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38話 いつの日かの、姉と弟

 



 これは、紫音達が造船ドックで開いた、パーティー?も終わり

その後に、学園で行われた、模擬戦も終わった

今からは、少し未来の出来事・・・。





「起きろ紫音!帰るぞ。」


 俺を起こしたのは、てつ・・・

いや、人の形をした、リーゼントのお化けだった。


「んぁ・・?」

 

 授業が終わった・・・らしい

いや、授業は既に終わって

俺と同じように寝ていた、ニニスが起き出して

ニニスと、カレラが帰っていった事で

てつとカレラの夫婦喧嘩も終わり

暇になった、てつが・・・俺を起こした・・・と。


 うん、いたって

普通の日常・・・なんだけど・・

気のせいか、学園に居ること自体が

1年と半年ぶりな気がする・・・・。


 まぁ、気のせいだろうと

弁当箱しか入っていない、カバンを担ぐと

おおきなアクビをしながら、席をたった。


 模擬戦も終わり

そろそろ夏休み、休みに何をするか

いっそ、海外にでも、遊びに行こうかと

てつと話しながら、旧校舎から出て

校門を目指す。


 中庭に出ると

いつも以上に盛り上がるように

幾つもの、デュエルが行われていた。


 ・・・・どうでもいいが、じゃまくせえ。


 そう俺にとって

あの集団は、道を占領し

俺の帰り道を邪魔する無駄な存在・・・

まぁ、そんな事はいいけど

俺の横に居る、てつは違った・・・・・・。


 その負けず嫌いの為、模擬戦で

無駄に活躍してしまったのだ。


 そんな、鉄雄に極希にだが

デュエルを申し込む、バカな生徒が居るのも事実。


 そう、今、俺と、てつの前に

まるで道を塞ぐように、立ちはだかった男がいた。


 着ている制服は、学園の高等部の物だ

その事から、高等部の生徒なのは解った

そして、腰の左右に下げた、2本の西洋片手剣

使い込んでいる、その剣の握りを見れば

それなりの使い手だと判断でる。


 ただ・・・・すごくムカつくのが

イケメンだった


白人の血を引いているのか

高校生にしては、大人びた顔立ちで

金髪で背が高く・・・・・

「お前、女にもてるだろ?」って聞いたら

「いや~もてないよー」って、自慢げに答える

リア中の部類の人間だ!


 そんな男が

腰の片手剣を鞘に挿したまま手に持ち

俺達に向けると


「俺と戦え!」


よし、てつ!やぁ~~ておしまい!

顔がボコボコになるまで、痛めつけてやれ!


 俺は、少し離れて見物しようと

その場を、てつに譲り離れようと・・・。


目の前に現れた男は、怒ったような口調で

「お前だ!猫背の気色悪い奴!」


 え?相手は、てつじゃないのか?

それにしても、俺以外に、気色悪い変態って

そんなカッコイイ奴が、他にいたのか?


 周りを見渡しても、そんなカッケー奴は居ない?


そんな俺を、てつが呼ぶ

「紫音、お前らしいぞ。」


・・・え?俺?


 デュエルを申し込まれたのは、初めてだ!

てか、学園バージョンの、不快感丸出しの俺に

デュエルを申し込む人間なんて、居るとは思いもしなかった。


 だが!デュエルなんて、受ける気はない!


「いやだ!断る!」と・・・・言う前に


「よし!そのデュエル受けた!!」


ちょ!なんで、てつが答えるねん!


「双方同意とみなし、デュエルを開始します!」


 まるで、示し合わせた様に

高等部の風紀の人間が現れ

俺の有無を聞かず、行き成りデュエルを開始させた。


 てつは、そんな事知るはずもないだろう

ただ、面白そうだから勝手に受けただけだ。

そうたぶん、俺でもそうする!


 って事は、目の前で

俺に鞘に入ったままの片手剣で

「お前はゆるさない!!」と

殴りかかってくる男が事前に仕組んだ事だろう。


 って、俺が何したって言うんだよ

こんな奴なんぞ知らねぇよ。


 念話で問いただす


『てつ、コイツ誰よ?』


『知らん。』


『って、なんで、こんなに怒ってるねん

 リル、こいつに記憶にあるか?』


 姿を消して、その辺から覗いてる、メイドに声を掛けてみるが


『ありませんが、殺しますか?』


『・・・・めんどくさいから・・・やめてね・・・。』


 行き成り死なれても、メンドくさい・・・

そう俺は泣く泣く、自身に掛かってる、超振動の防御スキルを切り

横薙ぎで襲ってくる、片手剣を左腕を畳んで受ける

そしてダメージを殺しながら自分から吹き飛んでいく。


・・・それでも、痛い・・・

あと2・3度、攻撃を受けて

さっさと、負けを宣言すれば

風紀が止めるだろう・・・。


と思っていたが・・・・考えが甘かった・・・。


「ゆるさない!」


「お前だけは許さない!!」


「全部お前のせいだ!!」


「お前さえいなければぁぁ!!」


 吹き飛んだ俺を追い打ちするかのように

身体強化魔法を使い、常人以上の力で

片手剣を両手で握る男は、何度も俺を襲う

唯一の良心か、風紀に止められないようにする為か

片手剣が鞘に入ったままで振り回す。


 てか・・・俺、武器もってないっすよ!

それに、魔力も無いから防御魔法もつかえねぇし

そもそも、魔法デバイスなんて持ってない

あるのは、学園の生徒証明書がわりの、デバイスくらいなもんで・・・

・・・必死に逃げ回る姿・・・を演出する俺・・・だが。


 なんせ、学園バージョンの、だらしない姿の俺

走っても速度はでない

そして、追ってくるのは身体強化した、金髪イケメン

どう考えても・・・分が悪い・・

マジで、普通に殴られてますが!!!


 片手剣で殴られる度に

吹き飛び地面を転がりまわり

情けなく、這いずり回る。


『砂と埃まみれで逃げる俺!

 ふふ、戦う【おとこ】って感じだ!

 そう【弱者】とかいて「おとこ」呼ぶアレだ!』


そんな事を念話で叫んでいたら、てつが


『おう、情けなさと、惨めさの、レベルが上がりまくってるぞ!』って

やばい!これ以上、かっこよくなっちまったら

モテモテで、ハーレムが出来ちまう!


 うん、念話で叫びまくってる、リルとマリア達は

いつもの様に、ガン無視だ!


 ニヤニヤしながら地面を這いずる回る様に逃げる俺!

そんな楽しみ方も・・1分ともたない。


 ってか、俺が何したっていうねん

戦う意思がないんやけん、止めろよ!!

風紀!お前ら、グルにしても

これは、イジメだぞ!

お前ら全員殺すぞ!このやろう!!!



