12話 予選・決着、タコは、たこ焼きになった後に、焼かれる
Jクラス対Hクラス
両チームを隔てる、結界が解除され
模擬戦が開始された。
解説の戦闘魔法研究部の副部長
【石間 海二 (いしま かいじ)】は
机に上半身を預け、まったくやる気のない
実況進行の放送部部長
【堂故 鳴子 (どうこ なるこ)】に変わってマイクを握る
海「とりあえず・・・戦闘開始!
ん?・・・アレは・・タコ?」
鳴「タコ?・・ハゲ頭なんぞ、珍しくもないだろ。」
海二は、クズクラスの人数を数え出す
海「1・2・3・4・5・6・7・8・・・・
やっぱり、あれは選手ですか?
戦闘用の服装が、タコのキグルミとは・・・。」
鳴「きぐるみ?」
鳴子は、【きぐるみ】と聞いて飛び起き
少し高台にある、放送席からフィールドを見下ろし
鳴「うわ、かわいいのがいる!!
きぐるみなら、きぐるみだと
最初から教えろよ!!役立たず!」
海「いや、私だって、今気がついたわけで・・・。」
鳴子は誰にも見えないように机の下で
海二の足を何度も蹴り飛ばすすが
鳴子に逆らえない海二は、我慢するしかなかった・・。
そんな2人の言い合いは
マイクを通して、会場に筒抜けであった・・・・。
そんな中、幹久達、Hクラスの前衛が
ニニスの魔術符結界に対し攻撃を開始する。
鳴「ひどい!!ひどすぎるぞ、Hクラス!!
相手は小さな子供!!?
子供だと??」
海「まってください・・・
今データを・・・・・・・
クズクラスの、22番・・失礼
Jクラス、22番。」
海二は手元にあるモニターを操作し
タコのキグルミのデータを調べ
海「え?・・・・・」
鳴「おい、なんだ?はっきり言え!」
海「彼女・・・いや、あの少女の名前は
【ニニス・クロメロ】
海外からの留学生・・・・ですが・・・。」
鳴「ですが?
はっきり物を言えよ!!」
海「・・・飛び級で、中等部2年になった
今現在、9歳の少女です。」
鳴「え?9歳?
間違いは無いのか?」
海「はい!」
ニニス、彼女の名前は学園側で偽名が使われていた
そもそも1国の姫でもあるが
ニニスの国、フランク王国でしか採取されないレアメタル
【ルルクス鉱石】と言うものがある
このレアメタルで、世界の国々と渡り合ってきた、フランク王国だが
元々【ルルクス鉱石】は、魔力を蓄積できる鉱石なのだが
近年、ニニスの研究で、その魔力運用率が劇的に上がり
現代の、魔法科学とは切っても切れない存在となった、ルルクス鉱石
その為、フランク王国は世界でも
トップクラスの財力と権力を握る事になったのだ
ただ、その影で、王位継承争いは徐々に激化している事も確かである。
そう、フランク王国の姫であり
ルルクス鉱石の研究者でもある【ニニス】
その存在は、日本と言う小国の十士族など比べ物にならない
それが模擬戦で、戦いに出ようなら
その存在を認識してしまったら最後
誰が攻撃できるだろうか?
怪我でもしようものなら国際問題となるだろう
その為、学園側や国から止められ
本来なら模擬戦に出る事自体
有り得ないのだが・・・・。
ニニスが出たいと言うなら
好きなように、させるのがカレラである
ニニス付きの暗部と連絡を取り
そこから天堂学園の理事長に話が行く
そして、偽名を使う事と
ニニスが自身の魔術符結界のから出ない事を条件付け
理事長は、胃に穴が開くほど顔を引きつらせ
清水の舞台・・・いや
スカイツリーから飛び降りる覚悟で首を縦に振ったのだ。
鳴「なら、あいつらは
9歳の子供を攻撃しているのか!!
虐待か!イジメか!
【幼女虐待】かぁぁぁ!!!!!
もうあれは、戦闘と言えるものじゃないだろ!!
私の【きぐるみ】を攻撃するなんて!!
過剰攻撃で、反則負けにさせろよ!!
