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異世界・3話 シスター、再び!

 






 約1月ほどまえ、この屋敷に連れてこられた


ダークエルフの女性がいた。




 初日から【モブ子】と呼ばれ


子供達の世話をする、年長者の女の子達にも


使えないと、バカにされていた女性だが


たった、3日で・・・・その立場が逆転した


そう、使えないバカは


使えないバカのまま、年長者の女の子達を掌握し


徐々に屋敷の実権を牛耳る【ちんちくりん】に対抗する勢力を作り上げていくのだった。




 




 この【モブ子】生まれてこの方、人を使っても、使われて事がない


そして魔法に関する知識だけなら


この街でも5本の指に入り


得意である闇魔法だけなら、この世界でも5本の指に入ると自負する。




 そう、この世界の最上級種族


純血種のダークエルフ


その中でも歴代最高の天才と謳われた自分が


下等生物(人間・亜人・獣人)に使われるなど有っては成らぬ!と




 魔王によって、へし折られたプライドも


200年以上もの間、天才と褒めたたら得てきた態度のデカさも


取り戻していく。




 そうなれば早い




 モブ子は、連れて来られたその日から


子供達に魔法を教える事となった


その授業中で何度も繰り返した言葉があった!




 それは、モブ子が元々持ち合わせた性格、いや考え方に近い


そう「知識、魔力、魔法とは力である」と!


「剣や拳で殴り戦う存在は知識無き脳筋は下等生物だ」と!!


それは、屋敷内で少数派である(ほぼ女の)魔術師の素質のある知的な人物達の心を掴む。




そう、多数派の(ほぼ男の)脳筋に・・・・・




TVゲームや携帯ゲーム(格闘ゲームや、RPGする為)を占領され


知的ゲームや・・・・オトメゲーム(BL)が出来ない


少数派の力無き(腐れた)知恵者を味方に付ける為。




 自身の持つ力を見せつけ、その実力を知らしめ


脳筋の男共を吊るし上げた


そして、その・・・・


TVや携帯ゲームの使用権をもぎ取ったのだ!!




 そう、このモブ子、子供の喧嘩にしゃしゃり出て


拗らすだけ拗らせて、力でねじ伏せたのだった


その事で・・・


モブ子は、ちんちくりんに吊るし上げられ・・・・・・ない!




 天才と呼ばれた、モブ子


すでに、ちんちくりんに対抗できる方法を理解していた・・・。




 そう【ちんちくりん】に対抗できる【モブ子】


その事で、屋敷で暮らす子供達(脳筋)からも


一目置かれる存在となり(逆らうな、アレは話の通じない危険なババア)


魔術師の素質のある人物達(腐女子)からは


尊敬さえされる人物となった(持ち上げて機嫌さえ取っておけば、いいように動かせれる若作りのババァ)






 そう、フォー・フレイヤは、この屋敷に来て、たった3日で


特殊思想を持つ女の子達を掌握したのだった!!






