14話 ニニス、桜の胸の谷間に顔をうずめる!
鳴子は、ニニスに潰された・・・
いや正確には、ニニスに抱きついていた鳴子は
何かの力によって、ニニスから弾かれ
ニニスから1メートルほど弾き飛ばされ
地面に突き刺さる・・
それも、鳴子は何かの力によって潰されながらである。
その衝撃は左頬でニニスに頬ずりしていた為
左頬から、首の左、左肩から左腕上腕、左胸上部にかけて
その皮膚が破裂し、地面に転がる鳴子の上半身と
彼女の転がる地面を赤く染め上げた。
非現実的な【力】
それこそが【ニース・ニケ・クロヴィス・メロヴィング】の持つ【スキル】であるが・・・・
だが、それを制御出来きるかは別でもある。
そして、制御できない力は、ニニスの感情と共に暴走し
新たなる被害者を生んだ。
被害者である【鳴子】
血の海に横たわる、彼女の姿は余りにも無残であった
誰もが、彼女から視線を外す
あるものは、強く目を閉じる
あるものは、首を、その顔を背け視線を外す
あるものは、両手で顔を覆い現実に背を向けた
そう、多少なり血に対しての耐性のある、四条優美ですら
目の前で起きた、あまりの出来事に、その目を閉じたほどだった。
そう、それほどまで無残な【鳴子】の姿
それを直視出来た人間は、この場には数人しかいなかった。
一番初めに動いたのは、鈴
鳴子が、ニニスに弾かれた瞬間には動き出していた
『リル!!
きがついてたでしょ?
なんで止めないの?』
リルなら、止めれたはずなのに
止めしないし、起きるだろう事も
何一つ言わないなんて・・・と
鈴は、少し苛立ちながら念話でキツく言うのだが
帰ってきた念話は
『それはなぜ?・・・でしょうか?』
そう、リルにとって、どうでもいい人間が
瀕死になろうが、死のうが気にもしない
それよりも
あの女が死ねば、紫音にベタベタとする、ニニスと言う存在が怒られる
それは、リルにとって喜ばしい事でもある。
なぜって・・・・
リルに言うだけ無駄か・・・
『リル、あの(鳴子)先輩に、集まる視線を阻害して
あと、今現状を撮っている映像は分かる?』
『既に認識され
記憶に強く残っている為
シオン様から許可が下りている強さ以下での
認識阻害系の結界は効果は無いと思います
映像の方は、ティアに。』
この場には、先程まで予選を行い
今は紫音の予選を観戦している【蓮】がいた
そして、今この場には【桜】が居るのだ
ミーティアが居て当たり前であり
リルに呼ばれ反応する。
『鈴さん、ミーティアです
録画だと思われる、監視カメラですが
衛生からの映像は、私では感知できず不明でございます
学園の固定カメラは2つ
それ以外の学園ネットのカメラは、停止してます
また鈴さんに向いている、映像記録装置、またデバイスの起動電波は
私の感知範囲に有りませんので
無いものと思われます。』
『衛生は無理だとして
学園のカメラなら
紫音どうにかできる?』
『まぁなぁ~~~。』
『なら、消すか、ダミーしといて。』
『めんどくさいけど・・・しかたねぇ~か。』
高速で行われた念話も切り上げ
鈴は鳴子の傍に駆け寄った
まわりの視線は数人あるものの
そんな事を言っている暇は無い
視線はフィールドの外、私までの距離はある
なら細かな事は分からないはずだし
視線は私の体で遮ってる・・・
ただ、私を凝視している1人の人間は・・・
後で口止めに・・・キャラ弁でも作れば・・・
それにしても・・優美ちゃんでも視線を外した