おい!きいてんのか?ケルマン!!」
だが審判長の【ケルマン・ロドロネス】は動かない・・・。
海「鳴子先輩、それは無理です
あの結界魔法ですが
初めて見るタイプなので、正確には言えませんが
呪符系の防御結界
たぶん、上位の結界と同等の力
それを・・・あの9歳の少女が使っているとは
ある意味信じられませんが
中等部2年・・・それも下位クラスの攻撃では
あの防御を崩すことすら無理でしょうね。」
鳴「アホか、お前は
そうじゃねんだよ
9歳のきぐるみを、集団リンチする行為が
すでに人道的範疇をこえてんだよ!!」
海「それはそうですが
試合である以上
シンボルを守っている
彼女を攻撃しないと言う事は
負けを認めていると言う事でも・・・」
鳴「グダグダうるさいな!!
可愛いぬいぐるみは、それだけで尊いんだ!!
それに攻撃するなんて
人間のすることじゃないだろ」
実況・進行の鳴子では
試合を中止にすることも
Hクラスの人間に対して、反則を取ることもできない
ただ、罵倒する
この鳴子、口は悪いが
【ぬいぐるみ大好き人間】
自分の部屋には、100体を越えるぬいぐるみが存在し
日々ぬいぐるみに囲まれて暮らしていほどだ。
そんな、ぬいぐるみ大好き人間が
キグルミの、ニニスを見た瞬間
抱きしめたくて、今にも飛び出しそうだったのだ。
鳴子は、自分と同じく
Hクラスの非道さに怒りを燃やす人間が視界に入った。
それは観客線と呼べる物ではないが
観客の1人が、きぐるみを助けるために
今にも乱入しようと、立ち上がり
近くにいた友人だろう存在に体を抑えられていた・・・。
だが、その横にいる存在・・・・。
鳴「ちょっとまて・・・・
あれは・・・・四条?
十士族の四条優美か?」
海「あ・・・・ちょ・・・・・。」
海二は、その名を鳴子に伝える事も
放送で、その名を言うことも遠慮していたが
鳴子は考えも無く、マイクに叫んだのだった。
2人の会話は放送はされてはいるが
模擬戦の勝敗の結果と選手の呼び出しのみ
中等部校内放送であり
模擬戦の実況は会場のみである
また、校舎までは距離があり聴こえはしないが
この会場の運動場は
各部活のフィールドとは隣接していた。
そこえ十士族の名前が出れば
すこし手を止め、模擬戦を覗きたくなるのは仕方の無い事であり
徐々に、運動部の部活途中の人が集まりだした。
そして模擬戦の観客に【四条優美】を見つけ
その横に、運動部の有名人である【桜・ティオーノ】
そして、あの生徒会長に喧嘩を売った少女【三千風鈴】
そんな、中等部2年Bクラスの有名人が居れば
興味が沸いてくるのも当たり前であり
そんな、有名人が、見物? 応援? 敵情視察?している
模擬戦の内容にも興味が沸いてくる。
そこには、結界で守られているが
小さな少女を、数人で攻撃するHクラス
それを見れば、誰しもが不快に感じ
Hクラスを罵倒する声が増えていくのだった。
そんな中、Hクラスの上級魔法が炸裂した!
爆音が激しく響き渡り
一瞬の静けさが、会場に吹く風の音を強調させた・・・。
そして、大きく叫ぶ声
「てめえらぁ!!!
俺のニニスに、なにさらしとんじゃぁぁぁっぁぁぁ!!」
姿を現したのは
斜めに立ち、首を傾けボサボサの髪の男
その風貌から、悪い意味で有名な男であった。
ニニスは叫びを上げた、紫音に驚いた
いや「俺のニニス」その言葉に驚き
赤いタコぐるみが、一層赤く染まったかは定かでは無いが・・・・。
紫音もその叫びだけで終われば
紫音と言う男に対しての評価が
1ミリでも上がったかもしれなかっただろう・・・。
紫音は、目の前に立つ、Hクラスの男を幹久を睨み再び叫んだ
「コレ (ニニス)はな、俺のおもちゃだ!!
