37話 それからの、イケメン そして変態は日常に戻る
速見幸一 (はやみこういち)は目を開いた。
「ここは?」
周りを見渡すと、それは、どこの街にでもある
ビルとビルの間にあるどこかの裏路地だった。
「く・・・頭が割れるように痛い・・・
なぜ、こんな所に・・・。」
速見は自身の姿を見る
それなりに、身奇麗な姿だった
黒のスラックスに黒のTシャツ、上には、黒のジャケット
黒ずくしだが、それが自分の持ち物では無いことは
すぐにわかった。
だけど道に転がっていた為か、汚れてはいた。
静かに立ち上がると、ポケットを探り
サイフと鍵と携帯を取り出す。
速見達、SSSは、闇の仕事の時は
自身の物は、会社に置いて行動していた。
速見の今の持ち物は、身元が確認できない物である。
携帯は、身元を確認できない
料金チャージ式の携帯電話だ
鍵は、移動に使う、バイクの物であり
それは自分の物だと確認すると
安心し、大きく息を吐く。
サイフの中身を確認する
サイフの中身も、身元が分かるようなカード類は入ってない
お金と、プリペイド系のカードが数枚入ってるだけだ
お金に関しても、多くても10万も入れてないはずだった・・・
それが、なぜか20万以上入っていた。
理由は分からないが、服も他人のものだ
そこに、何か理由が有るのか考えるが
何故か、記憶がごっそり抜けていた為か
思い出そうとすると、割れるように頭が痛くなる。
何かの手がかりが無いかと
そして、この場所が何処かなのと
意識は手人持つ携帯に向いた。
携帯を確認していく
スマホ画面キーボードでの、16桁の英数字ロックだ
100%とは言わないが、本人以外解除は無理な使用だ
それでも、とえあず開いて確認をしていく
携帯表示に現れたのは
【5月21日 日曜日22時32分】
「21日?」
速見は、自身の記憶を探る。
矢吹の妹が拉致された・・・
SSSで、島崎と会って、部下を数人連れて
矢吹の妹と、その友人を助けるために動き出したはず。
それを聞いて、SSSの仲間だった
高坂が手を貸してくれることになった。
情報によれば、彼女達を拉致したのは
小宮・鷲尾、その2人に雇われた、アメリカの傭兵団。
その情報収集や、対策、戦闘準備をする為
全員が集まって、議論を繰り返していた。
そこに・・・現れたのが、裏世界で、その名を響かす
【ひょっとこのお面】の男・・・。
ゴールデンウィークの時
護衛対象だった【レッドストーン】の要人も殺された。
その後、小宮達を倒したと聞いたが
何がしたくて、俺達の前に姿を現した。
そして・・・・?
そして・・・なんだ?
そこからの記憶が曖昧に・・・。
それより、あれから、すでに5日たっただと?
どうなってやがる。
部下の1人に電話を掛けるが通じない。
また1人と掛けていくが
3人の部下全員が通じなかった。
SSSの本部に、電話を掛けようと考えたが
SSSでは、自分は、仮面の男達と通じていた
裏切り者という立場らしいと
なら、信用のおける友人に電話を掛ける。
その男は、速見の裏切りを信じてはいなかったが
SSSの本部に居た為か、移動しながら小声で話しだした。
速見・島崎・高坂が、矢吹の妹を奪還する為に集まった事は
SSSの人間やレッドストーンの一部の人間はすでに知っていると
そして、その全員が行方不明だったが
先日、速見達が集まっていた場所の近くで見つかった。
ただ、数人の行方不明者を除いてだと
数人と言うのは、速見とその部下3人
そして、あの場所で死んだ人間であった
発見された人間に聞いても、意識を失っていたみたいで
仮面の男達が現れてからの記憶が全員曖昧だと・・。
その為か、SSSでは、やっぱり速見達が裏切ったのでは?と
幹部連中が、やっきになって速見を探していると。
速見自身も、ここ数日の記憶が無い事を口にし