 そして今、屋敷では


武力派(脳筋)を率いる、アロンテックと


魔法派(腐女子)を率いる、モブ子


2大派閥となり


とても・・・とても・・・・微妙な勢力争いが勃発しようとしていた。




 ちなみに最大派閥は【プランタ】の


年長者だったり、まだ幼い小さな子供達の中立派であるが


基本、武力派も魔法派も、プランタには逆らわない。






 それでも、モブ子は屋敷での地位を徐々にではあるが確立させていくのだった。






 また、モブ子は、日本語を覚えるため


ちんちくりんが持ってきたBD (ブルーレイディスク)を見るのだが


そこ映し出された、着物と言う服に心を奪われた


それを着てみたいと願い


街の服屋に映像を見せ作らせるのだった・・・。




 だが、モブ子、お金は無い!・・・が、支払う気など毛頭なく


支払いは屋敷に任せる暴挙にでていた。




 何度か仕立て直しをし


ようやく仕上がった(なんちゃって)着物を来て街にでると


物珍しさか、その出来上がりの美しさと、色鮮やかな和服は


街の女子達(年齢は置いといて)の心を奪った


その後、この(なんちゃって)着物を作った服屋は大繁盛になる


また、これらの1件で【モブ子】は街でも有名な1人となっていく




 そして、今日も服屋に新しい発想を求められ


朝一から服屋に出かけていた、モブ子だったが


屋敷に戻りある事を聞き、膝から崩れ落ちた




 子供達に聞いたからだ


そう、ちんちくりんが、メガネと同じ日本と言う国から


人間の男を連れてきたと・・・。




 そう、最愛なる主が自分を迎えに来たと歓喜するも


その場に居合わせなかった自分の愚かさに崩れ去ったのだった。




 後で戻ってくると聞き


モブ子は、屋敷の入口に立ち、主の帰還を待つ。




 しばし待つと、街道を歩き屋敷に戻るリルを見つけるも


そこに、主の存在は確認できず


それでも、はやる心を抑える


ちんちくりんは、この場所に向かってきている


主の姿が見えない今


駆け寄るのはプライドが許さないと・・・。








 そう、屋敷に戻ってきた、リル達を待ち受けていたのは【モブ子】


 


豪華な服とも言える、黒を基調とした着物を来たダークエルフであった。




 その場を動くことなく、リル達が近づいてくるのを待ち


そして、その一声が




「ちんちくりん


 我が主は何処に居られるので?


 隠しだてせず白状しなんし!」




「これだから、モブに知られたく無かったのですが・・・。」




リルは、そう口にすると、鉄雄に向き直り




「あの【モブ子】が鉄雄さんが、お探しでした


 闇魔術やそれに関した、呪いにに詳しい人物です。


 その知識だけなら、この街で一番でしょう。」




「へぇ~~~・・・


 (知識だけって事は、性格が問題と言う事か・・・?)


 それで、あのコスプレ姫の主って、もしかして変態 (アレ)か。」




「はい、想像道り、あの御方です。」




「何か・・・めんどくさそうな、コスプレ姫だな。」




「まったくもって日に日に態度がデカくなってきてます。」




「まぁ、変態 (アレ)を主と仰 (あお)ぐんだ、頭がおかしいんだろうな。」




「はい、おっしゃる通り頭の中がお花畑・・・・」




 言葉を止めたリル


一瞬考え込むと鉄雄に向き直り




「鉄雄さん、それは、先ほどの仕返しですか?」




「気のせいだろ?」




「・・・・・・。」




無表情と無言で返すリルに


鉄雄は、ニヤリと笑うのだった。






「ちんちくりんも、そこの童子 (わらし)も


 我を知らぬ顔するとは、良い度胸でありんすね!」




 めんどくさそうだが、目の前のコスプレ姫に用事が有るのは


自分だからな・・・と、鉄雄は進みでる。




「やぁ、ねぇさん


 残念だろうが、あの変態は来てないぜ。」




「なん・・・で


 我が主は、我に会いに来てくりんせん。


 憎い・・・憎たらしい・・・・


 我をあの世界に連れて行かない


 ちんちくりんが・・・・


 憎たらしい・・・。」




「なぁ、ねぇさん、少し聞きたいことが有るんだが。」




「なんでありんしょう?


 我が主の事でありんすか?」




「いいや、呪いに近い魔法の事なんだけど」




「知らぬでありんす


 我には関係ない事


 さらばでありんす。」




 興味を失くしたのか


着物を翻すと、屋敷に向けて歩き出そうとする、モブ子だった。




 鉄雄は目の前の存在のチグハグ感に笑いを堪えていた。




 美人であるその顔は小説やアニメに出てくる、エルフ


肌が黒い事から、ダークエルフだと理解するも


着ている服は、和服・着物である


先入観さえなければ似合ってはいるのだが


異世界で胸が大きくスタイルの良い美人のダークエルフが着物?