この惨状を直視できるって・・・
さすが紫音の事を【心の友】と呼ぶだけあって壊れてるね・・・。
そんな事を考え、ため息をして
素早く、折れてあさっての方向に向いた左腕を正常な角度に戻す
そして、瞬間的に折れた腕の骨と、潰れた背骨と肋骨を繋ぐ
そして、無残にも皮膚がめくれ、赤い肉が抜き出しになった
鳴子の顔を冷静に見つめると。
次は顔の左側から胸と腕に掛けての怪我だけど
これを完全回復させると
これだけの血を出した怪我がなくなれば矛盾が生まれるよね
だから多少の怪我は・・・覚悟してね・・・。
鈴は左手を、先輩の胸に
右手を、先輩の左頬に当てると
めくれ上がった皮膚を正常に戻し回復させる。
首の付け根から、肩、左腕に掛けての傷は
少しだけ回復し傷口を小さくする
完治しても、傷跡は大きく残るだろうけど
それは、肩から腕にかけてだろう
女の人だから顔と胸には傷跡を残したくない
それは、鈴の優しさでもある。
鈴が現状で出来る事はここまでである
これ以上は、完全完治に近くなる
それは、この世界では有り得ない魔法であるのだ
今それを使うわけにはいかないし
使うつもりもなかった。
************
異世界の魔法
それを紫音から教えてもらった時
紫音から何度も言われた事がある
自分達は正義の味方でもないし
ラノベや、アニメの主人公では無い
この世界に無い魔法、異能の力
その【力】を好き勝手に使って
それを許される程、世界は優しくない
それが、誰かを助ける為であろうと
その命を救うものでも
この世界を救済する為で有ろうともだ!
たった・・・1度・・・たった1度でも
世間にその力を知られれば
それを言い訳にして、逃げ切れるほど、世界は甘くない。
また、インターネットと言う情報化社会に置いて
情報は1秒で全世界を駆け回る
だからこそ、紫音はカメラや映像には細心の注意を払っているのだ
どれだけ隠してきた秘密も映像でネットに上がれば
1秒で全てが終わるのだ
そう、異世界の力が世界に知れる事は
この世界に居れれなくなる事を意味するのだ
それは紫音も鈴も、さほど気にはしないが
鈴にとって、そのことで母親である【蘭】に迷惑がかかると言う事は
もっとも避けるべき事柄であり、何よりも優先する事でもある。
それでも・・・・・
私(鈴)は、目の前で死にそうな人を無視できるほど
非道にはなれないし・・・・後先考えれる人間でもない
だけど人前で【力】を使うと言う事は
それなりの覚悟が居ると言う事も
そう・・・十分にわかっている。
もしもの時の為、異世界の魔法を使う事があれば
カモフラージュする現代の科学魔法の応用も
あらゆるパターンを想定して紫音に教えてもらい頭に入れてる。
限られた空間なら
【リル】や【ギン】の力で対処が可能だ・・・。
だが、今はあらゆる目が有り
紫音ですら想像すらしてない事も
対処できない事もあり得るかも知れない
だからこそ、私(鈴)が思う最低限の回復しか出来ない。
生命維持の為、心臓と脳の機能の確保
顔の傷や胸の傷は、女性にとって最大の苦しみとなるだろう
だからこそ、回復した・・・・後は、紫音に任せる
そう、後で紫音がリルに何処まで回復させるかに・・・。
でも、私が先輩を回復するのを
紫音が何も言わずにいるのなら
それは、紫音の許可が下りていると言う事でもある
それは、紫音が対処出来る範囲内の出来事なんだろう・・・。
私は知っている
