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異世界・7話 末期のガンを治せって? 無理だろ!!

 






 リル達は現代世界に戻って来る




戻ってきた瞬間、リルは空間で入れて運んできた9人




鉄雄・胡桃・茜・アリス・蓮・ミカ・フォー・サラ・メガネを


この場所、宮守建設の土地であう広場に出現させた。




 そこで、リル達が見たものはと言えば・・・・


転がりながら、マリアの左の胸を揉む紫音の姿




それも・・・恥じる事もなく


右のおっぱいが寂しそうなので、お前も揉んでやろうと!


右のおっぱいを揉み出すしまつ。




 なにを思ったか、いや、理由は明確だが


リルもそれに参加し


フォーも久々に会えた紫音に感動を抑えれず


その下半身に自分の下半身を下ろす始末




 サラは・・・感情の起伏が抑えれず


紫音達の姿を見て・・・沸騰しその場で倒れた。






 そんな中、胡桃だけはその顔を曇らせて紫音をみた。




視線を合わせた紫音は、3人を振りほどす様に起き上がり


胡桃に駆け寄り姿勢を落とし


胡桃の肩を優しく引き寄せ




「くるみ?何があった?」




「しーくん・・・助けて・・・


 あの子を、助けてあげて。」




胡桃は、泣きそうな顔で紫音に助けをもとめるのだったが・・・。






 くそう!!


どこのどいつだ!!


くるみを泣かせた奴は!!




あっちの世界には【ティート】や【レベッカ】達がいるんだぞ


何をやっていたんだ、あのアホ共は


それに【リル】に【蓮】もいて、この状況はなんなんだ!!!




くそう・・・そうなると


胡桃を泣かせたのは他の【魔王】か【魔王】【準魔王】級の相手か!




それこそ【妖精女王】とかなら


俺やリルでも、太刀打ち出来ないだろうけど・・・。




「リル!」




「はい!」




「デバイス500番台を3個、ノート(PC)の白、準備しろ!」




リルは空間から、PCと、丸いデバイスを3個取り出す


紫音はそれを手に取ると




 いや・・いっぺん渡されても・・・




「リル椅子と机」




 リルが出したのは、鉄雄がドンガから買った机と椅子だったが




「椅子っすか!


 ならどうぞっす!」と


マリアが四つん這いになり椅子になる。




「アホかお前は!」と


紫音は、頭のおかしいマリアの背中に、当たり前のように座る!




「その手がありましたか!!」と


悔しそうなリル。




「うらやましい・・・」と


眉間に皺を寄せるフォー。




 四つん這いになりながら


首だけを2人に向けて、ドヤ顔で「フフン!」と自慢するマリアだった。






 それは、まるで、使い古されたコントように行われたのだった・・・。






 紫音は気にもせず、マリアに座ったまま


ノートを膝に乗せ開くと


「どこのどいつか知らんけど


 くるみを泣かした報いを受けてもらうぞ!!」




 ノートに向かってキーボードを叩く紫音


その紫音の背後に回って、ノートの画面を・・・興味本位で覗くのは茜だったが


その顔は驚き・・・メガネの奥で目を見開いた!!




「し・・・シオン殿・・・


 その化学式・・・いや、魔法式・・・何に使うつもり・・・」




「ん?


 きまってんだろ 


 【コレ】をぶっぱなしてやる!」




「頭が・・・おかしいのでござるか・・・


 それは・・・核にたいする融合の化学式でござるよ


 デバイス魔法で・・・核を作り上げたでござるか?


 さすがとしか言いようがないでござるが・・・


 その前に、ソレ、本気使う気?」




「あぁ、この500番台の球体型デバイス


 別名【小型核融合反応加速器】すでにウランは実装ずみだ!(ドヤ!)


 あとは威力調整した魔法式の組み込みと安全装置の解除だけだけど


 【核】でも【妖精女王】には傷1つ付くかどうか・・・


 まぁ、核ごときでアノ(魔王)レベルの相手がどうにかなるとは思わないけど


 毎日の用に奴の支配領域で核をぶっぱなせば


 多少は嫌がらせにもなるだろうしな!」




「バ・・・バカでござるか・・・」




「そんなにほめられても~~~ッス!!」




「ってなんで、マリアが答えんだよ!」




「ふふん!なんて言ったって、今はシオンさんの椅子っすからね!」




なんで俺より、椅子のマリアが偉そうなんだ?


まぁ、それは何時もの事でもあるけど




「まぁいいけどね


 アカネがこの魔法式が理解出来た事に


 ちょこっと驚いたけど


 だけどさ、アカネ


 誰かしらんけど、くるみを泣かせたんだ


 それ相応の報いは受けてもらう!!」




「まってほしいシオン殿


 胡桃殿が言っているのは・・」




「解ってるって


 アカネも腹が立ったって言いたいんだろ!?


 まぁ誰は知らんが、間接的に俺に喧嘩を売ったんだ


 とことん後悔させてやるさ!」




 俺に相手にしたことを後悔しろ!