もしかして、仮面の男に「はめられた!!?」のではないかと
悔しそうに口にもするが・・・・・
その答えを知る者はいなかった。
ただ、良い知らせもあった。
誘拐されていた矢吹の妹と友人の2人は無事保護されたと
だが、速見と同じように、ここ数日の記憶失っていたが
心身共に無事だったと。
そして、彼女達を誘拐しただろう、鷲尾が組織から姿を消し
レッドストーンの小宮は見つかったが
混乱していてマトモに会話にならないらしい。
その事で、SSSと、レッドストーンでは
内部でゴタゴタしていると。
その為、速見の捜索に当たれる人数は少ない
今は身を隠し、ほとぼりが冷めた頃に、上と掛け合って
俺が話を付けるまで、出てくるな、と・・・。
速見は、一言
「すまない・・・。」と
電話越しに、友人に頭を下げて、電話を切った。
速見は、歯を噛み締めながら、拳に力を込めた・・・。
数分立ち、頭が冷め、心が落ち着き
やっと、矢吹の妹達が無事であった事に安堵する。
そして、携帯を操作し、今の居場所を確認した。
そこは、やはり東京だった・・・。
自分の部屋はあるが
きっとそこは組織に見張られているだろう
なら、どうする?女の家も無理だろうし・・・。
組織の人間が知らないだろう友人の家にでも、いったん・・・・。
壁を背にして周りを警戒しながら
考え込んでいたが、その考えを遮る音がした
「グゥゥゥゥ~~~」と腹が鳴ったのだ。
いきなり襲ってきた空腹感
まるで数日何も食べていない様な感覚に襲われるのだった。
速見は裏路地から大通りにでる
左右を素早く確認する、いつ見つかるか分からないので
警戒はしたままだ、腹を満たすため、何かを食べたいが
レストランや、大きな飲食店に入るのは避けたい
明るい場所では、見つかる可能性があるからだ
なら、場末の小さな飲み屋かバー・・・
金なら何故か20万はある
それに酒でも飲まないと、やっていられない・・・。
少し進むと、小さな飲み屋が並ぶ路地に入る。
そして、小さなバーの看板を発見する
古ぼけたネオンの看板が、電球切れ寸前なのか
チカチカと付いたり消えたりを繰り返していた。
速見は直感で、此処に入る事を決め
飲み屋が幾つも入るビルの階段を降り、地下にある、バーに足を向けた。
そんな、行動の一部始終を見ていた存在がいた。
速見が入っていった建物の向かいにあるビルの屋上にその存在はいた。
転落防止の手すりの上に座り
左手に双眼鏡を握り、右手でコップに入ったコーヒーを飲む少年と
その右肩に乗った、小さな狐のぬいぐるみ
その後ろで、静かに少年の指示を待つメイド服の少女の姿と
キャバレーから、抜け出たような姿の女性の姿があった。
「さすがギン様、精神操作は完璧だねー。」
「コン!」
「7:3メガネが裏で動いてたみたいだし
あとは、おっちゃんに任せるか。」
「それでは、シオン様、この後はどうなされますか?」
「そうだなぁぁ・・・ラーメンでも食って帰るか。」
「いいっすねー!豚骨って脂ぎったラーメン食べてみたいっすよ。」
「豚骨か!いいな!テツも誘って九州でも行くか!」
「では、いったん家に戻りますね。」
少年は、メイドの言葉に頷くと
手すりの上に立つと、ビルから飛び降りる
その瞬間、そこに居ただろう、3人と1匹の姿は消えたのだった。
速見が店に、入ったのは偶然ではなく
ギンによって、そこに入るように誘導されていたのだが
速見が、それに気が付く事はなかった・・・・。
速見は店に入ると
中を確認する。
小さなバー
光は落としてあり、少し薄暗かった。
着物を来た、ママが「いらっしゃい。」と声をかけてきた
声の感じからして、40歳に届いてないだろう、若いママさん。
カウンターの一番奥の席に座る、体格は良さそうだが、横顔から
かなり歳の男性、50歳?は超えているか?
