表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/166

3話 料理長の苦難 ・ グラス専門店 ・ クッキー事情 の3本

 



***********

四条家・料理長の苦難

***********

 

 鈴が、マンゴーゼリーを作り

皆に振舞った、その日の事だった・・・・。


 四条優美は、帰宅を急いだ

家に帰り、メイドに荷物を預けることなく向かった先は

四条家のキッチンだった。


 そして、料理長に声をかけ

バックの中から持ち帰った、マンゴーゼリーを見せる。


 料理長は、それを手に取って一番に驚いたのは

保冷していないのにも関わらず

そのゼリーが、まだ冷たかった事だ

温度を測ると、約9℃だった

優美は、言われて初めて気がつく

そう、その温度は、鈴に渡されて今まで冷たいままだった

それが、まるで当然であり、当たり前の用だったからだ。


 まずは、あらゆる方向から写真をとり

動画でも撮影し、その可愛らしい姿を記録する。


 記録を残すと、構造と味見をする為

まずは、グラスの上から、ナイフを入れる

上から半分に切れ目を入れ、半分にする

そう、半分は原型を残したまま、保存する為だ


 のこり半分を何等分かし

残す方のゼリーを崩さない様に、その一角を、お皿にだし

味見をしていく。


 マンゴーの果実は、高級品なのは理解できた

もともと【沖縄の高級マンゴー】と本人が言っていたと聞いたからだ

ゼリーにも、マンゴーが使われている

こっちは、少し酸味が残る

2種類のマンゴーを使い分けているのだろう

驚いたのは、透明色のゼリーも

きちんとマンゴーの果汁から作られている事だった。


 果汁の中の不純物を取り除いていけば

透明色の果汁はできる、だが、そこに至るまでの手間だ。

 大きな専用機材を取り入れば出来るだろうが

個人の趣味で作る物に、そこまでの機材はないだろう

なら、透明な果汁を取り出すのに、どれだけの工程を行ったか?

料理長は、息を呑む。


 そして、底に有った、色の着いたゼリーだ

お嬢様が言うには、一瞬口の中に上品な甘さが抜けていき

マンゴーの美味しさだけが口に残ったと。


 一口で理解した、とても上品な蜂蜜だと

そして、もう一度、透明なゼリーをひとナメする

微量だが、こっちにも、入っていた

そして、この底にある色の着いたゼリーの方が

使われている果実の濃度が上である。


 もう一度、ゼリーの入っていたグラスをじっくり見入る

その完成度に、大きくため息が漏れた。


「どうしました?」


 優美お嬢様の掛けてきた声に

料理長は、その帽子を取り

言葉道り【脱帽しました】と


「やはり、この三千風鈴と言う、お嬢様は天才ですね

 初めは、信じていませんでしたが

 時折持って変えられる、料理もすごかったですが

 これ程の、スィーツを作り上げるとは・・

 ハァ・・・・・

 言葉もありませんね。」


「やはり・・・これは、そんなに凄いのですね。」


「はい・・・

 お嬢様は気がつかれて居ないと思われる事もありますので

 少し説明させていただきます。


  まずは見た目、第一印象といいますか・・・。

 フランス料理のコースの最後に出てくる、デザートのような

 鮮麗された美しさではなく

 この球体の天球儀の様な、1つの世界を作り上げた幻想的な見た目は

 そこに有るだけで、心が落ち着き安心をもたらと言ってもイイでしょう

 なによりも、可愛らしい。


  単体で気軽に頂ける、スィーツって言う感じです

 まさしく女子学生が好きそうな見た目ですね

 味はプロを上回りますが・・・・。


  そして、この容器ですが・・・まぁ普通のガラスです

 それでも、熱が伝わり、逃げやすい上部と底が胴部分より小さくなっていて

 温度変化が少ない容器ですね。


  底に敷いてある、圧縮コルクは、熱が伝わらない工夫がされていますし

 グラスがズレないように、焼きゴテで窪みが作られています。


  上部にも、甘みを抑えた、ホイップクリームで閉じ込め

 ゼリー自体の温度を上げない工夫がされております。


  実際、このグラスと専用コースター合わせて、1000円近いでしょう。


  そして、このスプーン、アルミ製のアイスクリーム用ですね

 本来なら、体温を伝え、アイスクリームを溶かしながら掬える物ですが

 冷たいゼリーと言っても、普通のスプーンで救えますから

 発想が真逆・・私も、この使い方は思いもつきませんでした。


  冷たいゼリーや、プリンを食べるとき

 スプーンまで、口に入れる人が多いい事を知っておられますか?

