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9話 今まさに、IAのライブが始まろうと!

 



 中等部クズクラスを率い


 学年別模擬戦を制し、どうどうの優勝を飾った


 【呂 愁 (りょ しゅう)】は、今・・・


 豪華客船に乗り込み


デバイスに送られてきた、部屋番号と船内地図で


自身が泊まるであろう部屋に趣き、荷物を置くと


とっておきの服に着替える


コレから行われる、ライブに相応しい姿となった愁


カガミの前で、念入りに服装をチェックし部屋を後にし


ホールで待ち合わせしていた友人やクラスメイトと合流する


そしてまだ、数時間前だと言うのに


【IA】がライブを行う、会場に一番乗りをし


今か今かと期待を膨らましていくのだった。



 何時しか、超満員となった、ライブ会場



 愁のボルテージは最高潮となり



 今、まさに



【IA】のライブが開催されようと!!!!




「おい!おいって!

 愁!戻ってこい!!」


「うるサイな

 もうすグ、ライブが始まるんだ!

 【キラ】静かにシロ!」


 愁は、横にいる、売れないパンクバンドの男に、キレるが・・・。


「いいのか、メンバーの再登録期限は、30分後だぞ

 それを過ぎれば、俺達は模擬戦の出場もできず

 愁が妄想してる【IA】のライブも見れないくなるぞ!!」


 ・・・・・・・・・!!!!


「そうダッタ!」


 愁は思い出したのだ

この1時間後には、模擬戦本選出場権を掛けた予選が行われる事を。




*******


 学年別模擬戦

これは8クラスでの、トーナメント戦であるが

学園の中等部は、AからJまでの10クラスである

その為、学年の下位クラス、H・Iと

最下位クラスJクラス

そして中位クラスからクジで選ばれた1クラス

それらを合わせた4クラスで予選を行い

2クラスを選出し

そこで、初めて模擬戦の本選が始まる。


 そして、この日、6月10日土曜日が

予選の当日でもあるのだった。


 そして予選であるが為

本来のメンバーである、選手9人と控え9人の18人の提出ではなく

本日、予選に出る9人の選手のメンバー提出を

前日までに行わなけれな成らなかったが

すでに、IAのライブを夢見る愁は、登録を忘れていた・・・。


いや、それ以前に、メンバーすら決まっていなかった、クズクラスは

模擬戦執行部(高等部)から、叱られ

ほぼ自習の授業の中、メンバーを決めようとしていた。


 教壇に立って話を進めていた、愁とキラの2人だが

愁が脱線して、視線を遥か彼方に向け

待ちきれない【IA】のライブを夢見ていたのを

キラが連れ戻したのだった。




********


 


 最近の愁のトリップに

キラは呆れてはいたが

肩からさげる、ストラト(ギター)は

単調な音楽から、緊張感を帯びた曲調へと代わり

愁を気にせず話を進めていく。


「でな、午前中授業の終了時に

 メンバー登録を終わらせないと

 俺達は棄権らしいからな

 とりあえず、メンバー決めてくぜ。」


適当にヤジが飛ぶ中

キラのギターは止まらない


キ「戦いたい奴は?手を上げろ!!」


 何人か立候補し、その名前を愁が黒板に書いていく。


 クズクラス、本来なら学園で成績悪い人間や

素行の悪い人間が集まる場所であり

好戦的な生徒は少ないはずだが

 この年のクズクラスは

自ら望んでこのクラスになった人間が多く

リーゼントの男を筆頭に、やたらと好戦的であるが


 黒板に名前を書きながら愁は言葉をこぼす。


愁「やっぱり

  接近戦を得意な奴が多いいカ?」


キ「そうだよな・・・。

  だけど・・・・

  まずは、ニニス!

  出たいんだろ?」


 机の上に立って

その存在感をクラス中に見せつける、タコニニス

その6本の腕を動かし意気揚々と答える!


「出るなのよ!

 絶対に出るのなの!!

 クラーケンの強さを見せつけるなのよ!」


キ「なら、当然・・・・」


 キラの視線が、赤く燃える存在に向けられる

だが、燃える様なのは、赤く染まる服装だけで

本人は至って冷静である、カレラ。


「ニニスが出るならね。

 でも、ニニスが出ないなら、出る気はないから。」


キ「いや、ニニスは全試合出てもらうから

  俺達の【マスコット】ってもの有るが

  ニニスの魔法は、防御に適してるからな

  最強にして最後の砦だ

  それを、守るのはカレラしかいなだろ

  だからカレラにも、全試合出てもらうと思う。」


 これには、クラス全員(数人は無関心だが)が納得する。


 そして、黒板に目を向けると

黒板の半分近くを使って大きく書かれている名前がある

そう、愁はその特権を使って

一番初めに自分の名前を、デカデカと書いていたのだ

その自己主張を止められる存在は居ない!!