紫音はなんでも出来るし
目的の為なら、私の為なら、どんな事でもする
たとえその身を犠牲にしても・・・
私の様に、表面の優しさではない
本当の優しさを、その胸に秘めていることを・・・。
*********
鈴より、遅れて鳴子に走り寄ってきたのは保険医の先生である
模擬戦・予選と言えど、学園専属の保険医と
高等部の保健委員が数人居たのだが
予選が終了した事により片付けをしていた為
一歩出遅れた保険医とは別に
学生の保健委員は、あまりの衝撃に、その足を止めていた。
鈴の回復が瞬時に終わった後に
保険医の先生が到着すると
鈴からの初期診断を聞きながら
光魔法の回復魔法を展開しつつ
鳴子の傷ついた体を確認し
圧迫シートや、傷口保護剤などで
大きな傷や、切り開いた皮膚を
科学医療機器を使い簡易治療していく。
飛び散った血液の惨状に
先生の後を追ってきた
保健委員の学生は、蒸し返す血液の匂いに鼻を抑え
その現状を直視できず近づけないほどであったが。
先生が救急に連絡を入れる前に
フィールドに入ってきたのは
ニニス付きの暗部の車であり
そのまま、鳴子は車に乗せられ
学園の大学院にある、ヘリポートに連れて行かれ
数分後に到着したヘリで、国の最高レベルの病院に飛んでいった。
だが、すでに外傷(骨折)などは鈴が回復し
移動中には、影でリルが動いていた事で
死亡レベルの負傷、特に潰された事により
多くの内蔵が破損していたが、全て回復し
最終的には、打ち身や切り傷、骨に軽いヒビ程度となり
大きな怪我は、首から肩に掛けての傷であったが
「奇跡としか言うしかない」の医師の言葉どうり
全治3ヶ月という、軽傷で済むこととなる。
そう思いのほか軽傷であった事で、この事件は、うやむやになっていく。
一番納得がいかないのが、カレラであった
そう、ニニスの一撃を受けて、軽傷のはずがないのだと
そして、その時、あの兄妹の言った意味を思い起こすのだった。
また、鳴子が運ばれた後
この騒動を見た人間に対し
四条優美は、その四条の名を使い
口外しないようにと伝えた。
だが、話はどこからか漏れるものだが
鳴子は、次の登校日である月曜には
傷を隠すため首元を隠す服装と
傷口が開かないように、左腕は固定されてはいたが
普段どうり登校した事から、大きく拡散される事もなく
事前に学園に報告していたので、大きな騒ぎにもならず
また、一連事件や、自身の怪我に関して
全面的に自分が悪いと、鳴子が公言した事で
この話は静かに幕を閉じた。
そこに、国や、十士族、フランク王国の介入があったかは
等の本人達だけが知るのかもしれない。
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***********
だが、事件はそれで終わりではなかった。
ニニスは、鳴子を潰した後
カレラに怒られた!
そして・・・・
パニックを起こし、泣き出したのだった
だが、それは仕方がない事でもあった
事情はどうであれ、他人を死ぬ寸前まで傷づけたニニス
その、ニニスを怒れるのは、カレラただ1人しかいなかった・・・。
血の海に倒れる【鳴子】
パニックを起こし、泣きじゃくる【ニニス】
静まり返る、現状に・・・・
男の声が響いた
そう、男は、身を縮めて泣く、イカぐるみの少女の頭に足を乗せ
その体を、その両手を最大まで広げ
我が物顔で叫んだ
「ハッハッハハ!!
泣け!
わめけ!
そして叫べ!!