勝手に、イジメてんじゃぁぁねぇよ!!!」
紫音はニニスの魔術符結界に右手を掛け
「この魔法は、こぉやって壊すんじゃぁぁぁ!!!」
(魔法製作、製作者連名、三千風紫音、その権限
そして、デバイス・システム製作者権限により
魔法停止および、デバイス起動停止)
科学魔法、それはデバイスを通して魔法式を発動させるのである
紫音はニニスのデバイスに、直接介入する
それは、デバイスのシステムの製作者である
紫音だからできる事でもあり
【ブラックボックス】システムだからこそである
そしてデバイスに登録された魔法を、権限で停止させ
再び魔法が使えないように、デバイスも停止させたのだ。
そしてニニスの魔術符結界にある
一枚の魔術符を握りつぶすと
すでに停止していた魔術符だったが
握りつぶした1枚に反応し、それに連鎖するように
魔術符全てが、その機能を失ったかの様に力をうしない
空中散布された魔術符は、紙切れ同然となり
花びらのように、宙を舞い地面に落ちていく。
それを見た全ての人間は
上級魔法すら、軽く防いだ結界を
いとも簡単に無力化した男に驚いたのだった。
ニニスの魔術結界
今は、紫音の手が加わり
有り得ない程の防御力を誇るが
その結界は以前・・・・。
蓮は、圧倒的魔力で結界を引き裂いた。
優美は、圧倒的な攻撃魔法で、結界を半壊させた。
桜は、圧倒的な攻撃力で結界を打ち破った。
そう、圧倒的防御力を誇る、魔術符結界
これに対抗できるのは、同じく圧倒的な力のみ
誰しもが、そう思った、いや、そう思っていたが
目に映った光景は、変態が魔力も腕力も使わず
一枚の魔術符を握り潰し、結界を無力化したかの様に見えた。
クズクラスの人間や
ニニスの魔術符結界を知ってる人間ほど驚いた
それはそうだ魔法を使っていた【ニニス】すら
イキナリの事でその現実に
なにが起こったか理解できず
頭がついてこない。
そして、いとも簡単に魔法を無力化した事で
【カレラ】すら、その状況を理解できず
その行動を遅らせた。
そして、紫音と言う変態が、それだけで終わる訳が無い!!
結界が無くなり無防備となった、ニニスに視線を送り
ニヤリと微笑み叫ぶ
「そして、コレ(ニニス)の遊び方は、こうだ!!!!」
紫音は、右足を高々と上げると
そのまま、タコの頭を踏みつけた!!
そして足の裏で、タコの頭をグリグリ・・・
そして・・・グリグリ
また・・・・グリグリ
笑いながら・・・グリグリ
どんどん、ニニスの頭が地面と近くなっていく・・・・
そのまま力を入れて・・・グリグリと
とうとう、ニニスの顔は、地面にめり込むのだった・・・・。
それは・・・クズクラスでは、良くある光景。
「やっぱ、2人が付き合ってるとか・・ないよね~~」
「ないね~~~・・・。」
「だって、変態だし。」
「「「ダヨネ~~~~」」」
そして、その光景をよく知る人間は
【それを、今するか?】と・・・・
ため息を漏らす・・・・・。
それを、知らない人間に取って
目の前で行われる
非道なる行為に我を忘れるのだった・・・。
優美は・・・思う
心が休まらない光景
コレが世間に公開されたら
日本とフランク王国との交易が終わるかもしれない・・・。
そして、優美は勘違いしていた
模擬戦予選な為、映像の配信は無いと思っていたが
しっかりと、学園ネットの動画配信サイトではリアルタイムで流れていた。
あまりの事に口を大きく開けて止まっていた鳴子は我に返る
そして、マイクを握り締め叫んだ
「おどりゃぁぁ
私のきぐるみに、なにさらしとんじゃぁぁぁああああ!!
ブッコロスぞぞおおおおおお!!!!」
今にも飛び出しそうな、鳴子にしがみつくのは海二
「先輩!まだ試合中ですって!!」
そして、幹久達、Hクラスの選手達も
鳴子の叫びで、我に返るが
目の前で行われている
本物の幼女虐待に
どうすればいいのか・・・
幼女助ける?
今まで攻撃していた俺が?
それより、今のうちに、シンボルを攻撃するか?
だが・・・
目の前の男の非道さに動けなかった・・・。
それをイイ事に紫音は
地面にうつぶせになった、タコを踏みつけながら
無造作に、タコの腕を引きちぎる
片手に1本、両手で2本のタコの腕を持ち
グルグルと振り回し
「わっはっはっはっはっはっは!!!!!」
と高らかに笑う。
その姿は、悪魔!
いや、変質者!!
いや、薄気味悪い変態!!!
実に・・・・普段どうりの紫音であった。
紫音は嬉しそうに笑う
これで、アカネが考えた作戦は崩れ去ったと!!
