思いを言葉にして会話する、2人を


言葉にならない怒りの鬼の形相で2人を睨みつけるが


返す言葉かでてこなかった。




「堕魔王先輩


 それは自分で渡して下さいよ


 それ以前に、リンに謝ってください


 これ以上長引かせると、本当に謝れなくなりますよ。」




「アレでござるな


 謝らないなら有る事無い事をアリス殿の口から


 学園に言いふらすでござるよ


 アリス殿は騎士でござる


 その言動には説得力があるでござるし


 そうでござるな・・・


 レン殿が、リン殿にイヤラシイ事を働いたとでも・・・」




「俺がそんな事をするとでも思っているのか!!!」




レンは茜を威圧するが、茜は気にもせず真面目に言うのだ




「イヤなら、リン殿に謝ればいいことでござる


 何があったかは知らぬでござるが


 そもそも、ティオーノ殿に非が有るのでござろう?」




「・・・・・・。」




 蓮は顔を引きつらせながら茜を見下ろすが


後々になって考えてみれば、悪いのは自分だと理解している


そして、鈴が本気で怒っている事も理解していた


そう、あれ以来、鈴の作ったお菓子すら食べていないのだ


桜も、ミーティアも、ミカですら


自分に鈴の手作りの食べ物を渡そうとはしないのだ


そして紫音からも「さっさと謝れば済むのに・・・。」と


目の前で、鈴のお菓子を食べられる始末である。




「それなら、お前等が俺が謝れるよう段取りをしろ!」




「子供か!?」




「ごめん被るでござるよ。」




 呆れる2人だった。






 三千風家の玄関のドアを開け


「ただいま。」とアリス


小声で「戻ったでござる。」と茜


蓮は、どうするか迷い、玄関の前で足を止めた。




 リビングでは、ほぼ食事の用意も終わり


テーブルの上は豪勢な料理がこれでもかと並ぶ


さすがに12人で食べきれないほどの料理なのは確かだった。




 だが、鈴は未だにキッチンで料理を行い


他のみんなは会話を楽しみながら、鈴の料理に目を光らせていた


そんな時、外出していた2人が戻って来る




アリスは、鈴に


「リン、玄関にレン先輩が来てる


 リンに用事があるらしいけど・・・」




 鈴も蓮の存在は感知していたが、桜に用事だと思っていたのだ




「蓮さんが?」と鈴の返事と同時に桜も「おにぃ~ちゃん?」と




 手を洗い玄関に出向く鈴と


兄に会いたい桜、興味本位なアリス達


ニニスはカレラに口を抑えられたまま、隠れて玄関の様子を伺う。




「鈴・・・」




「なんですか・・・。」




「・・・いい肉が手に入ったからな


 おすそわけだ!」と・・・


だが裏では念話で


『この間はすまなかった・・・


 俺もあの時は機嫌が悪くてな


 これは、ベビーモスの肉だ


 あっちの世界では最高級の肉の1つだ


 今回は・・・これで許してくれ!』




 だが、そもそも鈴はベビーモスなど知らない。




 無言で肉を受け取ると包を開けた


そこには綺麗な赤身肉の塊があり


鈴は小指で肉を触り、そのまま口に運ぶ




「美味しい、そして甘い。」




 少し舐めただけで、なめらかで甘く


味の付いた指を口から離したくないほど後を引く美味しさだった


そして小指で触った感覚はとても柔らかい肉


これには鈴も喜ぶ、笑顔で




「蓮さん、ありがとうございます!」と


テンション上がりめでお礼を言うのだった!




そして念話では


『後で、てっちゃん達とバーベキューするなら


 何か差し入れしますね。』と念話で答える鈴


それは、蓮の謝罪を受け入れた返事でもあった。




「あぁ・・・」と素っ気ない返事の蓮は桜に


玄関に置いてあった(母親が用意し、ミカが持ってきていた)