 哀愁を感じる、メロディー・・・が奏でられ

キ「それでまぁ・・・

  愁は当然メンバー・・・・って

  おい、【エロト】お前も出る気か?」


 驚きのあまり、演奏が止まる。


 学園の制服をオシャレ着の様に羽織るイケメンが

その背後に芸能人オーラを背負い

キラキラ光る笑顔で


「当たり前だろう?

 女性の居る所、俺が居なくてどうするのさ!

 それに、今日は夜まで、オフだからね。」


 愁の視線が、最低の男の隣に座る

少しウェーブのかかった髪を揺らす可愛らしい女生徒に向かう

そんな視線を感じたのか【希唯 (きい)】は

一瞬口を開き・・・

(クルージングに行けば

 もしかしたら、ニニスちゃんや、鈴ちゃんと

 お風呂が一緒できるかも・・・・

 ダメなら、客船に有るプールにさそって・・・。)

喉からはみ出る本心を飲み込み

小さな声で

「私も・・・ライブに行きたいから・・・。」と

クラス大半が望んでいる、願望に乗る

だがそれは、希唯の目的の順番で言えば

最下位の方から数えたら早い願望でもあった。


 愁や、Jクラスの女子生徒達は

エロトの手綱を握る、希唯の許可が出た事で

最低の男が、模擬戦に放たれた事を理解し

対戦相手の女性選手を思い浮かべ

ため息と共に心から、思う・・・・・

「ご愁傷様・・・・・・・。」と

そして、誰もが知っていた

希唯の目的はニニス、または鈴だと言う事は・・・・。


 その反面、男子生徒は

エロトの参加で、アル事に対し期待を膨らまし机の下で拳を握り

そんな姿を、女子生徒に見られ軽蔑される。


 キラは、演奏を開始し

黒板に書かれた名前を確認しながら

あることに気が付く


キ「アレ?テツの名前は?」


愁「そういえば

  テツオ、なんで立候補しない?

  参加しないき?」


 クルージングにあまり興味がない鉄雄は

手のひらを翻し、やる気のない態度で


「だってよ、クルージングって船だろ?海の上だろ?」


キ「当たり前だろ?」


鉄「俺、大工だぜ

  木を使っていない物に興味は無い

  それに、水の上って・・・濡れたらどうずんだよ。」


愁「テツオが、水が嫌いで

  小等部から、プールすら入らないのは知っテル

  ダケど、船の上よ、濡れる訳が無いデショ!」


鉄「それでもな・・・・。」


キ「テツ、お前は、そんなもの関係なしで参加だ

  水が嫌なら、クルージングに来なきゃいい

  だいたいクラスで1、2を争う強さなんだ

  クラスから、ハブられたくなきゃ参加しろ。」


 もともと鉄雄は、諦めていた

他の人間ならいざ知らず

相手は、愁とキラだ

そのカリスマに似た統率力で周りを引張ていく、自己中の愁と

自身の為なら、周りをも巻き込み犠牲にする、自己中のキラだ

その2人が手を組めば、初めから逃げれるとは思っていなかった。


 だが、鉄雄も彼等と並ぶ自己中である

ただでは参加しない、参加するなら、大いに笑いたい!

【楽しみたい】ではなく【笑いたい】である。


 鉄雄は、別に模擬戦に参加するのが嫌なわけではない

ただ、愁にある条件を呑ますために手を上げなかっただけである。


 鉄雄は自分自身の価値を充分理解している

そして自分が模擬戦へ参加しなければ

クルージングの参加条件である

決勝戦に行くことが9割方不可能に近いと言うことを。

 