紫音は気絶したフリをして
作戦を全部聞いていた
そして少し前、愁が鉄雄やアカネと話した内容すら聞いていたのだ
そして、この作戦の要である、ニニスの結界
これが破壊出来る所を見せれば
作戦は失敗し決勝までに当たる上位クラスに
クズクラスは敗退すると考え
ただ・・・ソレだけの為に
紫音はニニスの結界を破壊したのだ!
そして、思いのほか順調に事が進み笑う紫音に
鉄雄から念話が届く
鉄雄の意思加速、最大速度である。
『あぁ~~あ・・・・やっちまいやがった・・・。』
『ん?テツもクルージング行きたい訳でないなら
負けても構わんだろ?』
『まぁ、俺はどっちでもいいけど
ただ紫音の行動が予想通りすぎて笑いも出ないな。』
『予想通り?』
『あぁ、アカネの作戦通り
これで、鈴達のBクラスと当たらない限り
決勝は確実かもな。』
『は?
ドウイウコトデスカ?』
意味が分からない
アカネの作戦通りなら
ニニスの結界が壊れる事は
作戦の根本が崩れる事だ
それなのに、ナゼ決勝確実となる?
『あぁ、あの作戦の裏の意味を読み取れば
紫音がニニスの結界を壊させるための作戦だからな
鈴達の後ろ見てみろ
アカネの奴、笑いながらこっち見てるぞ。』
紫音の視線が、アカネを捉えると
メモ帳に、なにかのネタを書きながら
笑っている、三つ編みメガネの姿があった。
『わらってやがる・・・
だけど俺に、結界を壊させて何の意味があるんだ?
そもそも、あの作戦を軸に愁達も動いていたんじゃないのか?』
『今回は、最初から何も考えなかった紫音の負けだな
簡単に言うとな
紫音がニニスの結界を壊すだろ
その方法は、たぶんまったく
魔力も腕力もいらない方法となるだろ?
なら?今後、俺達があの作戦を行ったら
さっきの映像を解析して、何らかの方法を考え出し
みんな、ニニスの結界を壊そうとするだろ?
それに人数を裂けば?』
それだけで
紫音は気がついてしまったのだ
愁が、アカネに相談したあの時
そう・・・あの時、すでに紫音が
アカネの罠に・・・・・ハマってた事に・・・。
『もしかして・・・
アカネの奴、初めから計算ずくか?』
『あぁ、俺は気づいてたけどな
それより、危ないぞ』
テツからの、そんな念話が終わるより早く
紫音の『知ってる。』の念話も言う暇もなく
紫音は、吹き飛んだ。
紫音の後方から、紫音に向けて飛び出した愁
流石に、度重なる紫音の行動に、キレたのだ
そして、その手に持つ武器【戟】で紫音をなぎ払う
肉体強化、そして武具強化した愁の攻撃は
強化魔法の1つもされていない紫音に
クリティカルヒットする。
薙ぎ払われた先には、赤い魔道士の姿があり
その手には、デザートイーグル
模擬専用に用意された
普段より数倍弱く調整された衝撃弾が紫音を襲う
空中で紫音の体が
1度・2度・・3度・・・4度・・・・と
6度、跳ねると、地面に落ちるのだった。
それは、カレラの優しさか
紫音のHPは、瀕死扱いの、2桁まで減るのだったが
その優しさが、愁を襲う。
紫音の落ちた場所が悪かった
愁に吹き飛ばされたが
カレラによって、少し戻され
ニニスから約3メートルの場所に落ちたのだ
そして、ニニスの側には愁が立ち
地面に埋もれたニニスを助けようと手を伸ばしていた。
そんな愁を睨む紫音。
愁・・・・カレラ・・・
思いっきりやりやがったな・・・
くそ・・・目にもの見せてやる!!
ニニスとは、多少離れているが
これくらいなら、操作できる!!
模擬専用に紫音が作った
ニニスの【キグルミ】
いつか使えたらと思って取り入れた
あるギミックがある
それを紫音は遠隔操作で発動させた!