桜の荷物が入った大きめのバックを桜に渡すのだった。




 そして会話もなく「じゃぁな!」と蓮は帰っていくと




アリス「リン・・・レン先輩と仲直りしたの?」




鈴「え・・・うん、元々そんなに怒ってもいないし


  (桜が言うには)蓮さんも自分が悪かったと思ってたみたいだしね。」




 そんな事よりも


この肉で何を作るかの方が鈴にとって大切な事なのだった


蓮は今日まで色々と悩んでいたが


鈴にしてみれば、蓮に会わなけれイイだけの事、そう些細な事だった。




ア「甘いわね・・・どうせならガツンと言ってしまえばいいのに」




鈴「しかたないよ、桜のお兄さんだしね


  みんな揃ったし、ご飯にしよっか!」






 全員が、リビングに揃い


鈴以外が机の周りに集まる


今回はビュッフェスタイル、立食スタイルである


12人も居れば好みは別れる


そして、同じ料理を12人分用意するよりも


好きな料理をとって好きな料理を食べるスタイルを取った


人気の料理があって無くなってしまっても


鈴はすぐ作れるし、要望があれば対応できる


人数が多くなればなるほど、立食スタイルは鈴の料理と相性がよかった。




 そして


「「「「「いただきます!」」」」」と


12人の女子会が始まるのだった。




 ほぼほぼ食事に関して肉食系女子の集まりである


テーブルに並べられた、和洋中とまったく統一感のない料理ではあるが


それぞれが、すでに目をつけいた料理に手を伸ばす


料理の奪い合いは無いものの、ソレを食べた彼女達は


会話もなく、ただただ料理を褒める声だけが飛び交うのだった。




 鈴はキッチンで食材を刻みながら


皆の喜ぶ姿を見てご満悦である。




 ある程度時間が経っても美味しい料理は既にテーブルに並んでいる


そして食事が始まった今、作り立てが美味しい料理に鈴は取り掛かっていた。




 まずは、夏目が持ってきた和牛肉だ


綺麗にさしが入ったお肉


これは鉄板でステーキにしていく


肉のと脂身が鉄板で焼かれ


その匂いだけで唾を飲み込むほどで


皆の視線はキッチンに立つ鈴に向いていく・・・。




 鈴は、ステーキを切り分け、サイコロステーキに仕上げていく


3種類の焼き方と、塩、ソース、ガーリックなど


一口サイズで楽しめる物を作り上げていく。




 育ち盛りで食べ盛りの少女達に人気で


焼いたそばから奪われ


あっという間に肉は無くなった。




 この美味しさには、お肉を持ってきた夏目も驚く


(同じ(最高級の和牛)肉を使っても


 おじぃ様の所の料理人でもこの味は出せないわね


 ホントに鈴は料理の天才よね)と。


 


