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23話 原初の三王

 


 

蓮は、静かに周りを見渡した


黒髪リーゼントの男、宮守鉄雄は

ミカを、お姫様だっこし、伊達男を気取っていた



宮守の腕の中にいるミカに視線を送る


ゴーレムを倒した魔法の事が気になる蓮

圧倒的な力を持っていた【雷帝・レイ】だが

その七星に込める魔力は、7個全てが同じ魔法であったし

それが当たり前であり、そういう物だと思い込んでいた


その星1個1個に違う魔法を込めるなど

蓮は今まで考えもしなかったし、想像もしていなかった事だ

同じく、圧倒的魔力を所有していた、悪魔であったミカや、ミーティアも

蓮と同じように、七星には同じ魔法を込めるものだと思っていたし

そんな使い方を考えたこ事がない


だがだ、信じられない事に

ミカは七星の全ての星に違う魔法を込めたのだ

そして、新たな合成魔法を作り上げた

ミカの事だ、思いつきで適当にやったに過ぎないが

実験も練習もしていない、出来るか出来ないか解らない

それをぶっつけ本番でやってのけた

ミカの発想力に驚き、そして、この世界に来た事によって

【アホの子】のミカが驚く速度で成長している事を確信する


そんなミカに近寄る存在

薄い水色のパーカーを着、そのフードを深く被る少女、鈴である


鈴は魔力を失い動けなくなったミカを回復するため動く

鈴は鉄雄に、お姫様だっこされたままの、ミカの手を取り魔力を回復させる

それは、この世界に来て魔力感知が出来なくなった、蓮ですら

その肌で、魔力の流れを体感できるほどの感覚である



アレ(鈴)は、魔力をも回復させれるのか?

それとも、魔力の譲渡か?

ミカの奴、アホみたいに魔力を吸い込んでやがる

それにしても、アレは信じられない魔力量だぞ・・・・

覇気を開放し、リミッターを外した俺様のMP(魔力量)や

ミカのMPは、この世界の人間のMPを遥かに超えると言うのに

どんだけ、魔力を注ぎ込んでいるんだ?