タコキグルミ
タコと同じく8本の足がある
ニニスの手足の入ってない4本の腕
紫音が引きちぎった2本の腕は
愁に吹き飛ばされ
カレラに銃撃された時、手放した為
距離は多少あるが、今は【カレラ】の近くに存在した
そして、残りの2本を遠隔操作でニニスから外す
そうすると、タコグルミに内蔵された酸素ボンベの口が空き
タコキグルミが膨らみ出したのだ。
丸く丸く膨らみ出すニニス
それは、ニニスの小さな手足を巻き込み
巨大な球体となり
色がが代わり
少し焼けた様な茶色
ニニスの頭の上だろう場所には
膨らんだ時に、出てきた・・・・・
茶色い薄手の何か・・・
スライム状の黒い液体・・・
一番上には、薄黄色の高粘度の液体・・・
そして、何故か湯気が上がる・・・
誰もが、思っただろう
デカイ「たこ焼き!!」だと。
それは、ニニスのタコグルミに仕込んでおいたギミック
【たこ焼きぐるみ】
いつか使おうと思っていた
ニニスを使った紫音の一発ネタでもある
ちなみに、ニニスはその事を知らない
だから、たこ焼きグルミの中で・・・・あたふたはしない。
キグルミの中は、快適であった
重心は安定しており、ある程度の空間が確保された
たこ焼きぐるみの中は、ニニスを安心させる
目の前に設置された、モニターで外の状況は確認できていた。
ただ、ニニスは自分では動けない・・・・。
喜ぶニニスだが
ニニスのきぐるみが紫音の手作りだと知っている
クズクラスの人間は、また・・・無駄なものを・・・と。
だが紫音は思う
無駄ではない!!
みんなを沸かせただろう!
爆笑の渦だろう!!!
・・・・・・・・
おかしい? 笑っているのは、テツだけだ?
今まで、会場が湧いてたじゃないか?
歓喜の喜びがあがっていおたじゃないか?
いきなり静まり返った会場・・・。
俺が・・・コノ俺がスベッタだと!!!!!!
愕然とする紫音がそこにいた・・・。
紫音の一発ネタ【たこ焼きぐるみニス】
それは、盛大にスベッタ・・・・・。
前フリも何もない、一発ギャグ・・・。
それも、紫音が幼児虐待をし
会場に視線を送っていた
そしてネット映像で、その一部始終を見ていた人間の
怒りの矛先が紫音だったからだ
ニニスのきぐるみが形を変えようが気にならなかった。
それは、幹久がニニスの結界を攻撃することで
会場は、小さな子供を虐めるHクラスに怒り罵倒が飛んでいた
だが、突如現れた男が、結界を壊し
小さな少女に直接攻撃、いや踏み潰し
きぐるみの腕をもぎとり、高笑いをする存在に
今まで会場が積み上げたきた
その全ての怒りが
溜まったストレスが
ハチ切れた狂気が
数倍に膨れ上がり集中し
全て紫音に、ぶつけられた
もう、幹久達、Hクラスがニニスの結界を攻撃していた事など
些細なことすぎて、誰の頭にも残っておらず
ゲスの極み人間のクズとも言える
最凶最悪最低の紫音の行動は
今まで以上に多くの敵をつくりだしたのだった。
そんな変質者がチームメイト(愁)に吹き飛ばされたとき
どれだけ盛り上がったか!!
そしてチームメイト (カレラ)に狙撃されて
破竹の勢いで盛り上がったか!!
そこにいきなり【たこぐるみ】がた【たこ焼きぐるみ】になったのだ
意味不明すぎて、唖然とするのは仕方がないのだろう・・・。
紫音は・・・スベッタ事に悔しがる・・・
それよりも・・・この後に起こるだろう事で
愁に復讐できる!と
この俺を吹き飛ばしたんだ
吹き飛ばされる覚悟はあるんだろうな!!と
笑いながら・・・
と同時に、これから自分の身に起きる事を想像し・・・
諦めた・・。
ニニスのきぐるみに仕込まれたギミックはまだ作動中であった。
ニニスが完全に【たこ焼きぐるみ】に成ったとき
とりはずされた、4本のタコの足が爆発を起こした!
ニニスの傍に落ちていた、2本の足は
ニニスと、愁、そして、クズクラスのシンボルを巻き込み爆発した
その衝撃は、シンボルを1段階破壊し
愁を真横から吹き飛ばす
いきなりの爆発で防御すら取れなかった愁は
まともに、爆風を受け
HPを1164減らし
地面に倒れた。
ニニスと言えば、大気圏に突入しても
30分は生命維持ができる
完全防御に近い無駄性能の【たこ焼きぐるみ】で守られている為
爆発で焼かれようが関係ない
すでにこんがり焼かれている、たこ焼き
今更焼かれても衝撃でコロコロと転がる程度
ニニスはいたって無傷である。
もう2本のタコの足・・・カレラの側に落ちていた筈だった
カレラに撃たれた時、わざわざカレラの近くに落としたのだから。
だが愁と違い、紫音の性格をある程度把握しているカレラは
紫音が引きちぎった、あのタコの足・・・
わざわざ私に向けて投げた?
