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2話 マンゴーゼリー

 



『りんちゃん、玄関あけて。』


 台所で、夕飯の準備をしていた私に念話で声をかけてきたのは

近くに住む【宮守胡桃】こと、くーちゃんだった


 普段なら、勝手に入ってくる、くーちゃん

実際、私や紫音が家に居る時は、くーちゃんや、てっちゃんなら

無条件で電子鍵は開くはず。


 なぜ?私を念話で呼ぶのかと?

『いまいくねぇぇ~~。』と返事をして

手をすすぎ、タオルで拭くと、玄関にむかい

ドアを開けると。


 ダンボール箱を3段積で抱える、くーちゃんがいた。


「りんちゃん、これ、おすそ分け。」


 ダンボールの中身を見なくても分かる

その嬉しさに、両手を握り小さく上げながら叫んだ

「やった!マンゴーだ!」

だって、箱にデカデカと書かれていたし

毎年、宮守家が貰う、色んな食べ物の贈り物を

おすそ分けして貰っているからだ。


 そして、くーちゃんの持つ箱を2箱もらい

2人で台所に向かう。


「それにしても、今年は4箱も貰ったの?」


 宮守家1箱、私の家に3箱と言う計算だ。


「うん、それで、お母さんが

 クッキーをお願いしてもいいかなって?

 またまたまた、クッキーが好評で

 今年もマンゴーが1箱増えたの

 だから、クッキーを去年の倍・・は嘘だけど

 多めにお願いできるか、だって。」


「わかったって、幸 (ゆき)さんに言っといて。」


「うん、つたえとく。」


 幸さんって言うのは、くーちゃんのお母さんだ

私のクセなのか、私が自分のお母さんの事を【蘭】さんと呼んでるせいか

私の事を我が子の様に可愛がってくれる

くーちゃんのお母さんを、気がついたら【幸】さんと呼んでいた

幸さんも、その呼ばれ方を気に入ってるみたいで

かれこれ、7年以上この呼び方だ。


 そして、宮守家は、1000年以上続く宮大工の家系だ

日本全国を周り、お寺・神社・お城を直してきた

木造建築のエキスパートらしい

そして、代々続いてきた

その顔の広さと、交友範囲の広さは半端ない。


 そして、このマンゴーは

その1人、沖縄の大富豪の方からの、贈り物だ

毎年この時期に送られてくるらしい。

 そして、ここへ引っ越して来てから

毎年1箱おすそ分けして貰っていたんだけど

何時も悪いからと、2年前の時、幸さんにお願いして

お礼に、その人へクッキーを送ってもらったら

かなり気に入られて、去年は、私の家にと2箱と送られ

またお礼に、クッキー送ってもらったら

今年は3箱に・・・・・。


 まぁ、1回目に送った時

その人は、どこの店のクッキーだと

かなり探し回ったけど結局見つけれず・・・・

いや、私の作ったのだから、当たり前なんだけどね

最後の手段と、幸さんに電話があったと言う、笑い話。


 それからは、マンゴー以外にも

パイナップルや、パッションフルーツや、シークヮーサーなど

たまに、宮守家を通して、私の家にも送られてくる

そのお礼に、毎回クッキーや、お菓子を作って送り返している。


 ちなみに、この沖縄のマンゴーの人以外にも

苺の人や、葡萄と梨の人とか、スイカの人とか・・・

宮守家を通して2年前から、クッキーをお礼に送っているけど

お礼をすれば、するほど

次に送られてくる、フルーツの量が増えてきている気がする

たぶん、気のせいじゃないはず。


 まぁ、お礼は全てクッキーやお菓子、一択だし

クッキーは手間が掛からないから・・・

うん、焼きすぎて慣れた!

それに・・・でっかい業務用のオーブンを紫音に買ってもらったし

焼くときは、桜や友達の分まで、半端なく焼く

ただ・・・量が量なので

クッキーを焼くより

その後の包装の方が時間がかかると言う

こちらは、笑えない話。


 とりあえず、1箱4個入り、約3.8キロ、16000円

それを3箱、値段で言うと・・・うん!考えない様にしよう。

 その高級沖縄産マンゴーを、紫音が作った

フルーツ専用の低温ボックスに入れる

そして、くーちゃんに尋ねる。


「くーちゃん、マンゴーで何つくろっか?

