パジャマパーティー・1話 非常識が言い出しっぺ。
模擬戦・予選も終わり
クズクラスに戻ってきた、クズクラスの生徒と鈴達。
桜はニニスを抱えたまま、ニニスの席に座り
優しいメロディーを口ずさむ
そのメロディーに、キラは無言でギターを奏で
クズクラスには、優しい空間が出来上がっていく・・・。
鈴はニニスの前の席である、紫音の席に座り
その席に腰をかけて座るのは、かんな
その傍では・・・
なぜ?自分がここに居るのかと、緊張と混乱で
顔をこわばらせる涼子の姿が存在した。
少し離れた場所には
ニニスに冷たい視線を送る、カレラと
カレラをなだめる、夏目のすがたがあった。
そんな中、鉄雄はすでに予選前に帰り支度を終わらしていた為
その荷物を片手に持ち
「鈴、紫音の荷物頼むわ。」と
鈴の返事も聞かずに教室を出て行くのだった・・・・
ちなみに紫音は鉄雄の背で逆さ吊りされ
先輩に殴られた腹部の苦痛に顔を歪め
逆さになっていた事で頭に血が下がり
赤に・・青に・・・と、顔を点滅させていた。
そして、クズクラスの生徒達は
別に予選に勝利した事を喜ぶでなく
それが当たり前だったかの様に
普段道りに帰路についていく。
そんな生徒と入れ替わりに、優美が戻ってくるが
教室に紫音の姿がない事が解ると静かに悔しがるのだった。
そう、優美は未だに諦めていなかったのだ
紫音を捕まえ、あの時の真相を聞く事を・・・・。
だが一切顔に出さず
冷静なまま夏目の傍に立つ
たまにブレはするが、これこそが四条優美である。
そして、この日は土曜であり
学園は午前中授業、時間は3時を超え
クズクラスに残る生徒も少なく
残っていた予選を観戦 (野次馬)する生徒達も帰路に付き
2-Jにのクラス最後まで残った生徒は
鈴を初めとする、桜・かんな・夏目・アリス・涼子
クズクラスの生徒では、ニニス・カレラ・茜
クズクラスの生徒が3人に対し
他クラスの生徒が多いいのは
ニニスとの仲の良い人間が残ったとも判断できるのだが
カレラは、ニニスが帰らない限り、桜がニニスを離さず
鈴達も帰らないと判断し
こればっかりは、仕方がないと
人数が減ったことで、ある意味渋々ポケットから携帯デバイスを取り出し
ある人物達に連絡を取り
その数分後、クズクラスに現れたのは3人の男性
優美は一目見てその存在を理解した
黒い背広を着る体格の良い男性が3人
彼等は、フランク王国ニース付きの護衛
そして、ダダを捏ねて動かない、ニースを引取りに来たと。
そして、カレラは彼等と共に
ニニスを抱く桜の前に進み出た、カレラの言葉で理解できた・・・。
「ニニス、そろそろ戻る時間です
わるいわね、ニニスを彼に渡してもらえる?」
だが・・・・未だに、カレラに怯えるニニスは
グズグズと泣きながら桜に抱きつき
それを感じ取った桜は、ニニスを抱きしめたまま
目の前のカレラと男達に、にっこりと笑うが
桜は彼等にニニスを渡す気など1mmも無い。
笑顔で睨み合う、カレラと桜
2人の間に入ってきたのは、優美である
一個人としての優美は、ニニスとは友人ではあるが・・・。
ニースが同学年、そして御学として傍に居る事は
四条家も知り、十士族も知る事でもある
だからこそ、士族から厳命が下された
十士族・四条家に連なう直系の現時点の優美の立場は
フランク王国の皇女であるニースを守る存在であり
ニニスの安全、そして、フランク王国のニース付き暗部のサポート
これは、十士族を通した国からの極秘の厳命であり
その命に変えて、ニースの命を守らなければ成らなかった。
優美は、ニースの行動・・・に逆らえない立場でもあるが・・
幼いニースの後見人であるカレラに対し
カレラが、ニースに対し行う事を
サポートし、ニースの安全を最優先し行動をしなければならなかった。
これは、ニース本人が了承しなくても
後見人であり、学園でのニースに対し、全権限を持つカレラに対して
優美は逆らう事はできない
そう、優美は、カレラのサポートを行い速やかに行動しなければ成らない
それが、自身の考えとも信念とも相反していてもである。
優美は泣くニニスを可哀想とも思う
少しでも長く桜の胸で安らいで欲しいと思う反面・・・
「桜、ニース様を渡してもらえますか?」
「・・・・」
にっこりと微笑み無言の笑顔で返す桜
「桜・・・そういう訳にはいかないのです
ニース様は、一国の王族なの
だからと言って何をしても許される事は無いの
先ほどの事で、カレラの怒る理由も理解できるでしょ?