 そう、俺はこの男が誰なのかも

なぜ怒っているのかも知らなかった。

 そして、俺には、全く関係が無く

俺によく似た誰かと間違われていると思っていた・・・


ある存在が、俺達の目の前に現れるまでは・・・・・。


 そう、その存在は、行き成り現れた

地面に転がる俺を守るように

大きく両腕を広げ、金色の綺麗な髪を揺らす女性

俺を襲う男の前に立ち

「ケイン!もうやめて・・・。」と口にした・・・。


 誰かは知らないが

俺の位置からだと・・・

見えそうで見えない、スカートの中がきにもなるが

後ろからの、ローアングルで眺める

少し細めな太もももイイ!

そして、太ももと太ももの間に出来た空間


 うん・・・・嫌いじゃない!


 その女性を見て

マリアが『あ・・・』と・・・

それは、見知った存在を見つけた『あ・・・』だった

ただ、何かの理由で、その存在に気が付くのが遅れたみたいだった。


 そして、リルも

何かの理由で、反応が遅れたみたいに

『・・・最近出没する、シオン様のストーカーですね。』

知っていてあたり前の様に、口にする・・・


ちょっと待て、リル!

そんな話、知らないし、聞いてない!!



 だが、俺も、この白く綺麗な太ももに、少なからず・・・見覚えがあった。


 それが、いつだったか・・・・。


 誰のだったかは・・・・。


 まったく覚えてなかった。






***********





 彼女の名前は

【Mary・Steinbitchith (メアリー・シュタインビーチス) 】

メアリーは少し前まで

十士族に敵対する組織【レッドストーン】に所属していたが

今は、組織を抜けていた。




 メアリーは、大富豪と言われた家庭で

両親と弟の4人で、何不自由無く、幸せに暮らしていた。

あるとき、父の会社が十士族の息のかかった組織に買収された・・・・。


 そこからは、転落人生

自身の不幸は十士族のせいだと

何時しか【レッドストーン】に組みしていた・・・。


 いや、そうでもしないと

全てを壊し、その身すら壊し死んでしまいそうだったからだ

暴力を振るう、父親を何度殺そうかと思ったか

何度弟を殺し、自身も死のうと考えたか

全ての苦しみを、十士族に向け

復讐と言う思いを隠れ蓑にし

ただただ機械のように組織で働いた・・・。


 だが・・・それも

ある戦いに巻き込まれた事で

メアリーの中の何かが、変わった。


 それは、組織の人間が誘拐された事から始まった

メアリーは、情報収集や他との連絡要員で招集され

誘拐された女性達を助ける部隊に配属させられたのだ。


 する事は、普段と変わらない・・・

ある建物に集まり、彼女達を助ける為の話し合いを繰り返す

ただ、そこに裏組織で話題になっていた

【仮面の男と女】が現れた・・・・。



 そこまでしか、私達の記憶はない。



 後にメアリー達が、組織から聞いた話だと。


 メアリー達の部隊は

一度結界に閉じ込められ

連絡が付かなくなり、その数時間後

結界の消滅と同時に、その部隊も消滅した


 組織は、部隊を探し回るが

何の手がかりもなく、数日がすぎた時

部隊が消えた建物に、意識を失ったまま現れたと


だが、何人かの死者がいた事と

SSSの数人が行方不明な事から

行方不明のSSSが

何かしら裏切ったのではと?

言う話もあったが、彼達は無実だと

レッドストーンや、SSSの組織の上の方で話が付いたらしい。


 無事に助かった人間達は何故か

この数日間の記憶はなかった。


仮面の男や女の事も

2メートルを超える大男だったり

やせ細った、男だったり

筋肉隆々な女戦士だとか

かわいい少女だったとか

全員が全員、記憶があやふやで

何かしら記憶を操作されたのでは?と

そんな話もあった。


 それが、部隊に起こった不思議な事件であった。


 また誘拐された、女性2人も

何事も無かったかのように、自宅で見つかった。

 ただ、部隊と同じく

誘拐されてからの数日間の記憶はなかったらしい。


 そして、メアリーも、その時の記憶はなかった

周りの人間と同様に、記憶を操作されたのだ。



 ただ、メアリーは、他の人間と違う何かを感じていた



固く閉ざしていた、心と体に穴が空いたような感覚


 体に穴が空いた事で

何かに満たされた様な肉体的満足感。


 それとはまた別に、心に穴が空き

今まで溜まっていた黒い感情が

爽やかな風に舞うように解放されていく


 自身の不幸も

恨んでいた十士族の事も

体と心から抜け落ちていった。


 それから、少し経った頃、メアリーは正式に組織から抜けた。


 何をすることもなく。


ただ毎日を過ごす。


 組織を辞めた事で

組織に在籍する父親からは、何度か殴られたが

メアリーにとって

気にする程の事でもなかった

そう、体と、魂が何かに満たされ

心が抜け落ちた、人形がそこに存在した。


 そんな、メアリーの事を一番心配したのは

少し年の離れた弟の【ケイン】だった。


 ケインにとって、メアリーは、姉であり母であり

世界でもっとも愛する存在だった。

 それは姉弟や、家族と言う感情ではない

恋人を愛する以上の感情

何度、姉と唇を重ねる想像をしただろう

何度、姉とベットを共にする夢をみただろうか・・。


 今まで何十人と言う、女性から告白を断って

彼女いない歴=年齢の

ケインと言う17歳の少年の

愛する存在、そして性の対象は姉だけであった。


 そんな愛する存在が、優しかった存在が

魂が抜けたみたいに、一日中何もせず過ごすのは

ケインには耐えられなかった。


 少し経った頃

ケインの通う学園で、ある行事が行われる

小等部から大学院まである学園の高等部までの行事

メインは、中等部の学年別模擬戦だが

小等部は、魔法学科の研究発表の展示があり

高等部は、模擬戦を観戦しに来る来客をもてなすため

文化祭を行う。


 これは、土日、2日間を通して行われるのだが

関東では有名な祭りであり、一大行事でもあった。


 ケインは、メアリーの気分転換にと

文化祭に誘うのだった。


 心の欠けたメアリーには

文化祭が楽しいとも思わない

それ以上に、ただただ、不快という感情しかわかなかった。


 メアリーにとって高校とは

イジメられた記憶しかなかった

だが、不快と言う感情は

心の欠けた、メアリーの心が動く切っ掛けになったのかもしれなかった。


 