 やっぱり、プリン?」


「・・・・マンゴーの・・・・・ゼリー?」


「マンゴーゼリー!!

 まだ作ったことがないよね

 今年はゼリーにしよっか。」


「うん!」


 私は、くーちゃんの嬉しそうな顔でやる気がみなぎっていく!!


 そして少し意思加速をして考える、そうたった約1万倍だ!


 マンゴーを粗めに潰して、ゼリーに・・・もったいない・・・

プリンなら、潰すしかないけど

ゼリーなら果肉が入っていてもいいよね

なら・・・と。


 0.01秒も経たず、私の脳裏にはある程度の完成したゼリーが浮かんだ

台所奥のパントリーに入り、棚を開き

そこに、あった有る物が入った、ひんやりとした瓶を取り出す

常時10℃以下を保つ、この世界の常識を逸脱した異世界のソレは

黄金色に輝く液体、私のトッテオキスウィーツ作りに欠かせないアレだ

でも、大量にゼリーを作ると考えると微妙な量だ。


 普段は、この世界のアレを使うのだが

今回は、高級マンゴー様のゼリー

大量に作って、学校に持っていくと考える・・。


 魔法で低温保存して持って行って

皆がすぐ食べてくれるならいいけど

持って帰ったりすると、すこし温度が不安となる

ぬるいゼリーなんて、美味しくない!

それに構想では、マンゴーの果実を使う

保存料も添加物入れたくない。


 そうなると、異世界のアレは

加工しても、丸1日なら10℃を超えない

人の舌にも、果実も傷まない優しい素材

でも、微妙な量だ、とりあえずは、いいかと

足りなければ後でリルにお願いして、異世界から調達してもらおう!


 そして視線を時計に移す

まだ(夕方)5時すぎか・・・。


「くーちゃん、ゼリーとクッキーに使う小物買いに行くけど一緒行く?」


「行く!」


「やったーー!」


 嬉しそうに首を縦に振る、くーちゃんと、ハイタッチをキメた!


 買い物と言っても、食材を買うわけではない

お菓子や、スィーツに使う食材や材料は、いっぱいある

それに、時期でない、フルーツもリルの無駄空間にストックはある

今買わないとダメなもの

それは!!!

クッキー包む可愛い、包装紙や包紙

クッキーの型抜きで、可愛いのあれば買ってもいい。


 そして、一番の目的の物は

ゼリーを入れる容器

使い捨てもできる容器で

中身が見える透明なカップ

それと、使い捨てできる、1個1個個別で袋に入った、スプーン。


 くーちゃんと、2人でバスに乗り、30分

いつも行く雑貨屋に立ち寄り、クッキーの包紙を物色する

新しい小袋を見ていたら

くーちゃんが、嬉しそうに近寄ってくる

その手には、デフォルメされた動物がプリントされた包装紙があり

「これがいい。」と、私に見せてくれたのだ

私の言葉は決まっていた「それにしよう!」と。


 そうなったら、くーちゃんと2人で

クッキーの型抜きを選ぶ、こっちも可愛い動物ものだ!

とりあえず、家にも動物の型抜きは有るけど

統一感を出したいから、新しいのを10種類ほど選んだ。


 そして、私の視線を奪った一品

アイスクリーム用のスプーン

大体だけど、長さ10cm、手元から先まで幅は3cm均一の、アルミスプーン

めさんこ可愛い、もうコレしかないと、決意しそれを手に取る!!

・・・・・ただ驚くことに1本160円。


 探していたのは、使い捨てのスプーンだったはず・・・。

ダメダメ、こんな高いの買えません!


 そうして、ここで買ったのは

動物の描かれた包装紙

動物の形のクッキーの型抜き

和柄の包装紙(ちょっと御高め)

そして、アイスクリーム用のスプーン

(ちょっと御高め1本160円×50本)



 こうなったら、このスプーンに見合う、容器を探してみせる!!



