8話 それぞれの週末、その5 鈴
午後3時
鈴は桜の家を訪ね、玄関で挨拶するも返事が無かったが
気にせず、そのまま鍛錬場に足を向けた。
そこには、既に修行を始めていた
息を切らし戦う4人の可愛い後輩の姿と
後輩に負けじと汗を流し戦う優美の姿と
申し訳ない程度に、参加しているかんなの姿があった。
ただ、その6人の相手は、汗1つかいていない桜である。
とりあえず・・・戦わない夏目も
後輩に感化されたのか、後輩4人に動きの指示を出しはいた。
私の姿に一番に気がついたのは桜・・・と言っても
家に上がるとき、一回念話で挨拶したから
知っていて当たり前でもあるんだけど
鍛錬場に入った私の姿を確認すると
適当に6人と戦いながら、私に向けて手を振るしまつ
まぁ、普段の修行を見ていたら
6人相手なんて楽勝だろうけど・・・
優美ちゃんの・・・悔しそうな顔は・・・。
仕方ないでしょ・・・相手は桜だよ
優美ちゃんが強いって言っても
勝てる訳が無いと思うよ。
とりあえず、桜の行動で
私が来たことに気がつきだしたから
「ヤッホーーー
みんな、がんばってるね~~~。」と
一度みんなと挨拶して休憩を挟む事となる
まぁ、休憩を言いだしたのは、かんなだけどね。
それは、私が持っていた大きなカゴを見て核心したのか
「私の嫁が、手ぶらで遅れてくるわけがない!
絶対オヤツがあるはず!!」と力説し
後輩ちゃん達が目を輝かせて・・・
いや、桜達も含め全員が目を輝かせている・・・。
一度かんなに「嫁じゃない!!」と
つっこんで何時ものルーティーンを行い
「そりゃ・・・有るけど。」と伝えると
喜ぶ8人の姿がそこにあった。
「とりあえず、バイト(料理の修行だが、説明するのがめんどくさいのでバイトと言っている)の合間に作ったから簡単な物だけど。」
桜と、雫ちゃんと、ひろみちゃんが
台所へ飲み物を取りに行った間に
手にもっていた、大きめのバックから
ゴソゴソと、軽く紙に包んだ食べ物を取り出していく。
それを見た・・・かんな
「鈴ちゃん・・・これは?」
鈴「焼き・・おにぎ・・り・・?・・・フィッシュバーガー?」
何故か疑問詞で答えてしまった私に、かんなが
「いや・・・・違うし!」
夏目は、じっくりと観察し
「ライスバーガー・・・みたいですが・・・
この魚、油で揚げてないですよね?
それに、この匂いはお味噌の香り?」
涼子「すごい、こんな料理初めて見た!」
千秋「うん、初めて見たけど、見ただけで美味しいのが分かる。」
優美「独創的と・・言いましょうか
さすが鈴ですね、こんな料理を作り出すなんて。」
とりあえず、人数分だしながら説明する
「バイト先で貰った真鯛を切り身にして
味噌焼き作ったから
簡単に食べれるように、パンにでも挟もうと思ったんだけど
パンが無かったし、やっぱり味噌にはご飯かな~~って
ご飯をパン替わりに、薄く丸い形にして
焼きおにぎり見たいな物を作って挟んでみたの。」
優美「それが・・・この・・・
言うなれば、真鯛の味噌焼きグリルドライスバーガーでしょうか。」
鈴「まぁ・・・思いつきで作ったから
名前なんて、なんでもいいけど・・・。
優美ちゃんの、真鯛の味噌焼きグリルなんたらで・・
でも、長いね・・・やっぱり、フィッシュバーガーのほうが?」
千「鈴先輩!フィッシュバーガーだと
名前と実物が一致しませんよ!