 メアリーは、学園祭に無理やり連れてこられた

高校時代の記憶が蘇る、不快だらけの、学生生活だった・・・と

メアリーの心に、黒い感情が、ポツリポツリと沸き上がってくるのだった。


 メアリー達は、人ゴミを抜け

模擬戦を見るため、観客席に向かう

これから、行われる対戦は

中等部2年の準決勝の1つだった。

なぜ、この対戦を見たかと言うと

この日の対戦票で、一番人気がなく

この対戦を見る人間も少ないからだ

そう、これ以外の対戦には

あの十士族の四条の娘や

大財閥の柊の娘が出るのだ

ゆっくりと観戦できる事は出来ないと

この対戦を選んだのだ。


 既に、いい席は無かった

この後に行われる対戦を目的にした人間達で引き締め合っており

なら全体が見渡せる様に、後ろの方の空いた席に座る

ケインは、数種の食べ物を手にしていた

これは、高等部の出し物で、メアリーの好きそうな

食べ物を買いあさっていたのだ。


 普段外にでないメアリーは

人が多いいこの場所が、既にアウェーであり

場違いだと、ケインの思いなど関係なく今すぐ帰りたくもあったが

帰ってもする事はない

なら、この場に居てもさほど変わらない・・・・と

そして、虫の知らせではないが

微かに感じる、身体の反応

近くに居る、何かの存在を感じて引き合うように

魂と身体が高揚する。

それは、此処に居る事に、何か理由があるのだと・・・

魂と身体が訴えていた。



 そして・・・対戦が開始される。


 入場してくる生徒達。


 そして、ある生徒が入場してきた。


 遠目でも分かる、異質な存在感を漂わせ

体を左右に揺らし、ダルそうに歩く男性。


 その姿に、メアリーの体が・・・・その魂が反応した。


 全身が震え、内蔵が、体の内部が震え

胃の内容物が逆流してくる・・・。


 だが、魂は体の反応とは違い歓喜する

まるで、100年会えなかった最愛の恋人の姿を見つけた

孤独に生きて来た、純粋無垢な乙女の魂のように・・・。


 胃液が逆流し、吐きそうで吐けない

口を押さえ席を立ち、ふらつきながらトイレに向かう

だが、体の震えは

徐々にメアリーに吐き気以外の感覚も与えていく。


 吐き気よりも、全身を支配していく感覚に

精神が負けそうになるが

両手で震える体を押さえ

ケインの付き添いを断り

ふらつく体を、どうにか動かし

人ゴミを抜け、学園から出ると

タクシーを捕まえ、家路を急ぐメアリー。


ケインは、文化祭での自身の役割があるので

メアリーに付いて帰れず、苦しそうなメアリーを送り出すしかなかった。


 家に帰り、ドアを閉めると

メアリーは膝から崩れ落ちる・・・


 もう、我慢をしなくていいと

メアリーの右手は、スカートの中に入っていき、大事な部分に添えられるのだった。


 どれくらいの時間がたったのだろうか

何度も繰り返された、自虐行為とも言える絶頂ではあったが

その身体が、魂が、求めたのは、その先にある何かだった・・・・。


 弟が家に帰ってくる頃には一度落ち着き

そして、調べ上げた

メアリー自身の魂と体を燃え上がらせた

あの模擬戦に出てきた学生の事を


 学園のホームページを検索し

模擬戦に参加した人間を調べていくと

その生徒の名前があり【三千風紫音】と分かる

だが、その家族が、SNS等をしてなかった為

多くの情報は得られなかったが

紫音の簡単な情報は、ある意味すぐ見つかった

まるで、異物を嫌うかのように

学園ネットに悪口が多く書かれていたからだ。


 メアリーにとって、そんな事は関係なかった

三千風紫音の姿を見るだけで

メアリーの身体は反応する

魂が身体が、三千風紫音を求めていく・・・。


 その日から、家に誰もいない時は

三千風紫音の姿を、モニターにだし

自虐行為を繰り返していくのだった・・・・。


 

 日が進むにつれて

メアリーの行為はエスカレートしていく

模擬戦で撮られた、三千風紫音の映像では満足できなくなり

学園の下校時間を狙い、小さなカメラを持ち

三千風紫音を生で視姦し、その姿をカメラに収めていく

その度に、家に帰り1人盛り上がっていく。


 その時はすでに、メアリーの心の片隅に残っていた

小さな理性を守っていた扉も鍵が壊され

残った理性も壊れる寸前まで迫っていた。


 こうなれば、多少の事は気にならない

深夜遅くに始まる、自虐行為

その声を、ベットのキシミを弟に聞かれようと気にならなくなっていた。


 それは、思春期を迎えた、ケインにとって衝撃だった

ケインは、深夜に起き出し

隣の部屋から聞こえる、メアリーの声で

自身の股間で硬くなった有る物を握る

そんな事が日常となる頃・・・・。




 メアリーの小さな理性が壊れた。




 何度も何度も繰り返してきた、自虐行為

だが、どうやっても、満たされない身体と心がそこにあった

もう、三千風紫音様の姿だけでは満足出来ない

指だけでは、体に空いた穴は満たされなかった。


 本物が・・・欲しい・・・。

 

 私の体を満たす、本物の男性の性器が・・・。


 深夜2時、メアリーはその激しく動く手を止めると

自分の部屋のドアを開け、自室を後にする。


 そして、隣の部屋のドアを開ける。


 そこには、隣の部屋に近づき

床に毛布をひき、そこに座り

姉の声を、オカズとし

自身の欲望を満たしていた、ケインの姿があった。


 ケインは、行き成り部屋に入ってきたメアリーに驚く

それも、そのはず、その姿は、一糸纏わぬ姿

蛍光灯に照らされたその身体は

白い素肌が軽く汗ばみ窓から入る微かなネオンの光に反射して綺麗にみえた。


 そして、ケインも何も着ていなかった

メアリーは、そんなケインの姿に驚くこともなく

その股間に有る物を凝視し


「それが、本物・・・・・・。」


 ケインは、姉の言葉で、止まっていた時間が動き出す

そして、両手でその大きくなった股間を隠す。


「ね・・ねぇさん・・・なんで・・・・。」


 メアリーに、そんな声は届かない

覆い隠された、その股間を凝視し

ゆっくりと、その足を進めると

ケイン側で止まると、床にしいた毛布に膝を付くように姿勢を落とす

体を倒し、ケインの足と足の間に、のめり込んでいく

その両手で、ケインの両手首を掴み

その奥に隠された物を見るために力を込める。


 抵抗する、ケイン

非力な姉など、力任せで押しのければいいのだが・・・

初めて見た、姉の物欲しそうに崩れた笑顔と

その強引さに負け、なすがままに、その両手をうごかされた。


 いや、ここ数日感夢見た事が現実になって目の前で起こっていた

姉は、硬くなった股間を嬉しそうに優しく触ると

カインの腰を股がる様に、大きく足を開く。


「ねぇさん・・待って、俺達は実の姉弟・・・・。」


 そんな声は、メアリーには届かない

そして、ケインも、言葉とは裏腹に

動くメアリーの動きをサポートするように腰を支えた。


 メアリーは腰を深く下ろし、体を貫くその感覚に、大きく声をあげた。


 メアリーは、果敢に腰を動かす

そう、身体と魂、そして心を満たすために

その欲望を叶えるために・・・。


 ケインは姉と体を重ねた事で覚悟した。


 姉を・・いや、メアリーを本気で愛する

禁断の恋であろうと、なんであろうと

メアリーは僕が守る

メアリーも、僕が好きなのを、今まで我慢してきたんだ

でないと・・・こんな・・・

実の弟を襲うはずはない・・・

一生かけて、姉を幸せにしてみせる!