 そして自分を絶対参加させたいだろう、愁とキラ

いや、クラスの奴らも勝つ為に俺の参加を望んでいるだろう

ならば、その特権を使って、有る事を計画していた鉄雄は

悪代官の様な笑みを浮かべ、口を開いた


鉄「俺を参加させたいなら、1つ条件がある。」


キ「とりあえず、聞くけど・・なんだよ?」


 ドラムロールのような

タラララララララララ・・・・・と音楽が流れる中

鉄雄は、小さく笑い、アル男を指差し

「こいつの参加を希望する!」


じゃらら~~~ん・~~~ん・~~~ん・・・・と

気の抜けた音が余韻を残し流れる中

それを見た、ニニス

とてもとても嬉しそうな笑顔で6本も腕を振り回し

「ニニスも、希望するなのよ!」


 そんなニニスの笑顔を楽しむカレラは

狸寝入りを決めている鉄雄が指さした男を笑う。

「そうね、それは面白そうだわ

 私もそれには賛成ね。」


 3人の発言に、驚く愁は

黒板を「バシ!」っと叩き、大きな音を立て

愁「なにイッテルの!

  その男は、無能よ!

  戦う力すらナイ!

  ただの怠け者!

  皆、本当にライブに行きたいノ!

  真面目に考エロ!」


 本気でIAのライブに行きたい愁

そして、その為には手段を選ばない効率厨でもある

だからこそ、ニニスや鉄雄の模擬戦参加は、絶対事項であったが

使えない存在を、メンバーに入れることは

愁にとって、有り得ない事でもあった。




********



 それは、生徒会長が

中等部に、クルージングと言う爆弾を落とし少し経った頃


 クズクラスで一番燃えている愁は考えた

【IA】のライブを見るために、どうすればいいか

模擬戦で優勝しなくても、準優勝でいい

どうやったら、決勝戦に行けるか・・・・。


 悩んだ結果、出した答えが

決勝まで上位3クラスと当たらないと言う【運任せ】であった。


 それでも愁は、クラスで頭のいい人間に聞いてみようと考えた

誰しもが納得する大天才【ニニス】の出した答えは

「特攻なの!死ぬ気で特攻なのよ

 日本の格言にアルなのよ

 みんなで突っ込めばなの、何も怖くないなの

 昔の日本人はなの、いいこと言うなのよ。」

話にならなかった・・・・・。


 その後、数人に聞くも

強いメンバーを揃える事くらいしか、意見が出ない。


 そうなれば

クラスで最強と言われる男に声を掛けるのは

当然であり当たり前であった。


 黒いリーゼントを頭に乗せる男

その男に愁は聞いた

「どうやっタラ、決勝に行ケるか?」と

そして帰ってきた言葉は


「決勝?無理だろ?

 だいたい学年のトップ10の殆どがいるAクラスか

 鈴達がいるBクラスに、俺達が勝てると思ってるのか?」


「もしカしたら、くじ運で決勝まで当たタラないかも?」と返すが

即答で帰ってきた言葉は。


「それは無いな

 今年は、あの生徒会長が絡んでんだぜ

 どうせ、トーナメント戦の順番は

 インチキして、好き勝手いじってくるぜ

 だいたい、模擬戦の最終日は

 生徒会長が演出する最大の見世物だろ?

 観客や、VIPが集まる決勝

 期待される、対戦カードはAクラス対Bクラス

 それが一番盛り上がるだろうしな

 そうなればトーナメント戦だから、俺達が決勝に行くためには

 実力で、AかBに勝たないと行けないってわけだよ。」


 愁にとって驚きでもあった

考えて見れば、鉄雄の言う通りだった

あの生徒会長の事だ

影で隠れて何をするか解ったものではない

それでも、決勝に行く為にと


「なら、AかBに勝ツ方法は?」


「もしもだが、本選1回戦で戦えば・・・・

 イヤ、あの生徒会長の事だ、それも先に手を回しそうだし

 そう考えると、まず勝てないな。」


「テツオ、そこまで言ッテおいテ、それは無責任でナイの?」


「俺は喧嘩はするけど

 他人に誂えられた、お遊戯対決に興味は無いし

 だいたい作戦や戦略と言った事は

 俺の役割じゃ無いからな。」


「なら、誰が、ソレを考えるの?