ここは優美先輩の・・・なんたらで!!」
その後も、みんなして、笑いながら
「じゃぁ、なったらで!」と連呼するものだから
優美ちゃんが、少し照れたような、恥ずかしがってしるような顔で
「真鯛の味噌焼きグリルドライスバーガーです。」言い切った
か「おk!フィッシュバーガーは、それでイイとして
鈴ちゃん、次は何が出てくるの?」
鈴「かんな、今、次が見たくて・・・切り上げたでしょ?」
か「わかっちゃった?」
夏「鈴で無くても、わかりますよ
それで!鈴、次はどんな一品ですか?」
なっちゃん・・・結局は、かんなと一緒じゃん・・・・
優美ちゃんや戻ってきた桜や、ひろみちゃんも期待を膨らましてる・・・。
「もう一個有るけど
こっちは、普通のエビの天ぷらの、天むすだよ。」
そういって、軽く紙に包んだ、天むすを並べていく。
か「鈴・・・・これのどこが、普通の天むすなの・・?」
鈴「え?どう見ても天むすでしょ?」
かんな達を見れば
全員が、先にだした、フィッシュバーガーの事も忘れ
視線が、天むすに釘付けになっていた。
三角の形のおにぎり
持ちやすいように海苔が巻かれている
ただ、おむすびの倍の高さまである、巨大エビ天
その尾は、その存在感を見せびらかす様に
大きく開かれ、元のエビの大きさを想像させるのには十分だった。
優「り・・・鈴・・・
聞いてもよろしいでしょうか?」
鈴「なに?」
優「この・・・おにぎりの大半を締めている
大きなエビの天ぷら・・・
この、平たいエビの尾って
もしかしてですが・・・このエビは・・。」
鈴「ん?」
優美ちゃん、おかしなことを聞くな?
この大きさのエビって、そんなに種類が居ないでしょ?
鈴「うん伊勢海老だよ
バイト先で、お客さんから10匹ほどおっきいの貰ったから
何か作ろうと思って
真鯛もそうだけど
生だと持ってくるまでに鮮度落ちるから
天ぷらにして火を通したの
ご飯は天つゆで味付けして相性良くしてあるし
こっちも手で持って食べやすい様に
おにぎりにして海苔で巻いてみたんだけど?
なにかヘン?普通の天むすでしょ?」
夏「そうでした、鈴はそう言う人間でした・・・。」
か「うん、これを普通と言ってしまう鈴・・・
うん、相変わらず、いつのも鈴ちゃんだ!!」
優「さすがに・・・私も
伊勢海老の天むすなんて
聞いた事も、食べた事もないです
それも、このサイズの天ぷらなら
伊勢海老の元の大きさは・・・。」
後輩ちゃんたちは・・・
私に遠慮してか何も口に出さなかったけど
それが伊勢海老だと知った時の驚いた表情と
その後に、私の顔を見た、なんとも言いがたい表情は
きっちり記憶したからね!!
だけど、ちょっとまって・・・
私が変なの?
普通でしょ?
さすがに、生きたまま持ってきて
真鯛の活け作りとか
伊勢海老の造りを作らなかっただけ普通だと・・思うんだけど?
何が悪かったの?誰か教えて・・・・・って。
ダメだ、桜以外、私を見る視線が諦めモードに入ってる・・・。
すでに、手遅れであった
鈴が何を言おうが無駄でる
常識はずれの鈴
その全てを引っ括めて鈴だと
付き合いが短い、後輩4人すら
その事に納得してしまったのだから仕方が無い事だった。
ただ、フィッシュバーバーも、天むすも
極上の美味しさであった事だけは確かであった。
うん、みんな、美味しそうに食べてる
予想通り、味噌焼きより、天むすの方が評判がいい
やはり、若い女の子はエビが好きだよね
紫音なら、絶対真鯛の味噌焼きだろうけど。
あ、そだった。
昨日の晩、紫音にお願いしてた魔法を
さっき渡して貰ってたんだった。
「食べながらでイイから、ちょっと聞いてね。」
私に視線が集まる
「とりあえず、後輩ちゃん達が強く成る為にって
色々考えてみたんだけど
やっぱりてっとり早いのは、新しい魔法かなと思って
知り合いと(紫音とは言わない)相談して
4人に合った魔法を作ってもらったから使ってみて。
ただ、少しクセの強い魔法だけど
使いこなせれば、絶対に強くなれるのは確かだよ。」
後輩ちゃん達は「おぉ~~~」と喜びの声を上げ
かんなは「私のは?」と言い出したから
「あるわけがない!」と答えておいた
「でもね、その知り合い変わり者でね
色々条件付きの魔法なの。」
「「「「????」」」」
意味が分からないと言う顔の後輩ちゃん達に説明していく
条件付きと言ったが、簡単に言えば
魔法製作者権限で魔法式等のプログラムの中身が見えない事や
使用者権限として、登録してある人間しか使用出来ない事や
プログラムを開くパスワードは、3回間違えると
自動でデリート(消去)プログラムが始動する仕組みとか
また、魔法の譲渡や、コピーが出来ないよう
すでに、私が昔使っていた、魔法デバイスに登録してあり
そのデバイスは、頑張っている後輩ちゃん達に
お古で申し訳ないけど私からの【プレゼント】と言うことで
あげる事を伝えていくと
何故か、魔法よりも・・・
私のお古のデバイスの方が喜んでいた気がする・・・。
まぁまだ、知らないから・・・
そのデバイスに内蔵された
紫音が作った魔法の何たるかを・・・。
昔使っていた魔法デバイス
一般的な腕輪型デバイス・・・・外見はである
中身は全くの別物、その仕様なんて私は興味がない!!