 そこまで考えられた優しい心使い・・・

 冷たい物を連続で口に入れると、舌が冷えすぎます

 このスプーンは、口に入れ下に載せる事で体温を伝道させ

 冷えて舌の感覚がマヒし過ぎたり

  舌の温度が下がりすぎないように、添えられていると思います

 舌の温度が、下がるとが舌の機能が低下しますから

 それを防ぎ、ゼリーの冷たさや甘味を

 最後まで味わえる工夫と言ってもいいでしょう。


  グラスと合う、可愛さもあると理由もあるでしょうが

 このスプーンだけでも200円はするでしょう・・・。


  これを数十個?作ったと言われていましたね

 グラスとスプーンだけで、安くても1200円はするでしょうに・・。

 

  食べた後は、持ち帰っていいと?

 コップにするも、小物入れにして飾ってもと

 まぁ、形が可愛いので、それだけでインテリアになりますが・・。


  とても心遣いのお優しい御方なのですね・・・。

 いや・・・それより・・イエイエ・・・・。


  そうそう、味の方も素晴らしい

 2種類か3種類のマンゴーを使われておりますし

 果実に使われた、マンゴーは、甘味の強いかなりの高級品だと思われます。

  ゼリー部分と、果実で使われている、マンゴーが違いますから

 すこし酸味のある、ゼリーに比べ

 果実の濃厚さがストレートに伝わるように作られてます

 ゼリーも2色と凝ってますし

 それでも個人で透明な果汁を作ることは

 かなり大変だと付け加えてきます。

  そして2種のゼリーの混ざり具合も、プロ級でしょう

 宙に浮いたと思わせる、果実の大きさのバランスも絶妙ですね

 あと、上部から掬って食べる事を考えられた

 甘さのバランス、最後に残る、蜂蜜のアクセント

 ちなみに、蜂蜜と言いましても

 蜂蜜と言うだけで、初めて味わう味なので

 蜂蜜に似た何かかもしれませんが。

  この他にも、プロ級の細かな細工がありますが・・・

 ただ・・・言うなれば

 完成された、最高級のマンゴーゼリーでしょう。


  士族が行く、最上級の高級店では、方向性が違いますので

 これをそのまま出すことは出来ませんが

  フレンチの高級店で、単品スィーツでだすなら

 1つ、2500円、容器の値段は無しで・・・

 これを作るのに、どれだけ試行錯誤された事か・・・。」


「えっ?

 話に聞くと・・

 昨日、マンゴーを頂いて

 友達が、マンゴーゼリーが食べたいと言ったので

 一晩で作り上げたそうですが?」


「・・・・・・・・・。」


 