 ニニスですら、アノ調子ナノよ。」


 天才ニニスだが、ソレは科学者としてで

戦いに置いて、的確な判断力や思考がある訳ではない

それは、生死の掛かった死闘を何度も繰り返した鉄雄は

元から理解していたし

絶対的な強さを誇ったまま、前線で戦いながら

戦場の全てを把握し、常に相手の思考を先回りし

策を練り、圧倒的不利を覆す

そんな事が出来る人間は、鉄雄の知る限り

【三千風】の名を冠にする、変人親子の3人だけである。


「ニニスは、どこまで行ってもニニスだしな

 まぁ、作戦を考えるなら・・」


 一度目の前で寝ている紫音に目が行くが

紫音が行う作戦は、勝つ為ではない

どこまで面白さを追求するか!である

それに、学園での紫音は変態であり無能である

意見を求めるだけ無駄であった。


 他の人間で・・と考える

コレが、ボードゲームや

1対1や、数人での対戦でなら

それなりの思考を巡らせる人物は居るが

9対9の多人数戦闘で、その全ての思考を読み

行動を予測し、戦略を組み立てる人間なんて

どう考えても、1人しか居なかった。


 そう、机にかぶりつき

一心不乱に、ペンを走らす人物を指差し

 

鉄「アカネなら

 いい作戦を考えれるんじゃないか?」


愁「アカネか・・・・・。」


 少し、口ごもる様に、アカネの名前を口にする愁。


 愁と茜は同じクラスではあるが接点は無い

1年以上同じクラスだが、愁は茜と会話した覚えがなかった。


 基本仲の良いクズクラスにも、派閥ではないが

仲良しグループみたいな物があったり

グループに属さない、1人で居る人間も居るのだが

その両極端に位置するのが、いわばこの2人である。


 愁はそのカリスマに近い統率力で

グループのリーダー的役割だったり

クラスの女子の中心人物であるが

茜は、自身優先

その人生を漫画に費やし生きている

学園に居ても、他人と関わりを持とうとしない人物である

学園に来る意味を問えば

「漫画を書くのは何処でもできるでござるし

 学園に来れば、情報収集も出来る

 それに漫画のネタが転がっているでござるよ。」

と言うくらいである。


 そんな茜に、愁は初めて声を掛ける。


「アカネ・・・ちょっとイイ?」


 眉間にシワを寄せ睨みつける茜

怒っている訳ではない

机の上の原稿に集中して居る茜

視力の弱い為ついつい目を細めてしまうのだ。


 そして、最近、何度か鈴の手料理弁当を差し入れして貰っている為か

すこぶる調子がよく、ペンが進む

この調子だと、連載漫画以外にも夏コミの原稿も早く終わり

三千風家デビューも近いと、機嫌が良かったりした。


「ん??なに?用事でござるか?」


 そして、愁は、少女漫画は多少見るが

このオタク文化と言われる独特の個性は未だに理解できずにいたし

よほどの事が無いと

茜と話す事は無いだろうと思っていたが

それが今来るとは・・・と


 愁は、先ほどの鉄雄との会話を茜に伝え

それを踏まえた上で、茜にいい作戦は無いかと聞く。


「そうでござるか

 鉄雄殿の言われる様に

 あの生徒会長の事でござる

 トーナメントの配置はイジってくるでござるな

 最低でも1度、上位クラスとの対戦は免れぬでござる

 それに勝つ方法でござるか・・・・。

 対戦相手も分からぬでは、作戦は立てられぬでござるし

 情報がすくなすぎるでござるな

 それでも極論で言えば

 強い人間を選出するに限るでござる。」


「やっぱり・・・そうナルな。

 なら、アカネなら、誰を選ぶ?」


「そうでござるな・・・・・。」


茜は、一度クラスを大きく見渡すと・・・。


「サッカーに例えるなら

 ゴールキーパーに、ニニス殿は鉄板であろう

 フォワードに、愁殿と、鉄雄殿

 ミッドフィルダーに、カレラ殿

 バックスに、玲羅 (レイラ)殿・・・・・・。

 切り札に後2人・・・入れたい所でござるが・・・。」


「後2人?」


「たぶん無理でござるよ

 1人は、参加したくても出来ない状況にされるであろうし

 もう1人は、絶対に動かないでござろう・・・。

 それでも、上位クラスと当たるなら

 この5人は絶対に外せないでござるよ」

 とくに、ニニス殿と鉄雄殿は要でござるよ

 戦略的に勝つ方法を作るなら

 この2人は必要でござるな。」


「テツオが?」