それに、ニース様の事を考えるなら
家に帰って、ゆっくり休んだほうが
心も体も落ち着くと思うでしょ。」
だが、桜は微笑むだけである。
この後、優美の説得が数分行われたが
桜は聞く耳を持たない。
そして、カレラは、ニニス付きの護衛の1人に視線をおくると
その護衛が動く
「御託はいい、ニース様をわたせ。」
ニニスに伸びるその手は
瞬間的に桜によって弾かれた。
それによって、護衛の3人が桜の前に並び立つと
カレラは、静かに
「ごめんなさい・・・
先に謝っておくわ・・・
本当の事を言えば
あの潰れた彼女・・・・の容体次第だけど
最悪の場合、ニニス学園を辞める事になる
これは、私と・・・いえ、私の国とニニスが交した約束・・・。
それを、多少でも理解しているから
ニニスは帰ろうとしないし
皆から離れようとしないの。」
それは、誰もが驚いた真実だった。
言葉を貯めて、カレラは続ける
「そして今回は、私もニニスと同様
今回の失態、ニニスを止められなかった責任を取って
学園をやめて、ニニスと一緒に国に帰る事になると思うわ・・・
もう、会えないかもしれないけど
みんなには、私や、ニニスと仲良くしてくれて
心から感謝します。
ニニス、皆に最後の挨拶を。」
だが、ニニスはカレラの言葉を拒否するように桜に強く抱きつき
「うわっぁぁぁあああーー」と・・大きく泣き出した・・・。
人1人に、アレ程の怪我を与えたのだ
それは、逃れない事実であり
許されない罪である・・・・・。
どれだけ優美の使える四条の力で隠そうが
鳴子が重傷・・・または死ぬ事があれば
あの場にいた全員の口を止めることはできないだろう・・
そして、それが世間に知られれば
ニニスは殺人者となり、学園には居られなくなる
こればっかりは、避けられない
ただ、事が公になるまでに
自国に帰れば、国際問題とならない様に国が動くだろう
もともと偽名を使っている
本命を知る者は、クズクラス生徒のみだ・・・
クズクラスの生徒なら、ニニスを守るためなら口を滑らさないだろう
そう・・・ニニスが学園を辞め
自国である、フランク王国に帰るのは仕方の無い事・・・・・。
優美や、かんな、夏目は
ニニスに対して何も出来ず
何も優しい言葉を掛けることが出来ない自分に
強く拳を握り、視線は下がっていく・・・・・。
涼子は話について行けてなかった
フランク王国の王族?