この後、お店を3件ハシゴして

コップやグラスを、置いている店で

球体に近い透明な可愛いグラスを、50個購入

・・・・・値段は内緒

ただ、レジで、くーちゃんの驚いた顔は当分忘れそうにありません・・・。



 そう、私は妥協はしない!



 きっと、紫音がここにいたら

「悩むヒマがあるなら、買えば?

 値段なんか、気にするなよ!」と言うはずだ!


 手荷物が多くなったので

紫音に電話して、リルに来てもらおうと伝えると

電話の向こうで

リルが紫音と離れたくないから、マリアさんに変わってもらうとか・・

マリアさんも、めんどくさいからイヤダとか・・

聞コエテマスヨーーーーーー。


でも、くーちゃんが居ることを伝えると

リルが笑顔で転移してきた・・・・私の立場わ?


まぁ、リルも家族だけど

紫音を奪う敵でもあるから・・・・

そんな好かれようとも思わないから、いいけどね・・・。


 リルが、手荷物を空間にしまい込むと

ついでに、食品売り場で、普通の値段のマンゴーを大量買い

高級マンゴーだけでは、ゼリー50個は無理だ!

それに、味のバランスを考えると、安物のマンゴーが丁度良かった

 そうして、リルの転移で家に帰ったのは(夕方)7時半すぎ

くーちゃんは晩ご飯を食べに家に帰って

私は、晩ご飯を仕上げる

至って普通のメニュー


白いご飯


豆腐の味噌汁


豚肉の生姜焼き


(あまった豚肉で)ゆで玉子の肉巻き


野菜盛り合わせ


漬物少々


三千風家の食卓は最近1人増えたせいで

前以上に賑やかだった


そう、私に、紫音、そして、リルにマリアさんの4人だ

いつものように、お父さんも、蘭さんも居ないけど

紫音が居さえすれば、淋しいと思った事すらない。


そして、食後にマンゴーを2個取り出し

半分に切って、4人で美味しくいただきました。


 片付けは紫音達に任して

私は先にお風呂に入る

そして、お風呂から上がってくると

すでに見慣れた、リビングの空間に舞い戻る。


 後片付けをし、食器類の洗い物もすまし

台所をキレイにする、紫音。


 それを側で眺める、リル。


 リビングのソファーで、今日は日本酒を1人晩酌する、マリアさん。


 リルと、マリアさんは、紫音のメイドなのに

働いているのは、いつも紫音・・・

別に気にしてないんだけどね・・・

見慣れたし・・・。


 そして、リビングのソファーに座ると

お願いしてもないのに、紫音が髪にドライヤーをかけてくれる。


 長すぎるから切れよ、とか

 メンドくさい、とか文句を言いながら


 それは、私の至福の時間が始まる合図でもある。


そうやって会話しながら

私は今日あった面白い事を話す。


 今日の1番は、動物の包装紙を手に持って私に見せてくれた

くーちゃんの素晴らしい笑顔の事だ

さすがの紫音も悔しがってた。


 そして、リルに、例のアレが残り少ないから

また、異世界で調達してほしいとお願いしておくのも忘れない。



 私の髪がある程度乾いたら

紫音とリル、マリアさんは静岡のマンションに移動していく

残ったのは、私と、こはく君と、ギンちゃんの3人。


 最近の2人のブームは、テレビだ

リビングの液晶モニターでニュースを見る

デバイスを2個起動させて、違う番組のニュースを見る

同時に3番組のニュースを見ながら

2人で「にゃーにゃー」「コンコン」と会話をするのだ

良く分からないけど、兄妹なかが良くていい事だ!


1人台所に立つ

「ここからは、私の時間!」とか、心に思いながら

買ってきたマンゴーを台所に並べていく

まずはゼリーに使う果汁作り


マンゴーの皮を剥き、大きなボールに詰め込んでいく

ある程度貯まったら、素手で潰し布で濾し果汁を搾っていく

そんな事を数度繰り返す。


出来た果汁を3割ほど残し

残り7割程を、更に濾していく

こっからは、魔力を使う

果汁から、不純物を取り除くイメージで丁寧に搾っていく

アラ不思議、完全透明なマンゴージュースの出来上がり!