あの世界で核の威力、放射能の効果・・・


どれだけ【妖精女王】に効くか


いや、その被害を【妖精女王】どれだけ早く【回復】させるかか・・・


まぁ、初めから核攻撃や放射能で


魔王クラスが倒せるとは思わないけど


実験の1つとしては、面白そうだよな。




 紫音は口角をあげて楽しそうに笑う。




 そう、紫音はある事情で、好き勝手に異世界に行けない為


異世界での実験は出来なかったが


この機会に核実験でも行おうかと


すでに胡桃の復讐ではなく


目的が、いやがらせと、実験となっていくのだった。




 茜は紫音の悪巧みをする顔をみて


背筋に寒いものを感じ




シオン殿は本気で考えている?


いやいやシオン殿にかぎって・・・そんなバカなことを?




 だが茜は、シオンなら・・・やりかねないと・・・


そして自分では紫音を止めることは出来ないと


笑いながら見物していた、鉄雄に助けを求めるのだった




「鉄雄殿・・・この変態殿をどうにかして欲しいでござる。」




「え?


 もうタネ明かしか?まぁいいか


 紫音、胡桃は誰かにイジメられた訳じゃねえぞ。」




「・・・・え?」




 驚く紫音と・・・一言で紫音を止めた鉄雄に驚く茜だった。






 そういえばそうだ


あっちの世界に行ったのは、バカばっかりじゃない


鉄雄、胡桃、メガネ、それに茜だって、バカじゃないはず・・・。




戻ってきた、10人を見渡すも




うん、あとはバカばっかりだな(マリアも入れて)




「えっと・・・どゆこと?」




「あぁ全部、ティオーノ先輩が悪い!」




「おい!」




「まったく冗談もつうじねぇって・・・


 さっき胡桃が言っただろ


 「あの子を助けて欲しい」って


 その【あの子】って言うのが


 ティオーノ先輩の・・・隠し子で」




「潰すぞ、宮守!!」




 蓮の怒りを買い


その押しつぶすような威圧で


蓮の周りで、バチっと電気が弾けた!




 異世界から帰ったばかりで


力配分が曖昧なため起こった現象でもあったが


その迫力は、アリスを震え上がらせる・・・


いや、アリスしか怖がらせなかった。




 鉄雄は、そんな蓮を笑うかのように




「ちがった?


 同じようなもんだろ?


 そうだ紫音、ティオーノ先輩


 【ベビーモス】に負けたらしいぞ。」




「・・・・・・・・・・。」




 蓮は、歯を噛み締めたまま、鉄雄を睨みつけるのだが


そんな蓮の姿に紫音は「ハッハッハッハ」と笑い




「まぁ、勝てると思ってなかったけどな


 テツだって勝てないだろ【アレ】には」




「いや、俺は木こりにいってて見てないけど


 聞けば数千トンの魔物だって?


 勝てる以前に、そんな怪獣と戦おうとも思わないけどな。」




「チッ・・・戦わなかったのよ!


 で、レンの隠し子がどうしたって?」




 そしてメガネも動く




「私もその場に居なかったんで


 詳しい話を聞きたいですね


 出来れば、アリスさんに説明をお願いできますか?」




「私?」




「えぇ、たぶん、アリスさん以外


 真面目に会話できる存在がいませんので


 あ、【胡桃】さんは別ですよ。」




 アリスも周りの人間を見渡して納得するだ


人前で口を開かない胡桃は説明に向かないと


そしてこの場に居る胡桃と自分以外が


性格がひねくれているか、人間として破綻している存在だと。




 アリスは、ため息を吐くと


あの国で有った事を簡単に説明するのだった。










・・・・・・・・・。






「ハズ!」






 説明を聞き、紫音の口から出た言葉がコレだった




正確に言うと「恥ずかしい!!」だ




くるみの事で頭にきていたといって


核爆弾まで用意した、自分が恥ずかしくなる紫音である。




それでも、くるみの願いとならば


どうにかしない訳にはいかないのである。




「貴族病の末期って・・・


 リル、その子を」




 リルは、布団に包まれた少女を空間に浮かせたまま出現させた


だが、少女は時の止まった空間から出されても


その苦しみは消えることはなく


苦しみの声をあげ、生きるためにもがくのだった。




 紫音はマリアの背中から腰をあげ立ち上がると


苦しむ少女に近づいていき


その顔を覗き込む




 幼い顔、たぶん胡桃より少し若い


どちらかと言えば、見た目は【ニニス】と同じくらいか・・・


それに【貴族病】・・・あの世界なら発症すれば、ほぼ死ぬと言われた不治の病


この世界に来て分かったが


この世界で普通に治る病気ですら


あの世界では死に直結する病となる


それならば、この世界なら貴族病は不治の病ではないはず 


だが、末期・・・それも頭・・・脳・・・最悪だ。




 茜は難しい顔の紫音に近づくと


申し訳なさそうに、小さな声で紫音に告げた




「紫音殿、拙者が思うに


 脳腫瘍・・・末期のガンではないかと


 胡桃殿には伝えにくいのでござるが


 あとは、薬で痛みを抑えて延命する程度しかないと・・・」




「まぁ、ガン・・・・だろうな・・・」


 (どうやって・・・治せって言うんだよ・・・)