最近やっと十士族の四条優美に耐性が出来てきたと言うのに
今度は、他国の王族なのだ
なにも説明を受けていない涼子は、プチパニックである。
そんな中、アリスは無言で状況を見守る
アリスは知っていた鈴は回復魔法を使える事を
そして鈴が、あの先輩に一番に近づいた
なら彼女は無事であると
それに、あの変態があの場にいたのだ
それは、あの【腐れメイド】がこの場に居る事を意味する
最悪の事など有るわけがないと・・・
自信を持って宣言出来るが
それは、腐れメイドを信頼しているようで
自分自身にムカツクが・・・・・
それを口にすることなく
この場は、桜と鈴に任すのだった。
桜は、カレラの冷たい視線など気にしない
又、カレラの発した衝撃的な言葉にも動じる事はない。
優美が視線を外し何も出来なくて途方に暮れようが気にしない。
桜は、確信していた。
ニニスは、私の友達 (ダチ)
ニニスは鈴の友達であり
そして、鈴がニニスを見放す様な事をするはずが無い
そう、ここに鈴がいる限り、ニニスは大丈夫と
根拠も何もないが
絶対の信頼を鈴に寄せる。
そう、鈴は先輩が、重傷ではあるが
すでに、生死に関わる怪我では無い事を知っていた
一番の怪我は、首から肩上腕に掛けての怪我ではあるが
現在の科学医療があれば、学園復帰に数日も掛からず
後遺症もほぼ無い事も分かっていた。
だからこそ・・・
桜とニニスを庇う様に進み出ると
これが(私が捻じ曲げた)現実であると
「あの先輩は、大丈夫だよ
私の診た限り、大きな欠損も無かったし
あの多くの血は、肩口に掛けてのお大きな傷だけだから
多少後は残るかもだけど
来週中には復帰するよ。
(カレラや、優美ちゃんは)まぁ・・色々後始末大変だと思うけど
あまりニニスを怒らないであげてね。」
カレラは・・欠損?という言葉に・・・
普通の人間なら怪我と言うだろう
その言葉は、平和な日本で暮らす少女に相応しくないと
カレラを驚かせる、そう怪我とは言わず欠損と言ったことに
「医療の知識があるの?」
「ん?本格的な知識は無いけど
【木属性】を使う上で回復魔法に関する
ある程度の知識や
救急処置や、初期診療くらいは普通にできる。」
その、言葉の意味を理解できるのは
カレラと優美だけである。
他の人間には、鈴が言った
救急処理・初期診療と、応急手当の区別もつかない。
優美は驚き
「そんな知識を、いったいいつ・・。」と
「ん?一般常識でしょ。」
「そうでした・・・鈴は・・やっぱり鈴ですね・・。」と
1人納得する優美だった。
カレラは医療の知識はあるが
それは、本当の意味で一般的モノまでだ
初期診療が出来るほどの知識はない
そして、事あるごとに驚かされる
鈴の異常性に何も言えず
「今は、その言葉を信じるとします。」と
その頭を少し下げるのだったが
「ですが、現状で彼女の様態が確認できない以上・・
ニニスは・・・私達は(研究所に)戻ります。」
鈴はカレラの目をまっすぐ見つめると
「カレラ、聞いていい?」
「なに?」
「戻ってどうするの?
家族は、いないんだよね?
そこって、日本で住むだけの家だよね?
本当にそこは、ニニスにとって安らげる場所なの?」
「・・・・。」
カレラは、鈴の言葉に返す言葉はない
帰る場所と言っても、ある意味、隔離されている場所であり
ニニスが研究をする場所であって
心が安らげる場所と言われれば
まったく違う場所でもあった・・・。
そんな心の奥を覗いたのか・・・鈴は
「桜!」
「ん~~~?」
「ニニスを連れて私の家に帰るよ。」
「!!」
言葉に成らない桜の喜びの言葉。
「かんな!」
「なんでも言って!!」
「晩ご飯好きなもの作ってあげるから
今晩家に泊まりに来て!」
「無くても行く!」
両腕に力を入れ、かんなは気合と共に返事をした。
そんな鈴達に優美は・・
「ちょっとまって、そんな事許されないわ。」と
鈴達を止めようと
足を一歩踏み出そうとした優美の肩に手を掛けた夏目
「もう無理よ、ああなったら誰も鈴を止められないでしょ
それで、鈴
私も泊まりに行っていいのよね?」
「当たり前でしょ
暴走した、かんなを誰が止めるの?」
「ふふ、でも私は、かんなと違って日本食をお願いしますよ!」
「わかった!」
驚く、かんな
「ちょ!!夏目!!
鈴ちゃん私は、アレ・・・
アレよ、ビーフストロガノフがいい!!」
「なんでもいいよ
なんでも作ってあげる!!