一瞬組織の人間かと、警戒するが
こちらを気にすることなく
手酌で、ウイスキーを飲む姿に
違うだろうと、判断するのだった。
カウンター席を避け
出入り口に近いテーブル席を選んで、ソファー座る。
若いママさんが、声をかけてきた
ビールと、何か食べ物をと・・注文すると
男性が、ウィスキーを持って、テーブルの向かいに座る
「よう、若いの、何をしけたツラをしてやがる。」
一瞬身構えるが・・・・。
「ほっといて貰えますか・・・。」
「そうはいかんのだよ【速見幸一】」
ガタ!
速見は、立ち上がり、構えを取り叫ぶ
「誰だ!貴様!」
「そうだな・・・
【赤城雅紀 (あかぎまさき)】と言えば分かるか?」
「あかぎ・・・・あの・・・伝説の・・アカギ会の会長・・・」
「伝説は・・やめてくれ・・・
だがまぁ、その赤城だがな」
薄暗い中で、貫禄のある男は、にやりと笑うのだった。
速見は立ったまま、姿勢を正すと
「ですが・・・そのアカギ会長が、なぜ俺・・私の名前を?」
「それは、後でいいまぁ座って、いっぱい飲め。」
いつの間にか、ママさんが、速見の分のコップをテーブルに置き
赤城は、それに波波とウィスキーを注いでいく。
「し・・失礼します」
小さくお辞儀をすると、ソファーに座り
「いただきます。」と
差し出された、ウィスキーを半分ほど飲んだ。
「でだ、速見よ
今のお前の立場は、すでに知っている
こっちにも、SSSから
お前の情報を知らないかと連絡は来ているからな。」
「・・・・」
「SSSを辞めて、ワシの下につく気はないか?」
記憶に無い微かな何かが、心を突く
ここ最近にも、誰かに勧誘を受けたような・・・と
だが、今の自分の置かれている状況を考えるなら
「それは、SSSが、黙っていませんよ
それに、行方不明になってる部下もいます
動こうにも・・・
いえ、今の私には、何の力もありません
それに、なぜ私を?」
「速見よ・・・。」
「ハイ!」
「グダグダ、めんどくせえな!!
ワシの下につくきは有るのか?無いのか?
そんなに、SSSに未練が有るのか?」
「いえ、未練はもうありませんが
私が赤城会長の下に付くと、SSSが怒るのでは?」
赤城会長の表情が険しくなる
SSSとの関係を懸念してだろうか・・・と、思ったら
全く違った
「・・・最後だ・・・
今ここで死ぬか?
それとも、今すぐワシの下につくか?」
その凄みに、速見は全身に寒気が走り、小さく唾をのんだ。
これが・・・生きる伝説、東の赤鬼・・・。
断れば・・確実に殺される・・
まだ、やらなければないらない事がある
死ぬわけにはいかない。
速見は、震える体を隠し
ソファーに座ったまま、頭を下げると
「よろしくお願いします。」と答えるのだった。
ソレを聞いた赤鬼は「ワッハッハ!」大いに笑うと。
「と、いうことだ!【茂 (しげる)】」
カウンター奥の調理場だろう場所から、一人の男が現れた
小太りの30代男性だった、速見はその人物をよく知っていた。
SSSの裏の事業を取り仕切る人物であり
SSSの会長の実の子供の1人である。
「茂さん・・・・なんで、此処に?」
「親父から、連絡が来てな
親父の代わりに、赤城会長に会いに行けとな
会長に聞けば、今日この時間に、速見が此処に現れる
そして、速見、お前をくれと言ってきたんだ
俺達SSSにも、それなりの事情もあったり
速見には色々と落とし前を付けなきゃならねぇと
断ったんだが・・・・
まぁ、俺も赤鬼に脅されたら
強くは断れねぇ」
「おいおい、ワシは脅してなどおらんよ。」
「赤城さん、私の立場もありますし
そういうことにしといて下さいよ。」
「まぁ、いいがな。」
長年の知り合いの様に会話をする2人に
ただ見守ることしかできない、速見
SSSのトップと、赤城会のトップが
仲が良いなんて、聞いたこともなかったからだ
だいたい仕事柄、現場でよく争い対立する、裏組織同士だ
仲が良いなんて、ありえないと思っていた。
茂さんは、小さく笑うと、話を続けた
「まぁ、お前の意思もあるだろうからな
会長が勧誘して、お前が断れば
そのまま、俺が連れて帰るつもりだったが・・
まぁ、会長に脅されたら
俺でも、首を縦に振るわな。」
「横に振れば、その時は
こいつの首を飛ばせば良いだけの事よ
で、茂よ、こいつは貰っていくぞ
今後SSSは、こいつから手を引けよ。」
「わかっていますよ
私の権限で、手を引かせます
それなりの、情報提供もいただきましたしね。」
「よかったな、速見!