 2種類の果汁に、例のアレを入れていく

そう、この世界で言うハチミツだ。


 異世界にある万年凍土と言われる場所に

大きな岩山がある、その石に咲く可愛い花

その蜜を集める、白いミツバチ(魔物)が居る

その白いミツバチが集めたハチミツが、これだ


 口に含むと口の中に一気に広がるも後味を残さない上品な甘さと

無加工なら、数年は続く、10℃以下の温度と高濃度の粘度

加工したり、他の液体と混ぜると粘度はなくなる

家族や宮守家以外には、めったに使わない特別な蜂蜜。


 色付き果汁には少し多めに混ぜ込んでいく

そして、ゼリーの元となる粉を少量混ぜ込んでいく

・・・・すこし残った、蜂蜜・・・

全部入れちゃえ!!!

ハチミツは、美容と健康の元!

多くたってきにしなーーーいぃ♪


実際は、まだ細々とした工程はあったけど

大まかには、こんな感じでゼリー作りは終わった


リビングのテーブルには

子猫のこはく君が

今日買ってきた球体状のグラスを50個綺麗に並べ

子狐の使い魔、ギンちゃんが

完璧に除菌を施していたグラスがあった。


まずは、下から3割程度の所まで

オレンジ色に近い果汁を入れていく、全て入れ終わったら

透明な果汁を、その上からゆっくりと注いでいく

ゆっくりと混ざり合う、2種類の果汁は

グラスの中で、綺麗なグラディーションを作り上げた。


 少し固まるのを待つ間に

高級マンゴーを取り出し切っていく

それは、四角い立方体

大小様々な大きさに切り分けていく

切り終わった所で

少し固まりかけた、グラスの中に投入

そうすると、透明だった果汁に

大小様々なマンゴーの果実が浮く幻想的なゼリーが出来上がった。


手を洗い、紫音に電話をし

最後の仕上げに取り掛かる。


 手早く甘さ控えめな、ホイップクリームを作り上げると

グラスの上からゼリーを閉じ込めるようにデコレーションしていく。



果実と果汁の素材を変えたのは

味の変化と微妙な酸味が欲しかった為だ

同じ高級マンゴーで果汁を作れば、統一感はあるものの

変化が出ないし、果実からでる、マンゴー旨みが楽しみきれないからだ

だから、同じマンゴーでも、少し安めでランク下のマンゴーで果汁を作った

これによって、甘味を抑えたホイップクリームと

少し酸味がある果汁のゼリーと、一緒に食べる高級マンゴーの旨みは引き立たされる

そして、最後に口に含むだろう、グラスの底にある、上品なハチミツを合わせた果汁が

口の中に広がりつつも、甘さは抜け、マンゴーの旨みだけを残す

ただ、ハミチツ多めだけど

絶妙な仕上がりになっている・・・・はず!


・・たぶん


数がないので、試食なんて出来ない!



そして、見た目も可愛い

球体の上部と底を切り飛ばした様な、可愛いグラス

それに見合う、可愛いスプーン

ゼリーは、底のオレンジ色から上に掛けて

透明になっていくように、グラディーションが掛かっていて

透明なゼリーの部分には、いくつも浮かぶ、大小様々な、キューブ状のオレンジの塊

ゼリーの上には、白い雪の様なクリーム

見た目も、味も最高だろう、納得できる自信作

そんな一品が出来上がった・・・・


 はずだ!!!


 そうしていると、転移してきた紫音達3人

紫音が手に持つのは、グラスの下に引く、圧縮コルクのコースター

丸く型どりされ、グラスが乗る部分は

円形状に軽く焦がされ凹みを作られ

グラスが固定されやすくなっている

その中心には、リボンだろう焼印まで施されている

グラスとスプーンと合う、可愛いコースターだった。

これは、ガラスのグラスを持ち運ぶため

割れては困るので

クッションになる様な、下敷きを紫音にお願いしていたのだ

サイズも完璧、さすが紫音!仕事が早くて最高だ。


 そして、マリアさんは

正方形に切り揃えられた青色の半透明なラッピング用ビニールを持っていた。


 そう、こっからは、ラッピング作業だ

なんせ、これが一番手間と時間のかかる作業でもある。


 私と紫音とマリアさんで、ラッピングしていく

私が、グラスの口を、マリアさんが持ってきた、ビニールを2枚使い

角の合わせをずらして星形に組み蓋をして、魔力で淵を熱し密閉する

すでに、ギンちゃんによって、殺菌除菌済だ

なんて使える、使い魔だ!どこかのメイドとは大違い!