それで、カレラ。」
鈴は、カレラの正面に立ち、少し見上げるように
カレラの目を直視すると
「ニニスを連れて帰るけど何か言いたいことがある?」
カレラも自身の立場ある
だからこそ
冷静で冷たい眼差しで、鈴に問いかける
「ニニスは、仮にも王族・・・。
連れて帰ると言って、そんな事が許されると思って?
私を、ニニスの護衛である私達を相手に・・
ニニスを連れて帰れると思って?」
だが、鈴は即答で、カレラの言葉に
「だから?
そんな建前なんてどうでもいいし
カレラの許可なんて物も聞いてない
カレラに聞いてる事は別よ!
わかってるでしょ!?
それに、ムリって言われようが
ニニスを拉致ってでも連れて帰る!!」
優美は、鈴の有り得ない言葉に驚くと
「鈴!相手は王族
そんな事をすれば
この国を・・十士族すら・・・怒らす事に。」
だが鈴は、両拳を腰に当て無い胸を張り
「だから何?
フランク王国?
王族?
十士族?
それがなんなの?
そんなに偉いの?
私は【三千風鈴】だよ
私はこの世界でたった1人の存在!
私は私の中で私が一番偉いの
そんな私に命令できるのは私だけ
どんな事があっても私は自分を曲げない!
だいたい私がなんで
そんな、国とか士族とか
意味不明の物に遠慮して行動しなければ成らないの?
そう、仲のいい友達を、パジャマパーテーに誘うのに
他人の許可なんていらないし
ニニスが家に帰りたくないって言うなら
私が連れて帰る!!
誰に何を言われようが
私は私のしたいことをするし
それを邪魔するなら、すればいい
それが、カレラと、優美ちゃんが、本当にしたい事なら
国でも、十士族でも私が相手になってあげる!!」
護衛の男3人は
子供の戯言だと、鈴の言葉を本気にはしないが
ニニスを渡さない事だけは理解できた
そして、ニニスを抱く桜が、鈴の味方をするなら
本格的な戦闘訓練をこなして来た自分達なら
負けはしないだろうが、本格的な戦いになるだろうと・・・
それなりに・・・本気で身構える。
冷静にカレラは背の低い鈴を見下ろし
「本気なの・・・?」と静かに口にした。
一歩も引く気はない鈴
「本気だよ
なら私からも言うよ
本気で邪魔する気?」
桜・かんな・アリスは、どんな事があろうと鈴の味方ではあるが・・
夏目は、勝ち目の無い戦いはしない主義であり
優美の傍に居たため、完全には鈴よりではない!
事の成り行きを理解できない、涼子は・・・ただ、アタフタする。
そして、カレラと、鈴の狭間に立たされた優美は
動けない・・・・
どう考えても、心は鈴に賛成である
そして・・・
十士族や、世界に影響力のある鈴の母【三千風蘭】なら
多少は・・・何かしら力があるのかもしれない
そして【紫音】君のまだ見ぬ、力なら
多少の戦力となるのかもしれない
だが
相手が・・・悪い
フランク王国
そして十士族
どう考えても勝てる相手ではない
鈴達を守れるのは、十士族である私だけ・・・
でも、私に掛けられた物は
ニニスを守るものではあるが
ニニスがどう要望しようが
原則、カレラの行動に逆らえない・・・・。
動けば、カレラか鈴、どちらかに肩入れしなければならない為
優美は・・・決心が決めれず、動けなかった・・。
カレラは、冷静なまま
腰に有る、2丁の拳銃に手を掛け
教室に静寂と振るえるほどの緊張が走るが
鈴は一切、表情を変えない。
その態度はまるで
私とやるなら、核爆弾でも持って来い!!と・・・
国だろうが、世界だろうが負ける気など一切ない!と言わんばかりであった。
拳銃に手を掛けることで
本気の姿を見せたカレラだったが・・・・。
拳銃から手を離すと
すこし諦め顔で
「やめたわ・・・・・
何か・・・心の中を覗かれているみたいで
勝てる気がしないわね
それで、そのパジャマパーティーには
私も行っていいのよね?」
その言葉に、鈴は嬉しそうに笑うと
「もちろん!