そのデバイスと、紫音が作った、簡単な魔法の使用説明書の紙と共に
雫ちゃんから、順番に後輩ちゃん達に渡していく。
4人の特徴に合わせた魔法である
合宿で4人の身体能力を把握し
昨日の桜との特訓を観察していれば
4人の長所や短所も見えてくるし
自ずと何が足りないかは分かる
後はそれを紫音に、伝え
4人に合った魔法を創作してもらった。
1人に対し、3個から数個の魔法が登録してあり
全ての魔法が違う魔法でもある。
かんなは、雫ちゃんの後ろから
説明書の紙を覗き見をして・・・・。
「この魔法名って・・・何?」
「それね、さっきも行ったけど
この魔法式書いた人って、ちょっと変わり者でね
その人の魔法って、全部そんな感じの名前なのね。」
「変わり者、誰だろう?
有名な魔法学者に、そんな人は居なかったと思うし
でも、鈴のお母さん関係なら・・・。」
ブツブツと言いながら考え込む、かんなである。
後輩ちゃん達4人全員に行き渡ると
真剣な表情で、説明書と、睨めっこをしている・・・。
「私もどんな魔法かはよく知らないけど
基本は普通の魔法とそうは代わりないと思うから
攻撃系魔法以外は、適当に練習してみたら?」
一番魔法が少なかった雫ちゃんが立ち上がり
一度、桜を見るが・・次元の違う強さに
どんな魔法を使おうが、無意味と理解し
優美ちゃんに向き直すと申し訳なさそうに・・・。
「優美先輩、少し手合わせお願いできますか?」
多少、桜と戦った所で
雫ちゃん達の、へっぴり腰は治らないけど
優美ちゃん相手に、それなりの動きを見せる雫ちゃん
そうといっても雲泥の差は有るが
優美ちゃんが手加減をして
雫ちゃんの動きやすいようにしている
桜と違って、大人である。
でも優美ちゃん、それじゃぁダメ!!
そんなに甘やかしたら優勝できない。
それでも雫ちゃんは、紫音の魔法を何か掴んだのか
それとも魔法になれたのか、魔法の意味を理解できたのか分からないけど
徐々に動きが良くなって来た事は、見ていて分かる。
それが、どんな魔法で、どんな効果が有るかなんて
私には理解不能だけど、雫ちゃんの動きを見て、かんなが
「そうか・・・アレは・・そんな意味が
でも、あの魔法だけでは・・でも・・・
・・・そんな訳はない・・・現代科学魔法では・・ありえない・・・・」
そんな事をブツブツと・・・・言ってたと思ったら
「鈴ちゃん・・・あの魔法・・・中(魔術式)見して!」
聞かれると思ったし、そんな人間がいるから
紫音が魔法プログラムに、ロック掛けてる訳で
「うん、無理
私はパスワード知らないし。」
「やっぱりか~~
どんな魔法式なんだろう・・・。」
千秋ちゃんも、涼子ちゃんも
新しい魔法を、確認しながら、いくつか試し出すが
ひろみちゃんだけは、未だに説明書を熟読している。
それもそのはず
戦闘タイプとしては完全に後衛魔法士のひろみちゃん
それも、得意な魔法属性も【木】と言うのだから
私に似ているのかもしれない。
もし後輩ちゃん達が4人PTを組むなら
PTの頭脳は、ひろみちゃんだと思う
料理で培ってきた、周りを見る能力や
全体を見渡し、流れを読む能力は
4人の中で、ピカイチ!だけど
1年の模擬戦は3人PTなのだ
そうなれば、攻撃力も攻撃手段もほぼ無いであろう
ひろみちゃんが外れるのは仕方がない事でもある
そうなると、涼子ちゃんの出番だけど
ただ考えすぎて、フリーズしたり
説明が細かくて長くなるのが