俺こそ、最強だぁぁぁあ!!!」
上級魔法を防ぎ切る、ニニスの結界を壊し(解除し)
人一人を、一瞬にして破壊し切る、ニニスを踏むことで
自身の強さを、周りに印象付けるのだったが。
そこには、1つの誤算が存在した
今のニニスは、パニックを起こしていたのだ
普段なら、紫音が頭を踏もうと一緒になって笑って遊ぶニニスだが
先ほど、見ず知らずの存在に抱きつかれた事もあり
ニニスの本能が頭を踏む存在を敵とみなした。
その瞬間、数万倍にも及ぶ念話が紫音に届く
『シオン様、危ないです
シオン様に向けて
ニニスのスキルが発動しました。』
よほどの事がない限り助言をしない【リル】からの念話
紫音はすぐさま行動を起こすが
紫音の感知では、何も察知できない。
そして紫音は先ほどまで、ニニスの能力を勘違いしていた
ニニスの能力、それは【魔力力場】を感知または目視出来る事だと考えていた
魔力力馬を利用した魔術符の固定が出来る事や
ニニスが学会に発表したいくつもの論文の内容から
そうだと思い込んでいたのだった・・・。
だが、本来は違う
ニニス自身がスキルを制御が出来るのが感知までである
それ以上は、幼いニニスでは制御出来ない
また、怒りや、悲しみと言う負の感情によって
そのスキルは暴走する
それが【鳴子】の今の状況を作り出した
そして、鳴子を襲った、ニニスの暴走した【力】が紫音を襲う。
紫音は魔力感知は出来ないが
その魂に刻まれた記憶から
ニニスの力に対しある程度の予測を立てる。
基本であり、そのスキルの根本だろう、魔力を感じる力
そして殉職し二階級特進した(死んではいない)先輩の状態を見る限り
ニニスは、空気と同じように宙に漂う魔力を扱える?
あの怪我を与えたのは、漂う魔力を高速でぶつけた物か
硬質化した魔力での攻撃だろう
そして、体を潰したのは
深海で水圧の影響で物質が潰れる様に
魔力の圧力を操作し人間を潰した物だろう
そう、たぶん科学魔法の元となる、この場に充満する魔力による攻撃は
普通の魔法防御魔法や、魔法陣での魔法防御結界では防御不可能
いや、科学魔法での魔法防御では不可能か?
くそう・・・実験したい!!!
って、そんな時間はないか
実験しようにも元々魔法デバイスなんてものは持っていない!!!
と・・・いうことで
考えられる対処は、ニニスのスキル範囲から逃げることだが
ニニスの頭を踏んづけて、最強と名乗った俺様が逃げる?
クク、俺が【マジ】で逃げるとか、ありえねぇだろ!!
ニニスのスキル発動範囲は、ニニスを中心としたエリア
なら、ニニスとの距離を開ければいい!!
ニニスの暴走したスキルを掻い潜りながら、距離を開ける!
その方法は、コレしかない!と
ニニスの頭を踏みつける足を一度放し
大きく後ろに引く
そして、その右足にスキルを乗せる
木刀に使う物理的超振動のスキルではない
魔力を使った超振動
右足から体内に蓄積した魔力を放出しながら
自身のスキルで超振動させる技でるが
元々魔力が少ないのだ、魔力放出するこの技は
最大でも約3秒である。
ニニスが、自然界に存在する魔力を使い
目に見えず、感知もできない
どれだけ硬い武器を作り上げようが
どれだけ圧縮させて強固な盾を作り上げようが
それが、魔力である以上
超振動で作り上げた、俺の魔力の蹴りには意味を成さない
そう、俺の蹴りは全ての魔力を貫き、ニニスを蹴り飛ばす!
ニニスは、俺特性イカぐるみを着ているから
物理的な衝撃は少ない
そして、俺様が魔力超振動の蹴りで
肉体や、体内魔力を攻撃するようなヘマなどしないし
ニニスを蹴り飛ばす方向も人が居ない場所で
鈴に近い場所を選んでいる
完璧だ!
そう!
「俺様こそ、最強!
幼女だろうと、赤子だろうが
俺に勝てると思うな!!
ワッハッハッハッハッハハハ!!!」
大きく叫びをあげる紫音!!