やっと本音が聞けた!」
カレラは、護衛の3人に声をかけ3人を引かせる。
そして鈴は
「カレラに、お願いがあるんだけど?」
「なに?あまり私を困らせないでね。」
それはカレラの本心でもあった。
「カレラの方から、優美ちゃんの家に連絡いれて
今晩というか、一晩・・明日1日、優美ちゃんを連れ出せないかな?」
話を聞いて考え込む、カレラと
鈴の言葉に驚く優美。
鈴は、その立場・・四条の娘というだけで
母親から、分単位のカリキュラムを入れられ
放課後にほぼ遊ぶ時間がない優美が、前々から許せなかった
そう、母親ではなく、それに逆らわない優美自身にだ・・・が
それとは別に
優美は、そのカリキュラムの制で
週末土曜日に他所に止まるなど出来なかった
それは、前々から計画していた、お泊まり会が
優美の予定だけ空かず伸びていたのを
この際、カレラのフランク王国の皇女ニースの力を使い
無理やり、参加させようと言うのだった。
そして考え込むカレラの態度に、鈴の伝家の宝刀が発動する
「カレラ、食べたいもの有ったら、なんでも言って!」
「とりあえず以前聞いた、ステーキが食べてみたいけど
やはり・・・国民食である、シーフード系の料理も捨てがたい・・ですが
パイ系や、スィーツが食べてもみたいわ!」と
食べたい物を即答で答えると、優美に向き直ると
「私の国の方から、四条家には連絡を入れますので
安心して、参加してくださいね。」と
これから食べれる極上の食事を夢見て
気分の良いカレラがそこにいた。
鈴は、ここにいる後2人に向き直ると
アリスは、鈴の言葉を待たず
「言わなくても分かると思うが絶対いくよ。」
そして、一人・・・プチパニックの後輩に
「涼子ちゃん。」
緊張しまくる、涼子は、声を裏返らせ
「ヒャイ!!!!!」と・・・。
「涼子ちゃんも来る?
ひろみちゃん達も誘って、4人でもいいよ。」
「いいんですか!!!?
あ・・・・え・・・・・・でも、・・・・・」
一人混乱する涼子。
「いいよ、ニニス達の事も皆に紹介したいし
ただ、布団は少ないから、皆で雑魚寝だよ。」
「はい!、参加したいです!
皆も絶対参加したいと思いますので
すぐに連絡とります!!」
話も纏まり、わいのわいのと騒ぐ女子中学生達がいた。
夏目「それにしても、常識はずれもここまで来ると少し引きますね。」
かんな「だね~士族や、フランク王国に喧嘩売るんだもんね。」
優美「まったく・・・・
駆け引きの為の嘘でも、本気で心臓が止まるかと思いましたよ。」
青い顔でため息を付く優美に
かんなと夏目は視線を合わせ呆れたように
か「いや、アレ絶対本気だから。」
優「さすがに・・・それは・・・・。」
アリス「いや、本気と言うよりも
普通に、戦争でも起こす気だろアレは
まぁ、喧嘩になったら、負け戦でも私は鈴に付くけどね。」
か「アリス!良い事言った!
私も鈴ちゃんの味方!私の嫁は私が守る!」
夏「なら、私は勝つ方の味方しますか。」
か「卑怯!!」
夏「勝てばいんですよ、勝てばね。」
桜はニニスを高く持ち上げ
ニニスに、今日は鈴の家でお泊りだと伝えると
ニニスは、視界に入る、カレラの優しそうな顔で
徐々に元気を取り戻していくのだった。
涼子の連絡で、雫・千秋・ひろみは、パジャマパーティーの参加を承諾した
ただ・・・・・ひっそりと忘れられた1人の存在・・・が。
彼女は・・・ある意味、勇気の無い人間でもあり
他人とのコミニケーションの苦手な人間でっもある
そして、パジャマパーティーと聞いて参加したいが
他人と話す事が苦手であり
それも、趣味の違う人間の輪に入った事も無く
その中で会話など出来ないと
手をあげて「拙者も参加したいでござる!」の
たった一言を発する勇気のない人間である。
だが、今日は色々と良いネタがメモ出来たと
騒ぐ皆に気づかれないように、教室を出ようとするのだが
その腕を掴まれた。
「何帰ろうとしてるの?