 その後、料理の難しさを知らない優美は

料理長に対し

「このマンゴーゼリーを、再現できますか?」 

と、恐ろしい事を口にした。


 四条家お抱え、料理長

出来ないなど言えるわけもない。


 この晩、パテシエと徹夜して

鈴のマンゴーゼリーを研究していく

そして、朝方、ゼリーの欠片に、温度計を突っ込んだままなのを忘れ

PCで、一晩で変化したゼリーの温度を表示させた

その温度変化に、驚愕する

そのゼリーの温度、朝まで、9℃±1℃を保っていた

有り得ない事実に、パテシエと頭を抱える料理長だった。


 料理長と、パテシエの2人がこの後、数日に渡って悪夢にうなされた事は

この言葉を発言した、優美は知らない。




*************

とあるグラス専門店の1コマ

*************



 ある、グラス専門店の店長は、喜んでいた。


 形が微妙で、全然売れなかった、球体のグラスがあった

ジュースを飲むにも、グラスの淵は

内側にえぐるほど反り返って居る為

口当たりも悪く、このグラスで飲み物を飲もうと思うと

最後まで飲みきれず、無理をすれば、口の端から溢れるという

グラスとして、最低限の機能すら満たしていなかった。


 これを仕入れた時は、形が可愛いから売れるだろうと

思い切って100個仕入れたのだが

ここ1年で、売れたのは13個と

これは、在庫を抱えているだけで

倉庫を圧迫して場所代だけで赤字となる

他の店に聞けば、売れないし、仕入れは10個ほど

数個は売れはしたが、残りは破棄した

そして、すでにこのグラス、メーカーでは廃盤となっていた

ならば、儲け度外視で

ほぼ原価で、売りに出した・・・

それでも、3ヶ月・・諦めかけた時

大量購入していく、可愛い少女

なんと、一気に50個であった

顔には出さなかったが

これには、おおいに喜んだのだった。


 数日たって、ある50代の男性が、あのグラスの写真を出し

「これと同じ物は有るか?」と聞く


 私は頷いた、そうすると、とても喜ぶ男性

「在庫は何個有るか?」と聞くので


「正確には調べて見ないと分かりませんが

 展示のをいれて、35個ほどあると思います」と答える


 全部くれと言うので

倉庫に取りに行き、全部で37個のグラスを見せる

そうすると、男性は

「この写真のコースターは、このグラス専用では無いのか?」

そんな物は見た事もない。

その男は、仕方がないと納得して

グラスを37個全部買っていった

ただ・・・1個1500円と言う値段に

驚きを隠せてはいなかった。


 先日、このグラスを50個買っていった少女に

この男性の、37個、このグラス、ブームでも来たのかと?

その時は、在庫処分できた嬉しさに考えもしなかったが。


 その後、このグラスと、コースターを探す

けっこう年のいった男性が2人ほど居た事も確かだった。


 ある日、若い女性が、タブレットを出して

あるスィーツの写真を出し

これと同じ、グラスを探していると・・・。


 紛れもなく、アノ、グラスだった。


タブレットの画面には


【ブルーリボン】の新作

【まんまるグラスのマンゴーゼリー】


そして、その美味しさを書いてある文章をとばし

グラスの評価を見る


味      ★★★★★

かわいさ   ★★★★★

包装     ★★★★

見た目    ★★★★★

インスタ栄え ★★★★★


説明文の一文には


可愛い球状グラスの中に浮く、可愛いマンゴーキューブ

そして、グラスを持ち上げた時に、出てくる

コースターの中心に有る、リボンの焼印は

気持ちを、ホッコリさせる

やっぱり【ブルーリボン】やる事が可愛すぎる!


わかった、あのグラスが行き成り売れた理由が!

ネットに拡散された、このお店の、このスィーツの映像だ


「この、お店は何処にあるか知ってますか?」

その答えは、ある文章を指差し

静かに首を横に振る女性の姿で理解できた。


最後の説明文


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


この商品は、個人で作られた、スィーツです。

天才料理人【ブルーリボン】

その料理が食べれるのは、限られた数人のみ

だが、いつか貴方の手元にも届くかも知れない

あの、小さな青いリボンの着いた

絶品の料理や、スィーツが。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




*********

鈴・クッキー事情

*********



 四条家のキッチンで

料理長が、マンゴーゼリーに驚いている頃

三千風家のキッチンでは・・・・・。


 鈴と胡桃が、汗をかきながら・・・・

クッキー作りに励んでいた。


 そうといっても、すでに生地は出来上がっていた

やっている事は、スタンプを押すように

クッキーの型抜きだった。



 リビングのテーブルの上、いっぱいに広げられた生地

それを、可愛らしい動物の型で抜いていくが

数が数、数百枚と言う数である。

 四角や丸と言う形なら

裏ワザとも言える異世界の魔力操作で、一気に切り分けるんだけど

10種類もある、動物の複雑な形はむりだ。


くーちゃんが、型抜きした生地をトレーに並べている間に

型抜きで余った生地を練り直し、再び型抜きをしていく。


 出来上がった、クッキーを業務用オーブンに突っ込んで焼いていく。

30枚程度なら、魔力で焼き上げたほうが早いけど

数百枚を均等にとなると、メンドくさい。


 この世界の理 (ことわり)では

私が使うような魔力の使い方は出来ないし

あの世界では出来ても、その調節は無理に等しい

だって、結界を作り上げて

その中の温度や食材の温度を確認しながら

1℃単位で調節し焼き上げるなんて誰も出来るわけがない

そんな事を思いつかないし、やろうとも思わない

実際、紫音やリルもやっては見たけど

温度を感知する事すら無理だった。


 紫音が言うには

「長年培ってきた技術 (スキル)は

 俺には真似できねぇし、そこに到達できる知識もないしな。

 てつの大工の技術と一緒だ!