 姉の名前を何度も叫びながら

心の奥底に隠していた、感情をむき出しにして

何時しか、ケインはメアリーを抱きしめ

無我夢中で体を重ねるのだった


 日が昇るまで、何度も繰り返された行為

何時しか、ケインはそのまま、毛布にくるまり寝息をたてていた・・。


 メアリーは、ベットで寝息を立てる男の姿を一瞥すると

夢遊病者の様にまた自室に籠る・・。


 目覚ましと共に、起き出すケイン

時間にすれば、2時間も寝てなかっただろう

しばしの間、数時間前に起こった夢の様な幸せの時間を思い出す・・・。


 学園に行く支度を終えると

メアリーの部屋の前に立ち

小さくノックをする

それに答える反応はない

そして、無言のまま数秒

ケインは、部屋の住人に声を掛ける

本当は、おおきな声で宣言したい

だが、今の自分には、まだそんな力も金も無い

そんな葛藤が、声を小さくさせる

「ねぇさん・・・メアリー、僕が絶対に幸せにするから・・・。」

その言葉を、胸に刻むように

右手の拳を左胸に当て、何度もその近いを心に刻むと

学園に向けて家をあとにした。


 ケインは幸せだった

likeではない、Loveである愛、そう、姉弟でありながら

姉を愛してしまったその事実

そして、その姉に向けた愛は一生報われないと覚悟をしていた

だが、姉も自分を愛していた

姉を愛せる喜びと

その姉を抱きしめれる幸せと

世界で一番美しい女性をその手に収めた幸せ

その手で、その股間にある一物で

姉を、メアリーを、一人の女性を征服した喜びに

ケインは盛り上がり

飽きることなく、その腰を振るのだった。




**********



 目が覚めると

力尽きるまで、自分を抱いた男は

そのまま、ベットで寝息を立てていた・・・。


 静かに、立ち上がるメアリーは

男の股間にある、力の抜けた男性器を、チラリと視線を送ると


こんなんではない・・・

もっと・・・もっとだった・・・もっとすごい・・何か

私の体を、その存在を破壊する・・

ちがう、私の生きてきた世界を破壊するほどの衝撃と

こんな、私みたいな最低の人間の全てを包みこんでくれる優しさ

ただ、生きている事を、その存在を許してくれる

絶対の安心感・・・・

何も覚えていない

だけど、この身体と、私の魂が

私の心を・・・揺さぶっている

もっと、快感をと・・・・・。


 求める物が何かすら分からないまま、メアリーは

毎日の日課の様に、学園から下校する

三千風紫音の視姦するように、盗撮し

家では、飽きることなく自虐行為を重ねていくが

あの日ケインの部屋に行ったきり、2度と行く事はなかった。


 だが、ケインは、毎日の様に姉を待つ

だが、姉は自分の部屋を訪問することはなく

ただただ、自室で1人行為に勤しむ。


 数日の間、隣の部屋から聞こえてくる姉のイヤラシイ声で

自身を慰めていたケインだったが

ある日、姉の声が止まると、部屋を出て行く音が聞こえた

そして、今日こそは僕の元へ、僕を求めて、この部屋に来ると

受け入れ体勢を整えていると

家の玄関が開き、誰かが出て行く音が聞こえてくる。


 ケインは、もしやと、青い顔をして

適当に洋服を着込むと、玄関から飛び出した。


 そこには、夢遊病者の様に、ふらつき歩くメアリーの姿があった

キャミソールを一枚着ただけの、はしたない姿で

通りにでようと、歩くメアリー。


 ケインは、走り追いかける。


 メアリーは、通りを歩く男に行き成り声をかけた

「私を抱いて・・・そして壊して・・・。」と

体格の良い、男は、舌で唇を舐めると。

「おねぇちゃん・・・・本気か?」

「抱いて・・・私の世界が壊れるほどに」と

メアリーは、焦点の定まっていない瞳で返す。


「ねぇさん!!」


 メアリーと名も知らぬ男の間に飛び込む、ケイン

目の前の上玉を横取りされると、体格のいい男はケインを払いのけた

メアリーを奪い合う2人の戦いが始まるが

学園高等部2年の上位ランカーのケイン

一般人に遅れを取ることはなかった。


 体格のいい男を退けると

足元がおぼつかない、メアリーを連れて家に戻る

そして、メアリーをその自室に連れて行く

普段は鍵がかけられた、そのメアリーの部屋に足を入れた、ケイン

数ヶ月前まで殺風景だったメアリーの部屋の豹変ぶりに目を丸くした。


 壁一面、天井までぎっしりと張られた、何百枚もあろう写真

それは、ただ1人の男の姿だった・・・。


「これは・・・」


一枚、二枚と剥がし、その手に取る

その写真を、穴が開くほどに凝視する・・・・。

込みあげてくる感情、全身の血液が上がり

今にも沸騰しそうに、ケインの白い素肌が赤く染まりあがる。


 両手に持つ写真を、メアリーの顔の前に持っていくと

「ねぇさん!これは誰だ!!

 この男はなんなんだぁぁぁああ!!!」


 メアリーは、虚ろな瞳で

最愛の存在を目にし、ケインが聞いた事の無いような

とても甘く色っぽい声で

その存在を求める様に口にする


「三千風・・・紫音様・・・・

 あぁ・・・私の、全て・・・

 世界を壊してくれる・・・・

 愛して・・・います・・・シオン様・・・。」


そして、メアリーは

ケインの両手にある、紫音の写真を奪い取り

その胸に抱きしめると

優しそうに嬉しそうに微笑む。


 その瞬間、ケインは全てを悟った

自分は、この男の身代わりだった!

メアリーは、俺を愛してはいなかった!

2人で愛し合った、あの時間は幻だった!

あの優しかった、メアリーがおかしくなった

俺が愛した、ねぇさんが壊れたのは、この男のせいだ!


「くそがぁぁぁぁぁあああああああ!!」


 ケインは、心の限り叫びあげた!


 叫びと共に、部屋に張られた写真を剥がしていく

踏みつけ、破り、投げつけ、狂ったように剥がしていく。


 メアリーは、その行為を止めようと

泣きながら、ケインの体に抱きつき叫ぶ!