クズクラスでは、よくある光景ではあるが
知らぬ人間にとって、それは
幼女を虐待する、男子中学生の姿でしかない。
そんな、男子中学生に迫る影
【ケルマン・ロドロネス】
模擬戦予選・審判長という立場から
その感情を押さえ込んでいたが
予選終了したことで【鳴子】と同じように
その役割から解き放され、幼女を蹴り飛ばした男に対して
感情を抑え散々我慢し溜め込んでいた怒りが爆発し
全ての怒りをその左拳に乗せ、男子生徒の腹部に喰い込ませた。
【ケルマン・ロドロネス】
黒人の血を引く彼は、日本人にない強固な肉体を持ち
天堂学園高等部3年オールフリー(魔法戦闘)部の、いち部員ではあるが
予選とは言え、審判長を任せられる実力者である
その渾身の一撃は、紫音の想像を越える重い一撃であり
防御スキルも切り、防御魔法や、肉体強化をしていない紫音は
衝撃を殺せず、重い衝撃は紫音を3メートルほど移動させた
そして、その一撃は紫音の内蔵をも破壊する。
青い顔で腹部を抑え、息をすることさえままならない紫音だが
この男を助けようと動く人間は1人も居ない
いや、居るはずがない
それほどまでに、紫音は観客を敵にまわしていた!
紫音を吹き飛ばした、ケルマン
小さく息を吐くと、心を落ち着かせ
男子生徒に蹴り飛ばされた
未だに泣きじゃくる幼女に足を向けるが
「先輩、待ってください。」と
ケルマンを止めたのは、カレラ
そして、先輩が足を止めたことで、言葉を繋げる
「今の彼女は、パニックを起こしています
そして、あの変態のおかげで
ニニスの周りには、強力な魔力力場が発生してまして
近づくものを・・・潰します。」
さすがに、鳴子の状況をしる、ケルマンは動けないが
ケルマンの横を通り、ニニスに近づこうとする存在がいた。
ケルマンより頭1つ以上低く
長く青い髪を頭の後ろで、おおきなリボンで結ぶ少女【鈴】
それに、驚くカレラ
「まちなさい、今のニニスは・・・」
カレラの声をきき、鈴は足を止めず
少しだけカレラに顔を向けると、かわいく微笑んだ。
(鳴子)先輩への最低限の回復は終わらし
後の処理は、保険医の先生に任し鈴は
桜達の元に戻り紫音の行動を傍観していたが
先輩に殴り飛ばされた紫音を見て
そろそろ、この茶番を終わりにしようかと
ニニスに対して動き出した。
先輩を止めた、カレラが
魔力力場が・・・どうとか言い
私を止めようと声をかけてくるけど・・・
ニニスの力が魔力であり
それが、この世界にある魔力であるいじょう
私には傷一つ付ける事はできない。
紫音は魔力が無いから
ニニスを蹴り飛ばす事しか出来ないだろうけど
私の体の中には魔力の元となる魔素がある
それも【双子の兄である紫音の魔核】それが私の体に存在し
常に高密度の魔素を作り出しているのだ
この世界の魔力では、私の魔素を超える事が出来るはずがない。
そう、私には魔力力場なんて関係ないと
カレラに、微笑んで答え
そのまま、ニニスに向かう。
制服と皮膚に何かが反応する
たぶん、ニニスのスキルの範囲に入ったんだろう
気にせず、ニニスの傍に腰を下ろし
ニニスの頭にある、きぐるみの被り物を外すと
驚いたニニスは、力を暴走させるも
それは、鈴の服を軽く揺らすだけだった。
鈴は、涙を流し泣きじゃくる、ニニスの頭を優しく撫でる。
ニニスのパニックを起こすと
スキルが暴走し誰にも近づけない
対処法は、ニニスが泣き疲れ大人しくなるまで放置ちとなる
泣くニニスにとって、泣いている時に宥められた事が無かった
だからこそ、パニックを起こし心細い時に傍に来てくれた存在は
心に安らぎ与えた。
ニニスは、その存在が、鈴だと感じると
鈴に抱きつき、更に大声で泣きだした。
ニニスに抱きつかれ身動きができない鈴
ニニスは泣き止まないし、ニニスを見世物にしたくない鈴は
出来るだけ早く、この場所から移動したかったが
今、この場でニニスを抱き上げ移動するのは・・・
ニニスとほぼ同じ身長の自分では不自然なんだろうな・・・と。
「桜~~。」
「なぁにぃ~~~。」
桜も桜で、ニニスのスキルなど関係なしで、その範囲に入ってくる
桜は常に薄い覇気を纏う、それは多少の魔力など跳ね返す
その気になれば、ニニスの扱う魔力など意に介さないほどに
だからこそ鈴は桜を呼んだ。
ニニスの正面で姿勢を低くする桜
「イカニニス~~~~。」
「ニニス、桜だよ~桜が来たよ~~。」と
桜の声と、鈴の言葉で、桜に気が付くニニスは
鈴から離れ、桜にしがみつき、その大きな胸に顔をうずめ大きく泣く
桜の胸の谷間には、顔を擦り付け大声で涙を流すニニスの姿・・・・
鈴は・・・それには少し・・・・多少・・・不機嫌に!!