その違和感は、さすがの鉄雄の度肝を抜く衝撃だった




だが、口を開けば時代劇とかで聞いたことのある【花魁言葉】


そして、その言葉が似合わないまでの、態度のデカさ




全てがミスマッチと、大声で笑いたい鉄雄だったが


その表情には一切感情を出さない。




 そう、これこそが


【無表情で紫音を念話で笑う】と言う、鉄雄の特技でもある。




またモブ子の態度や口調から、ある程度の事を理解する


笑うのは帰ってから紫音と一緒に爆笑する事にして


紫音をネタに交渉をすすめようと




「いいのか?


 協力してくれたら俺の権限で、あっちの世界に連れて行ってもいいぜ。」




それには、モブ子も驚くが、リルも驚いた




「待ってください鉄雄さん


 私はそんな話、許可できません!」




「童子よ、その話本当かへ?」




「あぁ、ここには、リルが絶対逆らえない人物が居るからな


 それに頼めば、ねぇさんも、あの変態に会いに行けるぜ!」




「よかろう、だが先に言っておくが


 我の名前は【フォー・フレイヤ】


 偉大なる我が主から頂いた、尊き名前が有るでありんすよ。」




「フレイヤねぇさんね、俺は鉄雄、こっちが妹の胡桃


 さっき言った、リルが逆らえないってのが胡桃の事だ


 だから、胡桃の機嫌を損なうなよ


 損なったら、あっちの世界に帰れないぞ。」




 フォーは、頷き鉄雄も返事をした後で


胡桃に近づくと腰を落とし


リルが逆らえない存在、それを手懐けば妾の天下!と


胡桃と視線を合わせ両手差し出し




「クルミ殿、妾の事は、フォーと呼んでくんなまし


 今後共仲良くしてくんなまし。」




だが、胡桃は鉄雄の後ろに隠れる。




「まぁ、胡桃は人見知りだから気にすんな。」




「・・・・そうでありんすか・・・。


 それで、テツオは我に何を聞きたいのでありんす?」




 鉄雄は軽く説明する




脳裏に刻まれた、呪いに近い魔法


推定10年以上に渡って発動している魔法


属性的に闇魔法ではないか?と言う事




だが、フォーも実際見てみないと分からないと




そこで、実際本人を見たほうが早いだろと言う事で


リルが、シスターを虚数空間から連れ出した。




この時シスターの記憶では


造船所の戦いが終わり


何故か敵であった存在の家で


ステーキを食べて・・・




(ステーキが美味しすぎて


 その後の事は・・・・・うろ覚え・・・であった。)