 その姿すら、ケインの怒りに触れる

ケインは姉の横顔を平手で叩くが

メアリーはケインを離さない

頭に血が上るケイン

その怒りに拳は握られ、力任せにメアリーの顔を殴りつけた

一瞬記憶が飛び、その場に倒れるメアリー

「くそう!ねぇさんは、メアリーは俺のもんだ!

 誰にも渡さない!!」

ケインはズボンとパンツを脱ぐと

倒れるメアリーを襲ったのだった。


 姉の名前を叫びながら腰を振る。

誰にも渡さないと

メアリーは俺だけのもんだと!

姉の体を、もさぼるように愛していく。


 メアリーを襲うケイン

メアリーにとって、体に空いた穴を満たしてくるのは

誰でも良かった、それが、実の弟だろうと

見知らぬ男だろうと・・・・・。


 メアリーは

目を開け、天井に張られた、紫音の写真を眺め両手を伸ばす

体を重ねる男など無視し

体に感じる快感を感じながら


「三千風紫音様・・・・あぁ・・シオン様・・・」と


 写真のその男を求め、感じる様に

愛しく求めるように、何度も口にする。


 ケインは、その度に

メアリーの顔を殴り

「俺は、ケインだ!!弟のケインだ!!」と

泣きながら叫び

メアリーの体を手荒く扱う

それでも、メアリーは、三千風紫音という男を想像し

目の前に虚像の存在を作り出し

ソレを求めるように男の名前を口にする。


 怒り狂うケイン

力任せに、メアリーを殴りながら

体を何度も重ね

ケイン自身の存在を、姉の体に刻み付けて行く!


そう、その言葉道り

メアリーの体は、何度も殴られ

その綺麗だった顔も、何度も殴られた事で

なん箇所も膨れ上がり、青あざが出来上がる。


 それでも、メアリーは目の前の虚像を呼び続ける

「シオン様」と・・・・・・。


 ケインも

こみ上げる思いと、自身の存在を

メアリーにぶつける

愛する姉を力任せに抱き

実の姉の子宮に自身の子種を力任せに注ぎ込むことで・・・・。


 何時しか、日が昇り朝が来る。


 ケインは立ち上がる

そして、そこには、ボロボロになった、メアリーの姿があった。

腰から上、上半身と顔は、何度も殴られて、ボコボコ

体中を愛撫され、舐められ、かけられ

汚物まみれになったメアリー・・・。


 そんなメアリーをベットに寝させ

動いけなくなるよに、ベットに縛り付けていくケイン。


 作業を終わらせると

1人、シャーワーを浴び

ある決意と共に、学園に向かう。


 ベットに縛り付けられたメアリーは

体中が痛みで意識を失う事は無かった・・・でも

求める物の1つには痛みもあったが

この痛みとは違う

求める物は全てを壊す痛み、体の中から湧き上がる衝撃

あの人を、三千風紫音様を目にしただけでも沸き上がる

魂が・・・体の奥底から、全てがはじけ飛ぶような快感・・・。


メアリーは、体の痛みがマヒしてきた時には眠りにつき

数時間後目を覚ますのだった

起きた時には、メアリーを縛り付けていた拘束も緩んでおり

難無く抜け出したメアリーは

ケインに荒らされた部屋を後にし、シャワーを浴びると

ボロボロの体を動かし

日課である、三千風紫音の姿を視姦する為に

家に鍵も掛けず、夢遊病者の様に学園までの道のりを徘徊していく。


 ケインは、学園に付くと

友人に頼み込み、ある計画を進めていく

学園高等部、風紀の一員である友人は聞いた。


 詳しい内容は口止めはされたが

中等部のある人間が、ケインの姉を襲ったと

抵抗する姉を殴り倒し、必要以上の乱暴を加えた挙句

姉を抱こうと手を掛けたと。

 ケインが助けに入り、一線は超えさせなかったが

どうしても、その男に仕返しがしたい。


 友人もケインの家に遊びに行った事も何度もあり

メアリーの事は昔から知っていたし

文化祭の時、ケインが自慢するように

綺麗なメアリーを連れ回していたのだ

ケラスメイトや男の友人達は

羨ましそうにケインをイジリ

紹介してくれと・・その時、ケイン達は青春をしていた。


 だけど、きっとその時

メアリーを襲った男に目を付けられたのだろうと

ケインの友人は、推測していた。


 そして、放課後を迎える

校門前、学園の中庭で待ち受けるケイン

そこに現れたのは

2人の中等部、クズクラスの学生

一人は、リーゼントを携え

どこからどう見ても【ヤンキー】

性格の悪さ、行いの悪さがにじみ出てくる男。


 そして、メアリーを襲った男だろう存在

不快感を撒き散らす、異質な雰囲気、人を殺しても

女を無理やり犯しても、笑って悪態をつきそうな

気持ち悪い雰囲気を持つ男

実際、学園のネットや、裏ネットを見てみれば

この男のマトモな噂は無い

それどころか、数限りない悪口が綴られていた。


 そう、この男が、ケインの姉を強姦したと言えば

学園全体の99%以上が信じるだろう。


 ケインは無理やり、デュエルを承諾させると

ほぼ無抵抗な、男をリンチしていく。


 風紀の人間は、逃げるように、地面を這いずる男を見守る

聞けば、ランク外、魔力も2と言う

学園に居れる最低ランクの成績なのだ

ランカーのケインの攻撃を受けて

まだ、意識が有り

五体満足に動けること自体が奇跡

いや、いじめられっ子特有の危機回避能力が高いのかと・・・

事の成り行きを見守る。


 デュエルを監視する

風紀の人間達も、簡単な事情は聞いていた

だからこそ、腕の一本位は、見逃すつもりでもいた。

そして、ケインの復讐が終わるまで

2人のデュエルを誰にも邪魔されない様に、動いていたのだ。


 だが、ケインの暴力は、多少やりすぎであった

風紀の人間の1人が、これ以上はと・・・・動こうとした瞬間。


 ケインと、その男の間に飛び込んでき女性が居た

顔がボコボコに腫れあがり、青タンもできており

一瞬判断ができなかったが

ケインの友人は、気が着いた

それが、ケインの姉のメアリーだと・・・

そして、怒りでその拳を握った。

 それと同じように、デュエルを見守っていた

風紀の人間や、ケインの友人達も、その拳を強く握る。


 目の前の男が・・・・

ケインの姉、メアリーに暴力をふるった

それは、平手打ちを数回程度だろうと想っていたが

顔の形が変わるほどの暴力であった

あの綺麗だった顔が、見るも無残な形になる程に・・・。



 メアリーの

「ケイン!もうやめて・・・。」

の言葉は、届かない

ケインはその手で、メアリーを軽く横に突き飛ばすと。

「コイツさえ居なければ

 ねぇさんが、こんな目にあわなかったんだ!