なら何もないはずがない・・・と
2本とも紫音に投げ返していたのだ
すでに発動した、ギミック・・・それを止めれる術は紫音には無く
紫音のそばで、爆発を起こす!!
防御魔法・・・そんな物は紫音には無い
学生証がわりの、デバイスは持ってはいるが
魔法デバイスは1つも持っていないのだ。
2桁だった、紫音のHPは0になるのは当たり前であるが
自分が、その爆弾を受けると考えていなかった
そう、その爆発をモロに受けた紫音
心の奥から・・・マジで叫んだ
「火薬を少なくしとけばよかったぁぁぁぁぁぁっぁぁっぁぁ・・・・・・。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
そこからは、早かった
すでに動いていた鉄雄は
Hクラスの、シンボルに攻撃を開始する。
襲撃された事で、それを知る幹久達も
本来の、目的を思い出し攻撃に移ろうとするが
すでに、シンボルは、冠やキジに守られていた。
Hクラスのシンボルを守る、3人の選手ではあるが
紫音が戦闘不能の今、これ以上笑える事は起きないと
さっさと模擬戦終わらして帰りたい鉄雄に勝てる訳もなく
さほど、3人を相手することなく
隙をついては、シンボルを攻撃し
あっけなく、シンボルを破壊された。
元々戦力差は有ったのだ
作戦など使わなくても、Jクラスの勝利は決まっていた
ただ、今後の為に使った作戦だが
それは、意味があったのか・・・なかったのか・・
それだけは本選が開始されなければ分からない事だった。
模擬戦予選
HクラスvsJクラスの対戦は
Jクラスの勝利で幕を閉めた。
***************
鉄雄から紫音に念話が届き
その後、愁とカレラに攻撃はされるが
紫音と鉄雄の念話は続いていた。
鉄雄の説明が始まった
それは、愁と茜が模擬戦の事で交わした話の内容だった。
茜が切り札と言った2人の内の1人
模擬戦に参加しないだろう、絶対動かないと言った人間
それは【紫音】だった
そして、それを俺(鉄雄)に聴かせる事で
自分(茜)には出来ないが
俺(鉄雄)なら出来るだろうと話を振ったと
なら、面白そうだから紫音を巻き込んでみた!と・・
ある意味、俺が茜の作戦に乗った形になった、と
作戦に関しても、鉄雄は付け加えていく。
**********
そして、作者の余談も放り込んでいく
長く成りそうだったんで
本文で説明出来なかった事を書いてしまおう場所だったりする
**********
9人制の模擬戦に置いて
個人の強さは重要ではあるが
ある程度の実力が有る物同士なら
重要となってくるのは数の有利である
そう、学年1位の【岡山桃太郎】だが
愁と、カレラの2人なら勝てるかも知れないのだ
9人と言う微妙な人数では
1人でも減れば、それだけ不利となる
また、桃太郎程の実力者を2人で抑えられるなら
それは、それで充分な働きでもあるのだが
本来、9人制模擬戦の戦いなら
敵陣シンボルや、敵選手を攻撃する、攻撃組
自陣シンボルを守る、防御組
あと、敵陣のシンボルの場所を探ったり
敵の行動を探る、偵察組などが考えられる
そして、何処にどれだけ人数を裂くかは
各クラスの作戦ではある
本来なら、攻撃組がゆっくりとラインを上げながら
フィールドを進む、その間に
偵察組みが相手の行動や
シンボルの位置を探し出して行くのだが。
クズクラス、そんな面倒な事はする気はない。
本来隠すはずの、シンボルを最前線に設置する。
シンボルを守るのは、ニニス
絶対的防御魔法は、シンボルの破壊を防ぐ
残り8人は、自陣の守りを気にせずに攻撃に移れる
作戦とは言えない、暴れたいだけの集団である。
だが、それは個人の能力に差がある相手までである
上位クラス、それもAやBやCクラスに当たれば
個の力では、勝てないだろう
そして協調性の無いJクラスとちがって
優秀な上位クラスの連携や作戦があれば
Jクラスなど相手にならない。
そこで考え出したのが、茜の作戦だ