 百年掛けても、俺には奴の半分の技術も使える気がしない

 するきもないけどな」と


 今はそんな事より・・

ココア味の生地をテーブルに広げていく・・・。


そう・・・普通のバタークッキーとココアの2種類を焼くつもりだ。


「さぁ、くーちゃん

 これが終わったら

 マンゴーゼリーと【マンゴープリン】がまってるよ!」

 

「うん、がんばる!」


 そうして、動物クッキーの型抜きは全て終わる

流石に合わせて、1000枚を超えるクッキーを一度で焼けない

 まぁ後は1人で出来るので、くーちゃんの手伝いはここで終わりだ。


 そして、テーブルの上には

昨日作った【マンゴーゼリー】と

残ったマンゴーで作った【マンゴープリン】だ

ただし量が少なかったので2個だけしか作れなかった。


 2人で楽しく、スィーツを食べる。

作って見て分かった事だが

プリンより、ゼリーの方がマンゴーと相性が良く美味しかった。

プリンは次回改良しよう!


 そして、のこゼリーなら他の果物でも

同じようなゼリー作れるかな?と

2人で、果物の名前を上げあいってこして笑っていた。


 有力候補は、やっぱり【スイカ】と【メロン】

夏場に向けて、この冷えたゼリーと、涼しげな見た目は合うだろうと

だけど、その時はもう少し大きめのグラスがいいと。


 そんな話をしながら

オヤツタイムは終了し

「手伝いありがとーーーーーーーー!!」と送り出し

くーちゃんは帰っていった。


 夕飯の準備に前に

まず片付けと、ゼリーの容器を洗う・・・・

グラスを傾け中の水を流す・・・・。

そして初めて気が付く

「これ・・・中の水、飲めなくない?」

私と・・したことが!!!

桜や皆には、好きに使ってとは言ったが

明日でも言っておこ・・・・

「これは、飲み物を呑むグラスではなく

 小物入れや、インテリアの1つだ!!」と

・・・・・・うん、絶対笑われる。


 夕飯の準備をしながら

空いた時間で

動物クッキーを焼いていく。


そして、夕食も終わり

風呂も入り、紫音とじゃれあって。


 

 次のクッキーの準備に取り掛かる。

とりあえず、生地を2種類を使った

丸と四角、これは慣れたもので

 ミルク生地にチョコのツブツブを混ぜていく

そして魔力操作で一気に丸型に切り飛ばしていく

これを、ココア生地でもやっていく

後、これを焼いていけば

2種類のチョコチップクッキーの完成だ


残った2種類の生地を2個ずつ4つに分けて

長細くし合わせて四角くし、切り飛ばし焼けば

市松模様とか、もざいく模様と言われる

クッキーができあがる。


 後は、ハートのクッキーだ

これはすこし面倒だけど

すでに慣れた魔力操作でハートの形を作り切り飛ばす

切り飛ばしたハートの生地の中にハートの窪みを作る

後は焼き上げて、自家製のストロベリーのジャムと

ブルーベリーのジャムを窪みに入れれば完成だ。


こはく君と、ギンちゃんの手伝いもあり

スムーズに進む。


 最終的に、マンゴーの人にい贈るクッキーは

まだ数種焼き上げるつもりだし

夏に来るだろう、スイカの人と、メロンの人様に

多めに焼いて、リルに保存して貰うつもりだ。


 今急ぐのは、明日学校に持って行くクッキー。


 男子生徒に、丸を2種・四角を2個・動物クッキーを2個

女子生徒に、動物のクッキーと四角と、丸を2種、ハートを2種だ

 

 この6枚をナイロンの小袋に詰め

男子のは、黄色のチェックの包装紙で包み口を締め

青いリボンを貼り付ける。

 女子のは、くーちゃんが選んでくれた

かわいい動物のプリントがしてある包装紙で包み

青いリボンを添えた。


 最後に、かんなや桜達、仲の良い友達に渡すクッキー

小袋に同じ種類のを4個ずついれ、それを4袋16枚のクッキーを

着物の歯切れで作った、縮緬 (ちりめん)の巾着袋に入れていく

柄は、薄い桃色の下地に桜や小さな花が散りばめられる。


 着物の歯切れは

呉服問屋の孫だし、入手には困らない

それを紫音にお願いして、巾着にしてもらった

口を縛る紐は、綺麗な藍色の江戸打ち紐。


 お願いした以上の出来栄えに

私のキックーが質素に見えてくる・・・。

いや・・・味と・・・量で勝負だ!