 それを、紫音とマリアさんが袋に詰めていく

透明な袋の下にコースターを敷

ゼリーのグラスを載せる

横に添えるのは、160円の可愛いスプーン

袋の中が暴れないように、少しキツめで上部を縛り

仕上げに、私が作った証として

髪と同色の青色の小さなリボンを貼り付けて終了。


 リルは、出来上がったものを

プリンや、ゼリーを保存する、専用の冷蔵庫にしまっていく。


 文句を言いながらも

楽しく笑いながら手伝ってくれた紫音は

あくびをしながら

「俺は寝る!!」と

自室に戻っていった。


リルと、マリアさんも

「それでは、リンさん、おやすみなさいませ。」

「リンさま、おやすみっす。」

と言葉を残し姿を消した。


 一度、時計に視線を送り

「さて、朝ごはんの準備をしますか!」

今日は徹夜となった、私がソコにいた。


 実際、私は寝なくてもいい体ではある

体力の消費も全て、魔力で代用出来るからでもある

それに、料理の勉強をしていれば

徹夜なんてよくある事だ。



朝一で、出来上がった、マンゴーゼリーを10個と

朝食と弁当用に大量に作った肉じゃがの半分を持って宮守家の台所の勝手口を叩く。


「幸さん、おはようございま~~す。」


「あらぁ~~、おはよう鈴ちゃ~~~ん

 今日はなぁ~~にぃぃ?」


「肉じゃが作ったんでおすそ分けでーす

 それと、もらったマンゴーでゼリー作ったんで

 みんなで食べてください。」


「あらまぁまぁ、かわいいのが出来たわね。

 あ! 鈴ちゃんもかわいいわよ!

 ふふふ、照れなくてもいいわよ~~ん

 コレは後で、いただくわ

 肉じゃがもありがとうね。」


そして、朝ごはんの準備をしていた

お婆ちゃんも顔を出して

「鈴ちゃん、いつもありがとうねぇ~~~~~~~~~~」と

軽く朝の挨拶を終えて家に帰る。


 ゼリー残り40個、カウントダウンが始まっていく

数は少ない、身近な人で、仲のいい人達優先と・・・考えていく

蘭さんに2個、お父さん2個

(定食屋【鈴蘭】の)師匠とお母さんに、2個ずつ

紫音・リル・マリアさん・井門さんに、2個ずつ

ミラさん、ミーティアさんにも2個ずつ

今日学校から帰ってからのオヤツに

私のと、くーちゃんので2個

・・・残り18個か・・・

学校に持っていくとして

教室では無理か、昼休みに食べるとして

かんなと桜に・・・・1個で我慢してと言いにくいし・・

1人2個ずつで

かんな・桜・優美ちゃん・なっちゃん・ニニス・カレラ・アリスで、7人・・

私も食べるし、どうせてっちゃんも食べる、1個で我慢してもらって

あと2個は・・・忘れてた・・1人居たな騒がしいのが・・・。


 50個れば

作りすぎだろうと考えてた自分の考えの甘さに、薄い笑いがこみ上げてくる


「50個じゃぁ、全然たりなーーーーーーーーーいいい!!!」


 台所で、1人で叫ぶと

2階で、紫音の笑い声、聞いてたな・・・・・。


 ゼリーが冷えた所で

何個かは、すぐに渡しに行けないので

リルの虚数空間にしまっていてもらう

こういう時は、便利だ!