そこで終わっていた。




 そして今、シスター目の前に広がった世界だったが


その見慣れない町並みは、シスターの目には映らず




目の前にいるのは


リーゼントを揺らす【テツオ】


その妹【クルミ】


メイド服の【リル】


たぶん・・・鎧女【アリス】


知らない丸眼鏡の女


そして・・淫らな服装の黒い美人・・・。




それだけが、シスターの視界にいた


それは彼女の持つ、気体を色として識別して見ることのできるスキル


それが有る為に、初めて見る気体に視界を奪われ


視界を遮られ数メートル先は完全にボヤけていた。




「ナニガ・・・オコッタ?」




「よう、サラさん、俺の事覚えているか?」




「テ・・・テツオ・・・。」




「うん、で、サラさんの本当の名前は?」




「サ・・・・・・・・・・・ラ?」




半分自分の置かれた状況が理解できないまま


半分放心状態のシスターを放置し


鉄雄はフォーに向き直ると




「こんな感じで、記憶を操作されているか


 情報を隠す呪いか何かされてるみたいなんだ


 10年に渡って、教会みたいな所で洗脳されたみたいなんだけど


 わかるか?」




 その詳細の欠片でも手に入れば良いと考えていた鉄雄だったが


帰って来た言葉は




「わかる何も、コレはエルフ族でよく使われる術でありんすよ。」




すぐさま帰って来た返事に鉄雄は驚く




「あ?」






フォーの説明はこうであった






 純血種のエルフや、純血種のダークエルフと言った種族は


千年を超えて生きると言われ、世界との関わりを極力抑え


隠里に住む者が多いい




人の世界で暮らす、エルフなども居るが


隠里出身者は、その里の事を口外しないため


里から出るとき、里の長など実力者から


里に関する記憶を外部に漏らさないように魂に契約する


また、隠里にくる行商人や、迷い人も


里から出る時は、この魂の契約をさせられるのだった。




 情報の公開が出来ないだけで


里に関する事は記憶にあり


再び戻ってくる事は可能である


この術は術者特有の特殊術式みたいな物があり


術者しか解けないと言われている。




 またこれは、魂の形すらその目に映す


エルフ族の実力者だけの術である。




 だからこそ、魂が見えるフォーは


魂に刻みつけたその術を見ることができ


術の詳細を見ただけで理解する。




 そして、この術は魂に関する契約であるが為


その全容が見えない、リルや、ギンでは解除は不可能でもあった。








 フォーは話を続ける。








このシスターと言う女性の魂に刻まれた契約




 それは、自分の里だと認識する


自身が所属する組織の情報や


自身の情報を、口外できない様に施してあるのだと


無理に口外しようとしない限り無害である


また契約は長くても千年か(純血種のエルフの寿命に合わせて)


死んで魂が肉体と離れ、肉体が消滅することで解かれる。




 なので、この契約を解除しても


記憶や脳に対する障害は無いとの事だが


基本解除は、その術をかけた術者だけであり


それが見えると言って、普通のエルフが


無理やり術を解こうとすれば


魂が傷つき魂の転生、再生が出来なくなり


魂の消滅となる。








 そして、フォーは少し考え、言葉を続けた。








 このエルフ族しか使えない魂の契約


それが、あの世界の人間に有ると言うことは


純血種のエルフ族(ダークエルフ族)の長に近い実力者が


あの世界に存在する事を意味するのだと。




 そう、この女性の居る組織に


純血種の (ダーク)エルフが居る、そしてその実力は


里の長と同等の力を持つ事を口にしたのだった。






 その事に一番驚いたのは、アリスだった


聖騎士とは教会が認めた存在に与えられる称号でもある


騎士を目指す、アリスだからこそ


教会との繋がりは大きい


元々、このシスターが教会の暗部と聞き


アリスはアリスなりに、教会の事を調べるが


その根源たる真実を掴めないでいた


そして、そこに、エルフと言う異世界の種族が居るなど


解るはずも、信じられるはずもなかった。






 鉄雄も、ここまでの話を聞き、その顔をしかめる


別にこのまま放置しても、支障はない事は理解するも


誰かの契約魔法によって


自身の事を口にできない事を制限される事は


苦痛でもあるだろうと考える・・・。




「なら、この契約を解除するには


 その術者に合わないとダメという訳だな?」




「そうとは、言ってないでありんすよ。」




「どういうことだ?」




「普通のエルフにはムリといっただけでありんす。」




「なら、術者より実力の有るエルフなら解けると言う事か?」




「そのとおりでありんす


 そして、我こそ純血種のダークエルフ族


 その中でも歴代最強と謳われた、その人でありんすよ。


 これくらいの術なら簡単に解けるでありんす。」




「まじか?