ついでに言うと、お前の部下3人は
すでにワシの所にいる
一緒にワシの下で働いてもらう。」
速見は驚いた、行方不明になったと聞いた部下が生きていた
そして、もしも、自分が赤城会長の申し出を断わっていたならと・・・・。
テーブルに擦るほど深く頭を下げて
「ありがとうございます・・・・
赤城会長・・・聞いていいですか?」
「なんだ?」
「なぜ?私を下に置こうと?
そこに、会長の利益なんて無いと思うのですが?」
「詳しくは・・・言えんが
ある人間に、頼まれた、お前を救ってくれとな。」
「そんな・・・それだけで、私を?」
「まぁ、あの人に頼まれれば、仕方がない
お前の意思しだいだったが
ワシの下に付くと言うのなら
SSSと戦争をしてでも
茂達を黙らせるつもりだったがな。」
赤城は、子供のように大いに笑う
ソレを見た、茂
「会長が、そこまでする、人物に興味が沸いてきましたね。」
「私も、そんな人物に知り合いなんて・・・いないと思いますが?」
「あぁ、お前たちが知る必要はないが
言えるとするなら
このワシが唯一頭が上がらない恩人達だ
何を考えているのか知らんが
彼等が、ヤレと言うなら、ワシはヤルだけだ
速見、お前を助けろと言うなら
どんな手段を使っても助けるし
ワシに死ねと言うなら、ワシは笑って死ぬだけだ。」
「会長に・・・そこまで言わす人物ですか・・・
うちの親父も、その人物達の事は知ってるのですか?」
「知らんだろうな・・・。」
茂は、右手を顎にあてて、しばし考え込むと
「もしよければ
その人物を私に紹介してもらってもよろしいですか?」
「無理だな。」
「そうですか・・・。」
「まぁ、今回の事で
SSSの・・・イヤ
茂の事は伝えとかないといけないからな
1つの貸しが出来たと感じれば
茂がどうしてもと困った時は
フラっと・・目の前に現れるだろうな。」
「貸しですか・・・。」
「あぁ、貸しだ!」
「会長を意のままに動かせる人物が
こんな事で・・・・貸しだと、思う物のでしょうか?」
「あぁ、動くぞ!
オイ、速見!」
「ハイ!」
「お前は、彼等の事を覚えて無いだろうが
今回、お前を助けたのは
借りた貸しを、1つ返す為らしい
それが、何かはワシは知らんがな
お前にとって、記憶にも残らない
些細な事だったかもしれん。」
「いったい、いつ・・・・。」
「ついでに、彼等から伝言が2つほどある。」
「なんでしょう?」
「1つは
速見には、貸しを2つ作ったから
とりあえず、1つは返しとくとな
そして、また何かあれば、力になるとな
もう1つは
違う人間からだが
ワシの元で、力を付けろとな
仕事と言う縛りから抜け
ヒーローになる近道を探せとな。」
速見は、一瞬、息が止まる。
ヒーロー、正義の味方・・・・
誰かの味方、それは、速見の少年時代ずっと求めてきた存在であり
弱き者のヒーロー、それは自身がなりたい存在あった。
もしかしたら、これはチャンス
何者かはしらないが、自分は次なる機会を与えられた
速見の心に
今まで押し殺していた何かの思いが湧き上がる
その表情は生き生きとし、期待に満ちていた。
その顔を見て、赤城は、ニヤリと笑う。
彼にお願いされて、助けては見た
初めは死んだ魚の様な目をしていたが
今は、さっき姿からでは信じられないほど
気迫が充ちている!