 20袋ある、紫音の作った巾着にクッキーを入れていく。


 そして、次なるクッキーの準備だ

今度は、すこし飾りが着いた物や

クリームを挟む高級っぽいクッキー

それに焼き菓子の下準備に取り掛かる。



 次の日、朝の授業が始まる前に

教室の一角にいる2人の女子生徒に声を掛ける。


「愛樹 (あき)ちゃん、古都 (こと)ちゃん、おはよ~~~!」


「鈴おはよう」


「おはよう」


 2人は中等部生徒会の副会長と会計の役職を持つ

そして、最近あの生徒会長と私の事で

色々迷惑を掛かっているだろう事は知っている

だけど、けっして2人は、その事を私に言わない事も知っている

だからこそ、その感謝を込めて

クッキーが入った巾着袋をあげた。


 喜ぶ2人!・・・?

古都ちゃんの感情は読みにくい・・・。


 それを見た、友達が騒ぎ出す!

一回みんなのは無いと!落胆させたあと

小袋のクッキーを、男女別であげていく

一度落胆させることで、喜びがいっそうだ!!

クラス全員分あるので、今いない人には後であげる。


 ちなみに、一度かんなに、小袋のクッキーをあげる

そうすると、愛樹ちゃん達にあげた、袋を確認し

その格差に半泣きですがりついてきた。

「ちゃんと有るよ」と

桜や優美ちゃんなっちゃんにだけ、巾着袋を渡す

かんなには、おあずけだ

そうやって、朝の時間を楽しく過ごす。


 1時限目が終わり、休み時間に入ると

Aクラスの友人の元へ

1年の時から、仲の良かった3人に声を掛けると

巾着袋のクッキーをあげる

1年の時同じクラスだった生徒が

「お前達だけずり~~~」

とか言うので

「しょうがないなぁぁ~~と」

その場にいた数人にだけ

小袋のクッキーをあげた。


 2時限目が終わり、休み時間なったので

Fクラスに足を向ける

いつもの様に騒がしく可愛い幼馴染に

巾着のクッキーをあげ

彼女の友人にと、小袋クッキーを3つ渡す。


 3時限目が終わり、休み時間なった。

こんどは1人ではない

犬・キジ・サルを連れて、ある場所に5人で向かう!


 え? 誰が誰かだって?

サルは絶対、気分屋の【桜】だ!

キジは、見た目が綺麗な【優美】ちゃん。

犬は、誰もが納得【かんな】うん、私の犬だ!

1人わすれてる?

アレは、目の細い鬼役だ

鬼ヶ島についたら活躍してもらおう!


 って行く場所は、鬼ヶ島じゃなくて

1年のクラス、私の可愛い後輩に会いにいく!


 ふふん、この豪華な面々!

・・・たぶん優美ちゃん1人で、十分だけどね。


 1年は中等部本校舎の3階

普段は、2年も3年も足を踏み入れない階

そこへ、優美ちゃんが現れたのだ

廊下から、1年生は騒ぎ出すしまつ


 騒ぐ生徒を無視し

1年の教室を覗き込むと

4人の女子生徒をみつける。


「雫ちゃーーん

 千秋ちゃーーん

 涼子ちゃーーん

 ひろみちゃーーん。」


 私より先に声を出したのは

かんなだった、そして、4人が振り向き

私達を見て、驚きの表情をうかべるのだった!


まぁ、その場にいた全員が驚いていたのは確かだけどね。


ふふふ、おおいに驚け若人どもよ!!


この4人は、学園で初めて出来た、かわいい後輩だ!

私は贔屓し可愛がりまくる!!

それに、雫ちゃんと、千秋ちゃんには

先日、こはく君を助けてくれた恩義もある

そう、雫ちゃん達4人の後ろには

私達4人と

十士族の四条優美が居る事を

1年生全員に印象付ける為だ!


 すでに、4人が私達と仲がイイ事は

けっこう噂になっていた、だけどそれは確信めいた話ではなく

ただの顔見知りと言う噂も有った事も確かであった。


 そこに、私と生徒会長の不仲説!

いや、確実に不仲です!会いたくもない!


 これには、雫ちゃん達も微妙な立場だろう

ならば、グダグダせずに、ハッキリさせる

4人は私達の大事な後輩だと!

それで、誰かにちょっかい出されるくらいなら

目の細いの鬼 (なっちゃん)が、どうにかしてくれるだろう!

うん、そこは他人任せだ!