 さすがの紫音でも、病気・病に関しては、それなりの知識はある


いや、シオンではなく、シオンとなる前の紫音がもさぼった記憶と知識であるが


紫音自体は医師でもなければ医者でもない。




 だが、胡桃は、悲痛に暮れる紫音を追い込んでいくのだ


「しーくん・・・ヒサノちゃんを助けてあげて」と




 蓮は腕を組み紫音に


「おいシオン! 治るのか?」




 それに答えるのはリル


「あたりまえです、シオン様に任せれば大丈夫です!」




 それを聞いて、何度も頷くフォー


「さすが我が主シオン!貴族病すら治せるとは


 我が身を捧げるに相応しい人物でありんす」




 だが、状況を理解している茜は


「シオン殿・・・大丈夫でござるか?


 治せないなら早めに言ったほうが、いいと思うのでござるが・・・。」




 まったくだ・・・


話を聞けば、リルが自慢げに俺なら治せるとか言ったらしい


今度お仕置きせねば・・・


だいたい、回復魔法で直せるなら、リルでも鈴でも直せるだろうし


リルの肉体の復元召喚だって、制約が有る為


今回は使えない、いや、使っても意味がない


それなのに、俺なら治せる?


バカを言うにも限度があるだろう。




 俺が治せるというより


末期ガンを治す方法なんて有る訳が無いだろ!


これが初期の腫瘍だったり


もう少し時間的猶予があれば


打て手は・・・いや、リルの時間停止空間があれば無いことも無いか?


奴らの力をかりて、それはそれで手回しに時間がかかるか


まてよ、蘭さんや、フォーなら奴らの研究を理解出来るか?


いや、この子が、あの世界の住人ならフォーに頼んで


あの世界で作らないと意味がないかもしれないのか?


どれを選択するにしろ、この子の元気な姿をくるみに見せるのが何時になるか


それまで、くるみを心配させるのは酷だけど


死ぬよりはましか


まぁ、最悪・・・数年、時間停止空間に居てもらう事になるが・・・




クソ!




いい方法はないのかよ!!




だいたいテツも、理解してんだろ


俺が治せない事なんて


なんでその時言わなかったんだよ!!




 知らず知らず視線が、鉄雄に向く・・・・


そこには、リルが出した椅子に座り


ミカと一緒に、ジュースを片手に


俺が悩む姿をみて、にやける鉄雄の姿があった




そして理解した、俺ではなく、鉄雄がこの子を助ける方法を知っているのだと


だからこそ、くるみとリルに何も言わなかったんだ




「テツ、おまえはお気楽なもんだな!」




そして・・・・右手で、自然な流れで、テツにハンドサインを送る


これは、テツと、くるみと、鈴、そして俺しか理解出来ないサインである


伝えた内容は・・・。


(助ける方法あるなら教えろよ!)




 何故?今更?念話が使えるのにハンドサイン?




これは・・・・紫音のみみっちぃプライドだった。




くるみの手前「助ける事ができない。」など言えるわけがない




それに


「今すぐにはムリだ


 とりあえずリルの空間に入れたまま準備をする(数日~~数ヶ月)」


とか、まるで助けれないと言っているようなものだ。




 おちゃらけて、ウヤムヤにしてもいいが


この子が、蓮の関係者となると


冗談の通じない、元魔王様が怒り狂いそうだし・・・。




そして、ここで、この子を助ける方法を、テツに聞くのは・・・


まるで俺様の無能を、ここにいる全員に暴露している様なものだ!




まぁ、ぶっちゃけ、無能なんだし


それを暴露されてもかまわないっちゃぁ・・・かまわないんだけど




【くるみ】が人前で、俺なら助けれると啖呵をきったんだ


なら、それに応えるのが俺様である!


だけど、その方法を、テツに聞けば、くるみが嘘をついた事になる


そして念話で、テツに聞いて方法が分かってソレを口にしても


この至近距離でのテツの念話は、蓮に感知される・・・


その念話の内容は分からなくとも


俺がテツに聞いたと疑念が生まれる・・・・。




 だからこそ、時代錯誤とも言えるハンドサインを使ったのだ!




そして、紫音を笑う鉄雄は、紫音の考えなど全て理解していた




だからこそ、鉄雄はドンガの椅子に座ったまま


右手をふらふらと揺らしながら


「気楽も何も、さっさと手術でもなんでもして


 ガンを取り除けばいいだろ?


 俺はさっさと、取ってきた木を・・・」




そう・・・それが出来たらどれだけ楽か言う話で。




いや・・・ふらふらと揺らされた右手は


2人の人物を示すハンドサインだった。








 俺は忘れていた






 テツ、くるみ、鈴、俺達のよく知っている人物の事を


そう、あの【マッドサイエンシスト】


【脳】に関して、あれほど理解している存在を俺は知らない。






 そして、もう1人・・・




俺にとって一番近し存在の事を・・・


あぁ、テツの想像どうり


奴なら俺に出来ない事を出来る


俺より、この世界を理解している奴なら。






 

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