 全部、こいつが悪いんだ

 俺がねぇさんの代わりに、復讐してやる!」


ケインの友人は、3人の元に足を進めると

「ケイン・・・俺もいいか

 あの綺麗だった、メアリーさんをこんな姿にした

 この男を、俺も許せない・・・。」


 そして、また1人増え、また1増え

ケインの側に5人の男が立つ。


 中庭で、騒ぎを起こしているのだ

人が集まってきてもおかしくはない

そう、すでに紫音とケイン達は、多くの人間に囲まれていた。


 そして、ケインは見守る生徒達に向け声を荒げる

「この男は、俺の姉に暴力を振るい

 こんな姿にしたんだ

 少しの間でいい

 俺の・・・俺達の行動を目を瞑っていてくれ。」


そう、すでに、そこには

見るも無残な姿になった、メアリーの姿があり

それの復讐とならば、誰しもが目を瞑るだろう。


 見守る男達は

「やってしまえ!」

「そんな男殺してしまえ!」

「復讐しろ!」

と、おもしろ半分に、ケイン達を煽る生徒もいたが

その場に居た、鉄雄以外の人間は、ケインの味方になった。


 シオンに襲いかかる、ケイン達

飛び退く様に逃げる紫音・・・・・。


『てか・・・あの女誰よ?』


『何言ってっるっすか?

 鬼畜メガネの浮気相手の、金髪女っすよ。』


『・・・・・あ!』


そういや、かなり前

イケメンを、からかいにった時

子宮バチコン!!した、処女だった金髪女!


『で・・・あの女を殴ったのが俺?

 いやいや、なんぼ俺でも、女子供は殴らんぞ!』


『・・・・・』

『・・・・・』


『なんか言ってよ・・・・。』


『昨日、彼女が、シオン様をストーカーしていた時には

 怪我をしていなかったと記憶していますので

 この24時間以内に負った怪我だと思われます。』


『いや、だから

 ストーカーの話なんてきいてないですよ、リルさん・・・。』


『あの女性の、シオン様に対する記憶は完全に消しましたが

 少し前から、シオン様を、ストーカーし、近づいてきましたので

 先日ギンにお願いして、その記憶を確認しましたが

 以前のシオン様の記憶は、一切ありませんでした。

  ですが、それでも、シオン様を選ぶとは

 彼女は、なかなか見る目があります

 なので、シオン様をストーカーすることを許可しました

 ただ、ギンによって、自分からシオン様に近づかない様に

 精神に楔を打っておきましたが

 シオン様を助けるために

 その楔を断ち切って

 シオン様に近づいたことは、多少なり評価致しましょう。』


『おお!リルが、俺に近づく女を褒めた!

 珍しい事もあるもんだ・・・・・って

 ちょっと待て、初耳だぞ!!

 何、俺の知らん所で、なに面白いことやってんだよ!』


『シオン様をストーカーする女性が要ると教えれば

 シオン様は、その女を抱きに行くでしょう!!』


『・・・・・ソ・・・ソンナコトハナイヨ・・・。』


『行くっすね、確実っすね。』


『うるせぇ!

 それより、あの女を殴ったのは・・・・

 俺じゃないよね・・・・?』


『シオン様、なぜ疑問符なんでしょうか?』


『いやだって、あの男が、俺だっていってるし・・・。』


『誰かは知りませんが、シオン様で無いことは確かです。』


『そうっすね、あたい達とずっと一緒だったすから。』


『だよなぁぁ・・・・。』


 そんな話に割って入る、ずっと念話で笑っていた鉄雄

『まぁ、理由はしらんけど

 殴ったのは、弟らしい、その男だな。』


『マジか?』


『あぁ、あの女の殴られた具合や、傷後と

 あの男の拳に残ってる

 人間の肉体と言うより

 顔や骨を殴った後に残る独特の炎症ぐあいが、ほぼ一致するな

 まぁ、推測すると

 姉の事が好きな弟が

 姉の好きな人物を知って、嫉妬・・・っていうか

 その男の気持ち悪さを知って

 辞めさせようと、姉を殴り

 その仕業を、紫音のせいにいて

 今度は、原因である、紫音を殺そうとしてるって所か?』


『マジか?』


『推測だけどな、それより

 どうすんだ、それ?

 周り囲まれてるし

 悪者として認識された紫音が逃げ切れるとは思えんぞ?』


『なら、手を貸せよ!』


『なんで?』


『くそ、そんなに俺が襲われるのが面白いのか!』


『面白いね!』


『くそう、予想どうりだ!』


さすがの紫音も、退路を塞がれた状態で

6人相手に、逃げ切れり事もできず

なすがままに、攻撃を受ける。


 盛り上がる観客

もうメアリーの事など関係ない

公開処刑の狂気にそまり

観客全員が、冷静な判断ができなくなり

紫音を殺せと声を上げる。


 狂気に染まった集団に割って入ってくる女生徒が居た

それは、四条優美。

 今日は用事があって、帰りは1人であり

狂気にそまり【コロセ!】と叫ぶ集団目にし

もしも、イジメや集団での暴力が行われているのなら

ソレを止めようと、集団の中を確認する為に

割って入ってきた。


 そして、まるで集団リンチされている、生徒を目にし

その人物に驚く。


「し・・・紫音くん?」


「お?いい所に来た。」


「え?・・・あ!今止まます。」


「それはいい、四条優美!今すぐ校門に車を呼べるか?」


「え?はい、呼べます。」


「すぐ、呼んでくれ。」


行き成りフルネームで呼び捨てにされ

命令されるように指示を受け、つい「はい!」と返事をし

携帯を取り出すと、じぃに電話をし

すぐ校門前まで来るように伝える。


ソレを聞いた紫音

大きく横に飛び退くように、鉄雄の近くまで飛び出し

6人から距離を開けた。


「てつ、逃げるぞ。」

鉄雄は、両手でリーゼントを整え

両手をポケットに突っ込む事で

紫音の言葉に答える。


そして、ゆっくりと猫背の様に前屈姿勢になると

一気にダッシュする


ある一定の強さを持たないと成れない風紀委員

そして高等部2年のランカーである生徒、合わせて5人を

鉄雄は、その蹴りで一撃の元、1人、また1人と沈めていく。


残ったのは、ケイン1人

汚れた改造制服で目の前に立つ、紫音に怒りを口にし

両手に持つ、2本の片手剣の鞘を落とし

その刃を観衆の目に晒す。


そして、紫音に対し魔法を使い技を繰り出した。


 片手剣の刀身が、炎を纏う

俗にいう、エンチャント系の魔法剣の一つだ

そして、二刀流の剣技を使い、紫音を襲う・・・。


 だが、紫音は最小限の動きで、その攻撃をかわすと

そのまま一歩踏み込み

「お前が一番悪役みたいだから

 とりあえす、反省でもしてろ。」

紫音はケインの顔の前に右手を素早く持っていくと

その勢いのまま、ケインにデコピンをくらわした。


 頭を後ろに仰け反らしたケインは

その衝撃で意識を失い、崩れるように倒れた。

 見た目には勢いよく殴られた様に見えたのだが

これが、デコピンだと見切った人間はほぼ居ない。


 一瞬にして、6人の人間が、その場に倒れた

唖然とする、周りの人間を無視し

紫音と鉄雄は、メアリーの側に駆け寄り

2人して、メアリーの足の方へ踏み出し

顔を見合わせるように、動きを止めた。


「てつ!てめぇ、そっち(上半身)を持てよ!」


「うるせぇ!