 なら解いてくれ。」




「条件がありやんす」




 フォーが条件を言うよりも早く鉄雄は笑うように


フォーが望む事を口にする。




「いいぜ!あの変態に会わせてやる!」




 俄然やる気の出る、フォーであった


そして、一瞬である、一瞬にして、シスターに掛けられた契約が解かれたのだった。






 フォーはこの地に来て、その実力を伸ばしていた


隠里に居た頃は、自分こそ天才で最強であった


だからこそ、そこに小さな世界に胡座 (あぐら)をかいていたのだったが




魔王との出会いや、ここに来て、自分を越える、バケモノ達


それは、フォーの弱さをさらけ出すことなった。




 純血種ダークエルフ族の中でも


最強の闇魔法使いと謳われた、漆黒のフレイヤ族


その中でも、歴代最高の天才と呼ばれた、フォー・フレイヤ


彼女は、この孤児院で、邪魔で使えないお手伝いまで、その地位を落とした・・・。




 ただ、フォーは惚れた存在がいた




 その人生を、心を、体を、全て捧げた存在




 異世界で孤独と蔑視を受け、死ぬ事すら覚悟した世界で




 一つだけの光、全てを救ってくれた、研ぎ澄まされた光り輝く魂




 その魂、その存在に捧げた【我が魂】【我が身】だけが




 今のフォーの誇りであり支えであった




 だからこそ、その存在に見合う存在になるため頑張った




 後ろを付いて歩くのではない




 彼の前に出て、彼に降りかかる火の粉を振り落とす




 もう2度と、彼に・・




 あの感情を消し去ってまで行った同族殺しを




 そんな悲しい行為をさせない為




 そんな大罪を、これ以上背負わせない為に・・・。






(純血種の(ダーク)エルフは、千年を生きる種族である


 長寿である彼等にとって同族殺しとは禁忌であり大罪である。)