 まぁこれで、どうにかなると言う事も無いだろうけど

もしもの為に、今のうちに手を打つ!


 驚くも嬉しそうに、近寄ってくる4人

まるで、女子中学生の様に、キャッキャ言いながら挨拶をかわす

相変わらずの、かんなと、桜

言わずと知れた、女子中学生だけどね。

まぁ、優美ちゃんは顔には出さないけど緊張してた。


 そして取り出したるは


 縮緬の巾着袋!


かんなや、なっちゃんは見慣れたソレだ

すでに、筆入れや、ガマ口など、数個あげているからだ

優美ちゃんは、その立場上着物を着るので珍しくはないが

雫ちゃん達は、着物生地である、縮緬すら珍しいのか

目を輝かせながら、覗き込んだ。


「すごーいい」

「わかいいーーー」

「コレなんですか?」

「これって着物の布ですか?」


 ふふ、その驚きよう、久々で新鮮だ!


「クッキー焼いたから

 皆にあげようと思って

 この巾着は、後で小物入れにでも使ってね。」


「えーーーーー」

「ほんとにですかぁぁあああ~~」

「!!!!!!」

「やったーーーー」


「「「「鈴先輩ありがとうございます!!!!」」」」


 そう私は、先輩なのだぁぁぁ!!!

わっはっはっはっは!!!


心で笑うも・・・やばい、なんか紫音っぽい!




 そして、昼休みは

腰を据えて、クズクラスに挑む!!


 弁当を食べ終わると

これみよがしに、机の上に巾着袋をだし

クッキーを、ニニス・カレラ・アリス、3人にあげる

ニニスはその縮緬の布に興味津津で見入る

カレラもアリスも、驚くも嬉しそうに手に取って

お礼をいってくれた。


 クズクラスの生徒達は

昨日の事もあって、騒ぎはしないが

羨ましそうに、こっちをみる・・・・。


だが・・・きぃちゃんは・・我慢ができなかったのか。


「りんちゃん・・・・私の分は・・・・。」


その言葉に息を呑む、クズクラスの面々。


1秒・・・

2秒・・・・

3秒と・・・・間を開け


息を呑む、全員の前で

笑顔で口にする

「しかたないなぁぁ・・・

 少ないけど、みんなの分もあるよ!」


大きく沸く、クズクラスの生徒たちだった。


 小袋のクッキーを男女別で渡していく

ただ、アカネだけは

机まで行って巾着袋のクッキーをあげる

そして、小声でコソコソと話していく

「アカネ、今度サマーアイズの詳しい話きかせて?」と


「く・・鈴殿、クッキーで買収しようと言うのでござるか!」


「ダメ?」


「う・・・口止めされているでござるよ

 鈴殿とかんな殿だけには、絶対教えるなと・・・。」


「へぇ~~~・・・・。」


人の秘密は、好き勝手に調べるくせに

自分の秘密は教えるつもりはないのね・・・

なら私だって、徹底的にいくよ。


「アカネ、明日の弁当で手を打たない?」


「分かり申した!

 じゃが、ほぼシオン殿には教えておるぞ?」


「そうなの?

 そういや、紫音と仲良かったね?」


「この【フランシーヌ・アカネ】

 シオン殿の1番の心の友でござるよ!!」


「そっかぁぁ~~なら、ゆっくり話聞きたいし

 今度家にご飯食べに来る?」


アカネは、行き成り立ち上がり、嬉しそうに大声で叫ぶ


「ほんとうに~~~~ホントにホント?!!」


いつもの雰囲気ではなく、そこには可愛い女子中学生がいた。

だが、その迫力に負けて。


「う・・うん。」


「やったーーーーーーーー!!!!!!

 絶対だよ!!ほんとうに絶対だよ!!」


両手を上げて喜ぶ、アカネ


おーーい、キャラが崩れてるよーーーーーー。



だが・・・。


すぐに落ち込む様に

ペタンと・・・椅子に座り

頭を抱える、アカネちゃん。


「し・・・締切がぁぁぁ・・・月末の締切がぁぁ・・・。」


 

 人気漫画家・・・アカネ先生

その漫画は見たことがないけど

漫画家と言う職業は、とても大変そうだ。


 でも、それは私では解決できないので・・・。


「締切すぎたら、言ってね。

 晩ご飯にご招待するね

 あ、明日は元気になる様な弁当作ってあげる。」


「ありがどぉぉっぉぉおぉお」


泣くほどか!!!



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