「当たり前でござる

 あの学年ランク1位の桃太郎殿

 あれに勝てる可能性を持っているのは

 たぶん鉄雄殿だけでござるよ

 もし、鉄雄殿が、クズクラス以外であったなら

 2学年の生徒が警戒する人物の中で

 トップ5に入るでござるな。」


「どうイう事?」


「どうもこうも

 クズクラスが勝ちあがれると

 誰も思っていないでござるよ。

 2学年で最も警戒する人物で考えると

 トップが、桃太郎殿で間違いは無いでござるが

 2位が、桜殿

 3位が、四条優美殿

 4位が、カレラ殿

 その次5位が、鉄雄殿でござろうか・・・。

 その上位3人が、Bクラスで

 2人が、クズクラスでござるが

 他のクラスからの、クズクラスの戦力は

 鉄雄殿と、カレラ殿がメインで

 愁殿や玲羅殿が続きはするでござるが

 それだけでは、上位チームに勝てないと判断してるでござる。」


 愁は納得するしかなかった。


 愁も武力と言うなら多少の自身もあるが

それでもまだ、桃太郎や桜に勝てる自信はない

優美には純粋な武力では勝てるが

魔法戦闘となれば、全てをそつなくこなす優美に勝てる自信はなかった。


 だが、アカネの「戦略的に勝つ方法」と言う言葉を聞き逃さなかった


「上位クラスに勝つ方法ってナニ?」


「簡単な事でござる

 まず模擬戦の予選か

 又は上位クラスと対戦するまでに・・・・・・・・・





 と、言うことでござる。

 ただ、心の問題が有るでござろう、イヤなら

 自分で他の方法を考えることをお勧めするでござるよ。」


「そうか・・・・それなら可能性は・・・。」


 そう、茜の言う事は簡単な事であり

それを行うのも、たぶん簡単な事だ

ただ、それを行うのに

敵味方全員の良心と言う物が傷つく事だけは理解でき

それを、自分自信が行えるかが問題であったが・・・。


 確実に上位クラスに勝てる小さな道筋が見えた事もたしかであった。


 その為にも、ニニス・カレラ・鉄雄の模擬戦の参加は絶対条件となったのだ。

 



*******



 勝つためなら

一切の不安材料など有ってはならない

そして、鉄雄の指さした人物は

不安材料しかない人物である

ある意味、その男をメンバーに入れるくらいなら

戦えなくても、やる気のある、キラの方が100倍マシである

だからこそ、吠えた!


 だが、愁は大事な事を忘れていたのだ

そう、ここが、クズクラスと呼ばれるクラスだったことを。


鉄「愁こそ、知らないのか?

  この男の、面白さを?

  この変態、ヤルべき時には何もしない男だが

  何もナイときは、もっと何もしない男だぞ。」


愁「ソレを

  役立たずって言うノヨ!」


鉄「だが、何かをヤラカス!

  絶対に、笑わかせてくれるぞ!

  とくに【俺】を!!」


 自慢げに大見得を着る鉄雄に

呆れ顔のキラだが


 勝利への絶対条件である3人が

その変態の参加を希望する以上

これ以上文句を言って怒らせれば

模擬戦に出ないと言いかねなかった。


 元々、クルージングに全く興味を持たない3人であり

その3人が、指を指された変態と、とても仲がいいのである

変態の参加を強く否定すれば

へそを曲げて、本気で参加しない可能性があるのだ

まったく、ニニスとテツオは、他人の迷惑を考えない自己中だ!

ならば、事を荒げずどうやって事を収めようかと

眉間にシワを寄せ、鉄雄を睨む愁。


鉄「じゃぁ愁

  皆に聞いて多数決で決めようぜ?」


 この申し出には、愁も喜んだ。


 クラスの皆はクルージングに行きたいはずだ!

ならば、テツオに賛同するわけがない!!!


愁「いいゾ

  IAのライブに行きたい皆が

  その変態の参加を喜ぶワケがない!」


鉄「わかってない

  愁、お前は、わかって無さ過ぎる。

  皆、愁の考え道り

  強い奴集めて、ただ勝って

  クルージンぐに行きたいか?

  IAのライブを見たいか?

  それとも、この変態が

  何をやらかすか、見てみたい気はないか?

  それに、絶対どこかで当たる

  2-B、鈴との兄妹対決とか

  それにこの変態入れたまま、決勝行ってみろ

  その時どうなるか?

  その後にある、3年との模擬戦

  あの生徒会長と、この変態ぶつけてみるとか?

  想像しただけで、笑えるだろう?