また、ミカさん達には、リルから渡してとお願いしておく


 学校に持っていく為に

(紫音が作った)魔力連動保冷機能付きのバックに

18個のマンゴーゼリーを入れ家を出た。




 お昼休み、バックを肩に駆け準備万端


「かんな、私DとFに寄って行くから

 先にニニスの所行ってて。」


「わかったーーー。」


「さくらぁーー、F行くけど一緒にいく?」


「いくぅぅ~~~。」


教室の近い2-Dに先に寄る

ドアから教室をのぞき

目的の人物を見つけると

「アリスーちょっといい?」

帰ってきた返事は「ちょっと待ってね」と

アリスは、鎧の擦れる音を「カチャカチャ」と立て

椅子から静かに立ち上がると

ドアまで寄ってきた。


Dクラスには、仲の良い友達はアリスくらいだし

用事がなければ来ることはない

だから、教室の中までズカズカ入っていくのは気が引ける

なので廊下で、アリスを呼んで待つ事が多いい

それに、今は模擬戦の事で、クラス別でギスギスしているから

できるだけ、他所の教室に入りたくないのも本音だ。


 アリスは今日の弁当は教室で友達を食べるらしいので

マンゴーゼリーを2個バックから取り出し渡す。


 少し会話をして、私と桜は?

すでに、桜は2-Fへ行ったらしく居なかった。

そんな桜をアリスと笑いあうと

私はFクラスに足を向けた


Fクラス、Dと同じく仲のいい友達は少ない

だけど、すでに桜は中に入って遊んでいる

私を見つけた友人は・・・

桜と会話をしていたにも関わらず

私の方に走って「バコ!!」・・・・・

腰を机にぶつけた

無意味に机に怒ると

私の方に走り「ポコ」

こんどは椅子に足をぶつけ、クラスを騒がす。


 慌ただしく、楽しそうで

せっかちで、元気で

おちつきが無く、笑顔で

喋らなくても騒がしい

喋っても騒がしい

そんな人物

桜と合わせて、2で割っても

勝ち越しするだろう、個性的な女の子

こっちに引っ越してきてから

すぐ知り合った、同年代の友達が、桜と彼女だった

私と桜の大好きな大親友の幼馴染だ。


そんな彼女に

「新作のマンゴーゼリー!!」

とゼリーを2個取り出し渡すと


「なにこれーーー

 すごいーーー

 かわいいーーーーー」と


教室の机と、男子生徒を撥ね退け

さっきまで居た、自分の席に戻り

クラスの友人と「かわいいーーーー」を連呼しながら

スマホで写真を撮りまくっていた。


 その中に桜がいたが気にはしない。


・・・・ネットに拡散されるのは・・・時間の問題か・・。

とりあえず、私の名前は出さないよう言ってるし

今までも、彼女が約束を破ったことはないので安心はしている

ついでに、ネットに上げるなら

【沖縄の高級マンゴー】と

【まんまるグラスのマンゴーゼリー】を加えてとお願いしておいた。


 遠巻きに、挨拶を終わらし

私だけ、旧校舎のニニス達が居る教室に向かう

桜を待っていたら日が暮れる!


 クズクラスで弁当を広げる頃には

桜も横に座っていた。


 ・・・いつの間に!!


 弁当を食べ終わって、お披露目タイム

机の上に出したのは、言うまでもなく



【マンゴーゼリー】



 一同の「おぉぉーーー」と驚く声に

嬉しさのあまりにやけてしまう。


 うん、桜、貴方は殺気に見たでしょ!!!