 その頃出来上がったのは


IH(電子加熱器)で温度を一定にされた、2種類のスープ


そして、薄切りにされた、ベビーモスの肉である


いわゆる【シャブシャブ】である。




 肉を蓮から貰った鈴は


始め、ベビーモスの肉を少しだけ切ると


無造作に生肉を口に含み食べた


鈴にしてみれば、豚肉だろうと生で食べれるほど


鈴の体は魔素によって無駄に丈夫である




 そして、口の中で肉を吟味していく


病気になるような菌などは無い、生肉でも食べれる肉


そして、何よりも甘くて美味しい


ただ火の通りが悪い


【ベビーモス】が何かは知らないけど


異世界の動物?魔物?の肉、炎に対しての耐性が肉にも有る事を理解する


肉厚を厚くすると火の通りが悪い


時間をかけてオーブンなどで火を入れる方法も浮かぶが時間が掛かりそう


なら薄く切って出来る料理


そして、どうせなら肉本来の味が楽しめるとなれば


選択肢は少ない、すき焼きなども頭に浮かんだが


料理自体は、テーブルに山ほど有る


他の具材を使わず、肉だけの料理


そして、すぐに出来て


食べる人が自分で簡単に作って食べれる料理と考えていくと


この場ではシャブシャブが丁度いいと考え


野菜系のだし汁と、豆乳のだし汁を作り上げた


もちろん出汁だけでも楽しめるが


付けダレも、家に作り置きしている


この肉に合うだろう数種を選び用意した。




 そして、鈴は


「とりあえず、初めての肉なんで


 先に味見するね」と・・・


薄く切られた、ベビーモスの肉を箸でつまみ上げると


豆乳の出汁につけ熱を加え、少し肉の色が変わる程度で


取り出しそのまま口に運ぶ


その美味しさ目を丸くして驚くのだった。




 火の通りを良くするために、かなり薄く切ったはずの肉は


柔らかくはあるが、しっかりした噛みごたえもあり


噛み締めるたびにその甘さを爆発させる


さっきの、和牛肉のステーキも美味しかったが


この肉も、赤身ながら和牛肉と同等か


それ以上の肉の旨味だった




 そんな姿の鈴を見れば


全員が興味を示すのは当たり前であり


我先にと肉に箸を伸ばすが


鈴の「順番ね!」と強い言葉に


ニニスから始まり、カレラ、かんな、優美、夏目


そして後輩の4人、アリスと茜は、みんなに先を譲り最後となるが


その美味しさは、全員が認める美味しさであった。




 結局、貰った肉の半分を消費する事となった


全部出しても良かったのだが


テーブルにはまだ料理がたくさん並ぶので


残りは明日の朝食かお昼に、別の料理で出すねと伝えるのだった。




 この時には、一番体の小さく少食の【ニニス】は食べ過ぎでダウン寸前であった。




 夕食が始まって、2時間以上が過ぎ


お腹いっぱいになった餓鬼達は


椅子に座ったり、ソファーでくつろいだりと


鈴の料理の余韻を楽しむ。


 


 その間にも鈴は、鉄板で焼きそばを焼いていく


ひろみは、テーブルに残った料理を


大皿に集めていく


焼きそばが出来上がり、別の大皿に乗せられた頃


家のチャイムが鳴り


鈴とひろみは大皿を持ったまま玄関に足を運ぶと


そこには、鉄雄と、鉄雄の後ろに隠れる胡桃のすがたがあった。




「それじゃぁコレ、みんなで食べてね。」と


鈴は焼きそばを胡桃に渡し


鉄雄は、ひろみから、残り物を集めた大皿をうけとるのだった。




 そこに顔をだしたのは、アリスと茜


アリスは一言


「テツ・・・・あの子は?」と




「あぁ、治ったよ、もう大丈夫だろ。」




鉄雄の何気ない言葉と


胡桃の嬉しそうな笑顔が見れた事に




アリスは


「そうか・・・良かった。」と


茜も小さな声で


「よかったでござる」と


それ以上言葉を交わすことなくリビングに戻っていった。




鉄雄は、話の内容を細かく理解していない鈴に


「まぁ、後で胡桃に聞いてくれ


 それじゃ、これ貰っていくぜ


 やっと晩飯にありつけた。」




「これから、バーベキュー?」




「あぁ、オヤジ達はもう飲んでるけどな!」




「蓮さんに、お肉美味しかったです。って伝えておいて」




「おう!」




返事だけを残し、鉄雄と胡桃は帰っていった。










 鈴と、ひろみもリビングに戻り


片付けを始める、鈴を手伝うのは


ひろみだけである。




 いや、涼子や千秋達も申し出たが


鈴は断った、片付けも料理のうちなんだと


ひろみが手伝っているのは鈴から料理を教えてもらっているからである。




 リビングでは、かんなが


大きなスクリーンを準備していた


そして、準備を終わらすと




「さてと!準備万端!」




「かんな!何するなの!」と


アリスの膝の上でテンション高めのニニス




「どうせ、くだらない事ですよ」と夏目




「まってよ、ちゃんと面白いって!


 実は今日の模擬戦予選の映像を、みんなで見ようと思ってさ


 学園のネットで動画配信されてるから


 涼子ちゃんは、途中から見たけど初めから見てないし


 雫ちゃん達は見てないでしょ


 それに、鈴の双子の兄の紫音君も


 ニニスと同じクラスで模擬戦に出てるから


 一度見といたほうがいいよ


 ・・・


 誰かさんみたいに、怒って恥ずかしい真似しないためにも!」




「か・・・かんな・・・それは・・・。」


 優美は初めて紫音と会った時の事を思い出し


顔を真っ赤にするのだった。




「そう、優美ちゃんが顔を真っ赤にするほど


 恥ずかしい事があったけど・・・ソレを言うと


 また私は正座させられて、ナツに怒られるから


 今の話は忘れてね!」




そう言って、かんなは後輩にウィンクをするのだった。




かんなは、手持ちのデバイスの画面を操作して


「じゃぁ、学園ネットの


 2年のJクラスの模擬戦予選を再生するよ~~」




ニニスも喜ぶ中、涼子は、アレをまた見るのか・・・と


それぞれの思いが交差していく。




 そして、かんなはデバイスの画面で、動画再生をしようと・・・


指を走らせるが




「あれ?・・・


 なに、この動画再生数?


 まぁいいか。」




 そんな疑問と共に再生ボタンを押すのだった。






 

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