上位クラスと当たる前に
ニニスの防御結界を見せつける
破壊不能なら、防御と相手選手の撃破に作戦は変わるだろう
それに、この作戦、そのまま上位チームぶつけても意味を成さないのだ
Bクラス、鈴達のクラス相手なら
まず作戦と言うものは意味を成さない
もともと、クズクラスの実力は筒抜けであり
紫音・鉄雄にとって、鈴や桜は絶対に勝てない相手でもある
Aクラス相手だと
この作戦がどうのという以前に
彼らが、罠丸出しの、シンボルを1人守るニニスに
攻撃を仕掛ける事は有り得ないと言うか
上位クラスのプライド、それが、小さな少女を攻撃してまで
勝ちをもぎ取ろうとは思わないだろう
相手はクズクラス、選手を減らして勝てば良いと思うだろう
そうなれば、茜の作戦など意味を成さない。
一例ではあるが
シンボル防御に3人・敵選手撃破に6人掛けるとなる。
これで、実質、8vs6とは成らない
紫音が模擬戦に選出される以上、7vs6、である
この人数差では、個の力で不利はひっくり返せる
それは、鉄雄も茜も理解していた
ならば、これを、7vs5に、7vs4にする為には?と考えた
そう、戦場で浮いている、ニニス、シンボルを攻撃させようと
それには、エサがいる
上位クラスにしか、使えない【エサ】が
絶対破壊不能と思われた、防御結界
だが、それが、とても簡単な方法で壊せるとしたら?
そんな方法など在りはしない
茜や鉄雄ですら思いつかない
だが、紫音ならできるだろ?と茜は思ってしまった
そこには、根拠も自信もないが
人間観察だけなら、誰にも負けない自負がある【茜】
そして、茜は紫音の事を誰よりも評価していた
過剰評価しすぎなほどに!
だからこそ、鉄雄を煽って紫音を模擬戦に参加させる
そうすれば、紫音の本当の実力の鱗片が見えるかも知れないと
そして、紫音は出場し、茜の偽装した作戦を使えなくする為
ニニスの結界を無力化し
その鱗片を見せたが
これは、茜の作戦通りだった。
そして、その方法も、強力な魔法でもなければ
強化魔法の巨大なパワーでもない
まるで無造作に、魔術符の1枚を握りつぶし
魔法を無力化したように見えた
実際ネットに流れた映像を見ても同じであった。
それは、茜の想像以上
そして、いとも簡単に、ニニスの結界を無力化した紫音は
まったく普段どうり何時もの様に、ニニスを虐待する
そう、その光景は演技や、作戦ではない
初めて見る者にとって、作戦でも有り得ない現実だろう
それに怒り、クラスメイトが、男を攻撃する
その一部始終を見ていたなら、リアルなのだと理解する。
だが実際に、ニニスの結界は簡単に敗れることを明確にしたのだ
だからこそ、JクラスがAクラスと当たった時
1人放置でシンボルを守るニニスを放置する事は
Aクラスには出来なくなったのだ。
クズクラスの中でも、最低のクズが出来たのだ
優秀な人材が集まる上位クラス
その中でも文武魔、全てにおいて優秀なAクラスの代表選手が
無防備なニニスを放置するなど
ある意味【試合に勝って、勝負に負ける】と言うものだ
Aクラスは、その実力を見せ付ける為
自分達が無能だと感じさせない為
ニニスの結界に挑まなけれえば成らなくなるのだ。
ニニスの結界に挑まなければ成らないAクラス
その為人数を裂けば、クズクラスの有利
7vs5や4となる
流石に、そうなれば、相手がAクラスでも
クズクラスの数の有利となってくるのだ。
これこそ、茜が考えたBクラス以外に勝つ方法であったが
茜、本人はクルージングには興味が無い
どちらかと言えば
紫音と同じくさっさと負けろと思っていたのだが
紫音を参加させ、その実力が見たい為に思いついたのだった。
ただ、全ての内容を理解した紫音にとって
迷惑極まり無い作戦であった事は確かであったが
自分を騙した作戦に
さすがは、アカネと脱帽するのだった。
ただ、初めから全て気がついていた鉄雄には
念話で『知ってたなら、初めから教えろよ!!』と
何度も文句を叫んでいたのだった。