涼子ちゃんの、長所であって短所でもあるのよね。
完全後衛の、ひろみちゃんに渡した魔法は
支援や、付加が多く
魔法数も10を少し超えていた。
そんな、ひろみちゃんが青い顔をして
「り・・・鈴先輩・・・この魔法・・・・。」
って聞いてくる、かんなが、ひろみちゃんの持つ
魔法の説明書を覗こうとすると
ひろみちゃんは、見えないように隠しながら私にみせてくる。
「あぁ、これね
この説明書にも書いてあるけど
もしもの時以外、それこそ命の危険が侵されない限り
使っちゃぁダメだからね
そして、誰にも言わないこと。」
真剣な顔で、首を何度も縦に振る、ひろみちゃん
「まぁ、使用権限と、変な魔法名だから
使わなければ、その効果は分からないだろうけど
とりあえず、この2つの魔法は
1人の時に練習しておいてね。」
「は・・・はい!」
「でも、アレだよね
相性の良い属性が【木属性】だと色々苦労するよね
他の属性と違って特殊な属性だから
攻撃魔法も、ほぼ無いし
そりゃぁ落ちこぼれ属性って、言われるよね。」
属性魔法の中で、上位で有る【光】と【闇】
そして、6属性と言われる、火・水・風・土・雷・木
この中で、【木】だけは他7属性と違い
魔法のそのもの仕組みが異なっていた
火魔法なら、魔法を発動すれば、魔力で炎の塊が出現し
そのまま攻撃に移れるのだが
木魔法は、
魔法の発動から魔法が完成するまでタイムラグが大きく
完成され具現化されても、それは木や植物に近い具現化なのだ
動かす事もできるが、その動きは遅い
攻撃には向かない魔法
多く多用されるのは、木の壁を作り出す【ウォール】系くらいである
また、木属性は、その特性でもある【成長】と言う特徴を使い
【回復魔法】(紫音に言わせれば、成長促進を使った、自然治癒)
と言っても、多少の擦り傷の血を止める程度である。
回復魔法より、絆創膏と言うのが、この世界の常識である。
その為、木属性と相性の良い人間は
使えない、落ちこぼれ属性より
木属性と最も相性の良い【水】属性を遣う人間が多いい。
「で・・でも、鈴先輩。
この魔法が、広まれば・・・。」
「そうだろうけど・・・・
大きな力には、それなりの代償が有るしね・・・。
それに、その魔法は、使い方を間違えると
人間の寿命を縮める事にもなるから
私も命の危険が無い時以外は使わないし
今まで使った事もないよ。」
説明書を持つ、ひろみちゃんの手が震え
怯える様な瞳で、私を見つめ・・・。
「でも・・なんで、そんな魔法を私に・・・。」
「もしもの時の為にかな・・。
私がその時に傍に居られればいいけど
何か有った時に、雫ちゃん達みんなを守れるのは
ひろみちゃんだと想うから。」
「私?」
「うん、でも、まだまだ修行不足!
包丁の使い方がなってない!
まずは、大根の桂剥きが出来る様になってからね。」
私は立ち上がって
目の前に座るひろみちゃんの頭に手を置き優しく撫でる。
そうでもしないと、頭を撫でれないから・・・。
鍛錬場を見渡すと
後輩ちゃん達3人と、優美ちゃん達が
軽い手合わせをしながら、新しい魔法をためしていた。
「それじゃみんな、攻撃魔法も使って手合わせしようか!!」
その言葉に驚く皆(桜以外)
今までは、大きな攻撃魔法は無しで
桜と戦っていたみたいだけど
攻撃魔法も使った練習もしないと
模擬戦で優勝できない!!
私は目的の為なら優美ちゃんほど優しくはない!!