な!!!!
やっぱり、大きいほうがいいのか!!
ニニスが桜を大好きなのは知ってるから
私より、桜に抱きつくのは分かる・・・・・
だけど、絶対胸の大きさではないよね?
私だって、成長すれば大きくなるんだから!!
蘭さんだって大きいし、私は蘭さんの娘だもんね
成長すれば蘭さんと同じくらい大きくなるもん!!!
・・・・・そう・・・・成長したら・・・・・
ただ・・・あの時から・・・成長してないだけで・・・・・
あぁ・・・鬱だ・・・・・・・
はぁ・・・紫音が影で笑ってる声が聞こえる・・・気がする・・・。
鈴は感情を押し殺し、その場で立ち上がり
「桜、クズクラスまで、ニニスを連れて行こう。」
桜も、ニニスを抱き上げ立ち上がる
「てっちゃん、あの変態お願い。」
鉄雄は、無表情ながら念話で爆笑していたが
無言で、本気で屍に成り掛けの紫音に向けて足を進める。
それを確認もせず、鈴は周りを無視し
桜を引き連れて、クズクラスのある旧校舎に向けて進み出す
パニックが収まったのだと
カレラと、優美やかんな、夏目
そして、その後を追うように涼子が続くが、鈴は
「あ!まだ危ないから、あまり近寄らないで。」と
ニニスが生まれた時から、傍に居た、カレラは青い顔をする
そう、あの状態のニニスに誰も近づけない
それは家族であろうと同じである
ニニスの父である【国王】であろうと
母である【王妃】であろうと、近づけないのだ
そのニニスのスキル範囲内において、平然と居る2人に
カレラは、驚きを隠せなかった・・・。
その反面、優美・かんな・夏目は、ニニスの周りに
何かしらの【力】が存在するのだと理解はするが・・・
「まぁ、鈴と桜だし・・・・ね。」と・・・かってに納得するのだった。
鈴・桜・ニニス・カレラ・かんな・夏目・涼子は、2-Jに向かう。
鉄雄は転がる紫音の足を持ち上げ
そのまま方に担ぐと、背中の逆さま状態の紫音と
鉄雄を手伝いに来た、アリスや
クズクラスの生徒や、予選に出ていた、選手と共に
何時ものように、紫音の極悪非道をネタに爆笑しながら
自分達の教室に戻っていくのだった。
その場に1人残ったのは、優美
そして、何処までも透き通るような綺麗な声で告げた
予選終了後に起きた事は他言無用と
怪我をした先輩は、十士族・四条の名を使ってでも
最先端の医療を施すと(これは、フランク王国も絡んでくる)
その他にも幾つか言葉を発するのだった。
この間に、鳴子は、フランク王国の暗部によって車で運ばれていくが
四条の姿で、それは十士族の関係者だと、見たものは勘違いする。
保険医の先生や、この場をしきれるだろう審判長と少し言葉を交わすと
優美は小さく頭を下げて、この場を後にし
ニニスの居るクズクラスへと向かうのだった。