 他の生徒まで、机に集まり驚いていたのはびっくりだけど。


「ごめんね

 数が少ないので皆の分はないよ!」


落胆の声が聞こえる・・・・・。


 それも、きぃちゃんの、うめき声はすごかった。


 そう、ゼリーは、桜達のしかない

1人2個、今食べてもいいし、持って帰ってもいいよと

でも、生ものだから、今日中に食べてね、と伝えておく。



 桜はいつも通り、2個全部食べるだろう。


 優美ちゃんと、なっちゃんは、1個は持って帰ると言ってた。


 カレラは、とりあえず辛抱できないので

1個は今食べて、もう一個は食べてから考えると。


 ニニスは、まぁ、2個とも食べるだろう。



 1年の時から、オヤツを作って学校に持ってきてたので

桜や、優美ちゃん、かんな、なっちゃんは何度も

プリンや、洋菓子を食べた事はあるけど

ニニスと、カレラは始めてだ。


 みんな、それぞれに喜んでくれた

手に取って、色んな角度から鑑賞したり

写真をとったり

ニニスは、顔を机にヘバリツカセ

机の上に置いたゼリーを

横になって目を輝かせて見ていた。


 ちなみに、横の机では

かんなが、綺麗に包装されている、マンゴーゼリーと

包装を開け、その綺麗な姿を表した、マンゴーゼリーを2個並べ

クズクラスの生徒と一緒に、マンゴーゼリー撮影会を開いていた。


 かんな・・・・さすがだ!


 とりあえず、さっきと同じく

ネットに上げるなら、私の名前は伏せてねと

そして

【沖縄の高級マンゴー】と

【まんまるグラスのマンゴーゼリー】を加えてとお願いしておいた。



 そうして、ゼリーを食べる人や

鑑賞する人と、色々だった。


 そんな中、アカネに脅された、なっちゃんが、アカネに少し分けていた。


 微かに聞こえた「今年・・・夏コミ・・・特別・・」なんたらと・・・・。


 てっちゃんが教室に戻ってきたんで

1個あげると、男子生徒から、ぶーいんぐ


 女子生徒も、それは、頂けないと騒ぎ出す。


 徐々に喧嘩腰になっていく

男子生徒なんて、てっちゃんに襲いかかって、蹴られまくっている。

女子生徒も、ゼリーを大事に抱える、なっちゃん達にその目を光らす


 たかが、ゼリーにそこまでする?

こんなの、コンビニで売っているのと、そう変わりはしないのに?

でも、喧嘩になるくらいなら。



  パン!!!


 と、一回両手を強く叩き、皆の注意を引く


「喧嘩するなら、もう二度と、みんなに差し入れはしないよ!」


静まり返る教室に、てっちゃんの声が響く


「あぁ~~あ、お前ら鈴を怒らせたな

 もう、クッキーすら貰えないぞ、かわいそうに。」


 青ざめていく、騒いでいた生徒・・・・・と?

何故か、かんなと、優美ちゃんまで、驚きの顔。


 ん?

かんなと、優美ちゃんは・・・関係ないんだけど?


「桜・・・鈴は冗談で・・・いってるのよね?」


なっちゃんが桜に問いかけるが


「ん~~ん、本当にぃ~~~もらえないよぉぉぉ~~。」


やはり、驚くなっちゃん、と・・・カレラまで?

桜や、ニニスの様に、自分は貰えると堂々としてればいいのに・・・

本気で、貰えないと思っているの?


 だいたい、かんな達は、大事な親友だよ?

悪いけど、クズクラスの皆とは、私の中の格付けが違いすぎる


 かんなは、騒いでいた生徒と顔を見合わせ・・・


全員で、教室の隅っこに集まりだし・・・

何やら・・・ゴソゴソと・・・。


やっと静かになった・・・・・と思ったら


てっちゃんが

「マジうめーーーーーー

 なにこの、マンゴーーーーー

 チョウーーーウメーーーーー!」と

騒いでいた生徒を、逆なでする

てっちゃん、朝飯の時、デザートに食べたって朝いってたよね?


『だまって、食べてよ!!』と念話するも

『ハッハハ、今が一番面白いところだろ!』と


さすが、てっちゃん!

紫音と同じ思考・・・と・・・・


同じく、何も考えていない桜も

ゼリーを食べつつ

「おいひぃぃぃ~~~~」と口にし

ニニスも

「おいしぃーーなのぉぉーーー」と絶賛だ

さすが、この自己中どもめ!嬉しいじゃんか!


横では、優美ちゃんが、悲しい顔をして小さく

「なんか、ごめんなさい・・・。」と

いや、優美ちゃんは、悪くないから、あやまる必要もないけど

優美ちゃん、なんか、かわいい!!