そこからは
私と桜 VS 後輩4人と優美ちゃんの形になった
かんなは、マジ物の練習はイヤだと断り
夏目は戦うきなど、初めから有りはしない。
本気モードの優美ちゃんが、メインアタッカー
雫ちゃんが、サブアタッカー
千秋ちゃんが、遊撃
涼子ちゃんが、遊撃とサポート
ひろみちゃんが、後衛とサポート
魔法使用しての、本気の戦闘だけど・・・。
私と桜に勝てるわけがない。
ある意味、桜と私のコンビネーションは完璧だ
だって念話で細かく指示してるしから・・・。
私が全体を見ることで
桜は戦いに専念出来るし
なにかあれば、念話で指示できるから
桜は縦横無尽に動き回り、優美ちゃん達の攻撃を捌ききり
後衛、遊撃、遠隔、魔法攻撃は、私の結界で全て防ぎきる
後衛にも、緊張感を与えるように
ダメージが極小の魔法を飛ばす。
本当なら、連携とか位置取りとか教えたい
時間も無いのも有るけど
まずは、戦いに慣れる事
リアルの人間に対し
武器を本気で振れない事には攻撃の意味が無いし
魔法も本気で撃たないと意味は無い。
優美ちゃんと後輩ちゃん達5人が
全力でそれが出来る相手が、桜と私だ。
だって、絶対に負ける気はしないし
桜が、攻撃を喰らう所など想像できないって言うか
攻撃を当てられるなら、既に優勝出来る強さでもある。
後輩ちゃん達の魔力が続く限りそれは続く・・。
最後まで立っていたのは、優美ちゃんだ
当たり前だけど、さすがだ!
だけど、桜の強さは次元が違う
うんうん、さすがは桜!自慢の大親友!
桜と手をつないで、喜んでいる機嫌の良い私!
すでに当初の目的を忘れ、喜ぶ私を放置して
その影で私の異常性を語り合う、優美ちゃん達
か「どう思う・・・」
千「おかしいですよ、あの魔力操作
鈴先輩って、ツヴァイ(同時に魔法を2つ起動できる)ですよね?
あの防御魔法結界って、どれだけ同時に発動してるんですか?」
涼「千秋・・・それ、この新しい魔法でもできる。」
か・優・千・雫「え?」
涼「私が貰った魔法なんだけど
この魔法なら、1つの魔法で数個の魔法が出せるの
それも、1つのデバイスで
でも、同時に2つ出すのに
とてつもない演算力と時間がかかるの
私も練習してみたけど
2つ出すだけで、発動時間が倍以上かかるのに
それを何個も・・。」
雫「それに、あの魔力に判断力
桜先輩との連携
鈴先輩って、本当にランク外なんですか?」
か「だよね、アレでまだ本気じゃなかったみたいだし
あれだけ戦えるなら、なんで授業で見せないんだろう?」
千「アレで、本気じゃないって・・・。
桜先輩も強すぎですけど
鈴先輩も強すぎですよ。」
優「そうですよね、どうやったら
アレ程の強さを手に入れれるのかしら。」
鈴の異常性を話あう5人の横で
その内容を、全て記憶していく夏目の姿と
最後尾で魔法を使っていた為や
見た目では、分からないその魔法属性の為か
世間に知られていない【木属性】の魔法の姿を感じ
そのスゴさに、1人感動する、ひろみの姿があった。
この後、時間の有るときは
後輩ちゃん達4人は、桜と鍛錬を繰り返す。
私も、誰かが居ない時は参加し鍛えていく。
そんな、普通の日常は続いていった。
その間、紫音達が影で何をしようが、私には関係が無い事だ。
ただ、毎日晩ご飯を作る身だから
何が食べたいとか、帰る時間とか
昼に何を食べたとか、帰りに何か食べてきたとか
キチンと紫音自身が連絡を入れる事だけはさせている!
6月に入ると、模擬戦に向けて
中等部生徒の、デュエルが禁止される
これによって、選手潰しと言われる
理不尽な戦闘は無くなったけど
学園の雰囲気は、未だに険悪ムードである。
その雰囲気は嫌いだけど
中等部が模擬戦に向けて集中しだしてからは
あの生徒会長事で、私に向けられていたイヤな視線は徐々に無くなり
今では、あの事件の事さえ忘れ去られていた。
そして、学年別模擬戦が、開始される頃には。
私と桜が、鍛えに鍛え上げた後輩ちゃん達4人
その強さは飛躍的に伸び
対人戦で、やっと戦いと呼べる戦闘ができる様に・・・・。
そう、未だに他人を傷つける行為に躊躇を見せるけど
それなりに・・・形になったと思う
この調子なら1年も経てば、雫ちゃんはランク上位に
千秋ちゃんと、涼子ちゃんは、ランク30位以内に
ひろみちゃんは・・・・うん、なしで!!!
最終的には優勝が決められるのは
7月初めにある、模擬戦最終日
それまでに、優勝が出来るくらいには鍛え上げてみせる!!
鈴は、自身の模擬戦の事をそっちのけで
後輩の強化に闘志を燃やすのだった。