思いの他、いい拾い物をした
これは、彼には感謝しなくてはな・・・・と。
茂は、生きる伝説とまで言われた
【赤城雅紀】を動かす人物に興味を惹かれた
そして、たった、1言2言の伝言で
死に体だった、速見を生き返らせた
未知なる存在に、更なる興味が沸く
そして、そんな存在に
もしかしてだが、貸しが1つ出来たのなら・・・
速見の1人や、その部下の3人なぞ
比べるまでもなく、破格な交換条件だったと
隠しきれない感情が、茂の口角を上げていくのだった。
***************
その頃
九州福岡博多の駅近くに出没した
一見異様な集団がいた。
全身黒ずくめの、胡散臭い男と
リーゼントを揺らす、サングラスの男、2人が先に歩き
その後ろを付いて行く存在
一番背の高い女性は、その綺麗なプロポーションを
引き立てるタイトなドレスを着る、エロく、うつくしい大人の女性と
肩を出した、ワンピースにシースルーのアウターを羽織った
薄紫の髪をポニーテールにした、まだ幼さがのこる、うつくしい女性と
可愛らしいフリルが着いたミニスカートを履き
青いシャツの上に袖なしのパーカーを着る
片目を髪の毛で隠し、頭の後ろに大きなリボンを付ける、可愛らしい少女
そんな大中小の3人の女性が居た。
統一性なぞ、全くない集団であった。
どの店に入ろうかと、言い合っている中
リーゼントの男が、ある店を見つける
木の看板に【てつ】と書いてある店である
自分と同じ名前がある!
それだけで、彼等が入る店が決まった!
頼んだのは、全員同じで
豚骨ラーメン
それ以外にも、サイドメニューを幾つか注文した
数分で出された、ラーメンにかぶりつく面々
豚骨独特の白いスープに極細ストレート麺
具材は、チャーシュー青ネギと
至ってシンプルだった
スープを一口飲む、優しい甘い味が口に広がる
豚骨の独特の臭さもなく、サッパリであって、コクもある
「うん、うまい!」
男は、好きなラーメンを食べるため、たまに外食する
店の数だけ、ラーメンがある
その全てが、材料も作り方も違うのだ
その亭主が作り上げた、魂の芸術品と言ってもいいだろう
そう、こればっかりは
さすがの、この男の妹でも作り上げることができないのだ。
だから、その兄妹にとって、ラーメンを食べたい時は外食となる。
早い時間なら、リーゼントの妹も来るのだ
今日は夜遅く、その妹はすでに布団の中だった。
そんな5人の会話は、先日の話や
最近、死に物狂いで特訓させられている鎧女の話である
無駄に盛り上がっていく5人
そんな時、リーゼントの男が
思い出したかのように、もう1人の男に尋ねた・・・・
「でさ、結局・・・お前、何がしたかったんだ?」
質問された男は、考えた・・・・・。
あのイケメンが困っていた
面白そうだったから、首を突っ込んだ
でも、すぐ捕まった
結局、誰とも戦っていないし
妹や、友人達には
拷問を受けボロボロになった情けない姿を見られ
無駄に笑われた・・・・・
「ちょっとまて!
今回、俺!イイとこ無しじゃねぇかよ!!!」
薄紫色の髪の女性が、首を傾げ、口にした
「いまさらですか?」
笑う、エロい女性は
「あたいは、色々楽しかったっすよ!」
大きなリボンの少女は
「自業自得!全部自分のせいでしょ?」
そして、リーゼントの男は
ただただ、笑う!
おおいに、笑う!
そして、男は、大きくため息を付くと
「刺激がある人生なんて嫌いだ!
平和で平穏・・・・
まったりとした、老後をおくりたい・・・。」
「ムリですね!」
「ムリっすよ!」
「とうとう壊れたの?」
「平穏って!ありえねぇぇーーーーー!」
男の言葉は、全員に否定されたのだった。