(ちっちゃい胸に興味はねぇ、白い綺麗な足を持たせろよ)

 紫音がそっち(上半身)を持てよ!」


「てめぇ・・・(スカートの中を覗くつもりだろう!)」


「お?やる気か?

(紫音だって、さっきスカートの中、覗いてただろう!)」


拳を握る、紫音と鉄雄

睨み合うように、顔を突き合わせると・・・・。


「さいしょはグー!」

「じゃんけんポン!」

「アイコでしょ!」

「しょ!!」

「しょ!!!」

「しょ!!!!」

「しょ!!!!!」

「しょ!!!!!!」

「しょ!!!!!!!」

「しょ!!!!!!!!」

「しょ!!!!!!!!!」

「しょ!!!!!!!!!!」

「しょ!!!!!!!!!!!」

「しょ!!!!!!!!!!!!」

「しょ!!!!!!!!!!!!!」


超高速で行われたアイコを、10度ほど繰り返すと

紫音が崩れ落ちた。


紫音は、メアリーの上半身を脇に抱える

彼女の胸を自身の体に押し当てる様に(役得である)

鉄雄は、メアリーの生足を小脇に抱え

逆の手で、木綿の様な、スベスベの彼女の足を触る(役得である)


だが、まだ障害はあった

紫音達を囲む生徒達だったが

鉄雄の睨みと、そのドスの聞いた

「てめえら!道をあけろ蹴り倒すぞ、あぁん!!!!」

の一言で、道は開かれた。


 高等部の上位ランカーを

その蹴りの一撃で沈めた所を目の当たりにした生徒達が

その身を危険に晒してまで彼らの行く手を遮る理由は無かった

 それが、女性を攫おうとしていてもだ。


 メアリーを抱え逃げる様に、立ち去る紫音と鉄雄

その後を、意味も分からす追いかける、四条優美

4人が、校門に着く頃には、四条家の送迎用の

年代物のクラシックカーが到着しており

紫音と鉄雄は、後部座席にメアリーを放り込むと

そのまま車に乗った。


 それに続くように、四条優美も、車の助手席のドアに手を掛けるが

それを呼び止める存在が居た。


「四条さん、彼女とあの男達をどうするつもりですか?

 彼女に暴力をふるったのは、あの男なんですよ!」


 それは、ケインの友人の1人だった。


 四条優美は、動きを止め振り返る

そこには、ケインから事情を聞いた

人間達が数人集まっていた。


 四条優美は、一度、濃い目のスモークで中は確認は出来ないが

後部座席でニヤニヤと自分の事を笑っているだろう2人に視線を動かすと

諦めた様に、目の前の人間に向き直す。


「彼等は、私の友人です

 彼等が、彼女に暴力を振るったとは、信じがたいです

 この中の誰でもいいですが

 彼等が彼女に暴行を行った所を、本当に見た人はいるのですか?」


その言葉に、返せる人間は居ない

そして四条優美は続ける


「まずは、彼女手当が先です

 私、十士族、四条家が娘、四条優美の名を持って宣言します

 私の元にいる限り、彼女をこれ以上傷つける行為は

 誰であろうとさせません

 彼女が何者であるか

 なぜ、こんな状況になったかも

 深くは問いませんが

 彼女は、私、四条優美が引き取らせていただきます!」


 これには、ケインから

簡単な事情を聞いていた友人達は納得がいかない

十士族の四条優美が、四条の名を使って、あそこまで言うのなら

メアリーの安全と怪我の治療は、絶対だろうが

その元凶である、あの男を一緒に連れて行き

尚且つ「深くは問いません」と口にしたのだ

それは、メアリー怪我の理由をうやむやにする行為である

これには、友人達は納得できなかった。


 不満を口にする、おおくの生徒がいたが。


 次に発した、四条優美の言葉で

全員が口を閉じた。


「それでは、先ほどの場所で

 集団リンチに近い行いが有った事も調べあげます

 そして、そこにいた、暴力を振るう人間を

 煽る行為をした生徒、または、止めにも入らず

 リンチを見て楽しんでいた生徒全てを同罪

 ・・・とまでは言いませんが

 それなりの罪は覚悟してください。

  そして、その全てを、四条の名と力を使い調べ上げ

 彼女と彼等の事情と共に全てを

 学園側に報告しますが、構いませんか?」


 それは、彼等にとって、死刑宣告と一緒である

集団でのイジメや、暴力など、学園ではよくある事でもある

それが、学園に知られようと、未成年である彼等の名前が出ることはないし

学園側も死者でも出ない限り、騒ぎ立てすることでもない。

 

 だけど、そんな些細な事だろうと

実名と共に、十士族に知られることは

今後の人生に深く関わって行く事となるのだ

それも、相手は、十士族、四条の名を使って調べ上げるとまで言うのだ

もし無罪であっても、一度でも十士族に睨まれれば

将来、大手の企業や

十士族の息のかかった組織や会社に就職出来ないことを意味する。


 自身の将来を棒に振ってまで

ただの、友人を助けるほどの人間はいなかった。


 反論が無いことから

四条優美は、理解のある人達に

小さく頭を下げると、助手席に乗り込んだ。




「じぃ、急いで病院に。」


四条優美の言葉を否定する様に

後部座席から声がかかった


「病院じゃ無しに、俺の家に言ってくれ。」


 それは、傷ついた女性を、窓際に押し付け

後部座席中央で、我が物顔ですわる、変態の声だった。


「でも、彼女の傷を治す方が」

     「やめとけ

 四条家の息のかかった病院に行けば

 事が大きくなりすぎる

 たぶん、この女もそれは望んでないだろうしな。」


 四条優美は、少し考えると

紫音の言葉に納得し

行き先を三千風家に変更した事を、ジィに伝えるのだった。


 そして、リーゼントの男は

車の内装を、見たり触ったりしながら

「おお、スゲー綺麗に手入れされてる

 じぃさん、これって2468から73年代のロールスだろ?」


「さようです、ですが、よくお気づきになられましたね?」


「あぁ、この綺麗なウッドパネル、木目シートじゃない

 本物のマホガニーを使ってる、んで

 あの会社が、マホガニーを使ったのが1900年代までで

 最近復刻されたのが、100年前の、68から73年だけなんだよ

 でも、100年たった今、この状態で残ってるのは貴重だね

 手入れが行き届いている証拠だ!」


「お褒めいただき、ありがとうございます。」


じぃと呼ばれた、運転手は

機嫌良さそうに、車を運転しながら

小さく頭を下げるのだった。


「で、じぃさん

 うまく、誤魔化しちゃいるが

 流石に100年たってるから

 ところどころ、クスミや釉薬が薄くなってる所があるな」


「はい、私 (わたくし)と同じく、良い歳なので。」


「今度、時間をくれたら、治してやるけど?