 それは、フォーが紫音と共に戦いに趣 (おもむ)いた記憶・・。


感情もなく同族を殺していく紫音の姿に


怯え・・・恐怖した・・・・


そして、彼と、彼の後を追う私との距離が開くように


フォーの心の距離が開いていった・・・。




 だが、フォーは悟ったのだ


あれは、優しい・・・いや、優しすぎる我が主が


同族殺しと言う大罪を行い、その罪悪感で心を壊さないために


心を閉ざした姿だと・・・。




 そう、我が主は


世界を救う為なら


同族すらその手に掛け


すべての罪を進んで背負う


そんな心優しい存在なのだと・・・。






そう、ここにも




何かしら無駄に勘違いし




信じる事すら無駄な紫音を




あまりにも無駄に過大評価する




まったく無駄とも言える




無駄なまでな存在がいた・・・。






 そして、フォーは


ちんちくりんを倒し、言う事を聞かせれば、主に会える・・・と


あの、魔王【雷帝・レン】にも勝てる力を手に入れれば、主に認められる・・・と


それは、フォーを生まれて本気で突き動かした。




 そして、天才と呼ばれた、ダークエルフは


圧倒的な存在を超える為、その得意分野である、魔法に関する全てを強化していく


その魂と精神を鍛えに鍛えまくるのだった。


そして、魔王には届かないまでも


準魔王級の【魔力】を手に入れていたのだった。










***********








 シスターと呼ばれた女性


その視界は徐々にクリアになっていく


初めて見る、赤と黒が混ざり合う気体


それが何なのかは分からないが、脳が認識出来れば


それを視界から取り除くことは出来る


ただ、あまりにも存在を主張したソレに


手間取い時間が掛かっていた事は確かでもある。




 そして、自身に起きていた


不思議な出来事の理由を知った・・・。




 そう、教会の暗部として仕事を始めてから


自身の事を口に出すことが出来なくなった・・・。




 敵に捕まり捉えられたとき情報を洩らさない為や


暗部の仲間にも情報を洩らさない為に教会が行った


記憶操作の1つだと聞かされていたが・・・。




 記憶を操作されてはいた


それでも記憶自体は、頭の中に存在した


ただ、それを口にだしたり表現が出来なかった


その不思議な感覚が彼女には不思議でならなかった


だからこそ、自分に掛かる魔法を解除しようと


調べたが、その魔法に近い魔の存在さえ分からなかった・・・。




 それを、自分を無視して、話を進める


テツオと言う・・・なぜか興味を引かれる男と


まるで、御伽話に出てくる森の精霊と思わせる・・・なぜか着物姿の女




 そして、それは、いきなり起こった・・・。


全身を触られる身の毛も弥立つ感覚


そして、全身が何かから解放される・・・。






 幾つかの感覚、いや、心に沸き起こる感覚が肥大していく・・・。






 それは、フォーが、シスターの契約を解除した証でもあった


ただ、フォーは幾つかの事を、口にしていなかった。




 シスターに掛けられた契約


その1つに感情の操作に似た物があった


これは契約を打ち破る1つの方法を抑止していた物であった。




 エルフ族の【魂の契約】


そして【ギン】が得意とする【記憶操作】など


これを掛けられた本人が打ち破る方法がある


それが感情による方法である。




 そう【愛】と【憎悪】と言う


人間が持つ最大の感情だけが


魂を揺さぶり、心を開放させる。




 だからこそ、シスターに掛けられた契約の中に


【愛】とは、育ての親である男性に向けらる様に仕組まれた


【憎悪】とは、教会に仇名す存在に向けらる様に仕組まれた


これは、フォー達、エルフ族の契約でも用いられる事でもあった。




 そうして、契約を打破する事が出来なくさせていた


だが、シスターは暗部の廃棄処分(死)から救ってくれた


リーゼントの男に心惹かれた


教会が崇拝する【イエス・キリスト】


その【神の御技】に近い肉体再生の奇跡を行ったからだ


そう、シスターの崇拝と愛が


一時的ではあるが、リーゼントの男に向けられた


だからこそ契約の楔が緩み


シスターはその本名である【サ】と【ラ】の文字を口にできたのだ


緩んだ事によって、フォーが契約を簡単に解除できたとも言っても良かった。








 契約から開放された事により


シスターの感情の起伏は大きくなる


そして、シスターは生まれて初めて


目の前の男性を異性として意識するのだが




物心付いた時から教会で暮らし


思春期になる前に、暗部として人を殺してきたシスターである




リーゼントの男に向ける感情が


【愛】であり、それが彼女にとって【初恋】だと理解するには


まだ少し時間がかかるのだった。






 シスターは、頭では理解できないが


この男と一緒に居たいと言う感情を持つのだった


だが【サラ】と言う名前に嘘が有ると・・・


間接的にではあるが、命を救ってくれた相手に


後ろ冷たさが湧いてくる。




 契約が解かれた事で


自分の事を心配そうに視線を送る、リーゼントに




「テツオ、私ハ、嘘、ツイテイタ


 私、本当ノ名前・・・」




 テツオは、その言葉を遮った。




「いや、それは、いいや


 当分【サラ】さんでいいよ


 こんなに簡単に契約って言うのが解かれると思ってなかったからな


 俺達の方にまだ準備が出来てない。」




「意味ワカラナイ?」




「まぁ・・・まだ、色々と情報を集めてる最中だからな


 詳しいことは、あの時居た、メガネに聞いてくれ。」




「・・・。」




「それよりも、この現状に驚かないとは


 肝っ玉すわってんなぁ~~。」




 シスターは、心が開放されてから


鉄雄から視線を外そうとしていなかったが


鉄雄の言葉で、シスターは周りを見渡し


その置かれている状況を冷静に・・・なれるハズもない






 まだ、森の精霊【エルフ】は・・・コスプレだと無理やり理解しても






目の前には、二足歩行で服を着た人型の【豹】や


いつの間にか、集まってきた、人型の獣・・・。




 そう、契約を解除され


感情の起伏が大きくなった、シスターは


叫びを上げることなく・・・気絶した・・・。




 その姿を傍から見ていたアリスは




(普通は・・・そうよね


 事前に話を聞いていなかったら


 私も・・・意識を失うか


 訳も分からず、剣を振り回していたかも


 テツに無様な姿を見せなくて本当に良かったわ・・・。)




そんな事を思いながら、シスターを抱き上げ




(本当は、この場に捨てて行きたいけど、ほっとくと、テツが抱き上げそうだし、他に誰も動く気配ないし・・・・・いっそ、後ろの獣ティアンガに蹂躙されろ!! 24時間休む暇なく、オッモチャの様に使われて、この世界で一生腰でも振ってろ、私のテツに色目を使う女郎は、それがお似合いだろ!! 本当にこんな女に手を貸すのは、嫌だけど【テツ】と【クルミちゃん】が居るから、下手に放置も出来ないし、ここは逆手にとって、クルミちゃんに私が優しいお姉さんだと印象づける道具になってもらうわ、まぁ、貴方もこの世界で肉便器として生きていくより、多少なり私の役に立てるのだから良かったわね、まぁ、豆粒程度でしかないけどね。)




 リルの案内で鉄雄達と共に屋敷へと戻っていくのだった。






 

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