  紫音の参加を認めるやつは手を上げろ!」


 歓喜に沸く、クズクラス

何人かは、愁と同じく強く否定したが

その答えは、数えなくても分かった

誰が見ても圧倒的な差であった。


 当たり前だ、皆クルージングには行きたいが

所詮変わり者の集団である

未来の、クルージングより

目先の、面白そうな事である。


 そして、何よりも

アノ変態が、何を起こすのか

どんなバカな事を思いつくのかと・・。


「ちょっとまてーーーーーーーーーーいぃぃ

 なんで、俺が参加しなくちゃいけないんだよ!!」


寝たふりをしていた紫音が

両手を震わせながら、立ち上がった。


鉄「もう決まったから。」

ニ「シオも戦うなのよ。」

カ「面白くなりそうね。」

キ「シオン、何もしなくてイイから出ろ。」

愁「シオン、邪魔しタラ

  腕の1本は覚悟しといて。」


 その後も、クラスの人間から

叱咤激励を受ける紫音。


 紫音も、クズクラスの事は理解していた

そう、調子に乗ったクズクラスの連中ほど怖いものはない・・・

こうなったら模擬戦参加は、自分の意思では覆らないと・・・。


 ならば、しかたがない

皆が期待する以上

俺が何かを仕出かさないと連中は納得しない!

そして、俺は期待を裏切らない男!!


 ・・・・・と紫音は


【逃げてやる!

 模擬戦になんて出てたまるか!!

 人前に晒されるパンダじゃ有るまいし

 だれが好き好んで、そんな物にでるんだよ

 絶対に逃げてやる!!

 バックレテヤル!!】


 と心に誓う!!


 そう、クズクラスの連中も忘れている

紫音、この男、いやなら何処までも逃げると言うことを

その逃げ足は、あの四条優美からも逃げ通せるほど

またその逃げ出す姿さえ確認できないと思わせるほどに・・・。



 紫音の拒否権の主張は無視され

紫音の参加は強制的に決まるが

まだ9人には足りない。


 現状、参加希望の人間の中で

強いだろう人間を選出していく


 今、決まっているのは


前衛が、鉄雄・愁・太志

後衛遠隔攻撃が、カレラ

自陣 (シンボル)防御に、ニニス

女性選手相手に、栄斗

おまけ、紫音

7人である。


 キラは、適当にギターを鳴らし

黒板を睨みつける。

 愁も黒板を眺めながら・・・


キ「とりあえず、あと2人だけど・・・。」


愁「そうだね

  後衛と言うか

  純粋な魔法使いガ居ないのガ問題?」


 そう、選手として参加したい人間は

全員が近接戦闘を得意とする・・・・

いや、ただの喧嘩好きな人間ばかりである

その中で、太志がすでに選ばれているのは・・・

ただ単にこの男は、お笑い担当でもあるが強い

クズクラスの存在を、印象づけるのに

適切な選出ではあるが。


 なにせ、他の存在が濃いすぎて

太志ですら・・・影が薄い。


キ「あぁ、カレラの銃は強力だけど

  純粋な魔法使いが欲しいな・・。」


愁「それは、本選でいいダロ?

  今は時間がないんだ

  とりあえず、あと2人

  この中から選ぶゾ」


 愁は考える

今回は、予選で

対戦相手も、上位クラスではない下位クラス

ランカーと言われる、学年上位30人は

ほぼ全員が上位A~Cの3クラスであり

予選で、ランカーと当たらないなら

ほぼ苦戦は無いと考えるが・・・。


 すでに決まったメンバーは

不安要素が大きすぎるのだ


 数の内に入らない変態と


 女性相手なら無敵を誇るエロトだが

男相手なら、変態と同様に役に立たない。


 この時点で、9vs7のハンデ戦なのだ


 だが、以前に茜から聞いた作戦を行うには

ハンデ戦の方がやりやすいのも事実であった。


 そうといっても、時間制限のある戦いでもある

制限時間が来れば、残りシンボル数か

残ったメンバー数によって勝敗が決まる


 最悪の場合、相手が逃げ切りを考えるなら

残りメンバー数に不安を残す。


 変態とエロトに戦闘能力を期待できない

まず戦えば負けるだろう


 相手がランカーであろうと

自分とテツオが、負けるわけがない

そして、ニニスと、カレラ、最低4人は生き残る

もしもが起こったならば・・・・

自分とテツオで相手を全力で減らせばいいだろう。


 予選なら、玲羅の参加もいらないだろうし

とりあえず、黒板に書かれている何人かの名前に不満は無い。


愁「そうといってもね

  もう、じゃんけんで決メレば?」


キ「時間も無いし

  予選はそれでいいか?

  本選に入れば

  どうせ後9人決めないといけないんだし。」




 ラスト2人は、じゃんけんで決められたとさ・・・・・。



 

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