参加しないき?」
彼女を止めたのは、鈴であった。
そして、彼女は驚いた、本気で心の底から・・・・驚いた・・。
最近、鈴と多少なり会話をするようになった彼女だが・・・。
鈴と言う (ロリ)天使にとって、彼女とは・・・
「名前はしってるけど・・・話したこと無い。」そんな立ち位置から
最近やっと「兄の友達だから、仕方なしに会話くらいはしてあげてる」
そんな存在であると・・・・
兄の友達であり
鈴にとって友達ではない
只の顔見知り程度・・・だと
それでも、彼女にとって、ロリ(天使)と会話が出来るだけで
ロリ娘の手作り弁当が食べれるだけで幸せだった・・・。
そう、鈴にとって、彼女の存在など
道端に捨てられた子犬程度だと・・・彼女自身は思っていたのに
鈴は彼女を・・・
捨てられた子犬を拾い上げ、家に連れて帰るように
誘ってきたのだ。
捨てられ、全てを・・・諦めた子犬は
驚きを隠せず、キョトンとした顔で・・・
「え?
いいのでござるか?
拙者は・・・・鈴どのの友達でもないし
他の御仁達とも、ほぼ接点が無いでござるよ?」
「ん?
友達でしょ?
私は、この教室に初めて来たあの時
アカネが自己紹介してくれた時から
アカネの事、友達だと思ってるけど?
それに、アカネがどう思おうと
私にとってアカネは大好きな友達だし。
それに、皆と接点が無いなら、これから作ればいいし
そもそも接点なんて、アカネ気が付いてないだけで
数えれないほど、いっぱいあるよ。
だけどまぁ無理に話さないでもいいし
だいたい強制するつもりもないしね。
私はアカネに美味しいご飯を食べて欲しいだけだし
ご飯食べたら紫音や、てっちゃん達と遊べばいいし
私や皆の事なんて気にせず
アカネは、アカネの好きな事をすればいいと思うよ。」
彼女にとって、学園で友達と呼べる人間は数はとても少ない
それは、独特の口調や行動や態度から嫌われている事もあるが
それでも、彼女は知り合いも多くいるし、彼女の事をしる存在も多いい
だが、その全ては利害が発生する
いやどちらかといえば
彼女の漫画家としての【名声】や【能力】や【金】を利用しようとする存在が大半であり
そして、彼女を迫害し、クズクラスに追いやった学園の先生達
そんな存在ばかりの中
鉄雄と出会った
そして紫音ともであった
そして彼女にとって友達と・・・
【心の師】【心の友】と呼べるのは2人だけだった。
そんな狭い世界だった。
だが・・いとも当たり前かの様に
目の前の、鈴は自分の事を【友達】と呼んだのだ
いやいや、ながらでもない
強制されたわけでもない
とりあえず、友達と言っとけば利用できるだろうとか
漫画家で金持ってるだろうから、友達なら奢ってもらえるとか・・
そんな心の動きなど一切ない
純粋で無垢な心で
貴方の事が好きだから、友達に決まってると・・・・
彼女は、それだけで世界が広がっていく。
そして、鈴が口にした、ある言葉は、彼女の心を揺さぶる。
鈴の双子の兄である紫音と・・・同じような言葉を発した鈴に
彼女は・・・丸メガネの奥で涙を溜め
少し震えた声で・・
「そ・・・それで良いなら・・・。」
「決まり!!
後で家の住所送るから
お泊りの準備と、明日1日私達に付き合ってもらうから
その準備もお願いね。」
彼女は、瞳に貯まる雫をこぼさない様に
小さく何度も首を縦に振る
月刊誌で連載を持つ、売れっ子漫画家【茜姫】
同人作漫画家【フランシーヌ・アカネ】
そんな2つの顔を持つ彼女
黒髪を三つ編みおさげにし
丸メガネを掛け
クラスメイトや、鈴達から【アカネ】と呼ばれる彼女の名は
【夕凪 茜 (ゆうなぎ あかね)】
さみしがり屋で臆病な
何処にでも居る普通のオタク少女である。