 そうだな、完全乾燥まで、考えると

 俺の休みの時に、昼に預かって、翌朝までってところか?」


「申し訳ありません、貴方様は車関係のお仕事を?」


「おっと、言うの忘れてた

 俺は、宮守鉄雄

 この変態、三千風紫音の家の近くにある

 宮守建設の息子で、大工だ

 だから、木の事は任せてくれ。」


「そうでしたか

 あの宮守建設の、息子さんでしたか

 それでは、安心して任せられます

 仕事の都合もありますので

 後ほど連絡先をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「おう、手間賃はいらねぇ

 材料費だけでいいぞ!」


「それは、いけません

 宮守家の人間にお願いするのです

 それなりの金額はお支払いさせていただきます。」


「いらねぇって言ってんだろ

 これは、俺が俺の為にすることだからな。」


紫音の家に向かう途中

そんな会話をする、運転手と鉄雄

ソレを聞いていた、優美は疑問に思い・・・


「じぃ、鉄雄君の家は、普通の建設会社と違うの?」


「優美お嬢様は、ご存知ありませんでしたか

 宮守建設と言えば

 日本で1・2位を争う、宮大工の家計です

 近年では、世界遺産と言われる、木造建築物の大規模な修繕は

 宮守建設でしか扱えないと、言われる程です

 今の社長、宮守剛樹 (ごうき)さんは

 かなりの人格者と聞き及んでおります。」


 関心して聞く、優美と違って

紫音と鉄雄は、普段の、娘ラブの親バカな剛樹の姿を思い浮かべ

アレが、人格者?と、笑うのだった。



 じぃと呼ばれた運転手と、鉄雄、紫音はうちとけ

優美には、分からない、車の話で盛り上がっいく

そうしているうちに、紫音の家に到着する。


 紫音と鉄雄は、意識の無いメアリーを家に運ぶ

優美は、その後を追い

じぃは「近くに待機していますので用事があればお呼びください」と

車を運転し消えていった。


 玄関に待ち受けるのは

大きなリボンをつけた、背の低い少女。


「紫音・・・

 また、そんな女性を拾ってきて・・・

 どうするつもり?」


「バカを言うな!

 これは、このお方が!

 ここへ運べと!!

 おっしゃられたのですよ!」


 紫音と鉄雄は

女性を抱えたまま、その場から退き

後ろに控える四条優美の姿を鈴に見せる。


「え?優美ちゃんどうして、ここに?」


優美は・・・真顔で・・・。


「ど・・どうしてでしょう・・・・?」


と、首をかしげるのだった。




 家に入ると

女性を、ソファーに寝かせると

鉄雄が、面白おかしく、学園であった事を説明する

それに付け加えるように、優美が補足していく。


 紫音は、この女性の事なんて

知らぬ存ぜぬで、貫き通すのだった。


 だが、彼女がこれ程の傷を受けた経緯は何一つ分かっていなかった。


 鈴には念話で、鉄雄の推測は簡単に説明したが

真実は、本人に聞いて見ないと解らない。


 鈴は女性の意識を回復させる

女性は、意識もうろうと

ゆっくりと目を開けると

紫音の姿をその瞳に映すと

その魂は叫んだ

「三千風紫音様!私を抱いてください!」


「わかった、俺の部屋に」


 その瞬間、【ガツン!!】と、大きな音と共に

紫音の顔が床に打ち付けられた。


 紫音の後頭部を鷲掴みにし、床にぶつけ

そのまま、グリグリと、紫音の顔を床に擦りつけるのは

無表情の笑顔で笑う、鈴だった。


 そんな紫音の姿を見た、女性は

「床が・・羨ましい・・・

 私が、床に・・なりたい・・・・。」と


 その後は

声を殺して笑う鉄雄を無視し

鈴は、紫音の顔を

大根をすりおろす様に、床にゴリゴリとしながら・・・。


 目の前の、頭のオカシイ女性に質問していく。


 名前は【メアリー】・・・

そして、その顔と体に刻まれた経緯と

それに至った、総ての事柄を聞いてく。


 全て、吐き出したメアリー

紫音の存在の前で、何も隠す気はなかった。


 全てを聞いた4人と・・・オマケ達。


 四条優美は、その事実に、声もでず

その逸脱した愛情に、吐き気すら覚えるのだった。


 鈴は、感情を表さず、無言で、紫音の頭をゴリゴリする。


 鉄雄は、笑える話でない事を感じとったのか

話の途中から、メアリー達から、距離を取るように場所を移動し

何も言わず、話を聞いていた。


 紫音と言えば

鈴のグリグリに耐えながら

自分を襲った、メアリーの弟にどう仕返ししようか

リルや、マリアと念話で会話していた。


 そう、鈴や鉄雄、紫音にとって

メアリーの身の上に起きた事実は

それほど驚く事ではなかった・・・。



 優美と、メアリーは

三千風家で、夕飯のシチューを食べながら

メアリーの今後を話し合うのだった。


 その次の日

四条優美は、メアリーの弟である、ケインの居る

学園、高等部の教室に足を進めると

「放課後、メアリーさんの事で、話があるので

 ケインさんと、話が聞きたい昨日の関係者の生徒は

 この部屋に、集まってください」と・・・

そして、放課後、四条優美は

メアリーの弟である、ケインと、その友人達に説明していく。

 



 メアリーの身柄は、彼女の安全の為

家には返せないと伝えた。


 ただ、総ての事情は、彼女から聞いたと

あの時の中等部生徒は

あの時まで、彼女の存在すら知らなかった事が判明

あの生徒が、彼女に手を出した事実は無かったと。


 そして今後、今回の事で

彼に手を出すことは、許さないと。

 

 そう、それは説明と言うより

すでに決定したことを、一方的に口にするだけだった。



 ケインは、青ざめる

全てが知られた・・・

 そして、愛するメアリーは帰ってこない・・・

そして、ケインは、四条優美を睨む

愛する姉を奪い取った存在に憎悪をむけて・・・。



 

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