 なっちゃんと、カレラも・・・・どうしたらいいのか分からず

視線がチラチラ、私を見たり、隅で集まっている、かんなを見たりと・・・。





 かんなは、騒いでいた、クズクラスの生徒を纏めあげ

私の前に並ぶと


「もう、二度と食べ物の事で争いません!

 ごめんなさい!」


「「「「「「「「「ごめんなさい!!!」」」」」」」」」


 全員が、一斉に頭を下げた。



 かんな・・・・

だんだん、クズクラスに染まってきたね・・・。


かんなの事だ、謝れば、私がここで

「私も大人気なかったし、ごめんなさい。」

とでも言うと思ったか!!!


私は子供だ!

そして、食べ物で遊ぶ人間と

食べ物で争う人間も嫌いだ!!


「次やったら、もうここ(クズクラスに)来ないから!!」


 ある意味、今回は許したとも取れる言葉を言うと

かんなは、それを理解し、安堵し

「今回は許してくれたけど、たぶん次回は本当に無いと思おうよ・・・。」

その他大勢に伝えると

「りんちゃ~~ん、ごめんねぇぇ~~~~」と

私の隣に戻ってきた。


 うん、許す許さないの前に、かんなは、何も悪くない。


「リン?もう、来ないなの?」


「くるよーーー、来なくなっても

 ニニスが私達のクラスに来ればいいよ。」


「向こう人おおいいなの」


?人前に出るの苦手?そうは見えないけど、きぐるみだし・・・。


「ウザイなのよ!

 かってに触るなのよ!!

 潰してやったらなの、カレラに怒られたのなの!!

 またやると、また怒られるなのよ!」


「・・・・・」うっわぁぁ~~~。


カレラに視線を送ると、少し笑い


「ニニスは元々普段着が、きぐるみでね

 あの変態と知り合って、少し経った頃

 何着か、可愛いきぐるみを変態から貰ったのね

 まぁ、ニニスはしゃいじゃって

 あちこち学園を歩き回ったの

 その時、高等部の制服を着た女生徒が

 面白半分で、ニニスを触って・・・・


   ポン!!


 って感じで、潰れてね」


 ・・・・ポン・・・・て、何?。


「まぁ、学園の理事長に

 どれだけ怒られたことかしら・・・私が・・・。」


 ニニスを怒れなかったか・・・さすが、ニニス


「そんな事が、何度かありまして」


 何度も?


「まぁ、先に手を出したのは、相手方ですし

 全部お金で、どうにかなりましたから

 いいのですが、それ以来は

 この旧校舎以外に行きたがらないのね。」


「カレラ・・・・怒るなの、怖いなの・・・・。」


 怯える瞳で、カレラを見る、ニニスの瞳に・・・・

どんな、叱り方を!!!!


 私達の視線がカレラに集まると

カレラは、小さく笑うのだった。


「ここに来なくなっても

 どっかで、一緒に食べる場所を探せばいいよね

 となりの3年の、蓮先輩の所とか!」


 かんなが、代替案を打ち出すも

私は、きっぱり断る!!


「それは、イヤ!」

驚く、かんなたち。


 事情を知るのは、桜と、てっちゃんのみ


 そして、てっちゃんは笑い口にする


「ティオーノ先輩な

 こないだ鈴を怒らせてから

 一切差し入れしてもらってないらしい。

 桜さんや、変態経由でも

 一口も鈴のお菓子食べてないらしいぞ。」


「あれは、蓮さんが悪いんだからね

 もう誤っても、なんにもあげない!」


 そう、私は何も悪くない!!



 あの、先輩相手に・・・・喧嘩を売る、小さな少女に

二度と、鈴の前では食べ物に対して喧嘩をしないと心に誓う、クズクラスの面々だった。

 

 


 帰りのバスに乗り

学校の友人達から解放され、1人になった私・・・。


 帰ったら、マンゴーの人に、クッキー焼かなきゃ・・・・


 動物クッキー・・・とりあえず試作に焼いて・・・


 クッキー多めに焼いて、みんなにあげるかな


 ・・・・・


 私も甘いな・・・。


 今日の出来事を思い出し

かんなや、優美ちゃんの困った顔を浮かべ

一人で笑ってしまった。



 

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