魔力感知のできない俺でも分かるほどだぞ

逆に言えば、そこまでの魔力の譲渡ができる

アレ(鈴)の魔力は底なしかかよ・・・

実際に魔力を回復させる、アイテムや、スキルは実際に有るが

それは、一般的な常識の範囲内の物だ

一瞬にしてMP(魔力量)を一定値回復する、アイテム

一定時間、徐々にMPを回復するアイテム

自身のMPを受け渡す、固有スキル

色々と浮かぶが、どれもその値は知れている

それにしても・・・

魔力の譲渡かよ・・・・・・・



この世界の人間が保有する最大MPの平均を10とするなら

あの世界の人間が保有する最大MPは100を超えるだろう

それも、魔法に適した種族であるエルフとかなら、軽く200は超えるだろう

元々MPは、肉体的数値ではない

精神力や魂の問題である

それに種族補正とも言うべき、変数値が加わると考えられている

だからこそ、人間と言う種族より、エルフや魔族の方がMPが多い


だが、魔王である俺や、魔人であるミカのMPは10000を遥かに超える

そう、どんな回復アイテムでも、スキルでも

ほぼ0となった、ミカのMPを完全回復するのは無理である


そして、それほどまでに

ゴーレムを消し去った魔法に使った魔力は途方もないのだ

いや、魔力の3割は被害を出さないための結界に使用され

魔力の5割は、エセ元気玉を消滅させる為に使った


これこそが、蓮がミカの成長を感じた一番の理由である

蓮もそうだったが、魔法を使ったあとの事など考えず魔法を使う

その後、自身に関係ない、都市が消滅しようが

数百万の人間が死のうが、気にしたことがない

この世界に来て、蓮が成長したように

ミカも回りに被害を出さないように魔法を使った

これを蓮は成長と呼んだのだった


結果、ゴーレムを倒したと思われた、計り知れない魔力だが

それは、ミカの1割程度の魔力であり

それですら、ゴーレムを10回は、オーバーキルする程の力である

それを引き出したのは、七星の力でも有る

肉体を通して魔力を使ったなら、その負荷は肉体に加算されるのだが

七星と言う媒介を通し、魔力を使ったため、肉体に負荷はなく

魔力は使えたのだが

逆に言えば、無理やり七星に魔力を奪われたとも言えた



・・・魔力の譲渡か・・・・

この世界、あの世界、どっちにしろ

俺やミカのMPをほぼ全開まで回復できるなんて

そんな事が出来るのは、俺の知る限り

魔王序列1位【妖精女王・レディー】を含む

あの世界を創造した言われる【原初の三王】くらいか



そう、世界を作り上げたと言われる

【原初の三王】と呼ばれる存在

その存在ならば、魔力の回復、操作、譲渡など

出来て当たり前だろうと

神話として語られる物語を思い出すが


考えても仕方がない、どうせ鈴や、変態に聞いても

詳しくは教えないのだろうと・・・・

それにしても、鈴の魔力は半端ないと、変態から聞いていたが

鈴の最大魔力量は、ミカの魔力量を超えるのか・・・


ほぼ最大値まで魔力を回復させたミカ

手を握る鈴に向け


「リンたん、回復ありがとねん」

「ミカさん、あんまり無茶しないでくださいよ」

「ニヒヒ!カッコよかった?」

「はい、とても」


鈴に向けて両手でピースをして


「テツっちも、ありがとねん」と


鉄雄に抱き抱えられたままミカは

鉄雄のほっぺたにキスをしようとしたのだが


ミカの仮面と、鉄雄のカラスマスクがそれを邪魔をし

2つの仮面が、小さく「コツン」と音を立てた


さほど気にせずミカは

ふわりと鉄雄の腕の中から抜け出し地上に降り立つのだったが


そのミカに敵意を巡らす存在が

地を這い、体をクネラセ

ズルリ・・ズルリと・・・・

近づいていく・・・



***********

***********



【原初の三王】


1人は【全王】

世界を創造し作りだしたと言われ

世界を支配する存在【全王】と呼ばれ

その姿に似せ、人間を創造したと言われる

今尚、人族に信仰され【神】とも呼ばれる存在

世界の節目、節目で現れ、人族の味方をし、その存在を守る

魔族や魔王と敵対する憎たらしい存在


1人は【精霊王】

世界の創造と共に地上に降り立ち

多くの眷属を作り出し

地上に豊かな恵みと、自然の恩恵を与えた、精霊の頂点

各地に古くから残る精霊信仰では【精霊王】呼ばれて居たが

今は【妖精女王】と呼ばれる

蓮にとっては、魔王序列1位に居座る邪魔な存在


1人は【闇の王】

世界が創造された後

人間以外の、ありとあらゆる生物

エルフ・ドワーフと言われる亜人

そして魔物と呼ばれる

その全て存在を作り出したと言われる存在である




神話では【全王】は人間という種族を増え続けさせ

【全王】と共に、人間が世界を征服していた時代がある

これを良しとはしない存在がこの【王】であった

【全王】の支配が狭くなる夜に

闇に紛れて、数十億という人間の命を一晩で刈り取ったと伝えられている

それが嘘か本当かは定かではないが

それ以降【全王】とこの【王】は敵対する事となり

この【王】は【全王】の視界から逃げるため、常に闇に紛れて動く

それが【闇の王】の由来でもあると言われている


後の魔王時代の到来と共に、今は【初代魔王】と呼ばれる



【全王】


【精霊王】


【闇の王】


この3人を合わせ

世界を創りし【原初の三王】と言う


そして、あの世界では

伝説の一つとして語り継がれている物語がある

【7人の勇者の物語】

それは4千年前の人族と魔族の【伝説の戦】

魔族を率いて人族を滅ぼそうとした

魔族の頂点に存在した【闇の王】と

人族を守る為に神と呼ばれる【全王】が世界に降臨し

【神の子】と呼ばれた7人の【天使】が召喚した

7人の【勇者】との、それぞれの生存かけた


【闇の王】と【7人の勇者】の戦いの物語である


その物語で【闇の王】は魔族の王【魔王】と呼ばれ

物語の結末では、魔王は、勇者達に破れ

魔の大地と言われた魔族の都市があった大地

そしてそこで生きてきた多くの魔族と共に、その姿を消したと伝えられている


物語は、人間の永遠の繁栄で終わるのだが


後に、ある巨大な魔力を誇る存在が名乗りを上げた

我こそが【闇の王】を継ぐ、次世代の魔王だと

彼こそが、2代目魔王【冥王・マーフィー】

そして【闇の命王】は【初代魔王】と呼ばれる事となった


そして、また1人、また1人と、魔王を名乗る存在が頭角を表し

世界には【魔王時代】と呼ばれる時代が来る


そして、理由は定かではないが

【妖精女王】も【魔王】の名乗りを上げるのだった



 

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